INNOCENT BAD
あるところに心の綺麗な不良がいた
彼が不良になったのは 8歳の時

ママがいなくなったその年の母の日に
先生はみんなに宿題を出した
「ママの顔を画用紙に描きなさい」
彼がクレヨンで描いたのは
青い小さなクジラだったけど

動物園を襲って
動物達を森に還すのが夢だって
世界中の迷子をさらって
あたらしい国を作りたい
ディズニーランドよりももっと素敵な

僕は思う
きっと神様が間違えて 彼に狼の魂を入れたんだと
大好きな音楽でおおはしゃぎしてる
女の子を殴ったりしないんだ

ああ神様
僕がピストルになれたなら
冷たく艶かしい 銀のナイフになれたなら

それを笑う奴らを
彼を笑う奴らを

あるところに醜い踊子がいた
蝶ネクタイが紹介する
踊る豚のご登場
グラスと罵声の雨の中で
つま先で踊りながら唄う
人殺しの人生にも 愛はあったって
何故踊り続けるのかと訪ねたら
私が死んだ時に 流れる涙の数を増やすためと彼女は

二人は手のひらを重ねる
大きい手のひらと 小さい手のひら
不格好な貝殻みたいに
その中に 大切なものが入ってる

ビルの隙間からでも 夕焼けは見えるだろう
そこがゴミ捨て場でも神様に「ブラボー」と叫びながら
最後の時を迎えるそんな人生が夢だから

あるところに心の綺麗な不良がいた