目が覚めれば思い出せないけど

ぼくは毎晩夢を見る

これより先も…これより前も…

この場面も…
何度も見てきたんだ

大きなおなかをしたアスカ…
そのおなかにそっと耳を当てる僕…
「二人とも早く出ておいで」
僕はおなかの子に話しかける
「安月給なんだから、大変になるわよ」
意地悪だなぁアスカは
でも
「がんばるよ、二人のためにも」
「いいわよ、がんばらなくても。落ち着いたらまた私が仕事に戻るから」
ほんとに意地悪だなぁ

でも…大好きだよ
アスカ

また僕はおなかに耳を当てる
「…動いてる…こっちにおいで…ここはとっても素晴らしい世界だよ」
アスカが僕の頭をなでながらつぶやいた

「ほんとに、素敵な世界だわ…」



右手が痛み始めた
せっかく夢を見てたのに…
あぁ
目が覚めちゃう


「シンジ…シンジ…」
アスカちゃんの声が聞こえる

ゆっくりとまぶたを開く

右手が裂けてしまいそうに痛い
アスカちゃんが起こしてくれる

「ほら、お薬飲みましょう」
薬を飲ませてくれた

すぐに痛みが消えてゆく

とてもいい気分だ

何も考えたくない

でも…
「ありがとう…アスカちゃん」



今日は日本に到着する日だ

あれから3日間
アスカちゃんはずっとそばにいてくれた
着替えも
ご飯も
トイレも
全部アスカちゃんが手を貸してくれた
それに全然右手が動かない
それでもアスカちゃんは

「もう!甘えてばっかり!」

って怒ったりしながら
でも
とっても楽しそうな顔で僕の面倒を見てくれる

僕はアスカちゃんと一緒にいたいから
なるべく薬は我慢した
だって
薬飲むと眠くなるんだ

それでなくても最近ボーっとしちゃって
「あん!もう!ほら!こぼさないで!」
アスカちゃんに迷惑かけっぱなしなのに

今も少しボーっとしてる


アスカちゃんが僕の身支度をしてくれてる
もう船の外は日本なんだ…


荷物を持って立ち上がるとアスカちゃんが
「もう!」
って

なんで怒ってるの?

そのままアスカちゃんは僕の腰に手を回すとささえてくれた


向こうに黒い車が見えた
女の人が降りてきて手を振ってる
あれって

「リツコさんだ」

わざわざ迎えに来てくれたんだ
確か仕事はお医者さんっていってた

車のところまで行くとリツコさんが運転手さんに荷物を積み込ませてくれた

車の中はふかふか
ドイツの車よりいいかも

リツコさんは車が動き出すと
「アスカちゃんようこそ日本へ」
アスカちゃんに笑顔で挨拶
僕にも
「お帰りなさいシンジ君」


リツコさんは楽しそうに
「びっくりした?」

した
だってこんな車で迎えに来るなんて
アスカちゃんの所の人みたい

「ごめんなさいね、秘匿事項でね、私本当は医者じゃないのよ」

ひとくじこー?なにそれ?

「本部に到着したら改めて挨拶するわ…それからシンジ君」

ん?
リツコさんが僕のほうに寄ってきた
アスカちゃんが僕のこと引き寄せた

アスカちゃんが怖い顔でリツコさんを見てる

でもリツコさんはそんなの御構い無しで
「手、診せて」

けがの事?
いいよ
はい

「聞いていたよりひどいわね…お薬見せてくれる?」

アスカちゃんがバックの中から僕の薬を出してわたした

リツコさんは何かぶつぶつ言った後、沢山の薬を窓から捨てちゃった
キラキラしてきれいだなぁ

そしたらリツコさん
「この二つだけで大丈夫よ」
って言いながら薬を返してくれた
やっぱりお医者さんっていろいろしってるんだなぁ


日本の何とか本部に着くまでリツコさんはいろんな話をしてくれた
僕もアスカちゃんも聞き入って
あっという間に到着したんだ


何とか本部に到着すると僕は控え室みたいなところで待たされることになった
この先は秘密の施設だから僕は入れない
しょうがない
今度アスカちゃんに連れて行ってもらおう


リツコさんとアスカちゃんは偉い人に会いにエスかレターで降りていった
別れ際にリツコさんが僕を案内してくれる人に何か指示してた

アスカちゃんとリツコさんが見えなくなるまで僕は手を振ったんだ
あんまりよく動かないけど


「さあ、シンジ君、ちょっといいかしら」
案内の人が僕を連れて行ったのは病院みたいなところだった
「手のけが治してあげるから、ちょっと我慢してね」
だいっ嫌いな注射
いやだなぁ
なんでこんなところまで来て注射されなきゃいけないの?

うぅ〜ん何だか眠くなってきた







んん…
なんだろう?
うるさいなぁ…

あれ?
アスカちゃん?
なにしてるの?
そんなところで

あれ?
何で僕ぷかぷかしてるんだろう?
それに全然苦しくない
夢かなぁ?

ははは
きっと夢だ
だって父さんにリツコさんがいる

ぼく魚にでもなっちゃたみたいじゃないか

うん
もう少し寝てよう

もう…
なんでリツコさんとアスカちゃん二人して僕のちんちん見てるのさ

もう…






ここどこだろう?
あ、アスカちゃんだ

「おはよう」

わぁ!
アスカちゃんが突然僕を抱きしめながら泣き出した
「大丈夫だよ?!アスカちゃん?」
「ばか!」
なんでアスカちゃん泣きながら僕のことひっぱたくの?
ひどいなぁ…




すごいや!
「日本てすごいねアスカちゃん、さっきまでぜんぜん動かなかったのに。ほら!」
けがする前と一緒だ!
「うん…」
あれ?アスカちゃんなんでそんな顔するの?
もう怪我は治ったのに
まだ心配なのかな?

話に割って入ってきたリツコさんが自慢げに
「日本にはいろんな凄いものがたくさんあるわよ!」
ゲームでしょ!
ドイツじゃ手に入らないのがいっぱい有るんでしょ!
楽しみだな


あ!

「おきたか」

「父さん!」
父さんがお見舞いに来てくれた!
やっぱりここは日本なんだ!
帰ってこれたんだ!

いろんなことはなそう!
せっかく父さんが来てくれたんだから
全部話そう!
うれしいなぁ!


あ!そうだ!
「それで今日から父さんと暮らせるの?うれしいなぁ!」
話の続きも沢山あるし
今夜はずっと父さんと話していよう

「すまないな、シンジ」

「え?」
なにが?

リツコさんが僕のこと覗き込みながら
「所長はね、今日から長期の出張なの、だからシンジ君は所長が帰ってくるまで私の家で待ってもらうことになったの」

「そんなぁ」
せっかく日本に帰ってきたのに…

いつの間にかアスカちゃんが僕のてを握りしめてくれていた


そのまま、もう少しだけ父さんと話をして
「時間だ」
って父さんが言うから
いやだけど
寂しいけど
とうさん…
「またね」
「あぁ」


アスカちゃんがてを「ぎゅ」って握ってぐれた



僕が着替え終わると広い部屋に連れて行かれた
リツコさんが僕たちのこれからについて教えてくれるんだって

「さっきも言ったけどシンジ君は家に来てもらうわ、家族水入らずね」
うん、ちょっと照れくさいけど…楽しみかな…それに
「アスカちゃんもでしょ?」

あれ?
リツコさんの顔が…

「パイロットには本部施設内で生活してもらいます」

えぇ!って言おうとしたら先にアスカちゃんが
「バカいわないでよ!なんで私がそんなところで暮らさなきゃいけないのよ!」
アスカちゃんと別々に暮らすの!?

「規則です」
知らないよ!
アスカちゃんも怒っちゃって
「大体シンジの面倒は!」

ふんって顔のリツコさんが
「私が見ます」

わぁ!
アスカちゃんに引っ張られちゃって
アスカちゃんの胸に抱きしめられちゃた
「じゃあシンジを私の部屋で」

どーしよう?!
おっぱいがぷにぷになのはともかく
どーしよう!?

あれ?
リツコさんがぷるぷるふるえだした

「ぷっぷぷ!あはははは!」
へ?
リツコさん顔を書類で隠しながら笑い出した

「あぁ〜面白かった!冗談よ、じょ・う・だ・ん」
えぇ!

「アスカちゃんも家で暮らすのよ、愛し合う二人を離れ離れになんかしないわよ」
なんだよぉ
ビックリしたぁ…

クスクス笑うリツコさん
アスカちゃんてば顔真っ赤にして
「ばか!私じゃなきゃシンジの面倒見るのがたいへんなだけよ!変な勘違いしないで!」

はいはい…


リツコさんのいたずらが終わると、僕たちは駐車場に向かった
車に乗り込もうとした時、リツコさんが
「シンジ君、ほら、お父さんよ」
って言いながら少し遠くに止まってる車を指差してくれた
父さんだ…
あ!こっち向いた!
一生懸命手を振ると、父さんも頷いてくれた

父さんの乗った車はすぐに出発しちゃったけど…
うん
もう一回あえてよかった

あ…
「おみやげ…わたせなかった…」




リツコさんの家
少し心配
だって日本の家って狭いって言ってたから

3LDK?
よくわかんないけど
「ちゃんと二人の部屋も用意してあるのよ」
「ほんと!?」
「ええ、まぁずっと使ってない部屋なんだけどね」
「なんで?」
「母さんがいたころからここで暮らしているの。もう一人になって随分たつから…」
へー
「さあ上がって」
ドアを開けたリツコさんが楽しそうにこっちを見てる
「おじゃましま…」
ってアスカちゃんが言ったら
リツコさん
むぅ!って顔して
「今日からここが二人のお家なのよ?『お邪魔します』はないんじゃない?」

うん、それじゃあ
「ただいま」
釣られてアスカちゃんも
「ただい…ま」


「おかえりなさい」

リツコさんうれしそう


僕たちの荷物は明日届けられるらしい
勉強の本とかなくしてくれないかなぁ…

アスカちゃんは、昔リツコさんのお母さんが使っていた部屋
ベッドだけドイツから先に送られてきてたみたい
うぅ〜ん
やっぱり狭いね
みんなが言ってた通りだ
荷物全部入るかな?

僕の部屋はとうさんの部屋
でも
「あの人、ここで暮らしたことなんか無いのよ」
ふぅん
とうさん照れ屋なのかな?


かばんを部屋に置くとリツコさんが僕たちをテーブルに座らせた
「さぁ!今日はパーティーよ!」
次々とテーブルに料理を並べだすリツコさん
「これリツコさんが作ったの?」
アスカちゃんがビックリしてる
「残念、ほとんど出来あいよ」
僕はめずらしいから部屋の中うろうろしてたんだけど、リツコさんに捕まって座らされちゃった
リツコさんが僕の顔を覗き込んできた
「今日から家族水入らずね」
うん
でも…
かがみこんだリツコさんの胸が見えちゃって
白いブラジャー…

だめだめ!
アスカちゃんに…

こつん!

ほらね
蹴られちゃった


リツコさんがアスカちゃんみてクスクス笑ってる



「さあ食べましょう!」



うん!おなかいっぱい!
それにこの猫!
ニャンタ君
でぶちんねこ
ぶにぶにして気持ちいいなぁ



「ねえシンジ君」
んん?
リツコさんがお酒飲みながら話しかけてきた
「シンジ君アスカちゃんのこと『アスカちゃん』て呼ぶじゃない?」
「うん」
おもしろいなぁ
ニャンタぶさいくで
あ!こら!うごくな!

「じゃぁ私も『リツコちゃん』て呼んでもらおうかしら」

はい?

「これからずっと一緒に暮らすんだし、今まで離れ離れだったけど私たち姉妹なんだから、ね?ほら、言ってみて『りっちゃん』」
えぇ!
こまるよ…
アスカちゃん

助けを求めてアスカちゃんのほうをみたんだけど
アスカちゃんも
“あきらめなさい”って顔で

うぅ〜ん

りっちゃん?
りっちゃん
何回か頭の中で練習してから
そのあいだもリツコさんは何回も「ほら、はやく」って詰め寄ってくるし

もう…
「りっ…ちゃん」

うわぁ!
「よく言えましたぁ〜!」
抱きついてきた!
おっぱいがぷにゅぅって

ぱかん!

アスカちゃんがりつこ…じゃなくてりっちゃんのことひっぱたいて止めてくれた

「あははははははは!」
りっちゃんが笑い出した
僕も笑っちゃう

アスカちゃんは
「はぁ…」
だって

そしたらりっちゃんが
「アスカちゃんも『リツコさん』じゃなくていいわよ」

アスカちゃんちょっとまじめな顔して
「じゃあリツコって呼ぶ」

りっちゃんうれしそう

「あ、そうそう…」
そういいながらりっちゃんがフラフラしながら部屋にいって、なんか持ってきた

「はい、アスカちゃん」

あぁ!いいなぁ!ケータイだ!
なんかごちゃごちゃ言いながらアスカちゃんに渡してる
いいなぁ!

「好きなだけかけまくれるのよ、ドイツでも南極でも火星でもかけ放題!じゃんじゃん使っちゃいなさい」
かけ放題なの!?
いいなぁ〜
いいなぁ〜


「いいなぁ〜アスカちゃん」
アスカちゃんが自慢げに
「どーしてもって言うんなら貸してあげるわよ」

早速貸してもらおうとしたら
リツコさんが
「シンジ君には私が用意しておいたわ、はい」

僕にも!?
「ありがとう!リツコ…じゃなくてりっちゃん」
やった!
よぉーし!早速使うぞ〜

まずニャンタのぶさいく写真撮ってみよう!
あ!にげるな!
「シンジ君、その携帯のお金、私が払うんだからほどほどにして頂戴ね」
「はぁーい」
「いっぱいかけるときはアスカちゃんの携帯使ってね」
「はぁーい」
つかまえた!
このデブ猫!

記念すべき一枚目はニャンタ君のいやそうな顔



3日ぶりのお風呂
アスカちゃんに体をごしごし洗われる
それがすむと、アスカちゃんにこずかれた
「リツコのおっぱいのぞいたでしょ、このばか!」
ちがうってば…
「だってたまたま見えちゃっただけだし、それにちらっとだよ」
アスカちゃんが“はぁ”って顔して僕の目の前におっぱいを突き出してきた
「女にはみんな付いてるんだから!めずらしいわけじゃないでしょう!」
もう一回こずかれた

ぺったんこじゃないけど
うん
アスカちゃんも、もう少ししたらあんなおっぱいになるのかなぁ?




お風呂から上がるとりっちゃんがよっぱらってて
「いつも一緒にお風呂入るの?」
アスカちゃんも適当にあしらっちゃって
「そうよ」

そしたらりっちゃんが僕のほうに近づいてきて
「じゃあ…シンジ君!明日は私とはいろっか」
あ…またおっぱいが…ぷにゅぅって

パン!

リツコさんの頭をアスカちゃんがひっぱたいた
「飲みすぎ!」
アスカちゃん怒ってるなぁ
「もぉアスカちゃん、冗談じゃない」
あ…おっぱい…離れちゃうの?
「シンジもさっさと服を着る!」
「はーい」







何だか寝付けない
そう思いながらケータイいじっくってたんだけど
いつの間にか寝ちゃった

“シンジ…よかったね…”

アスカちゃんの声が聞こえる

「うん」
きっと夢の中だけど
返事をした

やさしく抱きしめられた気がする




うぅ〜
くるしぃ〜
助けてアスカちゃん
たすけてよ…
アスカちゃん…
…………

「うわぁ!」

「おはようシンジ」
僕を見つめるアスカちゃん
「おはよ…アスカちゃん」
アスカちゃんに抱きつかれてたんだ
「乙女のおっぱいでおきた気分はいかが?」
アスカちゃんは元気よくベッドから飛び降りる

あぁ…もう…
「アスカちゃんお嫁さんにしたらぼく死んじゃうよ…」

アスカちゃんには聞こえなかったみたい…


アスカちゃんに手を引かれて部屋を出るとりっちゃんが
「おはよう二人とも、よく寝れた?」

アスカちゃんは
「快適!」
って答えて
僕は笑って答えて見せた
そしたらリツコさん
「シンジ君の悲鳴聞えたわよ」
アスカちゃん、そんな事は気にもしてないから
「いつものことだから気にしないで」
りっちゃんあきれちゃって
「まぁ、怖いお嫁さん」
「うっさい」
アスカちゃんは吐き捨てると洗面所へ行っちゃった


りっちゃんが僕に
「おはよう、シンジ君」
「おはよう、りちゃん」
ん?
なんだろう?
りちゃん嬉しそう

とりあえずイスに座ってテーブルの上を眺めた
朝ごはんだ

「こら!」
アスカちゃんがいつの間にか戻ってきてて
「顔洗ってから!」
って言いながら僕の腕を引っ張る

わかってるって…
もう…アスカちゃんてば
はら、りっちゃんに笑われちゃったよ…



朝ごはん
りっちゃんが
「普段料理なんかしないから味のほうは大目に見てね」
大丈夫!僕なんでも食べれるから!
僕が頷くと、りっちゃん嬉しそう

りっちゃんお湯を沸かしながら
「紅茶かコーヒーにする?それともジュース?」
って聞いてきた
僕はジュースって答えたら、アスカちゃんも「私も」って
りっちゃん、また笑いながら
「本当に仲良しね」
って
それにりっちゃん、朝からずーっと電話が鳴りっぱなし
たいへんだなぁ大人って
それでもりっちゃん僕に
「シンジ君は目玉焼きはお醤油?それともソース?」
とか
「ドレッシングは?」
とか聞いてくる
りっちゃん何で嬉しそうなんだろう?
料理好きなのかな?

んん?
アスカちゃんがなんか考えてる
あ!って顔して僕に
「ねえシンジ覚えてる?あんた家に来たころ、なんか食べるときに『ショウユがいい』って駄々こねたの」

…おぼえてる
おばさんすごく困って…
それで…町まで探しに行ってくれたんだよ
でもなくて
おばさん、ぼくに
「ごめんなさいね、シンジがまんしてね」
って
…ぼく、おばさんのこと好きだからがまんする事にしたんだ
おばさん、いろいろ大変そうだったし…
アスカちゃんのこととか…
だから僕は醤油なんて
「しらない」

アスカちゃんは「ふふん」って顔で
「ほんとこまったちゃんんだったんだから。ねえリツコ、私、醤油っての使ってみる」
なんていいだして
でもにおいをかいだ途端
顔しかめちゃって

りっちゃんが笑いながら
「なれないうちはそんなものかしらね」
って言いながら、自分のと取り替えてあげる

あはははは
ほんとにアスカちゃんてば

「アスカちゃんはこまったちゃんだなぁ」

ぱちん!

朝から頭たたかないでよ…もう…

りっちゃんも少し怒ってるじゃないか
「はいはい、朝からパンパンシンジ君をひぱたいちゃだめよ」
ほらぁ〜

僕が食べ終わったから、ご馳走様でしたって言おうとしたら、りっちゃん電話中だった


夕べ、いじくってる途中でねちゃたから、また携帯でいろいろやってみよう

ん?なんかりっちゃんが
「よかったわね二人とも」
って
何が?
「二人とも学校は同じクラスですって」
へ〜
お!これは便利!
もう一回やってみよう!

アスカちゃんがなんか一生懸命聞いてる
後で教えてもらおう


「シンジ君、ちょっと」
え?
呼んだ?
「なに?」
りっちゃんまじめな顔で
「シンジ君14歳よね」
だって
間違えてるよ
もう
しょうがないなぁ

「来年ね、今はまだ13」

あれ?りっちゃん、なんかこっち見たままだ
ちょっと怖いなぁ

「シンジ君…あなた14歳よ…」
なんだろう?
またなんかの冗談なのかな?
でも…
「ちがうよ、僕13歳だよ」
アスカちゃんも身を乗り出して
「リツコ、なんかの勘違いよ、シンジは13よ」

りっちゃんいろんなところに電話かけはじめた

うん、どうでもいいや
ケータイからの最初のメールはドイツのおばさんにしよう!
ニャンタのぶさいく写真を添付しよう

おばさん…
船に乗り込む前に
僕のこと抱きしめて
「シンジ…あなただけでもここに残らない?」
って
何だかわからないけど
「ごめんなさい」
ってあやまっちゃたんだ
おばさんの事大好きだったけど
日本に帰りたかったし
だからおばさんと約束したんだ
「日本についたら絶対毎日連絡する」
おばさん喜んでくれた
「コレクトコールでいいから電話してちょうだい」
って言いながら

昨日はいろいろあって電話できなかったけど
今日は約束守ってメールしよう
電話はお金かかちゃうから我慢
かけたくなったらアスカちゃんのを借りよう

送信メール
日本到着!

本文
“おばさん、連絡遅くなってごめんね。
昨日、日本につきました。僕もアスカちゃんも元気です、ちょっと暑くて家も狭いけど、僕もアスカちゃんも元気です。
また何かあたらメールします”

送信っと


あれ?
すぐに返事返ってきた
いまドイツって何時だろう?


受信メール
Re:日本到着

本文
“やさしいシンジ、日本は暑いのですか?家は狭いのですか?あまり我慢してはだめよ。
狭いのなら部屋を変えてもらいなさい、代えてもらえないなら帰っていらっしゃい。
写真に写ってる生き物はなんですか?いま動物園ですか?今日はまだ疲れてるんだからゆっくり休みなさい。
それから、アスカの事、よろしくお願いします。あの子にはあなたしかいないから”

うん…わかってる

しばらくして
りっちゃんがビックリするような事言い出した
僕は本当に14歳らしい
ほんとに!?
生まれた病院からなにから、片っ端から電話して確認したらしい

で、原因はドイツのおじさんだったみたいで
僕の年をずっと勘違いしていたんだって
なにそれ!?

あ、メールだ

受信メール
Re:日本到着

“シンジ、さっきシンジを預かっているっていう女性から電話がありました。何だか私たちがとんでもない勘違いをしてたらしくて、ごめんなさい。
シンジの人生が台無しにならないように神様にお祈りします。毎日お祈りします。
あなたのおろかなおばさんとおじさんを許してください”

もう…きにしなくていいよ

でも
ってことは
僕のほうがアスカちゃんより半年も年上ってことか…
ふぅーん

リツコさんが
「まっ、そういうことのようね…いいじゃない一緒にいられるんだから」

そうだけど…
それにりっちゃん、おばさんになんて言ったの?ひどいこと言ったの?
それに…
「勉強大丈夫かなぁ…」

「あら、シンジ君、学校行くのが一年短くてすむと思えばいいじゃない!」

あぁ!なるほど!


うわ!
アスカちゃんに肩組まれた!
アスカちゃん耳元で脅かすみたいに
「まぁとにかく今までどおり私がシンジのお姉さんでいいわね!シンジ!」

わかってるって
アスカちゃんに頭が上がるわけないじゃないか
まったく




昨日迎えに来た車で町に買い物
いろいろ買うんだって
僕も服とか買い足してくれるって言うから
ついでにゲーム買ってもらおう
アスカちゃんにお願いすれば、機嫌が悪くなければ買ってくれるし

チラッとアスカちゃんを見てみたらなんか難しそうな話してるから
僕は外の風景でも写真にとっておばさんに送ってあげよう
アスカちゃんは世界を守るのが仕事だから、僕にはよくわからない話をたくさん聞かなきゃいけないんだ
アスカちゃんはとても大変なんだ
だから僕はなるべくアスカちゃんに迷惑かけないようにしないと

「シンジ!」

アスカちゃんがやっと声をかけてきた
「おはなし終わった?」

アスカちゃん笑いながら
「あとでお小遣いあげる」
「やった!」
「無駄づかいしちゃだめよ」
「大丈夫!」
「あんたいっつもくだらない物買っちゃうじゃない」
「大丈夫だって」
無駄遣いなんかしないって!

おかし買おう
あとジュース



お昼ごはんをレストランで食べることになった
いやだなぁ…
嫌いなんだ…ぼく…こういうところ

僕がもぞもぞしてるとアスカちゃんが
「シンジ、はい」
って、さっき下ろしたお金を一枚くれたんだ
「やった!ねえアスカちゃん、これ何ユーロ?」
「いいから早くしまいなさい!」
「はーい」
うぅ〜漢字で書いてあるからわかんないや
数字…数字…丸が4つ
いち・じゅう・ひゃく・せん…
いちまんえんかな?

りっちゃんが僕に
「シンジ君しりにしかれるタイプね」
だって
なにそれ?
今度はアスカちゃんのほう向いて
「アスカちゃんが主導権握ってるって意味よ」
なんかりっちゃんクスクス笑ってる
あ…スープが来た…


アスカちゃんが食べ終わるとすぐに
「出ましょう」
って言ってくれたから、やっとそとに出れた
りっちゃんはもっとゆっくりしたかったみたいだけど
僕は外に出たかったし

お?
あれは?
自動販売機!
ドイツのアスカちゃんのところで見たぞ!
でもアスカちゃんのところはお金入れなくてもボタン押せば出てきたから
それにいっつもアスカちゃんが…
よし!

「ねえりっちゃん!このお金あれで使える?」

すぐにアスカちゃんが
「さっき言ったばっかりでしょう!無駄遣いしちゃだめ!」
怒らないでよ…
「いいじゃないジュースくらい」
そーだよ、ジュースくらい

「シンジ君、一万円札は自販機に入らないわ、私が買ってあげる」
りっちゃんは僕を連れて自動販売機の前に行って硬貨を入れてくれた
僕がめずらしいからいろいろ見てると
僕の顔覗き込んできて
「めずらしい?」
って
あ…また胸が…やっぱり白いブラジャー…
大人の下着だ…

だめだめ!
これじゃ僕変態じゃないか!

うん!
炭酸買うと怒られるからジュースにしよう!
アスカちゃんの分も…
「アスカちゃんの分?」
りちゃんが笑ってる


ジュースを持ってアスカちゃんのところへ戻ったら
いきなり一本取られて
アスカちゃん一気に飲んじゃった

飲み終わると僕のこと蹴っ飛ばすんだ
ひどいよ!
「何するんだよ」
ちょっとおこったぞ!

あ!
いた!
耳引っ張らないで!

「そんなにおきいおっぱいが見たいの!このえっち!」

え…アスカちゃん…きづいてたの?

ぎゅう!
「いたいいたい!アスカちゃんごめん!もうしません!」
足踏まないで!
ほんとに痛いんだって!

「やめなさい!ジュースくらいいいじゃない」

りっちゃんが止めに入ってくれた
よかった…
アスカちゃん暴れると手がつけられないんだよなぁ


ジュース飲んだらおしっこしたくなっちゃって
駐車場に行く前にトイレに
トイレから出たらアスカちゃんが待ち構えてて
「手、ちゃんと洗ってきた?まったく!冷たいもの急いで飲んじゃだめっていつもいってるでしょ!」
いつもと一緒
ちょっと不機嫌

「それぐらいになさい、まったく。さあいきましょう」
りっちゃんはご機嫌
なんかあったの?





ゲームを買ってもらった!
アスカちゃん
「ちゃんと勉強するのよ!」
って言いながら買ってくれた
とりあえずおねだり成功!

リツコさんもアスカちゃんになんか買ってもらって
「アスカちゃんのおかげで大助かりだわ」
だって

アスカちゃんてすごいんだなぁ
ほしいもの何でもすぐにもらえるもんなぁ〜
いいなぁ〜
僕もロボットのパイロットになればよかった

さて、説明書見よう
僕は最初に使うキャラはヒロインって決めてるんだよね
んん〜と
技の名前が読めない…
漢字ばっかだ…
えぇと…
「ねえアスカちゃん、この漢字なんて読むの?」
「どれ?ん…あぁ『しちてんばっとう』よ」
「意味は?」
「のたうちまわる」
「ふーん」
さすがアスカちゃん

いて!

アスカちゃんに頭ぶたれちゃった
学校でこれ習ったっけ?


アスカちゃんが僕のふとももに手をおいた
あったかい
アスカちゃんはあったかい
肌もしっとりしてて
さわるとピタッとして

それに
僕がさわると喜ぶんだ
“なによ”
とか言いながら

だからいつもの癖でアスカちゃんの手に僕の手を重ねた

ガラスに映ったアスカちゃんの顔が微笑んでる


家に帰ると僕たちの荷物が到着していた
全部「開封検査済」のラベルが貼られてる
誰か僕のマンガも読んだな!?

アスカちゃんと二人で荷物を片付ける

うん…あのダンボールにはみんなの餞別が入ってるから…
なるべくきずかれないようにしよう

「あら、シンジ君ちょっといらっしゃい」
ん?
なんだろう?
りっちゃんが手に持ってる書類を見せてくれた

いい!!!!
なにが書いてあるかは漢字だらけでよくわかんないけど…
この本のタイトルって…
もずいよ!
これ…
まずいよ!

あぁ…
アスカちゃんがこっちみてる…
はわわわわ…
こっちきた!

りっちゃんの手から書類をひったくると僕はとりあえず外に逃げようとした
「こら!見せなさいシンジ!」

でもアスカちゃんからこんな近距離で逃げ切れるわけもなく…

押さえつけられて書類を取り上げられちゃった…

もうだめだ…
殺される…


アスカちゃんが書類をながめてる
あぁ…
みるみる顔色が…



「このばか!」



もう後は殴る蹴るのオンパレード
年に何回かこういう目にあうけど
今日は止めてくれるおばさんもいないし

うぅ…
「ごめんなさい…」
「なにあやまってんのよ!」
「もうしません…」
「ばかじゃないの!あんた!」
「ゆるして…」
「うるさい!」
「うぅ…いたい…いたいよ…」
「だまれ!この変態!」


いたいよ…いたいよ…いやだよ…
かあさん…
とうさん…
かあさん…
とうさん…
かあさん…
とうさん…






ようやくアスカちゃんは気が済んだのか手を休めた

でもまだ気を抜いちゃだめだ

どか!

ほら
最後に一発
いっつもそうだ




ぼくが動きだすとりっちゃんが心配そうに
「だいじょうぶ?」
僕は笑ってみせる

そうしないといけないんだ
おばさんにもいつもそうしてた

“ごめんね、アスカの事はがまんしてね”

おばさんは泣きそうな顔で僕にいっつもそういってた
だからがまんしなきゃ…

アスカちゃんは特別なんだ…

僕ががまんしなきゃ…



人の気配がする
アスカちゃんだ…

やっぱりそうだ…
僕のこと見下ろしてる
また殴る気だ…

手、グーにしてる


こつん…


あれ?

痛いけど…

あれ?

「もう無いでしょうね…」
アスカちゃんがそう言いながら僕の横に座って片付けの手伝いを始めた

「うん」

僕が返事をすると

「ほら、それかして」

僕の手から荷物を取り上げて片付け始めた

少し怒ってるみたいだけど…

「すわってなさい」

いつもどおり
僕の荷物を片付けてる



気がついたらアスカちゃんが全部やってくれた



ぼくはご飯が終わるとソファーでゲーム!
「必殺!七転八倒!」
うん!かわいい!

アスカちゃんは隣で書類を読んでる
ぼくは見てもわからないし

アスカちゃん…
もうおこってないかな?

ごろん

アスカちゃんの膝で膝枕

アスカちゃんは片手をぼくのほほに添えてきた

うん

もう怒ってない






お風呂でアスカちゃんとおしゃべりをしてた
ゲームばっかりするなとか
ちゃんと勉強しろとか
アスカちゃんはいつもと一緒
うるさいなぁ
適当に返事してたんだ
そしたら

「それに何度もリツコのおっぱいのぞいて!」

「何度もじゃないよ!一回だけだよ!」

「えっち!」
アスカちゃんはぼくのほほを叩いた
耳がキーンってする



「シンジは私の言うこと聞いていればいいの!まったく」



昔と一緒だ…
“しんじはわたしのいうこときいていればいいの!”
あの日もそういってぼくの事叩いたんだ

耳が聞こえなくなるまで…


「いい!わかった?!」
ぼくの頭を押さえつけ、湯船に沈めようとしてきた




昔と一緒だ…
“いいからやんなさい!”
あの日もそういってぼくの事プールに沈めたんだ

泣いても…泣いても…




もういやだ!



アスカちゃんの乳房を思いっきり握りつぶした
やわらかくて小さな乳房がぼくの手のひらの中でゆがむ

「あぁ…あぅん…」

アスカちゃんのうめき声が聞こえる

ぼくが力を入れるたび
アスカちゃんはうめいて

その声が何だか…

気持ちよさそうで…

でも…
その声を聞いていたら
涙が出てきた


「そうやっていっつも僕のことぽかぽか殴るから…みんな僕のことバカにして…」


ぼくは思いを必死に言葉にした

それにぼくは男の子だから泣いちゃだめだ

でも

涙が湯船にこぼれ落ちる



アスカちゃんの歪んだ乳房と何だかちょっと不思議な表情の顔を見ると、両手からゆっくり力が抜けてしまった

アスカちゃんの胸にはぼくの手形が残った

ちくしょう…
こんなときにやり返してこない
アスカちゃんは卑怯だ!
だから言ってやった

「あの本だってみんなが『ちょっとは男らしくなれ』って無理やり僕にもたせたんだ」

学校のみんながいっつも言ってた
“シンジ、お前あんなたれ目の言いなりでいいのか?”
“シンジ、お前あんな鼻つまりみたいな声の女に一生怒鳴られ続けるのか?
“シンジ、お前あんな人を見下して生きてるようなやつとずっと一緒にいきてくつもりか?”
“これでも目の前で読んでやれ!”

みんながアスカちゃんのことが大きらいなのは知ってる

でも

アスカちゃんはほんとは優しいんだ…
ほんとはさびしいんだ…
ほんとは友達がほしいんだ…


それなのに

「アスカちゃんはいっつもひっぱたくから僕が…僕がみんなからバカにされるんじゃないか…」

アスカちゃんがばかにされるんじゃないか…


アスカちゃんに抱きしめられた

ぼくの涙をなめてる

ぼくのほっぺにアスカちゃんのほっぺが…


「そんなの気にしないの…男の子でしょ、私のことお嫁さんにするんでしょ?」


「だって…みんな…」
アスカちゃんのことばかにするんだ…

「そんなこと気にしないくていいのよ、みんなひがんでるだけ。」
わかってるよ!
でも…

「わたし、シンジのこと大好きだからひっぱたくの。シンジに私のこと見てもらいたいからひっぱたくの」
知ってるよ!!
だけど!

突然キスされた
「これもそう、わたし人前だってシンジとなら恥ずかしくない」

ぼくだって…

アスカちゃんがぼくの指をアスカちゃんのあそこの中に…
気のせいかな…
ぬるぬるしてる…

「シンジにならどこ触られてもいい…何されてもいい…わたしがシンジのこと大好きでシンジがわたしのこと大好きだから…だからみんなひがむの」

アスカちゃんは卑怯だ…
でもぼくは…


もっと卑怯だ…


やり返されないって…わかった途端…おっぱい…だいすきなのに…こんなになるまで…

「ごめんね…痛くしてごめん…」

つぶれちゃわないように
大好きなアスカちゃんのおっぱいがつぶれちゃわないように…
そっとなでた

アスカちゃんがぼくの事をもう一回抱きしめてくれた
小さな声で
「シンジ…私のシンジ…」
ってつぶやきながら


少し落ち着いた
それに
今、ぼくはアスカちゃんの濡れた髪に顔をうずめたくて…
胸いっぱいにアスカちゃんのにおいをかぎたくて

だからそっとアスカちゃんの髪に顔をうずめた

「アスカちゃんのにおいだ…」







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Re:元気です!

本文
やさしいシンジ、ご飯はちゃんと食べていますか?
日本では生の魚を食べるそうです
もし本当なら無理に食べたりしないで焼いてもらいなさい。
それから、ゲーム、また買ったそうですね
だめですよ、お勉強もしっかりしないと、いつまでたっても漢字が読めるようになりませんよ?
送ってくれた写真、見ました。
本当に狭い家ですね、早く広いところに変えてもらいなさい、おじさんもあまりの狭さにビックリしていましたよ。

最後に、アスカの事一人ぼっちにしないでください
アスカはあなたがいないと何もできません
アスカはシンジの面倒見るのが生きがいですから
めんどくさいでしょうけど、がまんしてください
おばさんはシンジもアスカも自分の子供だと思っています
だから何かあったらどんな事でも教えてください
やさしいシンジ
おやすみなさい

フォークリフトさんの「いつもと同じ夢」シリーズのシンジサイドのお話でしょうか?「思い出せないけど」2話公開です。

こちらも感想をアドレスforklift2355@gmail.comまでどうぞ〜。

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