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Theater Report #53
         

03.Feb.02 19:30
 “FOUR”一寸迷惑なタイトルであった。
 チケットを買う時に「フォー」と言ったら「何をだ?」と聞かれ「シティー・センターのフォー」だと言ったら又もや「だから何をだ?」と聞き返され、「“Four”at City Center,1Tiket」と言ってやっと買えたと云う与太郎の会話のようなことをして手に入れたチケットで観た芝居です。でも内容は与太ではなくて良かった。

 話の裏に潜むものはきっと複雑で掴み所がないものだと思うけど、舞台は3人の若者達と1人の父親のそれぞれの青春の日の1Cutと中年の日の1Cutを淡々と描いた面白くない様で何となく引きつけるもののある面白い舞台であった。
 二組のデート、と書くと変に思うかも知れませんが、そうです父親も若者とデーとしてます。男の子を呼びだしてドライブして映画に行って、モーテルにも行きます。この父親の娘ともう1人の若者もデートをしていて、思春期特有の不安定な心の動きをそれなりに好演しています、特に女の子。舞台には出てこないけど母親というのがどうも病気がち、若しくは精神的に参っているので女の子はとても気遣っていて、何時も彼女を励ましている。父親もゲイである事を楽しみつつも悩んでいるらしい事は判ります。そんなみんな愛はあるのに悩んでいる家庭がテーマである、と思う。取り敢えずこのまま日本でやっても大多数の人においてリアリティには欠けると思うが、アメリカではリアリティがあるのかも知れない。これはゲイのパーセンテージの問題ではなく、その辺を開放的である事を求めたが故に近年になって発生してきている問題ではなかろうか。ある意味解放されなければ気付かなかった人だっていると思う。そういう人の問題を扱った社会派ドラマ、なのかも知れない。
 然し飽きそうで飽きない、面白くなさそうで面白い、不思議な舞台であった。4人の俳優はよくやっていたと思う。だからぎりぎりの処で面白くなっていたんだと思う。演出か本にもう一つ光るものがあるともっと良くなったと思う。役者はよくやっていた。多分本の問題だと思う。

 音は結構色々な所にスピーカーを仕込んでいて効果音を色々な所から出していたが、何でこの音をここから出すかなあと云うのが結構あった。最初は「そこしかスピーカーが仕込めなかったんだ、可哀想に」と思ったがそんな事はない、あれだけ仕込んであったら違うスピーカーを使えばもっと良くなると思う。花火の音で終わるんだけどこの音のリアリティーの無さは何だろう。花火に対する経験の違いだろうか?
 照明もあまり良いとは言えなかった。
 スタッフが芝居を壊しているとは言わないけれど、スタッフがもう少し頑張ればもっと良いものになったと思う。胸に突き刺さる思いである。気を付けよう。

 祭りのあとの寂しさは・・・・・
 と云ったEndingであった。