ゴミがないきれいな まちづくりを − 観光客誘致の前提とは − (2007年2月2日)


はじめに

   新市が発足して1年余、地方自治法第2条第4項に基づく市の総合計画作成 が動き出しました。この機会に、筆者らが観光立地の前提と考えている 「ゴミがないきれいな まちづくり」 について提言いたします。


ドカリの波(和泉−日在浦海岸)
冬は日中でも飛沫が鮮やか
ユリカモメとオオセグロカモメ
塩田川河口三角州に集う
(2枚とも2007年1月下旬撮影)

[意識の変革を]

   町から市へ名前が変わったのだから、住民ひとりひとりが市民であることを自覚して、 挨拶・話合を通じて新しいまちづくりに参画することが肝要です。 旧3町間差別や排他意識の垣根を取り払い、同じ市民として協力し、 よりよき市を目指すことを期待しています。 特に「よそ者」といわれる都会からの移住者たちは、 もともと自由に交流できるため、今後とも牽引力になってゆくものと思います。
   きれいな まちづくり の第一歩は、道路・川・海に溢れているゴミを取り除くことです。 住民が外出する時には自分でゴミを持ち帰り、スモーカーには吸い殻入携行を 呼びかけタバコ吸い殻のポイ捨てを絶滅させる段階に達したものと理解いたします。 屋外での喫煙は 吸い殻ポイ捨てによる山林火災の危険があるので、吸い殻入携行の義務付け が必要です。

ウソ_ 当地でこの冬観察報告例が多い
他にも小鳥たちがたくさん集う土地柄
(Courtesy: T.Furukawa)
コハクチョウ_ 今年もトンボ沼に飛来
日在潟、和泉潟など湿地にも恵まれている
(Courtesy: T.Furukawa)

[新市の将来ビジョン]

   私どもの子や孫に残してゆきたいものは何か。
   それは、首都圏から時間的に見ていちばん遠い場所に、手付かずに残されている豊かな自然です。 本市は和泉浦、日在浦に面し、日在潟(入江)を含み国定公園と鳥獣保護区の二重指定に なっています。千葉県指定の絶滅危惧種アカウミガメの上陸・産卵・孵化、 海浜植物ハマヒルガオの繁茂、サケの遡上・産卵、留鳥のカモやサギなどが観察のできる自然 の宝庫です。海辺で初冬に観察される夜光虫の幻想的な眺め、厳寒期 波の華 の砂走り、初夏ハシボソミズナギドリ渡りの畏怖(幼鳥受難)など を見て 多くの人に感動してもらいたいものです。 今となっては かろうじて残された大切な自然環境は、 市のみならず県や国の大切な自然遺産であると 学者や文化人たちが指摘しています。
   内房では多くの自然環境が破壊され、もはや復旧の努力もむなしい状態です。 皆で関心を持ち 守る努力なくして 未来はあり得ないのです。 青い空・広い海・緑の里山が本市最大の資産で、それが都会から観光客がわざわざ来て見たいもの だと思います。『道路脇にゴミがなく、道交法遵守する交通安全確立した』まちづくりを 目指そうではありませんか。                 


雪雲が消えてゆく空
日在城址周辺
晴天午前9時頃の気温上昇時
日在潟の入口周辺
汽水域の環境整備についてみんなで考えよう
(2枚とも2007年1月下旬撮影)


総合計画作成に際しての提言

   地方自治法第2条第4項に基づく市の総合計画作成に際して、夷隅川水系への流竹木流出被害防止策として 『夷隅川エスチュアリー運営委員会』(仮称)を設立の上、運営してゆくことを提言いたします。

[提言内容]
   総合計画作成に際しては、折角3町が合併して新市になったわけですから、 『夷隅川エスチュアリー運営委員会』(仮称)を設立の上、本市がその事務局を担務し、 千葉県、勝浦市、大多喜町、御宿町に参加を呼びかけ、夷隅川流域、日在潟などの入江と 和泉−日在浦海岸の水域を一元的に管理運営し、水域浄化に取り組んでゆくべきと考えます。 そうしない限り、いつまで経っても和泉−日在浦の海岸に夷隅川流域から流竹木が流入して くるのを防ぐことができず、アカウミガメの産卵・孵化が阻害されたままです。 本市はウミガメ産卵域海岸の保全・清掃で大変迷惑を蒙っているのです。コストも手間もかかります。
   今やゴミの発生者負担の原則は世界の常識であり、海岸汚染の被害者である本市がリーダーシップを 発揮してゆく他に解決の途がないことは明らかです。かって一時期 夷隅川浄化 対策協議会の枠組みで、自治体職員が参集して定期的に夷隅川河口三角州や 和泉浦海岸の一部の清掃作業を行ない成果を上げたことがあります。本件は中央から地方への 予算配分付け替えの機会を捉え、本市がイニシアティブをとって、海岸漂着ゴミ対策 を中核とする夷隅川浄化事業を遂行させてゆくものです。

台風12号海岸被害
(2006年9月6日撮影)
大雨直後の流木漂着
(2006年9月29日撮影)

[その事由]
   水域浄化の官民協働の具体的事例としては、滋賀県琵琶湖などにおける取組みが 知られています。ところで 夷隅川流域では、亜熱帯性気候の下 竹や樹木の繁茂が著しく、 四季を通じて大雨や台風の後には、下流域や海岸一帯におびただしい量の流竹木被害が もたらされています。 漂着流竹木の量が多い時には、太東岬−大原八幡岬間5kmの海岸の過半が、幅70−80mにわたり50cm 高さに流竹木で埋まってしまうことがあります。海岸近くに住んでいる人間でないと 災害のひどさは理解できないでしょう。(昭和30年代・エネルギー革命の前には、海岸近くの 住民たちが、競って囲炉裏の薪として拾っていたと聞いています。)
   最近の環境地質学の成果を取り入れて、汽水域を総合的に運営することは今や世界の常識です。 米国ニューヨーク湾・サンフランシコ湾・オレゴン州海岸、欧州北海海岸・オランダ干拓地等 世界中でエスチュアリー・プランが導入されて運用に入っています。 エスチュアリーによる汽水域総合管理手法については、筆者コラム 『エステュアリー概念導入が決め手 _ _ 夷隅川河口周辺水域』を参考にされたい。
   この手法は、周辺自治体との協働を促し、効果的かつ経済的に夷隅川流域 からの流竹木やゴミの流入被害を解決してゆくものであり、 本市行財政改革の要をなすものです。 市議会における質疑で 中小河川の管理主体は県だからと答え 澄ましているだけで、ゴミで汚染された 水域清掃・美化すら放棄し 手をこまねいているようでは、何一つ問題は解決しません。 汚染被害者が自ら立ち上がらなければなりません。要はやる気があるかないかの問題です。

直径2m x 長さ8mもの巨大流木
夷隅川流域上流からの放流物絶えない
磯でみられる引き潮の波の泡
冬季海の水は澄んでいてきれい
(2枚とも2007年1月下旬撮影)

   なお、夷隅川エスチュアリーの概念による海・入江・川を総合的に 管理・運営してゆくことについては、「千葉県東沿岸海岸保全基本計画書」(2003年3月千葉県作成) に採択されています。 すなわち、その骨子が基本計画書最終報告書 (策定委員会委員長は東大・磯部雅彦教授)A4版全340頁 参考資料の冒頭に採用されて、海岸保全基本計画の基本トーンづくりに役立てられているからです。 その概要は、 『日在通信、夷隅川河口のラグーン』 (2003年2月15日、千葉県公聴会・大原会場配布資料)記載の通りです。 そのうち、夷隅川三角州の砂泥6,500m3の移設は2003年度と2004年度に わたって実施されており、「日在潟」のネーミングについては2006年6月の ワイズユース看板の復元の際実現し 報道されています。



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