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Theater Report #47
        

30.Jan.02
 “PROOF”。
 2001年トニー賞BESTPLAYに輝く作品だそうだ。
 さて「proof=証明」タイトルからして何となく難しそうなので、実は一寸避けていた作品なんだけど、昨日は一寸tktsに行くのが遅くなってしまい、見ていないのがコレしか残ってなかったので、思い切って見に行く事にした。
 話は病弱の数学者と看病で帰宅する娘との複雑な親子関係と、思いがけなく出現する求婚者とのロマンスを描く奥行きの深い人間ドラマ、と手元の資料にある。親子関係はそんなに複雑には見えなかった。娘をとても大切に思う父親と父の事をとても愛している娘、としか思えない2人の間にそれほど複雑なモノは感じられなかった。私には、お互いに愛情豊かな親子と不器用で純情な若者達のロマンス、そしてそれらをかき回す判ったようで何も判っていない母親(または姉)の話と思えた。台詞の中に「私はあのこの姉よ」とあったと思うんだが、誰某と結婚したらどうだとか、Coffeeはミルクを入れなきゃ行かんとか、幾らなんでも姉にしてはうるさすぎると思う。
 仲々面白い話ではあるんだが、兎に角難しい。何が難しいって、時間軸が一定方向ではなくて行ったり来たり入り乱れているので非常に分かり難い。
 話を非常に大雑把に言うと、主人公の女の子は本当にお父さん思いで純情でぶきっちょなんだけど最後はロマンスも成就して良かったね、といった事です。何と大雑把!
 ストーリー自体が帰納法的に進行していて、各シーンが弁証法的に描かれている、といった感じである。難しそうでしょ。結構前のシーンをちゃんと覚えておかないと何がなんだか判らなくなってしまう。数学で大きな証明をする時にそれ自体は帰納法なんだが、要所要所で必要な命題を弁証法で証明するんだがそれが結構な量の大きな証明でその「なんとなれば」を証明し終わった時には本筋の証明がなんだか判らなくなっちゃってる感じの芝居であった。
 でも何となく胸に染みるモノのあるいい芝居で、トニー賞BESTPLAYは伊達ではないと思った。
(ライオンキングのBESTMUSICALは伊達です。だから入口にわざわざトロフィーをおいて誇示して権威付けしています)

 さて音響的には問題なし。生声ですからね、凡て。マイクは例によって仕込んであったけど、使っていたんだろうか?3階バルコニー用に少し出していたかも知れないけど、3階の天井にスピーカーは見えなかった。3階に向かっているスピーカーからある程度出したら私も2階にいたので、位置的に行ってそのスピーカーの音は聞こえた筈だが全く判らなかった。
 マイクはC-460等のコンデンサーにスイベルジョイントを付けて、框の客席側に付けて(多分ホルダーを螺旋止めしている)、頭を舞台側に振ってあった。日本では出来ないであろう仕込み方であった。
 Mixer席は下手2階のBOX席に作ってあった。アメリカではCue凡ては舞台監督から来るのでいいが、あそこでは舞台の下手半分近くが見えていないし、音も非常に偏った音しか聞こえないと思うのでとてもやりにくいと思う。卓は多分YAMAHAの3000だと思う、つまみの色合い等から見て。

 時間軸さえ上手く捉えられれば、何とかなると思います。その辺りを間違えなければ、とても面白いと思いますので派手なMUSICALに少し飽きた方はどうぞ御覧下さい。