いすみ市総合計画基本構想(素案)に対する意見 - - - (2007年10月30日)


新しいまちづくりの指針作成は結構なことですが、中学生アンケート、市民アンケート、まちづくり懇談会などにおける市民からの意見・要望などをみると、全般的な傾向として行政に対する過大な期待や実現困難と見受けられる要望が多く、市民の立場で自らがこの地域に何らかの形で貢献してゆこうという気持ち・雰囲気が伝わってこないのは残念なことです。
   浮き彫りにされたことは、地域ぐるみで学校教育に参加し、他の都市との交流を円滑にするため、子供以前に大人の教育・啓蒙活動が不可欠だということです。文書を書くとか読む生活習慣のない人がまだ多く見られるため、ペーパーワークの計画を纏めるだけでは不十分だと判断されますので、具体的な施策をいくつか提言しておきます。是非実現して欲しいと願います。


和泉浦海岸 日在浦海岸のハマヒルガオ

1.中学生アンケートについて

(1) 中学生アンケートの集約結果については、未来を担う世代ということで中学生たちの意見・要望に期待しましたが、大人たちへの要望事項の羅列で、子供なりに 自らこの地域をどうすれば住みやすく、楽しく暮らしてゆけるようになるのだろうかという発想・提言が殆ど見当たりませんでした。私どもシニアの世代が、中学生時代すでに家庭生活の中で勤労の体験があった時代とは大きく異なり、大変由々しく心配になりました。
   国を挙げて取組んでいる教育問題は、いすみ市においてもPTAや生徒の対応がまったなしの状態となっていますが、学校教育関係者に必要なことは、この土地の小・中・高等学校の校長経験者の方々の見識に敬意を払い相談するとか、東証1部上場企業に勤務し国際ビジネスで活躍し老後を過ごすためこの地に移り住んだ人たちにも経験談や意見を聞いて、小・中・高等学校生徒の指導に役立てる(助言を得る)ことだと思います。
   もはや同じ次元や内部だけで解決できる状態ではないため、教育は勿論生きてゆく上での適切な助言が出来る上述のような人たちと一緒に問題に取組む機会(市が声をかけ一同で話し合う場を持つ)をたくさん作る必要があります。

(2)中学生アンケートの中で頻繁に見受けられる、通学路や海をもっときれいにして欲しいという要望を行うのではなく、何故自分たちで清掃してきれいにしてゆこうとしないのか、理解に苦しみます。あるいは店舗や図書館に対する要望を述べる前に、過疎化が進み地方財政が逼迫しているこの地域の現況についても子供なりに理解するように努め、自分たちのおかれた立場をもっと考えるようにして欲しいです。これからはネットワーク・セキュリティーに十分配慮してインターネットを利用して、国内外のサイバー図書閲覧や他の地域・国の子供たちとの交流などに役立てて欲しいと思います。

(3)総じて、若い世代が都会の利便性に憧れる気持ちはよく分かります。しかし、大原駅前商店街でさえシャッター通りに変貌している現実を見て、その原因・背景をよく考えて欲しいものです。この地には首都圏にありながら都会の喧騒を忘れる自然の豊かさ、美しい景観・星空、美味しい空気、新鮮な海と山の食材に恵まれているというメリットがあることに気づいてもらい、そうした利点を自分たちの暮らしに活かしていって欲しいです。温暖な気候に恵まれ、野生生物の宝庫であり、食料自給率が高いいすみ市が、首都圏の中にあって必ず脚光を浴びる日が近いことを信じ、将来への希望を持ってもらいたいと思います。


鴎の乱舞(塩田川河口) ミユビシギ

2.市民アンケートについて

(1)IT(高度情報通信技術)

海や山の自然に恵まれたこの地にあって、大都会の利便性や文化的環境を補完する情報を取得するためのインターネット利用がすでに実用化されているにもかかわらず、未利用を前提とした設問を行っているのは、この地におけるインターネット普及の遅れを反映しているのでしょうか。しかし、わが家ではすでに光回線を引き、大容量プログラムや映像ソフトを比較的短時間でダウンロードできる環境を整えて実際に活用しています。そして、私どもから世界へ向けて情報を発信したり、受信しています。
   IT利用問題は、根本的には市民ひとりひとりが自立して、自己責任で懸案を解決してゆくようになれば、必然的に利用せざるを得なくなってくる問題と認識します。

(2)行政施設、公共公益施設の利用市内の行政施設、公共公益施設利用の満足度を10ヶ所にわたりアンケート集約していますが、これら10ヶ所全体について「どちらともいえない」「わからない」の2項目が占める割合は加重平均で65.5%となっています。回答者の3分の2が、満足でも不満でもない曖昧な回答を寄せている意味とは一体何なのでしょうか。市民の行政への期待感の欠如、公共施設利用への無関心、地元公共施設の人気のなさ等いろいろありますが、これら施設利用の中身を吟味し、改善策や別の利用方法等を考えられないものでしょうか。 かような市民の公的活動に対する認識ギャップを改善・向上させてゆくことが必要であるばかりでなく、社会的関心を高めボランティア活動を進めてゆく土壌がこの地にはまだ育っていないように見受けられます。
   無償であることが前提のボランティア活動に、市職員や市議会議員のみなさんが率先参加して、先駆的な役割を果たすよう期待いたします。


水門近くのワイズユース看板 日在潟

3.まちづくり懇談会について

(1) 市のPR、他の都市との交流

まちづくり懇談会の集約の中では、商工・農業・水産・観光関係等で共通して、いすみ市のPR、他の都市との交流の必要性が指摘されています。他の都市との交流は大変結構なことですが、原住民の中によそ者を排斥する言動が相変わらず後を絶たない現状の中で、観光客にこの地を訪れてもらうためには、市民ひとりひとりが他所から来た人たちに先ず挨拶が必要です。これは何のためなのか認識しなくてはなりません。挨拶は相手のため以前に、自分が怪しい者ではないことや友好的であることを示すための第一歩です。
   この際、他の都市との交流を円滑に進めるため、市民が皆 道で会ったら気持ちよく互いに挨拶し合う運動を始めてみたらどうでしょうか。市民の対話形成に向けて、市の社会教育関係者から全市民に対してPRすると共に、市職員や市会議員の皆さんには率先して実行して欲しいと思います。

(2)交通安全

観光客にいすみ市に来てもらうためには、交通安全の確保が不可欠です。交通事故をなくすため、道路交通法の基礎的な重要事項の遵守を徹底することが急がれます。
   交差点で信号を無視した右折優先が目立つ。曲がるときに右折・左折の方向指示を出さない。薄暮時に点灯しないで走行する。携帯電話をかけながら運転する者をしばしば見かける。自転車や人を追い抜き、追い越す時にスピードを落とさずしかも道路の対向車線に大きくはみ出して走行する車が多いなど、いすみ市内での車の運転は甚だ危険です。
   交通安全が保たれていなければ、観光客はいすみ市をただ通過してゆくだけで、いすみ市内で買い物、食事、宿泊などする気持ちにブレーキがかかります。

   ここで、TVでも放映された島根県隠岐島海士町の例を挙げると、公共事業投資がなくなり、人口減少で町の存続が危ぶまれる事態に直面して、町長以下町役場職員全員が給料削減を自主的に行い、「元気発信基地」の町おこしを成功させています。いすみ市も旧3町合併の際、本来であれば合併のメリットを活かすために、20%程度の人員削減もしくは給料の削減を行うべきという議論があったと思います。一般市民の立場からすれば、市職員が辞めることもなければ、給料も減らされないということであれば、市職員には合併前以上に、財政の破綻要因解消に努力して欲しいと期待するのは当然でしょう。

   そこで、例えば交通安全については地元警察に協力し、市職員が交通安全指導のため交代で幹線道路脇に立ち、安心して人も車も通行できるような まちづくりを進めたらどうでしょうか。千葉市、船橋市、習志野市など内房の市に比べて、市民ひとりあたりの市職員数がいすみ市では2倍はいるわけですから、市職員は役所内に籠もっているだけでなく、SSTパトロール隊に加わり、街中に出て交通安全指導を行い、街頭で市民に奉仕することを体験して欲しいと願います.。今や市職員の全てが役所内で我慢強くじっとしていたり、PC画面と睨めっこしている時代ではありません。屋外へ出れば、気分も一新し、市民との対話形成にも役立つこと請け合いです。


産卵した親ガメを見送る 子ガメの旅立ち

(3)アカウミガメ繁殖保護

自然環境関係でいえば、今年4月以降市のウミガメ保護条例が制定、施行されましたが、市担当職員も熱心に従事し、また現在までのところ卵の盗掘被害もなく、ウミガメ保護の成果が上がっているように思います。しかし、ウミガメ保護に携わる人は国内の他地域はもとより世界中どこでも当然無償のボランティア(もしくは自分で金を払ってまで参加する)で行っています。ウミガメの上陸・産卵、孵化した子ガメの旅立ちは主として夜間であり、野生生物は平日も土日、祭日の別なく行動するからです。
   私どもが宮崎県や鹿児島県のウミガメ保護グループと交流する中で確認していることを記せば、『ウミガメ保護のため人間にできることは、親ガメの上陸や子ガメの旅立ちの妨げとなる海辺のゴミ掃除、流竹木を撤去することに尽きる』ということです。
   私たち「カレッタいすみ」や「日在−和泉浦海を育みウミガメを守る会」のメンバーは全員60歳〜70歳代の無償のボランティアです。(ウミガメ保護のパトロールは最後の子ガメ旅立ちが見込まれる11月中旬まで。自然保護については一年中)5月に入ると1日も欠かさずに、海岸でウミガメを守るためにゴミ掃除をしてますが、観光客たち(滋賀県や東京都から来ています)がゴミ拾いを手伝ってくれることがあります。初対面でも、ボランティア協力者は結構いるのです。

   しかし今年 市で任命したウミガメ保護監視員の中には、契約を無視し海岸掃除をせず、勉強もせず、ボランティア精神がないにもかかわらずウミガメ保護をしていると公言している人たちがいますが、それは野性生物の生態についての知識が欠如しているためであり、報酬目当てで保護監視員をしているのは甚だ残念です。彼等は、ゴミ掃除に取組んでいる人を馬鹿にしており、真面目に海岸掃除をしているボランティアをあからさまに妨害するので、市民や観光客のひんしゅくをかっています。この任命については再考すべきです。
   野生生物保護活動は名誉なことであり、ウミガメ保護活動に関心があり、ゴミ片付けに積極的な人は当地にたくさんいますから、明年以降は他の地域と同じように、ウミガメ保護は無償のボランティアで行うべきです。


ウミガメ産卵巣の保護囲い作成 「カレッタいすみ」メンバーによる海岸掃除
ウミガメ保護で人間にできるのは唯一ゴミ掃除

4.市財政への影響が大きい問題について

市の財政運用が逼迫しており、この問題を避けてはいすみ市の総合計画を策定することはできません。そこで、特に市財政面での影響がもっとも大きい問題2件について具体的施策を検討いたしましたので、財政再建のために活用してもらうよう願います。

(1)市職員自身による電算業務運用の実施

市職員自らがPC入力作業や整理を行い、サーバーの管理運用を手がけ、人材活用を図ると共に、多額の電算諸経費の削減を図るべきだと思います。マスコミに取り上げられて有名になった福島県矢祭町では、電算業務運用を自前で実施し、多くの成果をあげています。
   自前での運用開始に当たっては、先ず電算技術者1〜2名の派遣を人材派遣会社に要請して、電算事務運用を行わせると共に職員の指導に当たらせます。万一UNIXプログラマー級の人材確保が困難であれば、電算事務に関心ある若手市職員を電子専門学院などに国内留学させ、プロパー市職員によって電算業務を全面的に自主運営するようにします。
   本件はすでに2年前からいすみ市に提言していますので、市事務当局では導入に際しても手順や問題点は把握していると思います。平成20年度からの実施を目指して今決断すれば、2年後には自前での運用が可能となり、毎年市職員人件費40〜50名に相当する経費を節減できることでしょう。

   市職員にとって、自から電算業務運用を全て行うことは、一見ハードルが高いように思われるかも知れませんが、現実に福島県矢祭町の職員たちは実行して成果を上げているわけですから、トライすべきです。要は、市職員たちが、いすみ市のおかれている現在の状態が、夕張市が陥った財政破綻の危機と隣り合せにあると認識しているか否かです。これは、職員自らが変革にチャレンジしようという意欲の問題であり、やる気があるかないかの問題です。電算業務運用に習熟すれば、世界が開け、市役所を辞めた後でもインターネット関連で社会貢献することも可能なわけですから、市職員全員で考え、行動して欲しいと思います。総合計画策定フローチャート(職制上廃止されている収入役が記載され、副市長が助役になっているのはご愛嬌ですが)を見ると、内部体制にある総合計画策定委員会のメンバーは、市議会開催の際に雛段に座って答弁する局長・課長級が全員揃っているようですから、大いに期待しています。

   ところで、市のサーバー・マシンは最近になって漸くEメイル受信拒否が解消したように見受けられます。しかし、市職員の全員がウィルス駆除ソフトから必要なメイルを拾い上げたり、画像ファイルをきちんと相手に送信できるようにはまだなっていないようです。自然豊かなこの地で快適に生活してゆくためにも、他の市町村に先んじ いすみ市自らがIT利用を先導するよう期待いたします。


トンボ沼のコハクチョウ 波の華(日在−和泉浦海岸)

(2)国保国吉病院の運用

新病院の建設が順調に進んでいるようであり、最近では現病院で毎日の通院顧客数が300名規模あり、併設のシルバーハピネスも入所定員100名近くの利用者があるなど活気が出てきている様子が伺われ、病院長をはじめ病院経営に対する努力を多とします。
   新病院建設について、国保国吉病院組合管理者としていすみ市長が病院のホームページ上で建設の経緯報告を行っていることも評価できます。逐次内容を定期的に更新して欲しいと思います。

   読売新聞2007年10月24日千葉版「市町村運営の病院事業 累積赤字200億円台」の記事では、県内公立病院では医師不足が診療の縮小を招いて病院経営を圧迫しているため、病院事業体(事業数22)あたり平均10億円の累積赤字があると報道されています。
   国保国吉病院においては、医師派遣で千葉大学医学部の協力を得ているのは周知の通りであり、今後ともその協力関係が維持され、病院経営が担保されるよう期待いたします。

   市民アンケートの設問9「商業について」の項目で、検診・治療(重症)の行き先で50%は鴨川方面となっており、いすみ市内の8%を大きく上回っています。このことはいすみ市内では、居住者の半数が高度治療や難病の検診・治療を亀田総合病院で行っていることを示します。同病院が日本経済新聞社の全国病院リサーチで常にトップにランクされていることからも、市民の気持ち・行動は理解できます。
   しかし、地域の中核病院として国保国吉病院が果たす役割は大きいと思います。是非一般治療については国吉病院を利用し、高度・難病治療には亀田総合病院を利用するという現在の役割分担を今後とも保持してゆくと共に、亀田総合病院については患者搬送手段の確保を万全なものにしていただきたいと思います。

   国保国吉病院が病院運営の理念に掲げる「人にやさしい医療」は、顧客の人格を尊重するものであり、インフォームド・コンセントに基づく診療を行う姿勢共々高く評価できます。是非外来診療担当の医師にはプライドをもって診療にあたり、医師の人柄に魅せられて遠隔地からも顧客が通院してくるような病院運営を心がけてもらいたいと希望いたします。
                                      以上です

 


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