敵は宇宙にあり!!



第三回 チルドレン達の決断・・・

筆者:YRRさん

 学校の帰り道、教育実習生として第三新東京市に潜り込んだ星涼子=ユリアンのことで持ちきりとなっていた。
「でも、本当にあの教育実習の先生は美人ね!!嫉妬しちゃうわ!!!」
「自分で、嫉妬してるって言うかな・・・」
アスカの怒りの声にシンジは突っ込む。
「だからってアスカ、星先生を痛めつけたりしないように!!」
ヒカリがアスカに釘を刺す。
「シンジを寝取ったら殺すけどね!!」
「穏やかじゃない会話ね・・・」
レイがアスカの物騒な話しにため息をつく。ふと、マナの様子がおかしいことにトウジが気づく。
「マナ、どうしたんや??風邪でもひいたんちゃうか??」
「ちょっと疲れがね・・・」
マナは元気なさそうに歩いていた。原因はさっきのアスカの発言であるが・・・。
「無理は良くないわよ??少し、ネルフに休暇をもらったら??」
アスカが人が変わったように優しい口調でマナにそう話す。
「アスカって、ホント人が変わるわよね・・・」
マナがため息をつく。周りもマナの意見に心の中で賛同していた。
「触らぬ神に祟りなし・・・」
ケンスケがぼそっとそんなことを言った。それが運の尽きだった・・・。アスカの中で何かが切れた・・・。
「なんですって〜〜〜〜〜!!!!!」
その後、通りがかりの警備員がこう証言した。
「K−1の選手が暴れていると思いました」

 第一高校から、「教育実習生、星涼子に関し、経歴に疑いがあり。至急調査願いたい」との一方がネルフに入ったのは、ちょうどアスカが暴れていた時刻だっ た。
「星涼子。本籍地・東京都あきる野市五日市本町5−6−9、現住所・神奈川県第三新東京市箱根湯本2−3−6。在籍大学、新横浜にある、横浜市立大学教育 学部。これの、どこが不審なのかしら??」
リツコは、住民基本台帳ネットワークの専用回線にコンピューターを接続し、涼子の経歴を調べていた。
「どう思う、ミサト??」
「本籍地が、セカンドインパクト以前の住所をそのまま使ってる人は、いまでも多数いるし、実際、湯本の教育実習生用の借家に住んでいるし、特に不審な点は ないんじゃない??」
ミサトがそう答えた。
「大学の在籍名簿にもあったし、あきる野の方は市役所に問い合わせたら、確かに本籍地名簿の中にあるって言うし、ただ、本籍地は今は空き地になっているく らいかな・・・」
リツコも首を傾げる。
「ちょっと待って!!両親の欄が空欄になってるわ!!」
ミサトが経歴のところを指さした。
「変ね。どこかに預けられてたのかしら??」
リツコはさらに調べ始める。
「あきる野の土地は、以前は孤児院が建っていたところね。ただ、セカンドインパクトの時、職員が全員亡くなって、資料もその時に紛失したことになってる わ・・・」
「その孤児院の土地の名義人は誰なの??」
「今も昔もあきる野市の公有地ね・・・。再び孤児院を建てようとしたけど、サードインパクトの影響で、5年後に事業延期になったと、市議会の議事録にある わ」
リツコは、自慢の頭脳を駆使して、そこまで調べた。
「厚生労働省と文部科学省に何か、資料は残ってないかしら??」
「だめね。一々、全国各地の孤児院や自立支援施設や保護院の資料をとりよせている訳じゃないし、さっきも言ったけど、セカンドインパクトの混乱で、資料が 紛失したからね・・・。あの二つにあるのは、少なくとも、1995年くらい以前の資料が残っていれば、幸いね・・・」
リツコはお手上げのポーズを取った。
「葛城司令、問い合わせの人物の件で、消防庁と警視庁の方に資料が残ってました」
資料を持ってきたのは青葉だった。
「何々、1999年11月、あきる野市五日市の五日市消防署の玄関に、2歳くらいの女の子が泣きながら座り込んでいるのを、消防隊が発見し、すぐに救急車 であきる野市民病院に搬送、女の子のポケットの中から、生年月日と名前と血液型だけが書かれた、メモが見つかり、あきる野署で捜査をしたが、セカンドイン パクトが発生し捜査は不能となり、現在に至る。彼女はセカンドインパクトのあと、その孤児院でただ一人生き残り、五日市消防署でしばらく過ごしたあと、北 海道旭川市の孤児院で育ち、一浪後横浜市大に入学したと隊員が聞いた」
「なんか、波瀾万丈の人生ね、この子」
ミサトの全文朗読にリツコは驚いた。
「旭川の孤児院には確認した??」
ミサトは青葉に聞いた。
「いえ、昨年閉鎖されています。何でも、この孤児院はご夫婦でやっていたそうですが、このご夫婦は旭川で観測史上二番目の寒さに襲われた際、お二人とも凍 死なさったそうです・・・」
「は?凍死??」
ミサトは不思議な気持ちになった。
「どうやら、あまりの寒さにエアコンの室外機が故障して、部屋の中まで冷気が入り込んで、近所の人が異変に気づいたときには遅かったそうです」
青葉は冷静にそう答えた。
「当日の気温は??」
リツコが質問する。
「ご夫婦は朝、布団に入ったまま亡くなっていたそうですから、当日の最低気温は、−23.5℃だそうです」
「ということは、就寝中にエアコンが故障して、そのまま凍え死んでしまったのか・・・」
ミサトはため息をついた。
「あきる野と違って、ちゃんとに名簿は残ってましたが、星涼子さんと同時期に入所していた子供は、一人しかおらず、おまけにこの子供は、やはりもうこの世 にいません」
「は〜あ??この子は疫病神??」
「いえ、この子は先天性肝機能障害で、臓器の移植を待っていたようですが、残念ながらドナーが現れず、一昨年敗血症で亡くなっています」
「手掛かりは、消防庁と警察の資料だけか・・・。消防隊員には??」
「すでに、退官してニューヨークで余生を過ごしているようですが、残念ながら連絡がつきません」
「は〜あ・・・」
「いやね、なんか・・・」
リツコは首を振る・・・。
「加持に調べてもらうしかないわね・・・・」
ミサトも加持に頼むほかなかった・・・。

 シンジの家にシンジ、アスカ、レイが集まり、即席の会議を開いていた。
「また、エヴァに乗らない・・・?」
レイが重い口を開いた。
「そうね、宇宙人・特にバルタン星人が現れたら、大変だものね・・・」
アスカも同調した。
「地球は地球人の手で守る・・・。これが本来あるべき姿だもんね!!」
シンジも賛同する。
「行きましょう!!ネルフに!!!」
アスカが雄叫びをあげた。

「エヴァに乗りたいですって??」
リツコの部屋に、チルドレンのメンバーが集結していた。
「ええ、もしバルタン星人が出たら、いま地球で対抗できる力はエヴァだけですから」
シンジがリツコにそう言った。
「だけど、キョウコさんやユイさんがなんて言うか・・・」
リツコは不安そうに言った。
「最後よ、リツコ」
アスカはふとそんなことを言った。
「えぇ、エヴァ改良シリーズ最初で最後の出動にしましょう、赤木博士」
レイもアスカの言葉が分かったようにそう言った。
「そうね・・・。じゃあ、ブランクを埋めるためにシミュレーションをやりましょ」

<b>「ちょっとどういうこと??みんながエヴァにまた乗るなんて聞いてないわよ!!」</b>
ミサトがリツコに食ってかかる。
「止めたわよ、もちろん。キョウコさんやユイさんのこともあるし・・・。だけども、三人とも、これが最後の任務だと思って、自ら志願したんだもの・・・」
リツコがそう言った。
「だけど・・・・」
「しょうがないわよ、もし異星人がこの地球をボコボコに破壊してしまったら??そうしたら、フォースインパクトどころか、地球は消滅するわ」
「・・・」
リツコの言葉にミサトは黙り込む。
「こんな事なら、もうちょっと早く、ダミープラグを完全に完成させて、三人が二度と乗れないようにしておくべきだった・・・。後の祭りだけど・・・」
リツコは悔しさを滲ませていた。

 ネルフのエヴァシミュレーションに、使徒ではなく怪獣や宇宙人のデータをプログラムし、シンジ達は次々と怪獣やら宇宙人やらを倒していった。ゼットン、 エレキング、ヒッポリト星人、巨大ヤプール・・・、歴代のウルトラ怪獣をやっつけていく。
「しかし、これだけ怪獣をうようよ出てくると、体力持たないわよ・・・」
アスカがぼやく。
「敵はバルタン星人のみ。こんなに出てこないわ」
レイがそう言った。
「次はその、バルタン星人だよ」
シンジが二人にそう言った。
「わ、わ、わ!!!分身した!!!」
シンジがいきなりバルタンが分身したため、どうすればいいか分からなくなる。
「こうすればいいのよ!」
アスカがバルタン達に向かって、ソニックグレイブを振り回し、本物にヒットさせる。
<font size=5 color=red>「きゃ〜〜〜〜!!」</font>
レイが悲鳴を上げた。バルタンが放った光線が、零号機に直撃、ATフィールドを貫通し、零号機は動けなくなる。
「この〜っ!!!!」
アスカがプログレッシブナイフでトドメを刺す。バルタンは爆発した。
「綾波、大丈夫??」
「大丈夫、ちょっと油断しただけ」
レイはシンジの問いかけに笑顔で答えた。

「お疲れ、3人とも」
「母さんにキョウコおばさん!」
シンジがびっくりした。
「ごめんなさい!!もう二度とエヴァに乗らないって約束したのに・・・」
「いいのよ、最初で最後のエヴァ改良型の出陣ね・・・」
キョウコはアスカにそんなことを言った。
「反省点は、いかにバルタンの光線を受けないかね・・・」
「そうね、みんなで研究しましょう」
レイは、リツコにそんなことを言って、医務室に向かった。

 マナは三人がエヴァに再び乗ることを聞いて、ネルフに駆け込んだ。
「ウルトラマン、あれがエヴァよ」
三体のエヴァの前でマナはウルトラマンと心の中で話しかけた。
「これにお友達達は乗っていたのか・・・」
ウルトラマンは驚きながらマナに聞いた。
「えぇ、三人ともこれで悲劇を味わったのよ・・・」
「逆に、バルタンが三人の訓練が終わる前に、出現してくれればいいのだが・・・」
「そう願いたいわ」
マナは、三人が乗らないように済むことを祈った。

「ネルフが、私の経歴を調べだしたか・・・」
涼子は唇を噛んだ。もし、自分の正体が知られてしまっては、バルタン星人に勘づかれる可能性がある。
「もうちょっと、戸籍をいじっておけば良かったわ・・・」
高校の職員室でそうつぶやいていた。
「どうすればいいのかしら・・・」
「ユリアン!!」
心の中でウルトラマンが涼子に話しかけてきた。
「ウルトラマン、私はどうすれば・・・」
「大丈夫、ネルフはあんまり深くは掘り下げられないだろう。関係者はみんな、連絡がつかない」
「それはそうだけど・・・」
「気にするなって・・・」
ウルトラマンは涼子の過剰なまでの心配を気にしていた。





“時は満ちたか・・・・、さあ、地球人達よ、恐怖におののくがいい!!”

次回予告 ついにバルタン星人が動き出す!!エヴァ改良シリーズが出動するが、本物のバルタン相手に苦戦する。絶体絶命のチルドレン達!!そして、ついに 光に包まれた二人の戦士が現れる!次回、感動のクライマックス!!

補足説明
ゼットン ウルトラマンが唯一負けた怪獣。相手の攻撃を倍にして返す。ウルトラマンはスペシウム光線を放つが、逆に返されカラータイマーを破壊され、敗れ た。しかし、ウルトラマンが倒せなかった怪獣を、地球人が作った、小型爆弾で倒されるとは皮肉です。

エレキング ウルトラセブンにて登場。手から出る放電光線は一級品!!感電したら、人は丸焦げである。セブンにエメリウム光線で触覚を破壊され、アイス ラッガーで首をはねられて爆発して、死亡した。その後、ウルトラマンタロウで改造エレキングとして登場、月の光をエネルギー源として暴れ回ったが、タロウ にストリウム光線で呆気なく倒された。

ヒッポリト星人 ウルトラマンエースにて登場した。ウルトラマン、セブン、新マン、ゾフィー、エースを銅像に変えてしまった。その後、ウルトラの父が登場 し、エースを助けて、エースに倒された。

巨大ヤプール 同じくエースで登場。人間に取って代わって支配しようとした地底人、ヤプール人が合体して巨大化した、いわば寄せ集め。タロウにも改造され て登場したが、ヤプール人そのものが、一体何がしたかったのか、分からなかった。

どうも〜YRRです。物語はいよいよクライマックス。果たして、エヴァはバルタンに通用するのか!!乞うご期待です!!


YRRさんから連載三回目をいただきました。

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