決戦!!第一高校!!



後編 量産機現る!!

 アスカ達は、とても学校内とは思えないくらいの重武装をして、第一高校職員室近くの給湯室で様子を伺っていた。
「あの、ふてぶてしいのがリーダーね。あとは何か、頼りない女達ばっかり・・・。とても、ゼーレで工作員をやっていたとは思えないわ」
アスカが給湯室の隙間から職員室の中を見た。
「どうする、アスカ??特殊部隊が来るまで静かにしているか、私たちだけで突っ込むか・・・」
マナがアスカに聞いた。
「無論、後者よ!!」
「やっぱりね・・・」
レイとシンジは異口同音に同じ言葉を発した。
どっか〜〜〜〜〜〜ん!!!!!
アスカは、持っていたバズーカを給湯室から職員室にぶっ放した。犯人達は、たじろぎ、壁に穴が空いた瞬間に、マナとレイ、シンジによって一斉射撃が加えら れたため、先に触れた、頼りなさそうな元工作員はすぐに射殺された。残るは、リーダーの女一人だったが、ガラスを破って、外の校庭に逃げ出した。すでに、 校庭内には避難した生徒はおらず、校門のそばに立っていた警官とも凄まじい銃撃戦を繰り広げた。無論、アスカ達とも。
「これでも食らえ〜〜〜〜」
「えっ、それって・・・」
涼子が驚く。アスカが投げたのは手榴弾。
どか〜〜〜〜ん!!!
女のそばで手榴弾が炸裂する。校庭に穴が空く。しかし・・・
「おやおや、これくらいの攻撃かい??」
女は不気味な笑みを浮かべた。自分のそばで手榴弾が爆発したのに、全くの無傷なのだ。
「うそ〜〜〜!?」
アスカは思わず叫んだ。並の人間であれば、ほぼ間違いなく即死のはずである。
「あなた、今ATフィールドを展開したわね??」
レイがいつにもまして、不愉快な声をあげる。
「ご名答、ファーストチルドレン。ネルフの特殊部隊が来ようと、私は絶対に死なないわ!!」
女は勝ち誇ったように、大声でそう言った。
「綾波、と言うことはあの女は・・・」
シンジがレイに問う。
「“使徒”あるいは、改造人間ね・・・」
レイが心なしか悲しい声をあげた。

「葛城司令!!第一高校でATフィールドの展開を確認!!パターン青、使徒です!!」マヤが大声をあげる。
「なんですって!?使徒はもうこの世にはレイしかいないはず・・・」
ミサトが驚愕する。確かにネルフのデータ上には、ATフィールドを展開できるのは、葛城レイただ一人のはずである。
「レイが展開するわけがない・・・。たかが武装勢力じゃ、アスカの気迫とマナの軍人魂で簡単にやっつけられる・・・」
「マヤ、すぐにATフィールドの分析を急いで!!」
リツコがマヤをまくしたてる。
「了解!!」
マヤがMAGIを使ってすぐに分析を始めた。
「武装勢力の中に使徒がいるって言うの??」
ミサトはマヤに聞いた。
「分かりません。でも、ATフィールドの大きさは、人間サイズなので、恐らくそうかと・・・」
マヤはキーボードを叩きながら、ミサトの質問に答えていた。
「使徒だとしたら厄介よ。あるいは、レイと同じように人間のDNAと使徒のDNAを掛け合わせて人工的に作った、クローンもしくは改造人間」
リツコはミサトにそう言った。
「ゼーレも、ネルフと同じようなことをやっていた可能性は高いわけね??」
「人類補完委員会の目的の一つに、使徒と人間の遺伝子的組み替えという研究をやっていたことが、ゼーレからがさ入れして押収した資料の中から出てきたの。 その中に、仮面ライダーのショッカーばりに、ゼーレの工作員を使徒の細胞を組み込んで改造し、どんな攻撃にも耐えられるスーパー工作員を作っていたのよ。 だけど、ほとんどの工作員は拒絶反応が強すぎて死んでしまった。しかし、一人だけ生き残っている女工作員がいるみたい。行方しれずだけど」
リツコはミサトにこう説明した。
「じゃあ、いま第一高校にいる、武装勢力の一人が・・・」
「使徒の細胞を組み込まれた、改造人間でしょうね」
ミサトはリツコの答えに、頭が真っ白になった。

「は〜〜〜っははははははは!!!」
第一高校ではまさに修羅場と化していた。女が暴走し始めて、自動小銃を乱射し始めたのだ。
「総員、弾が当たらないところまで退避!!」
警察の機動部隊長が退避させた。アスカ達も、校舎の物陰に隠れて、見守るしかないのが実情であった。
「まずいわね、あの使徒ばばあ。自分で自分の意志をコントロール出来なくなってるわ」
アスカがそんなことを言った。自分で自分の意志をコントロールできなくなる。エヴァの暴走状態と一緒なのである。
「もし、彼女が使徒なら、どこかにコアがあるはず。だけど、服を着ている上に、自動小銃をぶっ放されたんじゃ、探しようがないわね」
レイがそう言った。
「レイちゃん、もし暴走状態が止まらなかったら??」
涼子が聞いた。
「残念だけど、対処しようがない・・・」

「先輩!!ATフィールドの分析終わりました!!」
マヤがリツコに報告する。
「で、どうだったの??」
「結論から言いますと、レイちゃんのものではありません。かといって使徒のものでもありません」
マヤから意外な言葉が返ってきた。リツコは目を丸くする。
「使徒のフィールドじゃないとしたら、何なの??」
ミサトはマヤに説明を求めた。
「一番近いのは、量産型エヴァのフィールドの性質ですね」
「量産機??エヴァの細胞を人間に埋め込んだって言うの??」
ミサトは驚愕した。
「なるほど、使徒よりはるかに手に入りやすい細胞だわ。エヴァシリーズも基本的には、使徒の細胞やDNAを分析して人間のDNAや細胞を基に作ってあるか ら、量産機の細胞とDNAを人間の体内に埋め込んでしまえば、使徒の細胞を埋め込むより拒絶反応が臓器移植をしたあとのような環境があれば少ないし、かつ 意志のないものから意志のあるものに移植するわけだから、使徒のように精神汚染を受ける心配もない、ゼーレもなかなか考えたものだわ」
リツコはこう説明した。
「じゃあ、私たちはあの女を永遠に倒せないじゃない!!」
ミサトがリツコに叫ぶ。
「ただ、エヴァの細胞をヒトに移植したとなると、感情の起伏が激しい人間だと、我々のエヴァシリーズのように、暴走するのよ。そのあと、場合によって は・・・」
「えっ・・・」
ミサトは嫌な予感を感じていた。

 第一高校では相変わらず、女が奇声を上げながら、自動小銃を乱射し続けていた。
「何、あの女の全身から血が・・・・」
女の体からは、おびただしい血が滝のように流れ始めていた。
「何が起こるというの??」
マナが銃を構える。
ピカッ!!
一瞬女が光ったと思うと、先ほどまでの奇声が消えた。
「なんだ、あれは!?」
機動隊員が上空を見上げた。そこにいたのは・・・
「エヴァンゲリオン量産型!?」
アスカが悲鳴を上げた。

「報告!!第一高校上空に、エヴァ量産機一体が飛行しています!!」
日向の報告に、ネルフの司令室内はどよめく。
「すぐに、新初号機と新弐号機を用意して!!」
ミサトはネルフ職員にそう言った。
「ダミープラグの完成が終わってて良かったわ」
リツコはそんなことを言った。前回のバルタン星人襲撃事件で、チルドレン達はエヴァに搭乗する力を失った。しかし、リツコがダミープラグを完成させたた め、パイロット無しで動かせることが可能になったのだ。
「でも、どうするのよ??勝負は五分五分よ??」
リツコはミサトに言った。
「エヴァを失ってもいいのよ。人類のためなら」
ミサトはリツコにそう言った。
「やっと、司令らしくなってきたわね」
「そうかしら??」
ミサトとリツコは笑っていた。

「打て打て打て!!!」
やっと到着した特殊部隊が、上空を旋回している量産機に向かって対空砲火を行う。しかし、焼け石に水で、ATフィールドでことごとく跳ね返される。
「来た!!初号機と弐号機!!」
シンジが叫んだ。初号機と弐号機が、到着。上空にいる量産機にパレットライフルをお見舞いする。
「だめか!」
ここに来て、無言で戦況を眺めていたカヲルが初めて言葉を口にした。
「諦めちゃ駄目!渚君、ここはエヴァに任せるしか・・・」
涼子がそう言った。

「二体とも、量産機に苦戦しております。バッテリーが上がってしまいそうです!!」
青葉が叫ぶ。二体のエヴァは限界に近づいていた。
「零号機は間に合わない!!」
ミサトも泣き顔である。
「ここでノーサイドなんて・・・」
リツコも悔しそうである。
「報告!!第三新東京市上空に、宇宙からの飛来物!!」
マヤはしっかりと戦況を見つめていたが、ミサトとリツコにはこの声は届かなかった。

「何?あの赤い球は??」
アスカが上空を指さす。
「あれは・・・」
涼子は赤い球を見て驚く。それはまさしく、ウルトラの星から来た正義の勇者の使えるもの・・・。
「ジュワッ!!」
赤い球は、巨大な宇宙人へと変わった。
「セブン!ウルトラセブン!!」
涼子は思わず叫んだ。
「初号機と弐号機はオーバーヒート・・・」
レイは二体のエヴァの状況まで飲み込んでいた。他はセブンの方を見ていたので、分からなかった。
「ヒュン!!」
セブンのアイスラッガーが、量産機のATフィールドを突き破り、コアを破壊する。
「ぎゃああああ!!」
量産機は断末魔をあげる。
「ジュワッ!!」
セブン得意のエメリウム光線で、量産機は爆発炎上、芦ノ湖に落下した。
「強い・・・」
シンジはそんな言葉を口にした。
「セブン、何で地球に・・・」
涼子はセブンにテレパシーで話しかけた。
「ユリアンか。ちょうど地球の近くを飛んでいたら、ウルトラの星から地球へ向かえという支持がきてな。そしたら、あんな化け物が空を飛んでるじゃないか。 久々に燃えたよ」
セブンは涼子にこう説明した。
「もう、今度からアポ無しは駄目よ」
「了解」
そう言ってセブンは再び、宇宙へと旅だった。

「報告!!量産機はウルトラセブンによって粉砕!!って聞いてますか二人とも??」
ミサトとリツコは下を向いたままぶつぶつと何かを言っていた。
「人類は終わった・・・」
リツコがそう言っていた。
「先輩!!しっかり!!!ちゃんとモニターを見て!!」
リツコはモニターを見た。そこには芦ノ湖の湖上で炎上する量産機が映っていた。
「何??何が起きたの??」
「あとでゆっくり説明します・・・」
マヤは呆れたように、同じく下を向いていたミサトを抱きかかえて、医務室へと向かった。

 翌日、本来シンジとアスカの独占状態になるはずだった、小涌谷温泉の旅館にある混浴露天風呂に、チルドレンプラスケンスケプラス涼子が一緒に入ってい た。
「あ〜ん、せっかくのデートが〜〜・・・」
アスカは半分やけになっていた。
「にしても、よくセブンなんかが助けに来てくれたな。びっくりやわ」
トウジは、義足を付けたまま風呂に入っている。キョウコ自信の義足は、風呂に入ろうと、海に入ろうと、山を歩こうと大丈夫なように作ってあるのだ。
「アスカ、体洗って上げようか」
シンジが何気なく言う。
「やべ、鼻血出てきた・・・」
ケンスケは興奮したのか、のぼせたのか、ともかく鼻血を出し続けていた。
「ちょ、ちょっとシンジ、家じゃないんだから・・・」
「家でもしてるのね・・・」
マナが頭を抱える。
「青春ね〜〜〜」
涼子は笑顔だ。
「ずるい・・・」
レイはふくれっ面である。
「てか、そう言えば女性陣全員裸!?」
トウジが今頃気づく。
「ここは水着禁止なの。いいじゃない、混浴したことないんだから」
アスカはサービスサービスという感じでさらりとかわした。
「僕たち、タオルを乗せていないと面目たたず・・・」
シンジはそう言った。

 その頃ネルフでは、ミサトとリツコがマヤから詳しい説明を聞いて、逆に再び寝込んだという。(終わり)

あとがき どうも〜YRRです。やっと、後編が書けました。次は、もしかしたら変化球かも・・・。


YRRさんから後編をいただきました。

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