敵は宇宙にあり!!



最終回 チルドレン最後の戦い!!死闘エヴァ・ウルトラ戦士VSバルタン星人

筆者:YRRさん

 ネルフでは、チルドレン達がエヴァ搭乗訓練の最終段階に入ってい た。
「まぁ、前と違うのは、ケーブルの損傷を気にしなくて良いって事だけね・・・」
アスカがふと漏らす。前にも触れたが、ネルフではゼーレの負の遺産、エヴァ量産型シリーズの解体作業を請け負っており、そこから発生したN2機関や高性能 部品を流用し、零号機、初号機、弐号機に組み込み、エヴァ改良型と名前を変えていた。
「何か、昔の電車を高性能化して、新式の車両に連結させているみたいね」
レイが意味深な発言をする。
「セカンドインパクトの時、大量に出た山手線の車両を、箱根の気候に合わせたり新しい技術を流用した改造車と一緒にされてもね・・・」
ミサトは苦笑する。第七環状線の車両は、山手線、横浜線、京浜東北線、総武線各駅停車、中央線、東急全線、小田急全線から、セカンドインパクト後に旧都心 から運ばれてきた車両ばかり。塗装もそのままで、下手をすると「動く電車博物館」とケンスケに言われるほど、いっぱいいっぱいで運行している。サードイン パクト後は、それまでレールの幅の違いからほったらからしにされていた、京急、京成、京王、北総、新京成の車両の台車を改造して、塗装はそのままで第七環 状線を走っている。これも、実はネルフの仕事で、ネルフの倉庫には、営団地下鉄の車両と都営地下鉄の車両が、第七環状線用に改造されて、出場を待っている 状態。今度は、旧都心から東武、西武、相鉄の車両がネルフに搬入されることになっている。
「これが、僕たちの最後の任務ですね」
シンジがそう話した。リツコ曰く「あと、数ヶ月でダミープラグ完成型ができるから」と言っている。チルドレン達最後の任務が、バルタン星人との戦いとい う、本来の使い方とはかけ離れたことになってしまったが・・・。
「バルタン星人か・・・。一体どんなやつかしら・・・」
ミサトは不安を感じていた。

 マナはキョウコの頼みでマヤの警備についていた。と言っても、制服の下に、38口径のピストルを持っているだけの軽装備であるが。
「ごめんね、マナちゃん。忙しいのに・・・」
本来はエヴァを出させないために、マヤが元気なことはネルフの関係者には伏せられていたが、今度はバルタン星人がマヤを狙ってくることを恐れて、マヤの死 亡情報をネルフに流して、バルタンの目からマヤを遠ざけるためにしている。マヤにとっては全てが終わってからのことが怖いと内心思っているが・・・。
「いいんですよ!!でも、まだ怪我が完治していないんでしょ??早く治しちゃって下さい」
マナはマヤにそう言った。
「確かに、この独房のような生活からは逃れたいわね・・・」
マヤのいる日赤医療センターの隔離病棟内にある、要人特別室。ここは元々、政治家や世の中に影響のある人が入院する際にも使われるが、この病院にはネルフ の付属病院であれば絶対に入れない、元ゼーレの関係者や、死刑囚や重大犯罪を犯した服役囚などが、日本政府の要請に基づき、別名独房病室とよばれる、個室 に入院させられる。マヤの部屋は、死刑囚や犯罪人の使う部屋ではないが、それでもトイレや浴室が個室内に設置されており、窓は強化ガラスを採用、鉄格子ま である始末である。犯罪人との違いは、トイレがちゃんとに囲まれていて、浴室も病院職員が清掃してくれる。犯罪人の部屋はもっと汚く、自分で掃除等をしな ければならない。いわば、マヤの病室はVIP用の部屋なのである。
「だけど、夜中は鍵を外から掛けられるし、刑務官や警官がうろついているし・・・。変な気分よ・・・」
「我慢我慢、マヤさん」
マナはマヤをなだめた。
「にしても、ネルフに戻らなくて良いの??こんな緊急事態に・・・」
「いいんですよ。しばらく休ませて下さいと言ってあるんで・・・」
マヤの質問にマナが素っ気なく答えた。
「ウルトラマンか・・・」
「はい??」
マヤがふとウルトラマンという言葉を発し、マナは思わず聞き返す。
「バルタン星人を倒すのに、ウルトラ戦士は必要なのよ。エヴァじゃもたないわ」
「そうですね・・・」
エヴァじゃもたない・・・。ウルトラマンと同化してバルタン星人の事を聞いていたマナは、マヤと同意見であった。ATフィールドは打ち抜かれ、初号機は暴 走することなく破壊されると考えていたからだ。
「みんなは大丈夫かな・・・」
マナは涙を流した。マヤはそんなマナをしばらく慰めていた。

「で、その星涼子さんていう、教育実習の大学生を調べて欲しいって??」
加持はミサトの話しを司令室で聞いていた。
「そうなのよ。この星さんという女子大生、関係者がみんな死亡あるいは連絡不能となっているの」
「でも、何でその子を調べようと??」
「戸籍が曖昧すぎるし、教育実習だって、一週間前にいきなり飛び込みで第一高校に飛び込んだのよ。それは、学校だって変に思うし、私たちだって別に疑って かかってはないけど、職業柄どうも引っ掛かるのよ・・・」
「なるほど・・・。確か消防士は、ニューヨークだったな??CIAに友人がいる。FBIやニューヨーク市警にも顔が通じる人間だから、すぐに居場所を突き 止めて、話しを聞けると思うよ」
加持は自信たっぷりにミサトに言った。
「恩に着るわ」

 第三新東京市立第一高校職員室。星涼子は、授業の組立を考えていた。ノートには、社会科、特に日本史の事柄がびっしり。これをいかにして、わかりやすく 生徒に伝えることが出来るか、それが教育実習というものである。
「ええと、徳川家康は新田家から系譜を買って・・・」
などと、独り言を言う。そこへ、教頭が歩み寄った。
「星君、頑張るのはいいが、無理をくれぐれもな・・・」
「はい、ありがとうございます」
教頭はそのまま去っていった。
「う〜ん!!少し休むか・・・」
涼子は校舎の屋上に出た。パンをかじりながら、しばしボーっとする。
「星先生!!」
「あぁ、碇君か・・・」
シンジが弁当をひっさげて、屋上に上がってきた。
「今日、惣流さんは??」
「ちょっと、体調が悪いそうでして・・・。ほら、女の子特有の・・・」
「ああ、それは休んだ方がいいわね・・・」
思春期の女の子にありがちな話しね、と思いながら涼子はシンジの話しを聞いていた。
「何か、惣流さんひどく疲れていたのを覚えているけど、何かあったの??」
「い、いいえ・・・。特にはないのですが・・・」
シンジは言葉を濁した。正教員ならともかく、教育実習生には、ネルフの存在すら伝えてはいけないので、こう答えざるを得なかったのだ。
「そう・・・。シンジ君もくれぐれも体に気を付けて・・・」
涼子はそう言って、屋上から離れた。
「星先生も疲れてるな・・・」
シンジは自作の弁当を食べながらふとそう思った。

 それから三日後・・・。ついにその時が訪れた。
「報告!!箱根湯本付近にバルタン星人出現!!無差別攻撃を仕掛けています!!!」
「市内に第一次緊急退避命令を!!すぐに待機しているチルドレン達を、エヴァに搭乗させて!!」
「了解!!」
ミサトは青葉の報告により、市内全住民に避難命令を出した。同時に、チルドレン達最後の戦いが始まったことになる。
「シンジ君、大丈夫??」
ミサトが初号機内にいるシンジに声をかけた。
「僕は平気ですけど、アスカが・・・」
「ミサト、ちょっとまだ痛いのよね・・・」
「無理はしないでよ・・・」
「了解・・・」
アスカはまだ、生理痛が抜けきっていないようであった。
「大丈夫よ碇君。アスカは殺しても死なないから」
「な んですって〜〜〜!!!!」
アスカが怒り狂う。
「それだけ元気なら大丈夫よ」
どうやら、レイの作戦勝ちである。
「全く、では、バルタン星人駆逐のため、エヴァンゲリオン改良シリーズ全機発進!!」
「「「了解!!」」」
三体のエヴァは、ジオフロントを離れ、一路湯本へ向かった。

 箱根湯本駅周辺ではまさに、修羅場と化していた。人々は逃げまどい、辺り一面に建物のがれきが散乱している。
「フォ フォフォフォフォフォフォ〜〜〜〜」
バルタン星人は不気味な声をあげながら街を破壊していく。
「バルタン、そこまでだ!!」
初号機が一番手で到着した。続いて弐号機、零号機も続いた。
「食らえ!!ポジトロンライフル!!」
弐号機がライフルを発射する。しかし、バルタンは全然効いていないようだ。
(ビ〜〜〜〜〜〜)
バルタン星人が、手から光線を発射!!初号機のATフィールドを簡単に貫通してしまった。
「きゃ〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「綾波!!」
「レイ!!」
初号機はレイの悲鳴と共に、大地にばったりと倒れ込んだ。
「碇君、操縦不能!!操縦不能!!」
「アスカ!!綾波の救出を!!」
「了解!!」
弐号機はレイの救出に向かう。
「このっこのっ!!」
初号機はプログレッシブナイフでバルタンを攻撃を仕掛ける。しかし・・・
「さ、 避けられた・・・!!」
バルタン星人は、軽々と初号機の攻撃をかわす。そして、再び光線を放ち、初号機に直撃する!!
「う わ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
「シンジ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「碇君〜〜〜〜〜〜〜!!!」
初号機は暴走することもなく、完全に沈黙・・・。
「初号機シンクロ率、10%」
ネルフの本部では、まるでお通夜のような状況となった・・・・。
「完敗ね・・・」
開発責任者のリツコは、悔しさのあまり机を叩いた。
「アスカ!!すぐに脱出しなさい!!我々は負けたのよ!!」
「でも、シンジが!!」
「大丈夫。大丈夫だから、早くその場を離れて!!」
ミサトはアスカに、ありったけの声を張り上げて、その場から退避するよう促した。
「了解・・・」
アスカは命令に従わざるを得なかった。ミサトは、プライベートではともかく、今は自分の上司だ。命令に従わざるを得ない立場だ。
「このままじゃ・・・・」
アスカは弐号機から脱出後、すぐにレイを助け出し、シンジの乗る初号機へと走っていった。

「星先生!!」
湯本にある、教育実習生用の寮にマナが飛び込んでいった。
「マナちゃん!!行くわよ!!」
「了解!!!」
涼子とマナは、エヴァが倒れた方向へと向かった。

「アスカ!!」
マナは初号機のそばで、必死にシンジに人工呼吸をしている、アスカを見つけた。
「マナ、シンジが、シンジが〜〜〜!!!」
アスカは泣きじゃくる。
「外傷は特になさそうだし、大丈夫だと思う」
レイは冷静にそう答えた。
「レイ、この場をお願い!!」
マナはレイにそういうと、ベータカプセルを取り出した。

ピ カッ!!!!

マナは、ベータカプセルのスイッチを押すと、光に包まれた。

ユ リア〜〜〜〜〜〜ン!!!

涼子もまた、光に包まれた・・・。

 バルタン星人は、突然目の前に現れた、二人のウルトラ戦士の前で凍り付いた。まさか、地球にウルトラ戦士が潜入していたことに最後まで気づかなかったか らである。
「あっ、ウルトラマンとユリアン!!」
リツコが叫んだ。
「あれが、ウルトラマン・・・」
ミサトも思わず声をあげた。エヴァよりもはるかに、ヒーローという感じであったからだ。
「おおおお!!!これは、写真の撮るかいが・・・」
ケンスケがカメラのシャッターを押し続けた。

「ユリアン、一気に片を付けるぞ」
「了解!!」
二人はバルタンに立ち向かう。バルタンはすでに防戦一方。
「スペシウム光線!!」
「サクシウム光線!!」
バルタン星人は、ウルトラダブル光線の前に、呆気なく散った・・・。

「・・・んちゃん、シンちゃん!?」
「シンジ!!」
「碇君!!」
シンジは複数の声にふと目を開けた。そこには、ミサトとアスカとレイがシンジの顔をのぞき込んでいた。
「ここは・・・?」
シンジがミサトに聞いた。
「病院よ・・・。ネルフの付属病院」
「助かったんだ、僕・・・」
「もう、馬鹿シンジ!!!」
「心配して、損したわ・・・」
アスカもレイも強がっていたが、目からは涙が溢れていた。
「あっ、シンジ君お目覚め??」
マナが明るい声で病室に入ってくる。半ば監禁されていたマヤも一緒だ。
「いや〜、お早いお目覚めで・・・」
「ははははは・・・」
マヤのジョークにシンジは笑うしかなかった。

 バルタン星人の襲撃から10日後、シンジは無事に退院し、学業に復帰した。
「あぁ、星先生僕が入院してる間に、実習期間が終わっちゃったんだ・・・」
シンジが残念そうに言った。
「あれ、星先生に何か、言いたかったの??」
マナはシンジに聞いた。
「いや、お別れの挨拶くらいしないと・・・」
「相変わらず、感が鈍いというか・・・」
「マナ?今なんか・・・?」
「別に」
マナは笑いながら、シンジの鈍感ぶりを心の中で嘆いていた。

「で、星先生はどうするんですか??」
マナは涼子に言った。
「実習期間が終わったら、ウルトラの星へ帰るはずだったんだけど、しばらく地球に残れってさ・・・」
涼子はマナにそう言った。
「でも、高校にはいれませんよ??」
「何のための教育実習だと思ってるのよ。教員免許と公務員試験が通ったら、真っ先に第一高校に戻るわよ」
涼子はさらりと言った。
「私の中にいた、ウルトラマンは帰っちゃったけど、星先生と勉強できるなんて幸せ!!」マナは心底そう思った。

「だってさ、アスカ、レイ」
マナは二人に事の顛末を話した。
「来年は、というより今年の秋頃には来そうね・・・」
レイはやはり勘が鋭い。
「まあ、星先生がユリアンだって事は、私たちだけの秘密ね・・・」
「全く・・・」
三人は笑いながら、帰宅の途についた。
 その年の秋、涼子は臨時教員として第一高校に赴任したという。その後の話しは、また別の話・・・。(完)

補足説明
営団地下鉄 正式名称・特殊法人帝都高速度交通営団。2004年4月、民営化されて、東京地下鉄株式会社・愛称東京メトロとして、生まれ変わった。

線路の幅の違い JRや多くの私鉄は英国植民地軌間とされた、1068ミリゲージを採用している。京王帝都電鉄と都営新宿線は1367ミリゲージ(通称馬 車鉄軌間)、京浜急行、京成、都営浅草線、阪神、阪急、南海、山陽、神戸高速、京阪などは1435ミリゲージという国際標準軌間である。この場合、台車を 履き替えるか改造しなければ、1068ミリゲージの軌間では、これより広い軌間を走る鉄道は走れない。

あとがき
どうも〜YRRです。やっと、終わりました・・・。あと、カヲルファンの皆さん、ごめんなさい!!出す場面を作れませんでした・・・。というわけで、次回 は是非出したいと思います。では、またお会いしましょう!!


YRRさんから連載最終回をいただきました!

見事に完結してくれましたね。あとがきによるとYRRさんはまだまだ執筆される予定のようなので、次回作にも期待したいところです。

YRRさんはメールアドレスを公開していません。感想は掲示版までお 願いします〜。

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