「今日も・・・・」
 と、トウジが言えば
 「平和だねぇ・・・・」
 とケンスケが付け足す。

 毎日お馴染みの光景が繰り広げられていた。


 時に2015年
 世界はサード・インパクトの危機を乗り越え、まぁ平和だった。
 サードインパクトで人類を一度絶滅の危機に晒しながら、結果的に世界を救ったネルフ。
 その中で、最も注目を浴び、隠匿された存在。

 5人のチルドレン

 彼らは、元の中学生に戻った。
 そして、2016年
 中学三年生となる。



 葛城ミサト・加持リョウジ・赤木リツコの三十路(直前)トリオは既にこの世にはなく、
 シンジとアスカは新たな保護者を迎えて同居を続けていた。
 それが伊吹マヤ(当時26歳)

 その中で3年1組 伊吹マヤ先生 誕生
 担当は数学、物理、生物、科学、英語、というか何でも可、一応英語科教師
 人気は上々
 ケンスケの写真の売り上げも上々
 だが、実体はネルフからまわされたシンジの保護者
 それについて約2名のコメント
 「「またシンジかよっ(かいなっ)!」」



 だが、彼ら二人の言っている「平和」は、当然そのようなことではなかった。

 

 「ホンマ、ようやるわ」

 「イヤ〜ンな感じ」

 彼らにしてみれば、それしか言いようがない

 

 その原因の源

 碇シンジ
 世間様曰く「英雄」の少年
 実際は、ただの少年。
 その彼の性格、優柔不断
 そして、「他人を傷つけることに対する絶対的恐怖」
 争いは好まない

 だが、その光景を作り出しているのは4人の少女

 彼女たちの親友、洞木ヒカリ曰く
 「みんな良い人だし、仲もいいんだけど、碇君のことになると変わるのよね。」

 その4人

 「碇君は私が護るもの」を大義名分に掲げつつ、何故か性格が大異変し
 今じゃ普通の中学生と化してしまったが、それこれもシンジから影響を受けたため。
 とにかく、男はシンジしか見ていない少女

 綾波レイ


 「シンジがいなかったら誰がアタシの面倒見てくれんのよ?責任取りなさいよっ、シンジ!」と
 保護者付きとはいえ、いまだに続く同居を依代にあわよくば「婚約」を取り付けようと画策する。
 だが、シンジ以外の男に頼る事はもはや出来ない少女

 惣流アスカ


 「シンジ君と似てない方が良かった」と言いつつ、似てなかったらシンジと親しくなることもなかったし
 シンジの内面を見ることが出来なかったと考え、丁度父親の再転勤も手伝い
 決意新たに第三新東京市に舞い戻ってきた少女

 山岸マユミ


 「また、逢えるよね」そう、再び逢えた。箱根湯本で別れてから苦節半年
 スパイだった自分を最後には受け入れてくれた少年と
 既にこの世にはいない加持のお陰で自由という翼を備えて舞い戻ってきた少女

 霧島マナ

 

 

 まぁ、そろいも揃った中学生にしてはハイレベルなのばっか。
 両手に華どころではない。
 だが、それがシンジにとっては最大の悩みだった。

 

 

 

 シンジの
手作り
による

弁当

 1週間独占
して食べられる
権利
争奪戦

 第週目
書いたヤツお方 緒方紳一

 

 

 

 ともかく、何時も通りの昼休みだった。
 ちなみに金曜日、あと午後の2時間が終われば後は連休である。
 だから、気分はいつもより軽い。
 だが、アスカの弁当の中のハンバーグが、マナによって取られたことが全ての発端だった。

 「どうしてアンタは平気でアタシのおかずを取るのっ!!」
 アスカのお弁当は、言うまでもなくシンジの作った物
 味はぼちぼち、まぁまぁ、不味くはない。
 だが、丁寧に作ってあるし、なによりもアスカの好みに合わせて作ってある。

 その、同居人(シンジ)が(アスカの為だけに)作ってくれたお弁当の
 更にアスカの好きな物ランキングで上位を占めるハンバーグを取るなど、もってのほか

 「悪いわねぇ、美味しかったわよ、シンジの作ったハンバーグ♪」
 そして、平気でアスカを挑発するマナ
 あえて云うならば、宣戦布告


 屋上は何時も通り、一瞬触発状態に陥った。

 「ホラッ、アスカ・・・僕のをあげるから・・・・」
 シンジがなだめようとする。
 だが、キレた少女は聞く耳を持たない
 「だいたいアンタが悪いのよ!いっつもそうやってアンタがこの女を甘やかすからこいつがつけ上がるんじゃない!!」
 一部正論、だが、シンジが甘やかしているのはマナではなくアスカである。

 だが、第三者介入

 「碇君・・・・・そのきんぴらごぼう、頂戴。」
 「あぁ、良いよ、綾波。」

 シンジは特に気にすることなく、きんぴらごぼうをレイにあげた・・・シンジの箸で

 その結果、二人の少女の目が一部に集中する。

 「言ってるそばからぁ!!!」
 「綾波さんっ!抜け駆けは卑怯よっ!」
 「狡いですっ!綾波さんまで」

 「「「「「「「えっ!?」」」」」」」

 四人目介入

 だが、いつもは大人しすぎて存在感が薄すぎた少女

 「なっ、マユミまで・・・・・」
 アスカがたじろぐ
 予想外の敵の出現は、アスカだけでなくその場にいたレイ以外の人物を驚かせた。カヲルですら驚いた。


 「きっ、きっ、きっ、貴様は敵だぁシンジィィィィィ!!!!」
 ケンスケは何故かその場から涙を流して走り去った。

 その理由が解るのは、彼の数少ない友人トウジのみ
 「ケンスケも哀れなやっちゃ」
 その彼はヒカリのお手製の弁当に満足しているため、争いを遠くから眺める事が出来る。
 だからこそ言ってしまった。
 「そこまでしてシンジの弁当を食いたいンなら、勝負して決めりゃいいんやないか?」


 この言葉は、少女達のハートに火を付けたどころか、ニトログリセリンをジャブジャブ注ぎ込んだ
 特にマナの


 「なにふざけたこと言ってんのよっ!!」
 アスカが切り返す。
 トウジの「勝負」発言は非常に拙かった。このままでは押し切られてしまう。

 しかし、マナのハートにニトロはばっちり点火した。
 「そうよっ、アスカだけシンジの作ったおべんとを独占できるのは卑怯よっ!」
 更に、レイまでも加担する。
 「私だって、碇君が作ってくれたお弁当、食べたいモノ」
 そしてマユミまで
 「私だって・・・食べたいんですから。」

 アスカにとって、予想外だったのはマユミの強い意志だった。
 珍しく自分を出して来ている相手、特にマユミの場合、力で押し切ったらイジメになりかねない。
 だが、よく考えてみたら勝てば何事もなかったかのように食べられるのである。
 いざとなったらもう一つ作らせればいい。


 ここで、件の人物。シンジが自分の中に湧いた疑問を出してみた。
 「あの・・・・・僕の都合は・・・」
 「却下(に決まってるじゃない!!ね。よっ!!です!)」
 だが、返ってきた答えは四人揃って予想通りだった
 「だ、誰か僕に優しくしてよ・・・・・」
 あまりの状況の動きに、シンジは現実逃避を始めた

 だが、そこに手を差し伸べた者

 「大変だね、シンジ君は」
 カヲルが優しくシンジを慰めた。
 「ありがとう・・・・カヲル君」

 どうやって帰ってきたか分からない、っていうかどさくさに紛れて今じゃ普通の中学生
 渚カヲル

 いつの間にか形成される紫色のフィールド
 これにはトウジもヒカリも突っ込む余地はなかった。
 が

 「「「「なにやってんのよぉ(してるの・してるんですか)!!!!!!!!!!!!」」」」
 少女×4、フィールドを浸食

 カヲル、処刑される
 「ふふ、シンジ君、真実は君と共にある・・・ゴメンよ、力になれなくて」
 「カ、カヲル君!」

 この時、トウジの視界の中に宙を舞う銀髪の人型物体が入った。
 ヒカリの視界にも入った。

 だが、あえて無視した。

 『『関わったら命がない』』
 よく現実を理解しているから。

 

 

 何はともあれ、勝負が決まった。
 毎週土曜日に、シンジの作った弁当5日間分を掛けること

 

 だが、シンジには分かっていた。

 

 『どうせ喧嘩になるんだ』

 ということらしい
 だが、この予想は良い方向で裏切られていく。

 

 「ぜ〜ったいに負けないわよっ」

 「碇君のお弁当・・・・負けられない」

 「シンジのおべんとが掛かってるんだもの、負けられないわ」

 「シンジ君のお弁当・・・・負けられません」


 4人の少女の思惑が交錯する中、戦いは翌日始まる。
 だが、この時は誰も気がついていなかった



 「いただきま〜す♪」
 職員室で嬉しそうにおかずをほおばる女性・伊吹マヤ
 彼女もシンジお手製の弁当にありついていることに



 第壱週の勝負内容

 目の前にシンジに作らせたケーキを置き、誰が一番我慢できるか?
 最後まで我慢した者が勝者らしい。

 

 なお、カヲルの参加は全員一致で却下された

 

 

 「なに、結局僕が作るの?」

 

 そうです。他に誰が作る?

 

 「洞木さんだって作れるし、なんならマヤさんだって・・・・・」

 

 シンジが作らなきゃ意味がない。

 

 そういうわけで訳で、予告
 次回 第壱週
 「我慢、それは非常に辛いこと」


 後書き2000(もあと少し)

 ども、緒方です。
 受験終了なので、指先の思うまま書いてみました。
 そしたら、こんな風になってしまいまいた。
 ・・・・・・なにか、溜まってるんでしょうか。
 とにかく、続きます。
 第四週まで・・・・保って第伍週かと


 受験終了して気分はワオ!な緒方さんから投稿連載を頂いてしまいました。

 シンジ君、もてもてでいいことです‥‥なんだか彼を餌に争奪戦が始まって、それでもってまったく意見を挟むことの許されないその争奪戦を彼が準備しなきゃならないみたいですねぇ

 いいことです(爆)

 次回以降のスパークするシンジ争奪戦、楽しみですね。

 緒方さんに感想メールを送って続きをお願いしましょう〜

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