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事 務 局 か ら

◇なおつづく八堂農民たちの闘い

本誌の第76号で紹介した、韓国有機農業の一大生産地を襲う危機について、追加情報です。

 首都ソウルから東へ車で一時間半、二つの川が「漢江」に合流する水郷「八堂」は、韓国有機農業の先進地として世界的にも有名でした。ところが、建設業界出身の李明博大統領が、治水防災や観光開発の名目で河川の改修工事をブチあげたため、河川敷の公有地を借りて営農を続けてきた農家の多くは、移転か強制収用か、いずれにせよ存亡の危機に立たされることになりました。
 測量工事に対する身体を張った闘い、消費者をなど社会各層との連帯を通じて、八堂の農民たちは反対運動を続け、政府側の予定では、すでに工事が完成しているはずの現在もなお、現地で営農を維持しています。今年2月には、政府・自治体による河川敷の占有許可取り消し処分は不当であるとの、農民側の訴えが地裁で認められました。
 ただし、楽観はできません。政府側は依然として工事を継続しています。先行きを悲観し、泣く泣く移転に同意した農家も少なくありません。7月の台風では、農地は甚大な被害を受けました。
 にもかかわらず、八堂の農民たちは、多様な生命が集い循環する場としての八堂を守るべく、闘いと営農を続けています。今後も情勢に注目していきたいと思います。(山口)


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