サードインパクト。
全ての存在が紅い海へと還り、そして永遠となる儀式。
それを経て、今や地球上には一個の微生物すら存在し得なくなったかに見えた。
だが。
「くふっ・・・くっ・・・くふふっ・・・」
ここに一人の男がいる。
紅い海の中で全てを得、そしてその力を以てこの大地に再び戻ってきた男。
「くふふふふっ・・・ふふっ・・・ふははは」
碇シンジ。その名はもはや神と同義だった。
碇シンジ その恩讐の果てに
前編
「くはははっ・・・はーっはっはっはっはっはぐぅ、がはげう゛ぉ!」
笑いすぎてむせながらも、シンジは必死で胸を張る。
「ざまあみろっ! 僕は今、神にも等しい力を手に入れた、のだー!ぐははははははっはぐっ!!!」
ついに笑いすぎて激しい腹痛を起こしてしまったようで、シンジは砂浜の上をごろごろとのたうち回った。
「・・・くっ、僕としたことが」
ようやく痛みが治まったのか、シンジはふらふらと立ち上がった。
「アスカ、アスカ!」
「ハイ、シンジサマ」
シンジが大声を上げると、虚ろな目をしたアスカがトコトコと歩いてきた。
「お茶!」
「ハイ、シンジサマ」
何故か砂浜の上に置かれたちゃぶ台の上で、アスカは丁寧に日本茶を煎れてシンジに差し出した。
「む、ごくろう・・・・・・たわけ、ぬるいわ!!」
ぽいっ
シンジは湯飲みを砂浜に放り出した。
「モウシワケアリマセン、シンジサマ」
アスカは文句も言わずにそれを片づける。
シンジはしばらくアスカの様子をじっと見ていたが、やがて魂が抜けるような、長いため息を吐きながら砂浜に寝ころんだ。それと同時にせっせとお茶を煎れ直していたアスカの動きも止まり、シンジと同じように倒れ込んでしまう。不自然に置かれたちゃぶ台の姿も消え、砂浜には横になったシンジとアスカがいるだけになった。
「はああぁぁ・・・むなしいなぁ」
シンジは疲れ切ったつぶやきを漏らした。
サードインパクトの後、紅い海から還ってきたのはシンジとアスカだけだった。しかもアスカは再び心を閉ざしてしまっており、ただ一人正気を保っていたシンジは圧倒的な孤独にさいなまれた。そしてその孤独が、シンジに『命と知恵の実を併せ持つ存在』、創造主としての力を目覚めさせたのだった。
とは言え、できたてほやほやの創造主たるシンジはろくに力も使えず、仕方なしに転がっていたアスカの体を使って腹話術まがいのことをして心を潤していたのだ。
だが、さすがに一週間も遊ぶと飽きた。
目覚めないアスカに悪戯しようとも思ったこともあったが、プラグスーツを脱がせた時点でその気が失せた。長く寝たきりの生活をしていたアスカの体は、見る影もなく痩せ衰え、とても性欲をかき立てられるようなものではなかったからだ。
シンジはいよいよやることが無くなり、時々先程のように突発的に躁状態になって暴れる他は、じっと砂浜に寝転がっていた。
「大体アスカがいけないんだ・・・前みたいに生意気なままだったら虐め甲斐があったのに・・・」
シンジは邪悪なことを呟きながら、横で寝ているアスカを眺めた。
アスカの心を取り戻すことをシンジは何度も試みたが、アスカは一度としてその瞳に理性の光を灯すことがなかった。
アスカに仕返しをしたい一心でLCLの海から戻ってきたのに、これではまったく甲斐がない。
(はぁ・・・もう一度やり直せたら・・・初めてアスカと会った、あの船の上に帰れたらなぁ・・・まてよ?)
シンジは天啓を受けた。ような気がした。
「まてよ・・・今の僕なら過去に戻るくらい簡単に出来そうじゃないか!そうだよ!」
シンジは嬉々として立ち上がった。
「よぉし、そうと決まれば、すぐにでも戻るぞ!」
大げさに腕を振り上げてシンジは叫ぶ。と、その視界の端に、ぽつんと転がっているアスカの姿が映った。シンジは少し悲しげな顔になり、アスカのそばに座り込む。
「アスカ・・・もう二度と君にこんな想いはさせないよ・・・」
小さな声でそう呟き、そして唇が触れるだけのキスをした。
「今度会ったら・・・くっくっくっ、すぐに幸せな肉奴隷にしてあげるからね」
シンジはとびきり邪悪な表情でニヤリと笑った。
「いざ!僕とアスカが初めて出会ったあの時点へ!!」
声と共にシンジの視界がぐにゃりと歪み、そして全てがホワイトアウトした。
(・・・・・・ん)
シンジはもぞりと身じろぎした。
(・・・成功・・・したのかな?)
次第にぼやけていた視界がはっきりとしだした。そして目の前にいた人は。
「あら、シンジが目を覚ましたわよ」
「む、そうか」
ニコニコと笑う、見知らぬ女性。
(いや・・・違う、僕はこの人を知っている・・・そうだ、この人は!)
「ちゃ、ちゃーちゃん」
シンジは自分の口から出た声に驚愕した。これではまるで、まるで・・・
「あなた!いま、今シンジが『母さん』って言ったわ!」
「う、うむ!」
(な、なんで!?)
シンジは自分の体をまじまじと見つめた。紛れもない、赤ん坊の体だった。
(なんでこうなるんだよおおおおおおおおおおう!!!)
「ふぎゃああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
「ああシンジ、泣かないで、泣かないで、ね・・・よしよし」
今更解説するまでもないが、いまシンジを抱き上げたのが碇ユイ、シンジの母親であり、その隣で心配そうにシンジの顔を覗き込んでいるのが碇ゲンドウ、シンジの父親である。
「ばぶぅぅうううううっ!」
(なんてこった・・・なんて・・・僕はアスカを愛の肉奴隷にするために還ってきたのに・・・これじゃ、へそまで反り返った僕の自慢の○○○が・・・)
身悶えして悔しがるシンジ。
「あらあら、どうしたのかしら」
「むぅ、オムツを換えて欲しいのではないか?」
ゲンドウがシンジに顔を近づけた。
(ヤヤッ!)
その瞬間、シンジの中で何かが弾けた。
(このオヤジは・・・ゲンドウ、碇ゲンドウ!?)
髭が生えていなかったが間違いない。この男こそ自分の最大の仇敵、碇ゲンドウであることをシンジは確信した。
(積年の恨み、晴らさでおくべきか!・・・で、でも)
シンジは沸々とたぎる怨念を必死に食い止めた。いまの状態では体格的に不利すぎる。
しかし馬鹿親父が自分のオムツを取り替えようとしたその瞬間にこそ僅かな勝機が在ることを、シンジの神としての本能が告げていた。
(まだだ・・・まだだよ)
ゲンドウがシンジのオムツに手を掛ける。
(もう少し・・・もう少しだ!)
そしてついに、ゲンドウはシンジのオムツを開き終えた。だがそこには、大きい方も小さい方も存在してはいなかった。
「む・・・なんだ、オムツではなかったのか」
今こそ千載一遇のチャンス!シンジは必殺技を使おうとしたが、そこで致命的な誤算に気がついた。
(ま、まずい、このままでは僕の顔にかかって・・・自爆してしまう!!!)
そう、シンジの○○○は現在、シンジの顔面に照準を定めた状態にあったのだ。シンジの手が届かない以上、仰角の変更は不可能。シンジの希望は脆くも潰え去ろうとしていた。
(ち、畜生・・・この僕を、神にも等しい力を手に入れた僕を、なめるなぁあああっ!)
シンジはその神としての力を、全て一点に注ぎ込んだ。その結果。
「ぬおっ・・・た、勃った」
「・・・まぁ(ぽっ)」
ゲンドウは驚愕し、ユイは頬を赤らめる。そしてシンジは必勝の気合いと共に己の全てを解き放った。
(喰らえ!これが僕のポジトロンライフルだぁああっ!!!)
じょーー・・・
「ぬ、ぬおっ!シンジ貴様!!」
(そしてっ!これが僕のっ!N2爆弾だぁぁああっ!!!)
シンジが決死の想いで放ったそれは、絶叫をあげるゲンドウの口に突入し・・・そして炸裂した。
「か・・・か・・・がかっ・・・」
ばたっ
「き、きゃああああっ!あなたっ!しっかりしてっ!」
余りのことに失神したゲンドウを、慌ててユイが介抱する。
一方、床の上で○○○を放り出したまま転がっているシンジは、あまりの幸せ、快感に涙さえ浮かべていた。
(還ってきて良かった・・・本当に良かった・・・・・・)
ゲンドウがショックのあまり昏倒し、精神病院に担ぎ込まれてからしばらく経って、ユイが家に帰ってきた。
「はぁ・・・とんでもない事になってしまったわね・・・シンジ、お願いだから、母さんにはあんな事しないでね?」
「だぁだぁ(うん、わかった)」
「・・・なんて言っても無駄よねぇ、まだ言葉も通じないんだし」
ユイはげんなりした様子でため息を吐く。
「だうぅ(ごめんよ母さん)」
シンジは何とかしてユイに謝意を伝えようとしたが、手をぶんぶん回すことしかできないのでは伝わりようもなかった。
「今度はどうしたのかしら?・・・あら、もうこんな時間だわ。ミルクが欲しかったのね」
「だぁうぅ(そう言えばおなか空いたな・・・)」
ユイはブラウスのボタンとブラをはずして胸を露出させ、シンジを抱きかかえるようにした。
「ほらシンジ、いいわよ」
「だ・・・あぅ(い、いいわよって、まさか・・・そうなの?)」
シンジは顔を紅潮させながらユイの胸と顔を交互に見つめた。ほとんど面識のない母親、しかも二十四才の美女なのだから、いきなり胸を見せられた反応としては当然だろう。
シンジが何時までももじもじしているので、ユイは怪訝そうに首を傾げた。
「おかしいわね、いつもならすぐに吸い始めるのに・・・」
ユイのつぶやきを聞いて、シンジははっとなった。
(そ、そうだ、僕は赤ちゃんなんだから、それらしく行動しなくちゃ・・・逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ!)
かぷ
シンジは勢いよくユイの胸に吸い付いた。
「よしよし・・・」
ユイは安心してシンジを抱き直した。
しかし何をトチ狂ったのか、シンジはそのままぺちゃぺちゃとユイの乳首を舐め回し始めた。
「あっ・・・ちょ、ちょっとシンジったら」
さらに次第に硬度を増してきたユイの乳首を生えたての乳歯で甘噛みし、そのうえ空いた左手で反対の乳房をふにゅふにゅと撫で回してさえいた。
(そうか、そういうことだったのかっ!これが『母の愛』だったんだね、母さん!!!)
なにやら錯乱しているシンジは、調子に乗って更にむしゃぶりつくような口撃を加えていった。
「そ、そんな・・・あの人より巧いなんて・・・っ」
もはやユイは茫然自失となって近くにあったソファに座り込み、じっとシンジの愛撫に身を任せることしかできなかった。
「も・・・もう・・・くっ、駄目・・・む、胸だけで、いっちゃ・・・あっ」
ユイがついに高みに押し上げられようとしたとき、思いもかけない闖入者が現れた。
「ユイー?さっきから変な声をあげて、どうした・・・の・・・」
がさがさっと、その女性が持ってきたビニールの買い物袋が床に落ちた。背中に背負われていた赤ん坊が、母の驚きを敏感に察知したのか、けたたましい泣き声をあげ始める。
「・・・え・・・あっ!キ、キョウコ!こ、これは違うのよ!!違うんだったら!!!」
「な、何が違うの?」
「だ、だから、私はただ、シンジにおっぱいをあげていただけで・・・」
ユイがしどろもどろになりながらも懸命に弁解をする。だが、シンジの耳にはまったく届いていなかった。シンジは目の前に立ちつくしている、紅い髪と青い瞳を持った女性と、その背中に背負われた赤ん坊を凝視していたのだ。
そして、その赤ん坊が自分の方をじっと見たとき、シンジはついに確信した。あれは、あの子は、
(アスカだ!)
後編に続け
・・・・・・電波だなァ(爆)
今晩は、八代という者です。
今回はダーク、痛モノ、電波をコンセプトに書いてみたのですが・・・
ただの電波ですね、これ(笑)
しかし、次回は(もし続くとしたら)アスカが出てきますから、そうすればもっと鬼畜で痛いモノになるでしょう。
・・・某法案に引っかからないかな(汗)
それでは
神の力を持つ赤子‥‥<こう書くとまともそう
もとはイカスミの部屋への投稿作品を目指して書かれたとか‥でも。
‥‥‥ククク!、シンジ戻り過ぎ!
へっぽこな神様もいたものですね〜。
必殺技が『オシッコヒッカケ』‥‥こんなシンジにいったいどんな痛イ行為を働くことができるというのでしょう(笑)
後編もおそらく、ふつうの部屋行き確定ですかな(笑)