「拾四」 I would find a way








まだまだ、平和な日々は続くようだ。
正直、感謝している。今は毎日が楽しいと言っていいだろう。
同居人兼恋人?とも、清い?お付き合いのままだけどうまくいっている。
保護者も仕事には追われながらも精神的に余裕があり、団欒の時間は楽しく過ごしている。
その分、アルコールが摂取できなくなっているのだが、それはしょうがない事だろう。


現在の料理当番は週に4日は僕でアスカが週2日、保護者は1日である。
実質的な事から言うと僕が週6日作っている。アスカも半分くらいは「今日はお願ぁぁい」と家事を放棄するか、またはレトルトだし・・・

保護者に至ってはレトルトならまだましで、食材を買って来た日にはアスカが何か用事を作ってディフェンスを引き受ける。
僕がその間に調理をするという、絶妙なコンビネーションを見せている。


不運にも笑顔のままディフェンスをくぐり抜けてしまった場合、オフェンスはその善意にほだされて戦場を明け渡してしまう。
そして、ビール片手に鼻歌交じりで前衛的な芸術作品?を作り上げる。
僕たちはその進捗を、リビングで死刑執行囚のように重苦しい雰囲気で待っている。

「逃げちゃだめだ・・・逃げちゃだめだ・・・逃げちゃだめだ・・・逃げちゃだめだ」
「死ぬのはイヤ、死ぬのはイヤ、死ぬのはイヤ、死ぬのはイヤ、死ぬのはイヤ・・・」
やがて、死刑の執行が言い渡され、僕らはリビングのテーブルという執行台に赴く。


しかし、鍋等をたくさん持ってきたこの日は違っていた。

「シンちゃーん、アスカぁいらっしゃーい♪」
今日は異臭が漂っていない?変だ・・・・・おかしい!!
目の前にあるものも可視光線上に異常は認められない。
メニューはつみれ団子を使った中華風あんかけ、サバの香草焼き、海鮮の炒め物、ワカメスープだった。

「今日はワタシの手料理ぃ、たーんと味わってもらうわよ♪」
戦友と顔を合わせ、そして頷き合い、意を決して、箸を付け、口の中に入れる・・・・・

「え?え?え?」
「うそ・・・・・?」
顔を見合わせる。これは絶対におかしい。犯罪の匂いがする。強いて言えば詐欺罪だ。

恐る恐る、口を開く。
「これ、ミサトさんが作ったんですか?」
「そうよん♪おいしい?ねえシンちゃん、おいしい?!」
「ホントですか?すごくおいしいです!!」
「やったぁ!!女の幸せってやつを感じるわ!!ありがとう!!」
僕の手を握りしめて、上を向いて感涙が落ちるのを堪えている。しかし、机を叩く衝撃音が響いた、と同時に戦友が口を開く。

「うそよ・・・ありえない・・・・・ミサト!!ズルは良くないわ!!白状しなさい!!」

保護者は勝者の余裕を見せてこうあっさり切り返した。
「作ったのは私よ。何だったらリツコに聞いて見てもいいわよ」

「まあ、アスカもいつもシンちゃんに任せっきりだもんねぇ・・・・・ハァァ・・・」
非常にわざとらしくセリフを言い挑発している。

「フン、嘘がばれないうちに白状なさい!!今ならなかったことにしてあげるわ!」
交渉事に長けたアスカならではの反撃だった。電話の子機を片手に言い放つ。
余裕のある表情で簡単に応酬する。
「じゃ、本部にでも聞いてみたらぁ?クアッハハハハァ!!」

「くっ!最後通告も無駄のようねっ!!」

「もしもし、伊吹さんですか?はい・・・今日のミサトの行動を・・・・・」
「え??1630より1730までは調理室に・・・?ええ・・・はい・・・」

敗北だった・・・涙を浮かべて無言のまま走り去るアスカ・・・そのままロストした。
「あ・・・あ・・・」
「いいのよ。ほっとけばぁ・・・シンちゃんも苦労するわよ。ちゃんと教え込んでおかなきゃねぇ・・・・・」
「おいしいでしょ?ちゃんと食べなさいよぉ♪」
そう言いつつも目は笑いを堪えている目だ。

「僕、探してきます!!」
「はいはい、いってらっさい。これ、持ってくぅ?」
笑いながら言っていたが、僕は外に出た。出るとすぐに爆笑が聞こえた。


アスカはすぐに見つかった。マンションのすぐ前の広場で僕らの部屋を睨みつけていた。
ちょっと近寄りがたい。「嘘・・・嘘・・・」とうわごとのように繰り返している。
気配に気づくと僕の方に寄って来た。そして胸に抱きつき
「くやしい!!ミサトに女性として負けたのよっ!!もう生きて行けないわよっ!!」


「でも、旦那様の愛さえつかんでいれば・・・女だって料理なんかしなくてもいいわよね・・・」
え??え??しないつもり・・・・・?お姫様ですか??




「こうなったら徹底的に調査するわよ・・・アンタ、頼むわよ」
自分はしないのか?

かくして、調査が始まった。まずは隙を見つけて、本部での調査と聞き込みだ。
たしかに、ミサトさんは調理室に入っていたのは間違いないらしい。一人ではないにしろ誰かに教えてもらった・・・?
それはあり得ない。なぜなら以前、僕が教えた時に実証している。
カレーを作っていたら「具が足りないわねぇ・・・」と言いながら豆腐と枝豆(殻のまま)
とするめを持ってきて入れようとした。それを発見した僕が注意すると
「いいの、いいの、栄養あるのよん♪」と言いながら入れてしまった。
・・・・・つまり、人の言う事など聞きやしない。


聞き込みを続けると、意外な手掛かりを得た。
証言者は綾00イさんだった。

「私の晩御飯はここの調理室で作ってもらってるの。」
「そう、私は肉が嫌いだから栄養が偏りがちだって・・・ちゃんとスタッフがいるのよ」
「調理室で夕方作ってるのかな?」
「そうみたい」
「そのスタッフの人って知ってる?」
「ええ、あの人、そうよ」
以上、僕がチョコパフェとアップルパイ(自腹)で聞き出した情報である。
その後Aさん(仮名)に聞き込みを開始した。

「ああ、葛城さん。ええ、来ましたよ。」
「何やってるか聞かれたからファーストチルドレンの食事を準備していると言ったら、手伝うからうちのも作ってって。」
「当然量が増えるから手伝ってもらったわ。味付けとかそういうのは私が・・・ええ、彼女は確か・・・」
「用意して置いた材料切ったりとか、つみれを丸めたりとか、そういうことかしら・・・」

合点がいく説明だった。
確かにあの日の夕食には肉が入っておらず、味付けは家庭の味というよりプロが作ったような万人受けしそうな感じだった。
クライアントには調査結果は不明と報告しておいたが、これを機に精進してほしい。
しかし、やはり台所に人はいないようだ・・・・・


また、少し傷心気味なようだ。ただ、真実を知ってしまったがこれを話すとミサトさんのメンツの問題もあるだろう・・・
僕は一計を案じて、ミサトさんに調査結果を突き付ける・・・



しんじ のこうげき!  しんじ は あやなみのしょうげん をつかった
みさと はあわてている
みさと のこうげき!
しんじ はだめーじをうけない
しんじ のこうげき!  しんじ は すたっふのしょうげん をつかった
かいしんのいちげき!!
みさとはあわてている・・・
みさと をたおした。
しんじ は10000ゴールドをてにいれた。


「どうぐや」  はい、きょうはなんのごようですか?  かう?   
おしゃれなぺんだんと 9800G
きれいなゆびわ    8500G
しるばーくろす    7500G
きんのねっくれす   24000G
こんやくゆびわ    350000G


「よろずや」  やあ、しんじ くん。きょうはなんのようだい?  かう?
くろいはいひーる   10000G
がーたーべると    22000G
かわのむち      20000G
かわったくびわ     7000G
かぞくけいかく     2000G



似合いそうなものもあるけど、ここは初めの店で買い物をした。
台所に置いておいたらちゃんとなくなっていた。
まあ、お店の人が付けてくれたしゃれたメッセージも付いていたので持つべき人に行ったのだと思われる。


翌日、アスカは左の薬指を切ったと言って学校に包帯を巻いてきた。
委員長に傷口を見せているようだが、委員長の視線を感じる。委員長と目が合うと委員長は赤くなって目を逸らした。




あすか は きれいなゆびわ をそうびした  あすか はすこしあかくなった
きれいなゆびわ が はずれなくなった  あすか はあわてている



ところで、最近おかしな実験があった。
何やら全裸でプラグ内に入るらしい。三人とも衝立のあるボックスで何度も洗浄され、
全裸のまま通路を歩いて行くらしい。
衝立があるのが憎らしい。僕の身長があと10センチあれば・・・・・

通路では僕が先に出て歩くことになった。お尻だとはいえ見られるのは恥ずかしかった。
渋っていると後方から
「何、恥ずかしがってるのよ!!男らしくないわね!!」
「相撲レスラーだっていつも、お尻くらい出してるじゃないの!!別にアンタの尻なんて興味ないわよ」
元気にして振り向いてやろうか?という衝動にも駆られた・・・・・がここは我慢した。

実験中、綾波のプラグに異常が発生した。そのためプラグは地上に射出されてしまい全裸のまま、プラグに監禁されてしまった。
それは長時間に及んだので会話を楽しむことにした。


モニター映像を見たくて仕方なかったのは否定しない。会話がそちら方向に向くと不意に綾波が
「碇君、私の映像入れてもいいわよ」と察した発言をしてくれた。

アスカ大激怒
「何、言ってるのよ!!アンタねぇ・・・ファーストの裸、そんなに見たいんだ・・・?
へぇ、いい度胸してるじゃない!?こんな美少女が一つ屋根の下にいるのにさぁ!?」

「じゃあ、あなたは見せたことあるの?」
「な、ないわよ・・・」
「だいたい、何するつもりなんだか・・・ヘンタイ」
「碇君、どうするつもりだったの?」

まずい、こっちに流れてきた。
「べ、別に・・・その・・・」
「フン!!どうせマスターベーションのオカズでしょ!?信じられない・・・あんなもの握りしめちゃってさぁ・・・」
「オカズ・・・?わからないわ」

チャンス到来。
「そう言えば、アスカ、トウジの見ちゃったんだっけ・・・・・」
「そうなの?セカンド・・・・・」
「ちょ、見たくて見たわけじゃないわよ・・・あれはその・・・」
「では、あなたは碇君の映像は見たくないの?」
「ハン!!別に見たって何ともないわよ!!ほら、さっさと見せなさいよっ!!」
「碇君、そう言ってるわよ。セカンドもマスターベーションのオカズにするのね」
「フン!!ほら、さっさと見せてみなさいよっ!!」
「そんなに見たいの?アスカ・・・?」

「光栄なんだけど・・・そういうプレイはちょっと早いと思うよ・・・」
「どんなプレイよ!!このヘンタイ!!」
すいません・・・・・温泉の酔っ払いがしてそうな会話もしてました。

「あのさ・・・・・迎え・・・まだ来ないんだね」
「もう!!早く来てえええ!」
アスカの絶叫がこだましておりました。






(Big mountain のUnityから。陽気なラブソングです。明るくなれる?)




















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