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市民環境研究所から
「さよなら原発」の声をさらに!

 さすがの猛暑も、9月終盤になって一気に遠のいたようである。台風12号が奈良と和歌山に大災害をもたらした。十津川水系と熊野川水系は、未だに孤立状態に近い集落もある。深層崩壊によって崩落した土砂が川を堰き止め、湖状態が各所に出現し、二次、三次災害が懸念されている。
 豪雨の夏から秋晴れになったのはありがたいが、続いて襲来した15号台風が東北地方に大雨をもたらした。大津波で被災し、避難所から仮設住宅に移り、やっと落ち着いた人々の住みかに濁流を流し込んだ。3月11日の大津波から9月の大洪水まで、命の源である水が、命を奪う日々が続く。今年ほど地球が水の惑星であることを考えた年はない。水とどのように向き合い、付き合うかが人間社会の最重要課題である。
 こうした日々の中、新聞紙上では福島原発崩壊関連の記事が小さくなり、東京電力という語を見かける回数もずいぶん減った。新たに誕生した野田内閣は、福島原発事故の終息を前倒しにするという。事故の終息を前倒しにするのも、実に奇妙な表現である。常に一日も早い崩壊事態の収拾が望まれているのだから、前倒しもないだろうと思う。ところが、その翌日には、福島県産の新米のセシウム汚染が新たに確認された。なんの咎もない福島の農民の実りの秋を苦しめる放射能汚染拡大の日々の最中に、停止中の原発を一刻も早く動かそうというのが、新内閣の方針である。
 マスメディアが東京電力の責任追及の記事を減らそうと、野田が再稼働を画策しようとも、大衆の脱原発の動きは鈍ることはない。我が市民環境研究所を連絡先として、「さよなら原発1000万人署名・京都の会」を結成した。集会やデモ、講演会や討論会など、脱原発の動きは各地で活発だが、それらに声援を送りながら、種々の理由から参加できない人々の叫びを集約できるのが署名活動だろう。大江健三郎や落合恵子などの呼びかけで始まった「1000万人署名運動」を、何としても成功させたいと思う。京都在住の鶴見俊輔や瀬戸内寂聴も名を連ねている。ならば、京都市民、府民からせめて1000万人の50分の1に当たる20万人署名を実現したい。少々、閑古鳥が鳴きつつある当研究所の有効活用にもなるだろう。
 要請事項は次の3つである。@原子力発電所の新規計画を中止し、浜岡をはじめとした既存の原子力発電所の計画的な廃炉を実施すること。Aもっとも危険なプルトニウムを利用する高速増殖炉「もんじゅ」および核燃料再処理工場を運転せず、廃棄すること。B省エネルギー・自然エネルギーを中心に据えた、エネルギー政策への転換を早急に始めること。
 福島に留まらず、東北から関東にかけて広く放射能汚染の実態が判明したいま、多くの人々の賛同を得られる内容だと思う。来年の2月の期限に向け、京都府民だけでなく、全国の知人友人に宛てて、ひたすらメールで要請文を送っている。賛同いただける方は、pie@zpost.plala.or.jpまでメールをいただければ、署名用紙や資料をお送りする。(石田紀郎)


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