Picasso Special


ミノタウロマキア(知の再発見双書31/創元社)


この絵を観ると、僕は下の写真を思い出さずにはいられません。そして、様々なイマジネーションが広がります。
左に描かれている少女が直面しているものは、とてつもなく恐ろしい怪物です。
少女は、右手にろうそくの炎を持ち、右手には一輪の花を持っています。
一人の男性は、恐怖の表情ではしごに登り、その場から逃げようとしています。
高い所にある窓からは、二人の女性がその場を眺めています。
地面には、その場から逃げ遅れたであろう女性と馬が描かれています。
空には、どんよりとした厚い雲が覆い被さっています。


The Terror of War 「戦争の恐怖」(撮影:フィン・コン・ウト)


『1973年6月8日、南ベトナム軍の空爆機が自国民に対してナパーム弾を投下するという悲劇的な過ちを犯した時、フィン・コン・ウトは国道1号線を移動中だった。逃げ惑う村民を夢中で撮影した彼は、9歳の裸の少女ファン・ティー・キム・フックの紛れもない表情をとらえた。この写真は、無垢な戦争の犠牲者たちの存在を世界中に知らしめ、アメリカの反戦運動を盛り上げる一因となった。』
被害者は常に、力が無く弱い者たちです。しかも、悪の力に対して、正直に反応してしまうのが子供たちです。上にあるピカソの絵のように・・・、しかもこの写真は、芸術作品ではありません。現実に起こってしまった事実なのです。
現代の日本では、戦争こそ起きてはいませんが、心の奥底の方で恐怖に怯えてる子供たちや力の弱い者たちが、数多くいるのではないでしょうか? 僕らが本当にしなければならないのは、財や権力や名声を得ることではなく、恐怖の表情・恐怖の心を子供たちの心から消し去ろうとする努力(チャレンジ)ではないでしょうか?


前に戻る