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Theater Report #54
          

04.Feb.02
 “URINETOWN THE MUSICAL”

 近代のニューヨークにおいては、江戸時代の日本がそうであった様に実際にあった事件を事実に基づいて舞台化する事が固く禁じられていました。その名残は現代にも残っており、このような舞台が作られた訳です。

 話の舞台は、水不足(史実では電気不足)の大危機を抱える架空都市ユーリンタウン(史実ではカリフォルニア一帯)。個人用水洗トイレの使用は御法度、市中での無闇な放尿は即刻お縄。市民は有料の公衆トイレの前に列をなし、貧しい少女は“Sir. Please Penny for Morning Pee”とトイレの為のお金を乞う。市民の放尿権を独占し、更に世界の放尿権を独占して世界制覇を企む塩冶判官率いるユーリン・グッド・カンパニー(史実ではエンロン)と同社の放尿料値上げに反旗を翻した市民の一揆!手に汗握る革命の物語!涙チョチョ切れる笑いの展開。本来市民の見方であるべき政府(史実はブッシュ政権)や警察は金の力で丸め込まれていて悪の手先となっている(史実は何時もこの通り)。革命は成功するのか?どこぞの共和軍の様に全滅して話は、幽霊の合唱で終わるのか?仮名手本忠臣蔵の初演では討ち入りはなかったが、今回のお芝居では討ち入って塩冶判官の首を取ってEndingとなる。
 幽霊、と言うかメモリアルな人はよく登場します、しかも黒子が手に持ったスプレーのスモーク付きで。全体に作りはチープです。実に馬鹿げた内容を真剣に真顔でやってます。この舞台を観て笑う奴がいたら私は許さないでしょう。彼らは本当に真摯に、真面目に真剣にこの舞台に取り組んでいます。そんな彼らを見て笑う事など出来るはずがありません。私は笑ってしまいました。しかも大笑いです。私は許されない事をしてしまいました。御免なさい。謝ったのでもう大丈夫。仏(ブツ)は仰いました。汝の隣人を気にする事なかれ、笑う角には福来たる。
 主人公だと思ってたとても考えの甘い馬鹿者(若者)が死んでしまうとは思わなかった。単純明快単細胞!素晴らしい若者です(こういう一途で一直線な若者が出ないと大馬鹿金権エロ親父自民党政権は倒せません)。彼はその後、回想シーンとして幽霊の様に出てきます。殺され方はビルから突き落とされて落下して行き地面に激突です。落下です、はい皆さん、どのMUSICALのどのシーンをパロッたか、もうお判りですね。
 本当にお馬鹿な話で、それを私はよく知らないが結構凄い役者が真剣にお馬鹿な唄を唄っている、らしい。今見たらトニー賞を2度も取っている人もいた。
 出演者もスタッフも楽しくてしょうがないんじゃなかろうか?自己満足に終わらずに高いレベルで楽しんでないとこの舞台は出来ないと思う。巧く作ってある良い舞台であった。チープはチープで狙いから外れてなければそれはそれで楽しい。チープであればこその良さが本当によく出ていた。
      
 音は自然でよかったが、始まった時は一寸声が小さめで聞き辛かった。でも出し過ぎることなく、適切な音量でした。本当に自然で良かったと思う。

 劇場はもしかしたらずっと閉まっていた所を使っているのではなかろうか?道路に面した所からベニヤで囲むなど作り込まれているが、幾ら何でも劇場の床・壁・天井まで汚しを掛けているとは思えないし、壁をわざわざ剥がしたりはしないと思うんだけど。その辺りはどうなんだろう?ハッキリ言って舞台には合っていたけどすっごい汚い劇場であった、如何にも作りも古そうだったし。
        
 未だtktsには出てないし、お客さんの入りもとても良かったのでまだまだ続くと思います。日本でマスコミが噂しているものを見てドブにお金を捨てるよりこれを見た方がいいですよ。マスコミの情報なんて下手をするとこのページより嘘が多いので注意しましょう。
          
 知らない方の為に、RushTicketですけど、開演2時間前とか3時間前(劇場によって異なる)に枚数限定で売り出される格安のTicketです。何処の劇場が何時間前に出しているかどうかは、タイムズスクウェアのVisitorCenterに行けば情報を得られます。ここには、大変有り難い事に無料で使えるトイレもありますし、VillageVoice等の無料情報紙も置いてありますので、知っておくと便利です。