課題多い松くい虫防除地上散布 _ (2007年6月21日)


[いすみ市の防除は全て地上散布で]

長年にわたる私どもの粘り強い説得で、千葉県は漸くいすみ市海岸松林の松くい虫防除を、 平成19年度から全て地上散布方式に切り替えました。
   5月中旬に各戸配布された千葉県作成の「松くい虫防除のお知らせ」(B-4サイズ1枚)と題する チラシによれば、いすみ市(大原・岬)13.2haの松林の松くい虫防除は、アセタプリミド2.0%液剤を用いた 地上散布で6月20・21両日行われることになりました。

松くい虫防除作業予定案内
3日間松林内立入禁止
散布日、使用薬剤を明記
南部林業事務所名で掲示
前夜から放置されていた器材類
健康被害薬剤の放置は無責任だ
(2枚とも2007年6月21日撮影)

[ずさんな薬剤管理に疑問の声が]

いすみ市日在−和泉浦海岸の地上散布は、予定通り6月20日と21日の両日にわたり実施されました。 作業の開始は、チラシに書かれた午前5時よりも2時間遅く午前7時頃から行われました。 筆者らが、6月20日早朝6時頃パトロールで水門付近を通った際、前夜からアセタプリミド原液が入った 容器入りのダンボール等が、無造作に水門上に置かれていました。地元住民の間では、 人体へ健康被害を及ぼす薬剤原液を監視員も置かずに放置しておくやり方に 疑問の声が上がっていました。
   千葉県作成のチラシでは、注意事項として、「万一体調をくずされた場合には、医療機関に ご相談ください。農薬中毒の主な症状としては、倦怠感、頭痛、めまい、嘔吐、多量の発汗、 縮瞳など」ある旨記載されています。来年以降は、薬剤は噴霧器で散布する作業者が、 トラックに搭載して、無人の水門上などに放置しないようにして欲しい。前日から無人の 水門上に薬剤を放置しておいて平気な県出先機関と作業担当者には、仕事に対する責任感が全く感じられない。

日在潟水門における薬剤の調整
前夜から汲上げポンプと原液を準備
無人のまま放置は極めて無責任
薬剤希釈用の水は日在潟から採取
薬剤管理がずさんだとの声が
(2枚とも2007年6月21日撮影)

[希釈には水道水か井戸水を使用すべし]

アセタプリミド原液の希釈に、日在潟の水をポンプで汲み上げて使用していたが、 これにも地元住民から疑問視する声が上がっていました。日在潟の水は、太平洋からの海水が 満潮時には遡上してくる汽水となっています。そればかりでなく、日在潟の上流では、 日在地区では田畑の下水路からの排水が混入しています。農家では田畑には肥料や殺虫剤 など化学薬品を散布しており、これらのケミカルが混入している日在潟の水を 汲み上げることは、防除用薬液を上回る毒性物質が過剰に地上散布することになります。 適正な薬剤濃度に調整するためには、水道水か井戸水で希釈すべきでものと思う。
   また、毎年今の季節には、田畑からの富栄養化物質が 日在潟に流入してくるため、水門付近では藍藻が大量に発生し、湖面一面が不気味な褐色 の淀んだ水で覆われることを知らないのだろうか。 殺虫剤と一緒に藍藻を松林に散布すれば、松林の生態系へ思いもよらぬ影響を及ぼすことになろう。 放置されたままの薬剤を謝って服用して 健康被害を生じた場合の責任は、いったい誰がとるつもりなのだろうか。 かようにいいかげんな薬剤管理しか行えないのであれば、来年以降松くい虫防除は 取り止めた方がよいとしか思えない。


作業員は軽トラックで到着
日在潟水門における薬剤準備作業
希釈には水道水か井戸水をとの声が
薬剤管理に課題を残した
(2枚とも2007年6月20日撮影)

[まだ残る空中散布の松くい虫防除]

ところで、千葉県が今回配布した「松くい虫防除のお知らせ」によれば、県内ではまだ8市町村が 空中散布による松くい虫防除を行っている。館山市、富津市、一宮町、白子町、長生村などでは 5月29日から31日にかけてMEP23.5%MC剤をヘリコプターで空中散布するスケジュールが 記載されている。人体への健康被害の危険性が、空中散布では地上散布に比べて2桁以上大きくなっている ことは、筆者らがすでに2006年度までに繰り返し指摘している。



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