無事に全てが終わって、ヒトとして婚約者も獲て、幸せ絶頂な今の僕に恐いモノはないさ。
 ほら、学校だってレイと毎日来てるし。
 朝食だってレイの手作りさ・・・・・・ホントに幸せで恐いぐらいだね・・・・・・・・
 他の作品では虐げられることが多かったからさ・・・・・・・・

 

 思い起こせば、あれは・・・・・・・・・ん、レイっ!
 幾ら暗いといっても、裸にバスタオルを巻いただけじゃないか!
 そ、そんな姿で迫られたら、流石の僕もケモノに・・・・・・・・なっ!
 まさか、あの洗面器は僕をめがけて飛んできているというのかい!! 

 

 かぁん!

 

 「フフン、結局僕はこういう役なのさ」

 「誰に向けて言ってるの、カヲル君?」

 その時の彼女の表情は・・・・多分、笑っていたと思う。

 

 

 

  


 使徒転生のアフターで、あくまでもカヲルの一人称を中心に進む意欲作(?)
 軟鉄のBoy Friend
 書いたエンターテイナー=緒方紳一だと思います、多分・・・・・


 

 

 翌朝

 

 

 「今日、転校生が来るらしいで!」

 「トウジ君、それは本当かい?」

 「あぁ、でも男言うとったなぁ・・・・まぁ、この街も来年には首都になるさかい、増え続けるやろな、転校生は」

 「ふ〜ん、そうなのかい。(でも、僕とレイの絆は誰にも邪魔は出来ないさ・・・フフン)」

 ガラッ

 「お、センセが来たで」

 「そうだね」

 

 「きりっつ、きよつけぇ、礼、着席」

 さて、このクラスお馴染みの洞木さんの号令も終わって、どんな転校生が来るのかな?
 レイと僕との間には何人たりとも入ることは出来ないけどね(ニヤリ)

 「え〜、今日も暑くなりそうですね・・・・・・・・・・・今日は皆さんに新しい友達を紹介しますよ。

 新しい友達か・・・・・ヒトは一人で生きていくことができない・・・だから、絆を求める・・・・
 その証の一つだね、フレンドという言葉は。

 

 ガラッ

 

 「あっ!?」

 

 「カヲル〜、どないしたぁ?急にそんな大声出しよって・・・・・とち狂ったんかいな?」

 「シ・・・・・シンジ君じゃないか!!」

 「誰やぁ、シンジって?」

 「どうかしましたか、渚君?」

 「いっ、いえ・・・何ともないです、先生」

 「じゃぁ、柳原君、自己紹介を」

 ヤナギハラ君か・・・・・・禁断の果実を囓るのも悪くないね(ニヤリ)

 「カヲル〜、さっきからなんやぁ、ほんま気色悪いでぇ」

 「フフッ、何でもないよ、トウジ君・・・・い゛っ!」

 なにか・・・・・・冷たい視線が・・・・左後方からっ!
 ま、まさか気付いたのかレイっ!
 落ち着くんだ、落ち着くんだカヲルっ!
 自分が今、何のために此処に来たのか、何のために此処に居るのか、それを考えるんだ。

 シンジ君、改めレイと一緒になる為なんだ!

 そのためには、なにがなんでも堪えるんだ! 

 「ふふっ、僕としたことが冷静さを失って・・・・・・・・え゛っ!」

 「ホンマいかれたンか、此奴は?」

 黒板に・・・・そんな、反則だっ!
 顔がそっくりなだけでなく、名前まで一緒だなんて!

 

 「柳原シンジです・・・・・・よろしくお願いします」

 「では、柳原君は・・・・・渚君の横に座って下さい」

 

 

 ふふ、最近は転校ラッシュで席に余裕がないから、偶然にも僕の隣しか空いてないのさ!
 ということは、此処に来るということが確定している。
 当然・・・・・・・だね

  

 

 「やぁ、シンジ君。僕はカヲル、渚カヲル。折角隣同士になったんだし親しみを込めてカヲルって呼んでくれると嬉しいな」

 あぁ、そのちょっと桜色に染まりつつある頬がシンジ君を彷彿させるよ!

 「・・・僕も、シンジで良いよ」

 うん、好感触だね。
 しかし、このやりとりのパターンは・・・・あの時のと同じだ!

 「いや、シンジ君って呼ばせていただくよ」

 そう、彼はシンジ君とそっくりなんだ。
 顔だけではない
 仕草、行動パターン、声・・・・なにをとってもそっくりなんだ。
 特に、その照れた感じの笑顔!
 駄目だね、もうシンジ君の虜になりそうだよ。
 レイ、僕のつまみ食いを許・・・・・駄目ですか?
 だって、君に似ているんだ!
 どうせなら、三人で楽しもうじゃないか!

 

 「後でゆっくり、君のことが聞きたいね」

 「えっ(赤面)・・・・・どういうこと・・・・・」

 「気になるってことさ、シンジ君のことがね」

 「え゛っ!」

 「フフ、気にしなくても良いんだよ」

 

 

 

 

 さて、流れる時間とは早いモノだね。
 もう昼休みになってしまったよ。
 さて、いつも通りレイの所お弁当を取りに行こう。

 

 う゛っ・・・・・近寄りがたい・・・・・・・まさかっ、ATフィールドなのかい!
 でも、レイが僕のお弁当を持っているんだ。
 話し掛けなきゃ昼食抜きなんだ!

 「あ・・・レイ、お弁当を・・・・」

 「ダメ」

 な・・・・即答?
 僕を拒絶するというのかい?

 「なっ、なぜなんだい?」

 「カヲル君はボクを裏切ったんだ・・・・裏切ったんだ・・・裏切ったんだ・・・・ブツブツ

 「そ、そんなことないさ。僕の中にはいつもレイだけだよ」

 それは、シンジ君も同位だということさ。

 「そんなの、ボクにはわからないよ」

 「そっ、そんな!」

 

 

 結局、レイはお弁当は渡してくれたけど、口をきいてくれなかった。
 これも試練だというのかい、リリン?
 果実を二つとももぎ取るのは、許されざる行為なのかい

 

 

 

 「カヲル、ネルフ行く時間やで!」

 あ、そうだ!
 今日は久しぶりに訓練があるんだ。
 ここのところ無かったというのに、なぜまた再開を決めたのだろう。

 「そうだったね、トウジ君・・・・・先に行っててくれないかい?」

 「ほな、電車で会おか」

 よし、とりあえずレイに話し掛けるオフィシャルな口実が出来たよ。

 「さぁ、レイ・・・・って?」

 もう教室にはいないじゃないか!

 「どうしたの、カヲル君?」

 「あ、シンジ君。済まないが僕はこれから用事で早退するんだ」

 「そう・・・・・・・大変だね」

 「近い内に・・・僕と禁断の果実を囓ってみないかい?」

 「えっ・・・・・」

 「誘ってるのさ、君のことをね。それじゃ、また明日」

 

 

 

 「裏切ったんだ・・・やっぱりボクの事を裏切ったんだ・・・・・・・」

 「どうしたの、レイ?・・・ヒッ!」

 おや、どうしたんだいアスカちゃん、ヒッ!だなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・僕は何も見ていない。

 

 

 さて、靴を履き替えるのに手間がかかるね
 今度から草履でも履いてこようかな・・・・あ、レイがいるじゃないか。

 「あ、レイ!居たのかい?」

 「やっぱりカヲル君はボクを裏切ったんだ・・・・」

 「なっ、どういうことだい」

 「禁断の果実(ボソッ)」

 「なっ・・・・・・それは・・・・・」

 「酷いよ、カヲル君・・・・・・・・・・」

 あ、レイ・・・頼むから泣かないでおくれ
 君の涙は見たくないんだ
 性別なんか等価値なんだ、僕にとってはね
 大切なのは僕の好みかどうかなんだ

 「説明になってないよ、カヲル君」

 

 ドゴッ

 

 「あうっ!」

 「それじゃ、ボクは先に行くから」

 「バックの角でなんて・・・・卑怯だよ、レイ・・・・・あうっ」

 

 

 ふぅ、レイのバックの角攻撃で三十分も遅刻してしまったよ。

 

 「カヲル君、ちょっと良いかしら?」

 「なんでしょうか、ユイさん」

 「後で司令室に一人で来なさい♪」

 「はい(まさか、もうばれたんじゃないだろうね?)」

 この日、僕のシンクロ率は起動指数ギリギリだった。

 

 

 「ユイさん、よろしいですか?」

 「あぁ、カヲル君、入って」

 「じゃ、失礼します。で、なんでしょうか?」

 「今日、貴方のクラスに男子転校生が来たわね?」

 うっ、そのことなのかい?

 「えぇ、来ました。名前は「『柳原シンジ君』」ね?」

 「どうして知ってるんですか?」

 「あら、私はネルフの指令でレイの母親よ?知らないわけないでしょう♪(ニヤリ)」

 まっ、まさか・・・・・ここでおこすつもりなのかい?

 「で、シンジ君がどうか?」

 「彼、戦自が送り込んできた第二のスパイなのよ」

 「なんだって!!」

 「ええ、ホントよ」

 「彼をネルフに匿うことは出来ないでしょうか?」

 「それは出来ないわね、カヲル君が禁断の果実を囓ろうとする限り・・・それに、あのコ、レイにそっくりね(ニヤリ)」

 な、何故それを知ってるんだ!
 ・・・・いけない、平静を装っておけば・・・・・・

 「なんですか、禁断の果実って?」 

 「レイが泣いてたわよぉ、カヲル君が裏切った、って」

 なっ!

 「・・・・・・ホントですか」

 「娘を泣かせるような男は、親としてはほっとけないわね」

 「ちょっ、ちょっっと待って下さい!」

 「問答無用よ!」

 「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」

 

 

 

 ふぅ、疲れたよ
 あの体力・・・・・・・・・・ユイさんは一体何者なんだい?

 

 

 

 さて、とりあえずはレイに謝らなきゃいけないね。
 夕食を用意しておいて、レイのご機嫌をとろうか・・・・・いや、わざとらしい
 MOETを手みやげに、ディナーに添えようか(中学生じゃないのか、お前は)
 いや、ここは既成事実を作ってレイを僕の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いけないいけない。
 あやうく犯罪行為に走るところだったよ。

 やはり、僕の魅力をもう一度再認識して貰わなきゃね。

 

 

 ふぅ、ホーム・・・住む家があるということは、幸せに繋がるということか。
 今の僕にはイバラの道に見えて仕方がないよ

 

 

 「ただいま、レイ」

 ・・・・返事は無しか・・・・つれないね。
 台所にもレイは居ないし・・・・夕食もないのかい!
 ん?置き手紙が・・・・・


 「なっ!夕食抜きだってぇ!!」

 ちょっと待てくれ!
 いくらなんでも、それだけは酷い。
 僕の生きる意欲が・・・・・・・・意味が無くなってしまう。

 

 ダメなのかい・・・・・・レイの部屋の扉には『入室禁止』って書かれた紙が貼ってあるし

 

 ・・・く、僕はめげないよ。
 レイとシンジ君、この知恵の実と生命の実の二つを手に入れるまでは!

 でも、あのシンジ君があのシンジ君と同じわけではないんだよね。
 顔や姿や仕草こそ似てるけど、完全に本物ではない。
 そこを分かって僕は動いているのかい?
 だいいちスパイなんだろ、彼は・・・・・・・・・

 いいねぇ、敵対する二人
 その間に芽生える愛

 燃えるシュチエーションだね!

 っと、話が逸れた
 でも、分かっているけど・・彼はシンジ君ではない。
 シンジ君には違いないけど、僕が本当に惚れたシンジ君ではない。
 僕が好きになったのは、碇シンジであって、柳原シンジではないんだ!
 そして、僕の今の本命はレイなんだ!
 だから、彼とは火遊び程度で良いんだ!!

 

 

 翌日

 

 

 

 う〜ん、目覚めの悪い朝だ。
 いつもならレイが起こしに来てくれて、それを僕がベットに引きずり込んで・・・・・・・・はっ!
 いけないね、ユイさんに聞かれたら殺されてしまうようなことを・・・・・・・・・・

 「私がどうかしたの、カヲル君?」

 「え゛っ!!まさかっ!」

 「ゆっくり聞かせて頂こうかしら、ね、カヲル君」

 「ふふふ、僕の運命は悲しみに・・・・・・・・・あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ!」

 

 

 ふぅ、朝から実にハードだったよ。
 早く学校へ行かなきゃ遅刻してしまうよ。

 しかし、シンジ君の情報がもっと細かく欲しいね
 このままじゃ僕が一方的にユイさんに搾りとられてしまうよ

 誰から・・・・・・・そうだっ!霧島君がいるじゃないか!(使徒転生にちょこっとだけ出てきた)
 彼女も戦自のスパイとか言ってたな・・・・・・・・
 よし、早速電話だ!

 

 

 トゥルルルル・・トゥルルルル・・トゥルルルル

 

 

 『はい、霧島ですが。』

 「やぁ霧島さん、元気にしているかい?僕はカヲル、渚カヲルだよ」

 『お久しぶり〜カヲル君!元気にしてたぁ?』

 「元気も何も、新しいスパイのせいで踏んだり蹴ったりだよ」

 『あ、シンジ君ね。どう、彼元気?』

 「彼のことを知っているのかい?」

 『だって、幼なじみだもん。』

 「それは良いねぇ、彼のことについて少し教えてくれないかな?」

 『別に良いけど・・・・・・どうするの?』

 「エデンの園へ導くのさ彼をね」

 

 その後、霧島君から非常に興味深い事が聞けたよ。
 お陰で今日はとても楽しい一日になりそうだ。

 

 そう、彼は男が嫌いなんだそうだ。
 ならば、それを逆手に取ってやるまでさ。

 

 時は進んで昼休み

 

 「シンジ君、ちょっと良いかい?」

 「な、なに、カヲル君?」

 「ちょっと、話があるんだ。ここじゃアレだから屋上でいいかい?」

 「おっ、屋上に行ってなにを・・・・・」

 「戦自」

 「なっ!」

 「さぁ行こう、屋上へ」

 

  

 フフン、上手く行ったね。
 屋上には僕とシンジ君の二人きりだ。

 さて、楽しい楽しい尋問を始めようか

 

 「さてシンジ君、君はどこから来たのかい?」

 「え・・・・・・どこって・・・・・なにが?」

 「前にいた場所だよ、何処なんだい?」

 「それは・・・・・・・・・」

 フフッ、困ってるね。でも大丈夫さ。すぐに苦しみから解き放ってあげるよ

 「戦自の少年兵なんだろう、君は?」

 「・・・・・・そうだよ、でもなんでカヲル君が?」

 「ネルフを嘗めて貰っちゃ困るよ。それに、君にも個人的に興味があってね」

 「・・・・・・・・・・・・・なに(ゾクッ)」

 おや、今にも逃げ出しそうな雰囲気だね
 でも、次で終わりだ
 これで君はここから逃げられなくなるよ

 「君は僕と同じだね・・・・・・・・・・・・・・」

 「どっ、どういうことだよ!」

 「辛い目に遭ってきたってことさ」

 「えっ・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「同性にも関わらず表情の中に異性を求めて迫る者もいたよ・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 「でも、お陰で分かったことがある・・・・・・性は等価値なんだ、僕にとってはね」

 「・・・・・・・・・えっ!」

 「もうどちらでも良いんだよ・・・・・・・・・・シンジ君、君も」

 「なっ・・・・・・・・止めてよカヲル君!」

 「フフッ、怖がらなくて良いんだよ・・・・・・力を抜いて・・・・・・・・・・・セイッ」

 「グフッ」

 「さぁ、行こうシンジ君・・・・・・・ネルフ本部へ(ニヤリ)」

 さぁ、シンジ君
 君はスパイだそうだから拷問を受けて貰うよ
 ユイさんにね!
 エデンの園を見るどころか、補完されてしまうかもしれない
 でも、それもさだめなのさ
 とりあえず、諜報部の皆さんによってネルフに連行して貰ったよ 

 

 

 さて、シンジ君も捕まえたし、もう心配することはないね。
 後はレイだけだ・・・・・・・・・・けど、それが一番問題だ。
 結局、僕たちは他人でしかないから・・・・・・・・・・

 やはり、此処は素直に謝るべきだろうか 

 「ただいま」

 ふぅ、レイは帰ってきてるかな?
 おや、また置き手紙かい・・・・・・・・・・つれないね・・・・・なんだって!
 ゆ・・・・・・・誘拐だと!
 戦自め!あの時の恨みなのか!
 それより諜報部の皆さんは何をしてい・・・・・・・・こんな所で簀巻きになってたよ
 なんて事だ、僕がしっかりしていないから・・・・・・くそっ!
 悩んでいてもしょうがない、探さなきゃ!

 ん、まだ手紙には続きが・・なになに、人質交換を条件とする?そう来たか、卑怯者め!(注:先にやったのはカヲルです)
 しょうがない、ユイさんに電話だ

 トゥルルルル・・トゥルルルル・・トゥルルルル

 『アラカヲル君、一体何かしら?』

 「あ、ユイさんですかっ!!!」

 『あら、どうしたのそんなに慌ててハァハァハァ ・・・・だめよぉ、そこで動くのを止めたら

 何か小さな声で妖しい声が聞こえたんだけど・・・・・・今は気にしない方が得策だ!

 「レイが、戦自に誘拐されました」

 『なんですって!ホラ・・・だめよ・・・ちゃんと見てるんだから・・・・ 『ハァハァハァ・・もうだめです』

 なにしてるんですか、お義母さんは・・・・・レイが捕まったというのに

 『あら、聞こえてるわよカヲル君・・・・まぁいいわ。すぐに対策するわ。なにか書いてない?』

 「捕虜の交換だそうです」

 『それは残念ね、折角新しいコを手に入れたのに(ニヤリ)』

 「・・・・・・・どういうことですか?」

 『対策はしておくわ、カヲル君は家で待機していて頂戴。』

 「でもっ、レイが!」

 『心配ないわよ、私の娘ですもの・・がちゃっ!ぷー、ぷー、』

 だから心配なんだけどね・・・・・・
 ・・・・・・・やはり、自分で行こう・・・・今の僕は無力だから、加持さんに頼らなきゃいけないけどね。

 さぁ、待っていておくれ、レイ
 僕が必ず・・・・・・・

 トゥルルルル・・トゥルルルル・・トゥルルルル

 誰だいっ、こんな時に電話を掛けてくるなんて!

 「はいっ、カヲルです!」

 『カヲルく〜ん、元気ぃ?』

 なんだ、霧島さんか・・・・・
 そうだっ、霧島さんなら!

 とりあえず、平静を装って・・・・・・・

 「で今僕に小声で電話を掛けてくるなんて、なんのようだい?」

 『「取引がしたいの。』

 「どういう内容なんだい?」

 『人質の碇レイの居場所を教える代わりに・・・・・・』

 「代わりに・・・なんなんだい?」

 『ワタシとシンジをネルフ側で匿って欲しいの。』

 「なんだって!!本気かい?」

 『じゃなきゃ、こんなこと言わないわ。こっちも必死なのよ!』

 「声が大きいよ・・・・・でも、良いのかい?」

 『シンジとはこの計画が始まる前からずっと話し合ってきたから大丈夫よ!』

 「そうかい、それなら良いんだけどね・・・・・・・・・・・」

 今、彼がユイさんによってどんな目に遭っているのかを知らないから・・・・・・・・・・

 『で、亡命できそう?』

 「相談してみるよ」

 『じゃぁ、五分後にもう一度ね』

 やれやれ、じゃ、ユイさんに相談してみますか

 

 トゥルルルル・・トゥルルルル・・トゥルルルル

 『あらカヲル君、またどうしたの?』

 「実は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 結果的に、霧島さんの案を受け入れることになったよ。

 で、彼女に僕は戦自を出る理由を尋ねたんだけど、その理由が・・・・・・・・ 

 『だって・・・・シンジとの・・・・・・・・・』

 だったんだよね。
 でも彼は今、ユイさんの・・・・・・・・・やめておこう。

 

 

 結果的に、レイは無事に救出されたよ
 だが、その救出の仕方が凄くわざとらしかったね・・・・・・・・・・・・

 ユイさんが即興で作ったシナリオ・・・・・・・・・・今思えば、あれは完全に僕に浮気をさせないためのシナリオだったよ。
 あんな場面で二人だけで・・・・・・・・・だなんて・・・・・・・なんて・・・・まぁいいさ。
 お陰でレイとは溝もなくなったし、レイとのハートフルな生活に向けて更に前進したしね。

 でも・・・レイがあの時、お義母さん譲りのニヤリをしていたのは・・・・・・・・・・

 

 

 

 おまけ

 

 報告書

 担当者・霧島マナ

 本日22:18に、加持リョウジ三佐率いるネルフ特別編成チームが戦略自衛隊・碇レイ誘拐班を急襲

 中略

 碇指令の娘、碇レイは無事に救出
 なお、救出は警備が手薄だったこともあり、碇指令の命令により渚カヲルが単独で担当。
 その際、要救助者と渚カヲルは長い抱擁の後、熱い口づけをかわしていたが、抱擁の際に要救助者が何かを呟いていたが、呟き終えた後の要救助者の表情は背筋がゾッとしそうな程不気味なニヤリだったのも記しておく。

 

 

 更にオマケ

 

 

 「良くやってくれたわね、霧島さん・・・いえ、マナちゃん」

 「ええ、私とシンジの未来のためですモノ、お義母様」

 「そうね、そうだったわね」

 「「全ては私たちのシナリオ通りに!!」」

 

 

 

 柳原シンジと霧島マナは、碇司令によって引き取られ、柳原シンジに至っては碇と姓を変えた。
 説明には、ユイの甥、という説明文まで添えられた。
 これで彼は、正真正銘碇シンジとなってしまったのである。


 そう、全ては仕組まれていた。
 マナはシンジがスパイとして送られることを知った際、加持リョウジに連絡を取った。
 条件は、戦自の新たな計画のリーク
 そして、ユイのもとへ話が行き、この話は一度宙に浮いた。
 だが、突然ユイからゴーサインが出た。

 

 

 

 ちなみに、そのゴーサインが出たのは柳原シンジの事をユイがレイから聞いてから、五分後だった。。

 

 

 

 

 

終了

 


 後書き

 夏休みに貧血を起こして倒れ、「愛と幻想のファシズム」を読んだ際に、この電波は再びやって来ました。
 ネタばれですが、シンジがつけていた柳原という名字は「愛と幻想のファシズム」に出てくるキャラからとりました。
 今は、この作品を引き受けて下さった怪作様に精一杯の感謝を。 
 そして、受験生にもかかわらず書き続ける自分に天誅を。

 でも、まだ続きが書けそうですね・・・・・・
 学園モノとかに走って四(五)人のドタバタ劇を・・・・・・・・

 とにかく、ここまでお読みいただき有りがとうございました。


 緒方さんから素敵なお話をいただきました。

 前作までのお話で幸せを手にしたカヲル。
 そのカヲルの前に意外な人物、シンジの登場ですな。

 カヲルも禁断の果実をとか二つ果実をもぎとるぞとか‥‥浮気じゃないですか。
 見事に逝っていることがわからないですね、カヲル(笑)

 このお話、とにかく女性キャラが強いですなぁ‥‥。

 マナはマナで‥‥うむ‥‥この計画を売り込んだのは彼女ですし。
 レイもカヲルに『救出』されてニヤリ笑いを‥‥。

 とにかく、男性キャラが喰われてますなぁ‥‥<いろんな意味で(爆)

 ユイさんに至っては、もうひたすら搾り取っている(謎)し‥‥。カヲルにまで手を出すは、計画に賛同したのはシンジを味見することを思いついたからで‥‥ゲンドウ以上の外道?(爆)

 なかなか、良かったのです。
 みなさんもぜひ緒方さんに感想メールを出してください♪

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