美○○戦士葛城ムーンVS美少女戦士セーラームーン

Act.2 葛城チームの危機!!セーラーチーム、ミサトの秘密に迫る
筆者:YRRさん
 ここは、東京J医大付属病院。ミサト達葛城チームは、救急車でここに搬送された。東京都は、有栖川宮記念公園付近に避難勧告を出し、周辺に自衛隊を災害 救援という形で出動させた。
「気道確保!!熱傷レベル2!!輸液と輸血を急いで!!」
亜美の母親が看護師に叫ぶ。亜美の母親はJ医大付属病院の外科部長。処置室で5人の治療をてきぱきとやっていた。
「第一手術室と第二手術室を開けて!!緊急オペよ!!」
ミサト、アスカ、レイ、ヒカリは熱傷がひどく、すぐに緊急手術となった。
「ママ、4人が助かる可能性は??」
亜美が母親に聞いた。
「五分五分ね」
そう言って、母親は手術室に姿を消した。
「美奈子くん!!」
警視庁の若木警部補が、病院に到着した。
「若木さん、5人のうち4人が重体。残る一人も昏睡状態ね・・・」
美奈子は若木にざっとあらましを話した。
「生存の可能性は??」
「五分五分だそうです・・・」
亜美が力無く言った。
「リーダーと思われる女性の首に掛かっていた、十字架のペンダントだ。あれだけすごい戦闘をやりながら、この十字架には傷一つ付いていない。まるで、うさ ぎくんのブローチのようだ」
若木がこう話した。無論、うさぎのブローチとは幻の銀水晶のことである。
「暖かいですね、このペンダント」
うさぎがペンダントの温もりに気づく。ミサトのエナジーに共鳴しているのだ。
「だろ??君のブローチと性質がよく似ているんだ。君のだって、君に何かあれば、そのブローチが反応する。となれば、この十字架も、彼女の何らかの反応に 応えているんじゃないかな??」
若木が珍しくまともな推理をする。
「確かにあり得るかもな。私たちのスターシードは、本人に何かあれば、守ろうとする。ということは、彼女たちも何らかのものをもっていることになるもん な」
まことが冷静に言う。
「彼女たちには、霊的なものは感じなかったけど、強大なエナジーは感じたわ。多分敵じゃないと思うけど・・・」
火野レイはそう言った。

 一方、2016年第三新東京市のネルフ本部。リツコやマヤ達が必死になって、葛城チームが飛ばされた座標を探そうとしていたが、その座標の位置が複雑 で、なかなか足跡を見つけだせないでいた。
「どうなってるの??葛城ムーンがいないと、使徒達と戦えないわよ?」
リツコが焦り出す。あとで、人類補完委員会の年寄り達がよってたかってリツコを糾弾するのは目に見えていた。おまけに、葛城ムーンには様々な機密事項が詰 まっている。飛ばされた時代によっては、その秘密が暴かれ、パニックにならないこともない。
「もし、サードインパクトが起きるような事態になれば、まずいわよ!!」
ゼーレがすでにエヴァシリーズの量産型を完成させたという情報まである。もし、ゼーレがサードインパクトを人工的に起こそうとしていたら、それはそれで非 常に厄介な事態である。
「ミサト!!どこにいるのよ!!!」
リツコは必死にキーボードを叩いていた。

「やけどは、20代後半から30代前半くらいの女性が、全身の5%、その他の三人は全身の3%をやけどしています。これは、かなりひどいやけどです」
亜美の母親が手術中に出てきて、若木にそう言った。
「全治にどれくらいかかりますか??」
若木が亜美の母親に聞く。
「経験から言って、3ヶ月くらいは時間を下さい。心の問題もあるので」
亜美の母親はそう言って、手術室に戻っていった。
「警部補、昏睡状態の少女の件ですが」
今度は、マナに張り付いている別の捜査員から若木に報告が上がった。
「何か、進展でも??」
「いえ、相変わらず昏睡状態ですが、うわごとで、使徒が来る、ネルフが危ないなどと意味不明のことを言っています」
「使徒??ネルフ???なんじゃそりゃ・・・」
若木はお手上げのポーズをとった。
「若木さん、科警研の研究室をお借りしても良いですか??」
亜美が若木にそう言った。
「いいけど、何を調べるんだい??」
「この十字架と、リーダー格と思われる女性のコスチュームと、コスチュームの裏ポケットに入っていた、フロッピーです。これを分析すれば、何か分かるかも 知れないので」
「分かった。総監と掛け合ってみよう。警察庁も嫌とは言えないだろうけどな」
若木は電話で桜田警視総監と連絡を取った。
「でも亜美ちゃん、よくフロッピーなんか見つけたわね。全然分からなかった」
美奈子は亜美の行動力に感心する。
「ママが、刑事さんに渡しなさいって頼まれたのよ。でも、自分で調べる方が都合はいいから・・・」
「その十字架とフロッピーには何が隠されているんだろうね??」
うさぎが横から話しに突っ込む。
「さあ・・・」
亜美は首を傾げながら、ミサトの所持品を眺めていた。

「ミサトのロッカーからフロッピーが消えてる??」
リツコは青葉からの報告で青ざめた。
「そのフロッピーには何が入っていたか分かるの??」
「恐らく、葛城チームの秘密や葛城司令自身の生い立ちなどが入ったデータかと・・・」
「何でそんなものを、ミサトは持っていったのよ!!」
リツコはいらつく。
「恐らく、何かを感じていたんだろ」
冬月が重い口を開いた。
「何かとは??」
「君の科学や私自身の経験をはるかに越えたなにかじゃろう。そんな機密事項の入ったフロッピーを持ち出したということは」
冬月は淡々と話す。
「もし、このフロッピーがゼーレないし、ならず者たちに渡ったら・・・」
「ネルフは壊滅じゃろうな・・・」
冬月はそう言って再び黙ってしまった。

「うさぎ〜!!着替えもってきたぞ!!」
「ちびうさちゃん。あら、みんなの分まで??」
ちびうさが病院に駆けつけた。何故か、他のメンバーの分まで着替えを用意してきていた。「だって、長期戦になりそうだから・・・」
ちびうさが亜美にウインクする。
「その点はうさぎちゃんに似なくて良かったわ」
美奈子がストレートな表現を出す。
「ちびうさちゃん、ほたるちゃんを呼んでくれる??」
亜美がちびうさにそう言った。
「いいけど、ほたるちゃんに何か??」
「ちょっと、手伝って欲しいことがあるのよ」
「ふ〜ん・・・。じゃあ、携帯に掛けてみる!」
ちびうさは、携帯でほたるに電話を掛けた。
「5分でここに来れるって」
ちびうさは亜美にそう言った。5分後、ほたるが病院に到着した。
「亜美さん、お久しぶりです。用とはなんですか?」
「この、十字架について破滅の戦士としてどうか見てもらいたいの」
亜美はほたるにミサトの十字架を手渡した。ほたるは目を閉じて、十字架を調べ始める。
「うさぎさんの銀水晶と波動はよく似ていますね。害はないでしょう。ただ、何か悲しい波動が伺えます」
「さすがはほたるちゃん。いい勘してる」
ちびうさがほたるを褒めちぎる。
「この十字架の持ち主は??」
ほたるが亜美に聞いた。
「ここの中・・・」
手術中のランプが灯った手術室を亜美は指さした。
「何があったんですか??」
「分からない。ただ、有栖川宮記念公園に突然瀕死の状態で現れて、誰かと戦ってたわ。あんな無茶してまで、何を守りたかったのかしら・・・」
亜美が悲しそうにほたるに言った。
「はるか姉さんと、みちる姉さん、せつな姉さんに連絡を取ってみます」
ほたるは、同居しているはるか、みちる、せつなに連絡を取った。

「まだ、座標は分からないの??」
リツコが半分泣き出す。もし異次元の空間に放り出されていたら、それは葛城チームの死を意味する。一刻も早く座標を割り出して、5人を救出しなければ、命 の保証はない。
「どうやら、異次元空間ではないようです。ただ、どういう時代に飛ばされたとか、そういうのは、MAGIでも追尾不能です」
マヤがリツコにそう言った。
「ここまでなの・・・」
リツコの目から、熱いものがこみ上げていた。

 警察庁科学警察研究所。亜美はここの一室を借りて、ミサトの付けていた十字架や、フロッピーなどの解析を行っていた。
「この十字架、銀水晶と非常によく似てるわ」
組成組織を調べていた亜美は、感嘆の声を上げた。
「亜美、フロッピーの解析が終わったよ」
声の主ははるか。亜美と一緒に科警研に来ていたのだ。
「どうやら、彼女たちは未来から来たらしい。ただし、私たちとは違う未来、すなわちスモールレディが住む未来と同じような現象だ」
はるかが解説する。作成年月日が2016年1月になっていた。おまけに、ネルフの地下に何があるとか、葛城チームの強みやら弱みやら全てが書かれていて、 ゼーレが反乱を起こすかも知れないなんていう、とんでもないものまであった。
「亜美ちゃん、コスチュームの分析も完了したわよ」
こちらは、みちる、せつなの連合チーム。
「コスチュームから大量の鉄分や塩分が検出されたわ。まるで、血液みたいだけど、血液反応はなかった」
せつながそう言った。
「十字架の方は、銀水晶と組成が似通ってたわ。但し、銀水晶ほど強力じゃないと思う」
亜美はそう言った。
「もし、未来の人たちであれば、座標が動いているはずね。調べてみるわ」
みちるは、アクアミラーでミサト達が通ってきたと思われる座標を調べる。
「これは・・・。どうやら、次元越えの時間移動ね。向こうの世界はこちらとは全然違うと言うことしか分からない」
歴史が途中から違ってしまった次元からの時間移動者の足跡を調べる場合、アクアミラーではそこの世界の状況まで把握するのは困難。座標を調べるのが精一杯 なのである。
「今度、時空の扉を使って、私が調べてくるわ」
せつながそう言った。

「水野先生!!」
手術中のランプが消え、亜美の母親が手術室から出てきた。うさぎは4人の状態を聞く。
「先生、4人は!?」
「今夜が峠ね・・・」
そう言って、亜美の母親は手術室をあとにした。その後、人工呼吸器を付けたミサト達4人が次々とICUに運ばれていった。
「うさぎちゃん!!」
亜美が病院に戻ってきた。
「亜美ちゃん、どうだった??」
「彼女たちは異次元の世界から来たと言っても過言ではないわね」
「えっ、じゃあ・・・」
うさぎは危機感をおぼえた。
「ここまで来たら、あの人達を元の時代に戻さないと」
美奈子がそう言った。
「あと、フロッピーだけど、解析したらまずいなんてもんじゃないものが入ってたわ。恐らく、私たちは、彼女たちの時代で戦うことになると思う」
亜美が不吉な予言を語った。
「あと、リーダー格の女性、恐らくうさぎちゃんのような人かもよ」
「へっ!?」
うさぎは亜美の一言に首を傾げていた。

次回予告 ミサト達が自分たちとは全然違う世界に住む人間だと知ったうさぎたち。せつなの力を借りて、2016年の第三新東京市に向かう。そして、ゼーレ との全面対決へと発展する!!次回をお楽しみに!!
月の光は愛のメッセージ・・・

設定メモ
ちびうさ=セーラーちびムーン(CV 荒木香恵)
未来のうさぎと衛の子供。ただ、ちびうさの30世紀と私たちの時代とは直結していないと言うのが実のところである。

土萌ほたる=セーラーサターン(CV 皆口裕子)
セーラームーンSでは、悲劇のヒロイン、その後はちびうさの良き友人だろうか。現在はせつなの養女であるため、名字は冥王である。破滅の戦士である彼女。 今後の物語を左右する存在となるか。

天王はるか=セーラーウラヌス(CV 緒方恵美)
本職はF1レーサー。フォーミュラニッポンでは敵なしだった、天才女性レーサー。現在はF1・BARホンダ所属。フェラーリのシューマッハーと熾烈な年間 優勝争いをしている。

海王みちる=セーラーネプチューン(CV 勝生真沙子)
オーストリア・ウィーンの国立音楽院所属のバイオリニスト。セーラー戦士の中で、はるかに匹敵するくらいのセレブ。最も、はるかは男っぽいのでセレブらし くない。みちるははるかに密かに思いを寄せている。

冥王せつな=セーラープルート(CV 川島千代子)
JAXA、航空宇宙事業団所属。文部科学省国立天文台観測担当主任。現在、NASAで国際宇宙ステーションに滞在するためのテストを行っている。ありとあ らゆる時空に、時空の扉を使って移動できる。ほたる、せつなのコンビははっきり言って笑えます。

おまけ
J医大病院
どうやら、港区にある慈恵医科大学付属病院がモデルのようです。亜美の母親がここの外科部長という設定。

あとがき どうも〜、YRRです!!鍵を握るのは破滅の戦士・サターンと、昏睡状態のマナ、そして、セーラー戦士に喧嘩をふっかけるゼーレ。でも、ゼーレ も自殺行為では・・・。次回、セーラー戦士に喧嘩をふっかけるのですけど・・・。では、次回をお楽しみに!!

YRRさんから続きをいただいてしまいました。

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