ひどい!
ひどすぎるわ!
世の中おかしいわよ!
愛し合う二人のじゃまを何でするの!?




僕は18歳の時、エープリルフールにアスカと入籍した
“うん、この紙切れが僕の人生を変えるんだな”なんて思いながら区役所の窓口に向った

入籍して、しばらくしたころ、アスカがプンプンおこって仕事から帰ってきて




校長がわたしに「父母の手前もありますからこれからもしばらくは“惣流”でお願いします」
なんて抜かすのよ!?
まったく!
どうなってるの?
うちの表札だってわざわざ作り変えたのよ!?
一体なんだって言うのよ!?
誰にも迷惑なんてかけちゃいないわよ!




とうさんとかあさんも僕が大学を出て働くまでは、今まで通りの生活をしろって
正直、僕もアスカと…おねえちゃんと二人で暮らすのはまだ恥ずかしいからそれでいいんだけど…
アスカは…




ひどい!
愛し合う二人を引き裂くなんて!
おじさまもおばさまもひどいわ!
孫の顔、見たくないの!?

ふん!

まあ、それはさておき
今年は4年ぶりにシンジと初詣!
シンジが高校生の間、ずぅ〜っと!我慢してたんだから!




僕が高校に通ってる間、アスカは僕の学校の先生なわけで
その二人が仲良く手を繋いで初詣…ってわけにも行く分けなくて
まあしょうがないかなって
だから今年は4年ぶりにアスカと初詣
楽しみだな
ああ…だけどとうさんに“お年玉も今年が最後だ”って言われて…
これが大人になるってこと!?




シンジが迎にやってきた
「あけましておめでとうございます!」
「あけましておめでとう、シンジ君」
出迎えたママは義理の息子を笑顔で迎え入れる
わたし?
コタツから出られないの
しょうがないでしょう?




居間に入るとアスカがコタツで丸くなってて
「おめでとー」ってだらしない新年の挨拶
一応、僕…夫なんだけど

僕がコタツに入ろうとするとおばさんが
「はい、お年玉」
おばさん!あなたはやっぱり素晴らしい女性です!




シンジったら子供みたいに喜んで
それにしてもそんなにめずらしいのかしら?おせち




毎年だけど…すごい
これを作ったのが外人さんだって言っても絶対に誰も信じないよ
大体、僕の家のおせちなんか毎年出来合いだし
おばさんてほんとに外人なの?




家族三人でお雑煮を食べて外出の準備
ああ…もう…
わたしたちが入籍してから、ただでさえシンジに甘かったママはますます上機嫌
「家付きババ付きだけどアスカの事一生面倒見てあげてね」
ですって

まったく…シンジが出かける準備始めたら、上着まで着せてあげちゃって

ママってあれよね…ツンデレ

シンジのこと私の恋敵かってくらいかわいがって
そんで、シンジが中学生の時は鬼教師で
でも家に帰ってくるとあきれるくらい甘やかして
しかも、中指立てられたあの日からは、ますます甘やかすようになって
シンジの成績がパッとしないと「私の教え方がいけないのかしら…」なんて暗い顔して
入籍してからはシンジの顔見る度に潤んだ目で「もう“おばさん”じゃなくて…ママ…ママでいいのよ」ですって
はぁ…
その優しさの一割で良いから私にちょうだい

それにしても…
ほんとに…
ほんとにもう…しょうがないなぁ




なんだよ…
アスカってば「わたしじゃなきゃダメね…」なんて言いながら
シャツの色まで口出して…
世話焼きっていうか…
マフラーなんて何でも良いじゃないか…




ほんとにダメね
甘やかすだけじゃダメ
やっぱりわたしじゃなきゃダメね
「うるさいなぁ…」なんていって
なまいき
もう…マフラーもちゃんと選べないの?




今年も家族の安泰と僕の成績についてお願いをした
アスカは「さむいからとっとと帰りましょう」って
…まあ多分寒いだけじゃないんだろうけど




う〜ん
元旦から生徒に出くわすとは…
「惣流先生!あけましておめでとうございます」
まではいいんだけど
私の横にいるシンジをみて
「え…旦那さんて…え!」
とかいってシンジ指差して
わたしたちが繋いでる手を見て、シンジを見て
「碇先輩だったの!」だもん
なによ!
文句でもあんの!
もうオネショはしないわよ!?




ははは…
しょうがないよ
僕の高校のときのあだ名が

“被害担当”

常に惣流先生に“眼の敵”にされてたから…
まあ本当は僕をいじめて楽しんでただけなんだけど…




「さぁ、あなた、行きましょう」
わざとらしくそう言うと
シンジの手を引き、呆然とする生徒から離れた
お札をもらってとっとと帰りたいわ!

ふふふふふ…
ママ…
わかってるわね?
あぁ!もう!早く帰らなきゃ☆




家に戻るとおばさんが
「じゃあおばさんシンジ君のおうちに挨拶に行ってくるから」
って言って…
う〜ん
気…使ってくれてるんだ…




いいわよ…ママ
もう共犯者だもんね?
白々しいくらいじゃない

後は任せて☆
かわいい孫の件!
了解!了解!




こたつに潜り込んでおせちをつまんでるとアスカが
「お正月なんだし、ね!」
なんていいながらカンチュウハイをたくさん持ってきて
一応…僕…まだ未成年だよ?惣流先生?




ふふふふ…
ママの調査によると
シンジのパパは酒もタバコもやらない…のではなく
めちゃくちゃ弱い!

んふふふふ…
シンジってば、性欲は人一倍のくせに避妊はしっかりするもんだから…
これじゃあいつまでたっても碇家からシンジを取り上げれないじゃない!

そんなわけで私が立案しママが全面支援してくれた
「お正月なんだし、お酒も入ってたし…しょうがないんじゃない?」作戦!
発動!

まずは第一段階!
“ジュース感覚のお酒でほろ酔い加減!”




うん
悪くないね、お酒も
それにアスカも「せっかくのお正月なんだから飲んで!飲んで!」って言ってるし
大人の階段登ってる感じ




ふふふ…
いい感じじゃない!
じゃあ第二段階突入!
“私がカクテル作ってあげる!”





甘くておいしい…
それにおねえちゃ…アスカが僕のすぐ横で僕にお酒作ってくれて…
うれしいなぁ
僕…おねえちゃ…アスカのこと大好きだし…

ん?
うぅ〜ん




ぬふふふふふふ
かなり来てるわね!
それにしても、シンジ抱えてトイレに駆け込むなんて何年振りかしら☆
「おねえちゃんおしっこ」って言い出したときにはちょっとビックリしたけど
マイダーリンてば、酔うと甘えるタイプなのね☆

それじゃあそろそろ最終段階!!!!!!




うぅ〜ん
きもちいい
とくにこの“ボドカ”っておさけ…
ぱぁ〜ってなって…
うぅ〜ん




おほほほほほ!
シンジったら、大酒のみなんだから☆
さっきからグラスにウォッカなみなみと注いじゃって!
もうフラフラじゃない!
もう!
そろそろね!…って…あれ?




「おねーちゃん…だっこ」
ぼく、おねえちゃんのおっぱいぷにぷにしたい
だってだいすきなんだもん




あららららら?
だっこはいいんだけど…
これはちょっと予想外…っていうか…
うん…
じゃあしょうがないなぁ
「はい、おいで」




おねえちゃん…ぼくのひざのうえにのっかって…
ぼくのこと“ぎゅぅ〜”ってしてくれて
きもちいい

あれ?…なんでおねえちゃんおっぱいだしてるんだろう?

ぼく…おねえちゃんだいすき
ぼく…おねえちゃんのことおよめさんにするんだ…
あれ?…もうおよめさんだっけ?

「ねえ…おねえちゃん」




「なぁに?」
あれぇ?
おっぱいに顔埋めるだけ?

いつもなら私のおっぱい見て、照れながら
「途中でアスカのこと『おねえちゃん』って言っちゃってもおこんないでね」
とか言いながら私のことゆっくり…

うぅ〜ん
なんだかちょっとアレだけど
こんなのも…悪くないなぁ

「シンジ?おねえちゃんになにしてほしいの?」




んん?
台所から食器洗う音が…
あれ?
なんで僕ベッドにいるんだ?
ちゃんと寝巻き着てる…
アスカも…胸はだけてるけど…寝巻きだ…
うっ…
あ…頭が…わ…割れそう…
み…水…
ん?枕元にあるじゃないか…




シンジが豪快にウォッカを噴き出す音で目が覚めた
シンジってば
「おねえちゃんのおっぱいちゅーちゅーしたい」
っていいだして
ベッドに酒瓶片手にフラフラと向って
期待してついていったら、寝巻きに着替え始めて
寝巻きはだけながらも悪くないかとか思ってたら
結局シンジってば本当におっぱい吸いながら寝ちゃって…

なんだか拍子抜け

ふふふ
でもいっか!
だっておっぱい吸いながら何回も
「おねえちゃんはぼくのおよめさん」
ってうれしそうに
…うん!
まあもうちょっと“おねえちゃん”を味わおっかな!

「ほらもうシンジ…これ飲んで」




最悪だ…
最悪の元旦だ…
頭はガンガン…
新年早々アスカから二日酔いの薬もらって…

でも何でだろう?
なんだかとってもすっきりした感じ…
くすりのおかげかな?




しょうがないな
まだまだ甘えたいんじゃしょうがないか
なんたって私はシンジの“およめさん”で“おねえちゃん”なんだから☆

ママッたら、洗いもの終わって部屋を覗きに来て、わたしたちが寝巻き着てるのみて
え!?って顔して
中指立てれないのがちょっと残念そう

ごめんごめん
いまは母親になるより、もうちょっとシンジのおねえちゃんでいたいかも

やっぱり私、シンジが大人になりきるまで“おねえちゃん”でいいや!

「シンジ!」




うぅ…頭に響く…
「なに?」




「たまになら…うちの中なら“おねえちゃん”って呼んでもいいわよ」

シンジってば“はぁ?”みたいなかおしちゃって…
「わかったよ…おねえちゃん」
ですって!

まあしょうがない!
女としては少し残念だけど
わたしとしては嬉しいしね

「シンジ!」




「あん?」
なんだろう今日は…随分とアスカ…ご機嫌だ




「はっぴーにゅーいやぁー!」



フォークリフトさんから新年あけましておめでとうのお話です。
クリスマス編もあわせて、素敵なお話になっているのです…upが遅れて申し訳ないですね、はい…。

ぜひフォークリフトさんへの感想を掲示板にお願いしまっす。

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