1.自分の生き方 LIFESTYLE
どういう決断をしたかが人生を決める
松本 幸四郎 朝日新聞2008.01.12Be on Sunday
古いものの良さを本当に知る人が、新しいものの良さを知るのではないか、と言い聞かせています。そういう人が日本の良質なものを残してきたのでしょうね。
私は、アイデアや発想は動物的で、感覚的。でも、形にすべく取り組むときは計画的です。
創作意欲は心の勃起なのだ
島田雅彦 2003.08.02 朝日新聞
どんな時に創作意欲が湧くか、とよく聞かれる。それはどんな時に性欲が湧
くか、と聞かれた場合と同じで「追い詰められたら」と答えるしかない。それ
は無尽蔵にあるものではなく、ある程度溜めなければ、発散されない。ストレ
スと同じである。
何事も禁欲を強いられれば、渇望が増す。禁書が地下でベストセラ−になる
のも、厳しい検閲下で傑作が生み出されるのも、禁止が欲望を刺激するからだ。
孤独と創作意欲は相性がよく、ちやほやされているあいだは大それた想像力は
働かない。
誰にも相手にされない逆境の方が欲望は高まる。肉体が生存の危機を察知する
と、種の保存の本能が働きだして、戦塵する。創作意欲も性欲と同じように危
機を意識した時に高まるものなのだ。
では、言論弾圧も生命の危機も身近に感じていない者は性欲も、創作意欲も
衰えるのか、といえば、そうとは限らない。要は危機感をどう演出するかだ。
これを書いておかないと、恥をかくとか、一生を棒に振るとか、存在を忘れら
れるとか、なるべく悲観的なことを考える。
それに物書きという人種は書いていないと、精神の安定を欠く病人であるから、
狂いたくなければ、どんな逆境でも書き続けるしかない。それが唯一自分を楽
にする方法だから。書くことは自分の病の治療法でもある。
強い自我は、人を枯らす 福原義春 03.06.29朝日新聞
人はつい、こうでなければならないという枠にとらわれる。懸命にひとつのことに打込んできたり、成功体験を積んでくると、その思いはいっそう強くなるようです。それは一見すると正しい信念のようにも思えますが、本当にそうでしょうか。別の見方をすれば、こだわりを持つ人は、他の新しいやわらかい考え方を受け入れないということでもある。すると新鮮な知識や情報という栄養が入ってこなくなって、結局立ち枯れていくのです。
花や木と同じように、私たちは今日の栄毒を得るために地下に根を広げなければならない。強すぎる自我にとらわれるのは、草や木の根が切れた状態なのです。
今は亡き作家司馬遼太郎さんがか訳『坂の上の雲』の中で、「精神主義と規律主義如、無能者とって絶好の隠れ蓑である」と書いていますが、個人のこだわりや形式主義が、考えることを阻み、本質をむしばんでいくということでしょう。気づかぬうちに私たちは、この落とし穴に落ちてしまいます。物事を判断する物差しが、ただ一本だけになり、それ以外の価値観を受け付けなくなります。人として、仕事人として、これは心して避けなければなりません。世の中には自分が知らないことの方が圧倒的に多いのですから。
たとえば仕事の経験の中で非常に成功した方法論があるとしても、それはその時の、時代の流れや状況でうまくいったのではないかと冷静に考えてみてください。今日はまた新たに、人の意見を聞き、時代の流れに耳を澄まさなければならない。本質を見据えなければならない。
我執、自我は最も離れがたく手ごわい。そこから自由になれば人間は変わっていきます。
スポンジは濁った、あるいは汚れた水で飽和しても、ギュッと絞りだせば、もとのスポンジに戻ります。学生時代に精いっばい学んできたことも、すばらしい営業のノウハウがぎっしり詰まっていても、まだ何かを吸収する余力を作り出すこと。年齢に関係なく人に教えを請える自分になるのです。
私たちは、自分の目で何もかも見えているようでいて、実は自分が正しいと感じることしか頭に入りません。そこに仕事人としての限界が生じてくる。変化の判断ができなくなります。難しいことですが、いつも自分の斜め上あたりから、自分を厳しく見つめる視点を持つ整じ自分は何者か、いま成そうとしていることでいいのか。こだわりにとらわれて固まっていないか。日本のビジネスマンたちが苦手とすることではありますが、毎日新しい栄養を受け入れられる人であり続けたい。 (談)
いつも「忙しい」を言い訳にしている人たち (バランスの良い人生を送るためのコツ)
ベス・ソーイ・大野昌子 ソニーマガジンズ社1500円 01.一番大切なものに時間をかける 02.時間の使い方を常に意識する 03.瞬間を楽しむ 04.他人に自分の時間を支配させない
05.優先順位をつける 06.複数の要求をやりくりする 07.人に任せる 08.完璧主義を捨てる 09.賢く手抜きする 10.義務をすべて果たそうとしない 11.ほめ言葉に振り回されない 12.みんなを喜ばせようとしない
13.過去にとらわれない 14.罪悪感をなくす 15.心配は無用
シンプルライフのヒント
シンプル化の方法は人によって違うし、経験とセンスがものを言う。
生き方を見直し、自分をよく知ることにつながる。
1, 職住接近を実現する
2, 夕日を眺める時間をとる。
3, 週一度は夜9時前に寝る。
4, 広いリビングには本当に気に入ったもの以外は置かない。
5, 読む本は2週に一度図書館から借りる
6, 時間をとられ過ぎるテレビは置かない。
7, 会合に出席したくない団体の会員をやめる。
5, 年中行事やつきあい、贈り物を見直す。
6, システム手帳の奴隷になるのをやめる
7, ポケットベル,携帯電話,キャッチホンをやめる
10 ワードローブをシンプルに--服の色を制限して自分のスタイルを決める。
11, 日用品以外ものを買わない。クレジットカードの枚数を減らす。
12, たまったガラクタの処分
13, 洗濯の回数を減らす
14, 多すぎる薬を捨てる。
現在を生きる 精神科医 木村 敏 生きているということは、時間を生きるということである。私が死んでも時計は動き続けているのに、
そこで止まってしまうものがなにかある。私がそれを生きているといえるような時間である。
ビッグバンから宇宙の終わりまで続く一本の線の上を、とどまることのない時間が流れている。
その流れのなかで現在の位置を知るために、時計というものが考案された。
現在というものは、過去と未来を分ける境界点として間違いなくあるはずなのだが、不思議なことに、
それを確認することはけっしてできない。いまが現在だと見定めたとたん、
それはもう一瞬過去になってしまっている。 反対に、私が生きている時間には現在しかない。昨日のことばいま思い出している過去だし、
明日の予定はいま想像している未来である。両方とも、いま生きている現在の内容以外のなにものでもない。
気分が快調なときは、梵しかった昔のことがしきりと思い出されるし、これから先もバラ色に見えてくる。
ウツで気分がめいっていると、いやな思い出ばかりが次々に出てきて、未来も去っ暗だとしか思えない。
現在をどう生きているかで、過去と未来の生き方まで変わってしまう。
若いうちはとかく現実離れした理想を掲げて、未来の夢に生きようとする。
年をとると自分の積み重ねてきた経験を忘れることができず、なにかにつけて過去の思い出に
生きようとする。
現在にしっかり足を踏まえて生きるのは、そう簡単なことではない。
待つということ 精神科医 木村 敏 過去については思い出すということがあるし、未来については待つということが
ある。私たちはいつもなにかを待っている。
九年前まで大学病院に勤めていたときは、患者さんを長時間待たせた。
現在は民間の病院で気ままな診療をさせてもらっていて、ほとんど待たせなくてすむ。
逆にこちらが本を読みながら患者さんが来るのを待っていたりする。
次の仕事を待っているのはいいのだが、いま進行中の時間が早く終わらないかと、
待ち遠しくて退屈している気分はいやなものだ。 新幹線なんかに乗って少し長い旅行をするとき、私はかならず本を一冊、
それも気を入れて読まなくてはならないような、かなり硬質の本をもって行く。
退屈がいやだからである。ところが実際にはあまり読まないで、
窓からばんやり外を眺めていることの方が多い。退屈にならないかぎり、そうしている。
ドイツ語では退屈のことをラングヴアイレという。直訳すれば「長い時間」という意味である。
日本語の「待ち遠しい」にも、待つ時間の長さがこめられている。
人は、自分の生きている現在を受け入れたくないとき、退屈になってなにかを待つ。
ずっとそれが続くと、人生そのものが退屈になる。現在を受け入れてしまえば、
進歩もないかわり退屈もしない。
早くすんでほしいと思う時間はなかなか進まない。もっと楽しみたいと思っている時間は
あっという間に終わってしまう。時間とつきあうのはむつかしい。
サムエル.ウルマン「青春」
年を重ねただけでは人は老いない。
理想を失うときに初めて老いる。
人は希望のある限り若く、失望とともに老い朽ちる。
森の哲人
ブラジル アマゾン先住民族 アユトン.クレナック
人と出会うことは、人生でもっとも大切なことです。なぜなら、私たちはそれぞれたった一人の存在だから。音楽はいやしであり、薬です。生き物とのコミュニケイションの手段ですし、何より生きている証です。
私たちは伝統文化を受け継ぐ狩りや漁で生活しています。森や川の恵みを得るシンプルな暮らしですが、満足です。文明社会の中にどっぷり浸かっている先進国の人々は、宇宙や自然を支配したいと考えがちだ。インディオは自分たちを宇宙の中の一要素と考えている。民族の違いや文化の多様性を認めあう社会の出現を夢見ています。
不妊体験から得たもの
生殖医療の今 朝日新聞98-12-08
医学の進歩によって不妊に悩む人が救われるのであれば幸せなこと。どうしても子供に恵まれなかったら、それもまたよしと思うべきでしょう。子供を持てなかった変わりに、人の心に対して寛容になり、人間のありように対して深く考える機会を与えられたと思うこと。何よりも自分の人生を全うする努力をしなくてはならない。
ある日こんな経験をしました。「お子さんいらっしゃらないんですか」「亡くしたのよ」「-----」「あなたは」「私はできないんです」たったそれだけの会話でした。どうして亡くなったのか。なぜできないのか。そんなことはどうでも良かった。他者を包み込む温かさを持つこの人の中に、つらく悲しい出来事があったこと、それを抱えつつ前向きに生きていることを感じて、二人の心が一瞬のうちに通い合ったような気持ちになったのです。
私たちは女性である前に人間です。人間としてどう生きるかをもう一度考えてみてもいいのではないでしょうか。まわりと比較して自分の幸せを決めていては、いつまでたっても幸せになれない。子供がいるのも人生、いないのも人生、それぞれの人生の重さに変わりはありません。子供の有無を問わず、生き生きと前向きに、毅然として生きていたいものです。
不妊体験で得たもの
1.困難に対する知恵が付く。
2.少数派になることで人を思いやれるようになる。
3.本や人の話を聞いて視野が広がる。
メリハリなく日常を暮らす身体感覚を喪失した現代人
劇作家 別役 実
都会から闇がなくなった。ちょっと田舎で暮らして「夜は暗いなあ」と思ってから都会に戻ると、ヒステリックなほど明るい。
僕らの世代は闇を知っているが、都会の子供は知らない。だから、生と死のドラマに対する感受性がない。闇に対する怖れから生死のドラマが実感できる。いまのこどもは「死」を記号として知っていても体感できない。かっては人を殺すことに身体的抵抗感があり、乗り越えるのに相当な決意が必要であった。自殺も同じだ。今、子供たちの自殺を止められないのは、彼らが簡単に乗り越えるからだ。これは、明暗のメリハリがなくなったことと無関係ではない。
明暗だけでなく、あらゆる境界があいまいになった。たとえば日常と非日常。バブル期は何であったかと考えると、一つの「非日常-ハレ」だった。毎日がお祭り。どこでも遊園地といわれた。これに日本人は弱かった。
僕たち庶民は、ちょっとものが不足していて、ちょっと不幸で、でもまじめにコツコツやれば何とかなるだろう、というのが「日常-ケ」だった。つまり「三年寝太郎」型は苦手で、「二宮金次郎」型が得意。だからバブル期はどこかで不況を期待していた。日常感覚が戻れば、二宮型の自分の能力が発揮できるだろうと。ところがバブルがはじけて不況になったのに、日常感覚が戻ってこない。フワフワとして足が地についてこない。こんな不況は全く初めての体験だ。
最近、方々で「時間がたつのが早い」という声を聞く。生活者の実感だと思う。自然時間と僕たちの生活時間が一致してないからだ。これが一致していた頃には、一夜明けただけで改まった気持ちになった。今はずるずるとメリハリがなく、新しい人や事件と出会っても、改まった気がしない。体験感がない。
このようにメリハリがなくなった理由はいくつかあると思う。
一つは、情報化社会の進展。広い範囲に目配りし、知識はあるけれども、体験していない。情報は記号として脳の中にあるが、身体的な体験となっていない。
もう一つの理由は、あらゆる事がグローバルボーダレスになり重層化してきたこと。かっては「正.反,合」の弁証法でうまくいった。ところが今は、かなりローカルに偏差したところでは論理が通じても、グローバルなところでは重層化によって別の論理が入ってきて通じなくなっている。
子供たちも、そのことを感覚的には知っているんだと思う。だから、行き当たりばったりで、勘に従ってフットワークで生きた方がいい、という生活感覚を身につけている。
近代を支えていた論理、これはローカルなところでは役立つ。今でもニュートン力学は身近なところでは有効である。しかし、ニュートン力学を相対性理論でなければ説けない宇宙にまで広げようとしたところに近代のゆがみがあった。
自己理解のための9つのテーマ
能率手帳より
1.意欲 転職は自己実現のためにするものなのか、楽を求めてするものなのか。自分の働く意欲はどの程度あるのか。
2.経験 どのような職務を経験してきたのか。その経験は他の会社でも十分に活用しうるのか。
3.性格 自分の性格の長所.短所は何か。自分の欠点に対してどのような注意をしているのか。
4.個人能力 記憶力、理解力、発想力、計画立案力、実行力、時間管理、システム思考などについて具体例と共にまとめる。
5.対外能力 協調性、説得力、指導力、状況判断力、問題発見力、問題処理能力、他者理解力などについて具体例と共にまとめる。
6.資格 評価されうる資格として、どのようなものを取得しているのか。
7.価値観 何を大切にして生きていきたいのか。それはなぜか。優先順位をつけてまとめておく
8.考え方 自分にとって仕事とは、会社とは、家庭とは、安定とは、成長とは、お金とは、、生き甲斐とは、人生とはなどについて考えをまとめる。
9.夢.目標 自分の目指すものは何か。自分が理想として描いているものは何か。どのようにしてそれを達成しようとしているのか。