新世紀エヴァンゲリオン×機動戦士ガンダムSEED DESTINY
筆者:YRRさん

第一回 アークエンジェル・エターナルシグナルロスト

 コズミック・イラ76年、地球連合諸国とオーブ首長国、スカンジナビア王国と停戦し、わずか二年ほどで、プラント最高評議会とザフトを解体、プラント共 和国として民政移管を果たした評議会前議長ラクス・クライン、オーブ首長国代表として戦後の処理にあたり、やはり民政移管を果たしたカガリ・ユラ・アス ハ、ラクスの恋人であり、フリーダムパイロットのキラ・ヤマト、カガリの恋人でジャスティスパイロットのアスラン・ザラたちは、自分たちの古巣とも言える 戦艦・アークエンジェルにいた。
「今回はあくまでも、プラントとオーブの合同軍事演習ですが、危険を伴いますので、各自万全の備えをして下さい」
艦長のマリュー・ラミアスが艦内放送で警告した。
「随分と合同演習のわりには鬼気迫ってるな・・・」
そうぼやいたのは、「不可能を可能にする男」ムウ・フラガ。マリューの婚約者である。
「時空のゆがみとか言ってたな。SF世界のようで、俺には全くわからん」
エターナル艦長代理、アンドリュー・バルトフェルド隊長はいつものきついコーヒーをすすりながら、アークエンジェル内の様子を通信回線でエターナルでみていた。
「バルトフェルドさん、隠れアイドルおたくの割には、SFだめなんですね」
フリーダムパイロット、キラ・ヤマトは呆れていた。
「はいはい、あまり隊長を困らせないように・・・」
ジャスティスパイロット、アスラン・ザラも苦笑していた。
「にしても、時空のゆがみなんて、一体そんなものどうやって観測したんだ??」
カガリ・ユラ・アスハは素朴な疑問を、ラクス・クラインに尋ねてみた。
「プラントの宇宙望遠鏡が見つけたのですわ。それも、カメラに写るほどはっきりとですわ」
ラクスはいつもの口調でカガリに答えた。
「へー、望遠鏡ではっきりと見えた訳か」
カガリは感心していた。
「宇宙空間にあるでかい望遠鏡と、地上の望遠鏡とじゃ、条件とかいろいろあってわかるものとわからないものがあるからな」
ムウはそうカガリに言った。
「こちらは“プラント国防軍”最高司令官のイザーク・ジュールだ。そちらの状況はどうだ?」
プラントでエターナルとアークエンジェルの様子を心配していた、イザークが無線で両艦に声をかけた。
「こちらはオーブ軍アークエンジェル、マリュー・ラミアスです。ジュール最高司令官閣下、異常ありません」
マリューは軍人らしい答えを返した。
「ラミアス艦長、イザークでいいですし、閣下もやめて下さい」
イザークはイライラしながらそう返した。
「ふふ、ではイザークさんでよろしいでしょうか??」
「構いません」
イザークはふうと胸を撫で下ろした。
「確かに、イザークが司令官閣下と言われるのは、何か変だな」
アスランがそう皮肉を言った。
「貴様ぁ!貴様にそんなことを言われる筋合いはないぞ!!」
イザークお得意の大爆発がはじまった。
「まあまあ、イザーク様落ち着きになってくださいな」
ラクスはイザークをなだめた。
「しかしラクス様、あいつはいつも俺を皮肉っているのですよ!?」
イザークは怒り心頭だ。
「それがいいところでないのか??イザークを皮肉れるのはアスランだけだぞ?」
カガリが釘を刺した。
「貴様も、自分の立場を弁えているのか!!仮にも一国の国家元首だぞ!」
イザークはカガリの姿を確認するなり、怒鳴った。実のところ、プラントへカガリが参加することを教えたのは、合同演習の三日前だった。プラント、オーブ双 方が猛反対をしたが、本人とアスラン、キラはどこ吹く風で、ラクスにいたっては「女の子同士の話しもしたいのでいいですわね」などとさらに焚き付けてしま い、双方ともなし崩し的に演習への参加を認めざるを得なかったのだ。
「ん?警護のことか??アスランもキラもシンもルナマリアもいて、何が不満なんだ?」
カガリは素っ気なくイザークに返した。
「そんなことではない!!任務が任務だぞ!!!どこぞの世界に飛ばされて見ろ!!!俺の首だけではすまないのだぞ!!!!全員明日から失業状態になるんだぞ!!!!!!」
イザークは声をさらに荒げる。
「だから、私はもうお飾りの国家元首なのだから、私がいなくなったって政府はしっかりしているって」
「貴様には危機感がないのか?」
イザークは呆れた。そりゃ、ラクスがプラント最高評議会議長に就任する際、キラの強引とも言える要求で、形式上オーブ軍からザフト軍に引き抜くような形 で、キラをラクスの護衛に着かされ、情勢が安定し、ラクスが議長職を退く際に一足早くオーブに帰国したキラに文句の一つでも言っておけばよかったような心 境で、ラクスをオーブに送り返したのだ。プラントでは一番この人が苦労している。
「まあ、キラの件とラクスの件は当時の国家最高指導者として謝罪するが、二人とも同棲をするためにオーブに帰ることを決めたんだ。人生いろいろだ」
「アスラン、貴様自分の妻になる女に何をしているんだ!いつもなら止めるのに、今回は止めなかったそうではないか!!」
イザークはアスランに食ってかかる。
「イザーク、今回ばかりはエース級パイロットが足りなくてな。カガリならOKだろうということで・・・」
アスランは妙な言い訳をした。
「おかげでこっちは今でも大騒ぎだ!!獅子の姫君と天空の歌姫が同じミッションを行っている方がとんでもないだろう!!」
イザークの言うことは最もであるが・・・。
「ラクスだってちゃんとにモビルスーツを操縦できるんですけど・・・」
キラが余計な一言を言う。
「貴様ぁ!!ラクス様に戦争をやらせるつもりか!!」
「時空の歪みの調査で、戦闘は100%ないと思いますけど?」
ラクスがそう言った。
「貴様らにはほとほと呆れるは!!」
イザークは最後に捨て台詞を吐いて通信を切った。

 その頃アークエンジェルの格納庫ではシン・アスカとルナマリア・ホークがモビルスーツの整備の手伝いをしていた。
「あんまり動かしていないから、薄い錆が浮いていたよ」
シンはルナマリアにそう言った。
「錆が出るほど平和ってことよ。いいじゃないの、戦争なんかもうこりごり」
ルナマリアは整備をしながらシンにそう返した。
「あれ?これラクス前議長の機体?」
シンはストライク・フリーダムの隣にあったフリーダムとは色違いのモビルスーツを見つけた。
「そう、名前はストライク・ピースよ。性能はフリーダムと全く変わらない、色がラクス様のシンボルカラー、桃色っていう違いだけ」
ルナマリアがラクスの機体について説明した。
「ラクスさん、ドラグーンシステムとか使えるの?」
「キラさんに教わったんだって。さすがはラクス様よ。操縦なんかうまいもんだって」
ルナマリアは感心していた。ラクスは当然普段はモビルスーツなど操縦しないが、そこはコーディネイター、天才的な操縦を行うという。
「へー、そうなんだ・・」
シンは呆然とその話しを聞いていた。以前アスランから、ジャスティスを操縦して持ってきた人だと言うことは聞いていたが、実戦にいけるくらいの腕前とは想像もつかなかった。「しん〜、お姉ちゃん〜順調??」
そこにルナマリアの妹、メイリン・ホークがやってきた。現在キラのビジネスパートナーとして、コンピューターエンジニアの仕事が本業。キラとラクスを追いかけて、オーブに移り住んだ強者である。
「全く、アークエンジェルにエンジニア兼オペレーターとして潜り込むなんて、ちょっと大胆よ」
ルナマリアが皮肉を言った。
「だって、キラさんとラクスさんにお願いされたら断れないって」
メイリンはさらっともの凄いことを口走った。
「キラさんとラクス様に頼まれた?あんたも出世したわね・・・」
ルナマリアは呆れた。
「さてと、整備も一段落着いたし、オペレーター室に顔を出してこよう」
シンはそんな二人の話に苦笑しながら、姉妹に行こうと暗に求めた。
「そうね。メイリンが迷惑かけないようにしないと」
「お姉ちゃんそれひどくない??」
「ルナ、言い過ぎ・・・」

「時空の歪みまで距離1500メートル」
ミリアリア・ハウがアークエンジェルのオペレーター室でそう叫んだ瞬間だった。
「大変です!!時空の歪みに飲み込まれます!!」
操縦桿を握っていたアーノルド・ノイマンはそう叫んだ。
「こちらはエターナル、アンコントロールラブ!!」
エターナルでも同様のようだ。
「オーブ管制塔へ、こちらはアークエンジェル。ただ今当艦とエターナルがアンコントロールになりました。くりか・・・・」
「こちらオーブタワー。緊急事態を宣言しますか?」
マリューの通信はそこで途絶えた。
「オールステーション、オールステーション、こちらはオーブタワー。エターナルとアークエンジェルの機影が消えました」
オーブ、プラント両管制部は大騒ぎとなった。


「ゼーレによる、S2機関有人ロボット研究?」
ミサトはネルフの休憩室で、リツコとコーヒーを飲んでいた。
「まるで、SFの世界よ。でも武器が戦車砲を改造したものなの。ATフィールドなんか作る気はなかったみたい」
リツコはゼーレから押収した資料をミサトに見せていたのだ。
「装甲が脆いわね。エヴァと戦うと言うより、対人及び戦車用かしら?」
ミサトはそう呟いた。装甲が脆いというのはエヴァに対しての話し。通常兵器であれば劣化ウラン弾でも発射されない限り、弾は貫通しないであろう。
「で、ゼーレの残党がこれを大量に作ってるって?」
ミサトはリツコに説明を求めた。
「大量ってほどでもないけど、S2機関を搭載した有人ロボットをロシア極東地域で作ったらしいわ。個数は500機」
「充分大量じゃないの・・・」
リツコの答えにミサトは唖然とした。500機のどこが大量でないのか教えてもらいたいものである。
「こんなのに攻め込まれたら、戦自もネルフも勝てるだろうけど、犠牲者多数よ」
ミサトは総司令の立場としてリツコに言った。
「だけど、エヴァはこの前のエヴァ量産機との戦いで、しばらくは使い物にならないわ。戦自の戦車で対応するしかないわね」
リツコはそう言った。
「警戒警報!警戒警報!!国籍不明の飛行物体が接近中!!」
マヤの声がネルフの中を轟いた。
「マヤ!どうしたの?」
ミサトは内線電話でマヤに訪ねた。
「遭難信号を発信している未確認飛行物体二機が、第三新東京市上空に差し掛かりました。二機とも新芦ノ湖に不時着水を試みるものかと・・・」
マヤは困った声でミサトに言った。
「無線交信は??」
「戦自の管制塔が交信したところ、緊急事態のため不時着水したいと英語で答えたそうです」
「了解。領空侵犯ではないのね?」
「そのようです。何かトラブルが起きたのかと・・・」
マヤはレーダーを見ながらそう言った。

「湖に不時着水します!皆さん頭を低くして!!」
ノイマンが叫ぶ。
「全員頭を下げて!!」
艦内にいる全員にマリューは艦内放送でそう伝えた。
「「ザザーーーン!!!」」
夏真っ盛りの午後、新芦ノ湖にどでかい戦艦とピンクの戦艦が着水。しかしここから誰もが思わない展開になろうとは、誰も予想していなかった。

あとがき どうもYRRです。久々に書きました。いわゆる「種デス」と「エヴァ」とのコラボ。この章はプロローグ的なものですけど・・・。早く第二章を考えないと・・・。

YRRさんから種死+エヴァなお話をもらいました。

今回はプロローグということで、相互の絡みは無いようです。エヴァの人たちのピンチを種死の人たちが救うという展開でしょうか。

まずはYRRさんに次話をお願いしましょう。

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