目が覚めれば思い出せないけど

ぼくは毎晩夢を見る

これより先も…これより前も…

この場面も…
何度も見てきたんだ
今日はどこで目を覚ますんだろう…
三人の子供…
元気いっぱい、アスカに良く似た双子の男の子…
とってもかわいい…かあさんにそっくりな、女の子の赤ちゃん…
いつも文句ばかり言っているアスカ…
ほら…また言うんだ…笑いながら…
「相変わらずいまいちな味付けねぇ」
ぼくは手をぬぐいながら…
「そうかなぁ?」
きゃあきゃあ言いながら食べる子供たち…
アスカが赤ちゃんにお乳をあげてる…
「しあわせだね」
ぼくがそお言うとアスカが微笑み返してくれた…






かあさんが消えた日…
あの日から僕は泣いてばかりだった
しばらくすると父さんが僕を飛行機に乗せて遠くに連れて行ってくれた
行き先はドイツ
父さんは「もう安全だ」って
意味がわからなかったけどとりあえず頷いたのを覚えてる

ドイツに着くと大きなおじさんが迎えに来た
おじさんの家に行くと目を泣き腫らした女の子が待っていた
父さんが「しばらくしたら迎えに来る」
そお言うから頷いた
夕方くらいには迎えに来るんだろうって思ってたんだ

まさか“しばらく”が、10年もさきなんて…
僕は毎日泣いていた
女の子も毎日泣いていた
二人で泣いてばかりいた…
ある日、目が覚めると…やっぱり父さんもかあさんもいなくて…泣きそうになった
その時
女の子が僕の横に座って頭をなでてくれた
この家で唯一日本語の通じる

アスカちゃん

とっても悲しそうな顔して僕の頭をなでてくれた
隣にいるアスカちゃんはかあさんのにおいがした

僕は何だか少し落ち着いた
だから、飛行機の中で父さんが教えてくれたドイツ語でお礼を言ったんだ

だんけしぇーん

アスカちゃんは笑ってくれた
その日から僕は泣くのをやめた…
アスカちゃんは僕より一つだけお姉さんで
いつも僕をつれて回ってくれた

僕は「アスカチャンアスカチャン」って言いながら追いかけて
アスカちゃんはいろんなものを指差してはドイツ語を教えてくれた

そんな日々が1年くらい続いたころ、いつの間にか僕は「アスカちゃんといつも一緒」そう思うのが自然になっていた



僕が小学校に入ると、アスカちゃんは当然のように僕の学校についてきた
シンジひとりじゃしんぱいでしょ!
ひとりでおべんきょうできるの?
ことばだってよくわかんないんでしょう?
そんなこと言いながら、毎日ついてきたんだ

そうこうしてるうちに、アスカちゃんは僕の学校に入り込んでしまった
おじさんが少し困ってたのを覚えてる

でも毎日が楽しかったな…
僕とアスカちゃんを入れて15人しかいないんだ
中学生も小学生もみんなひとつのクラスでお勉強するんだ
僕は、わからないことがあると「アスカちゃんアスカちゃん」って聞いて
いつもアスカちゃんに教えてもらってた
アスカちゃんはすごく頭がいいから何でも答えてくれた
時々、中学生のお兄さんのノートを覗き込んで
「これ、まちがってる!」
なんて言うんだよ?!
僕とひとつしかちがわないのに
ほんとに頭がいいんだ!

でもこのころから、ぼくがアスカちゃんの言う事聞かないとぶつようになったんだ


アスカちゃんが一番になった
ロボットのパイロットになったんだ!
アスカちゃんがぼくに
「当然の結果!どお!シンジ!」
って、自慢してたっけ
アスカちゃんがやっぱり一番なんだと思うと、僕まで嬉しくなっちゃって
「アスカちゃんすごいや!アスカちゃんいちばんだ!」
ってはしゃいじゃったな

しばらくたったころ
アスカちゃんの様子がおかしくなった
何か僕に内緒にしてる
なんだろう?

あんなに沢山ロボットの話してくれてたのに
ある日を境に…
なんだったんだろう?


ちょうどそのころ、父さんが来てくれた!
僕を迎えに来てくれたんだ!

でも
余計な人もついてきた

「あたらしい母さんとお姉さんだ」

知らないおばさんとお姉さんが僕の頭をなでようとしたんだ
だから僕はアスカちゃんの後ろに隠れてた
アスカちゃんなら僕を知らない人から守ってくれるから
父さんがなぜかこまった顔をしてた
アスカちゃんは敵意むき出しで女の人たちをにらんでたっけ



「日本で一緒に暮らせばすぐに慣れるさ」

とうさんが僕にそういったんだ
やっと日本に帰れるんだ!
思わず頷こうとした瞬間

アスカちゃんに手を引かれ、ロボットのコックピットに連れ込まれた
楽しかったなぁ
マンガに出てくるロボットとおんなじ!
いろんなボタンやレバーをいじくりまわしたっけ!
アスカちゃんも
「私が毎日つれてきてあげるわ!」って言ってくれて
もう最高に楽しかった


遊んでると「アスカちゃん!おばさんとお話しましょう」っておばさんの声
何回も話しかけてきた
僕は何だか心配になってきた
「アスカちゃん…おこってるよ…」

ロボットから降りるとアスカちゃんは大人の人たちにものすごい勢いでどなられはじめた
大人は僕を指差してる
きっと僕が押しちゃいけないボタンを押したんだ…
「アスカちゃんじゃないよ!僕がさわったんだ!アスカちゃんじゃないよ!」
アスカちゃんがビックリした顔で僕のことを見つめてた


何日かたったころ、父さんに「もうしばらくここでまて」って言われた
寂しかったな…
まだ日本に帰れないんだ…
そんな思いだった


なぜかアスカちゃんがおおはしゃぎだったのをよく覚えてる



そういえば、多分、おんなじころだと思うんだけど
夜、目をさますとアスカちゃんがナイフをながめてたんだ
うぅ〜ん
あれって夢だったのかなぁ?


父さん達が日本に帰る日
きれいなお姉さんが僕に四角いきれいな箱をくれたんだ
箱からはいろんな音楽が聞こえるんだ

はじめてみた時ビックリして
思わず、じーっとみてたら、父さんが
「めずらしいのか?」
って
思わず頷いたら、お姉さんが笑い出して
「こんな田舎じゃ無理もないわね」って
さわらせてくれた
にゃんこのシールが貼ってあるピンク色の箱

今思えば、ただのウォークマンなのに
珍しかったなぁ
「アスカちゃん!すごいよ!」
ってアスカちゃんにも見せてあげようとしたら
「ふん!」
って言いながらでてっちゃった


「これ、あげるわ」
そういうと僕が毎日眺めていた自分のウォークマンをくれたんだ

キスもしてくれた


それから僕は独りになるとピンク色でにゃんこのシールが張ってあるウォークマンを聞いたり眺めたりしていたんだ

しばらくするとアスカちゃんが僕からウォークマンを取り上げたんだ
すごく怖い顔で

でもウォークマンを貰ったとき父さんに
「大切にするんだぞ」
って言われたから
怖かったけど一生懸命アスカちゃんに
「アスカちゃん返して!アスカちゃん返して!父さんに言われたんだ!大切にするんだぞって!だから返して!」
ってお願いしたんだ
なくしたら、もう父さんが会いに来てくれないような気がして…

アスカちゃんは、むすっとした顔で返してくれた
「壊しちゃだめよ」
小声でそんな事いてたっけ



何年かして、あのときのおばさんが事故で死んだって連絡があった
「ふぅ〜ん」
だって知らない人だし…
それよりも翌日に控えた冒険のほうが気になって

アスカちゃんがもう一回僕をロボットに乗せてくれるって、約束してくれたんだ
二人で、映画みたいに壁づたいに歩いたっけ…

今回はあんまり変なボタンを押さないでおこうって思ってたんだけど…
やっぱり乗り込むと興奮しちゃって
片っ端からいじくりまわしたんだ

もちろんまたばれて
またアスカちゃんが怒られるんだ
だから一生懸命大人の人に言ったんだ
「ぼくがお願いしたの!アスカちゃんじゃないんだ!もうのらないから!」

結局ぼくがもう乗りたがらないって約束したら許してくれた

今でもあの日の事を思い出す
あのロボットの中はアスカちゃんのにおいがして…
アスカちゃんは…
かあさんのにおいがする…


いまでぼくは、ふと気がつくとアスカちゃんのにおいをかいでるんだ





三年前父さんとリツコさんがやってきた

今度こそ日本に帰れるんだ…

だって電話で何回も話したんだ
手紙も何回も書いた

全部アスカちゃんにみられるから遠まわしにだけど

リツコさんはいつも日本の事を話してくれた
手紙にも日本のことを書いてくれた
日本のおもちゃも送ってくれた

きっとリツコさんはぼくの言いたい事をわかってくれてるんだ
そう信じてた

だから、まだ日本に帰れないって解った時はよけいショックだった

父さんとリツコさんが尋ねてきた日
ぼくは髪の毛を金色に染めたリツコさんをみてビックリしちゃった
いつも電話で話てたけど実際に会うとお互いに少し照れくさいし
それにおっぱいもおっきいし

アスカちゃんがぼくの手をギュッと握り締めきた

下唇をかんでいた


三日目くらいかな?
アスカちゃんがリツコさんの手を取って庭に出たんだ

なんだろう?
庭から帰ってきたアスカちゃんは上機嫌だったんだよね





リツコさんは僕がウォークマンを宝物にしていたことを、とても喜んでくれた
「大切にしてくれたごほうび、なにがほしい?」
優しい顔でそういってくれたんだ

だからリツコさんにお願いしたんだ
耳元で
「アスカちゃんとずっと一緒がいい」
日本にアスカちゃんも連れて行ってほしかったんだ
リツコさんは僕が日本に帰りたいのはわかってるはずだし

そしたらリツコさんは「まぁ!」って顔をして笑いながら「それなら絶対大丈夫よ」ってウインクしてくれた


でもまた僕はおいて行かれた
「もう少しだけまて」

とうさん
もうすこしってどれくらい?
もう僕は10歳で
日本の事もよく思い出せない
かあさんの事も…
とうさん…


その日の夜
おばさんがこっそり教えてくれた
「きっともうすぐ日本に帰れるわよ…シンジ…ねえ?ドイツはきらい?」

答えなかった
でも初めて“日本に帰れる”って実感が出てきた
だっておばさんはすごく寂しそうな顔してたし
父さんと、僕のことで見送りの飛行場まできて話し合ってたし
きっともう少しなんだ
ドイツにいるのも
そんな事考えてた

「アスカのことお嫁さんにしない?そうすればこの家も、おじさんもおばさんも全部シンジのものよ?」

突然おばさんが僕の手を握り締めてきた
答えなかった
だって
僕のおうちは日本にあるんだ



アスカちゃんは何度も僕に
「あいつになにお願いしたのよ!」
って聞いてきた

うん
まだそれはひみつ
だから

「内緒」
そう答えた


しばらくするとアスカちゃんも聞いてこなくなった
諦めたのかな?



ある日、アスカちゃんが苦しみ始めた
おばさんもアスカちゃんも
「なんでもない」
って
そんなわけないよ!
だってアスカちゃん死にそうじゃないか!
僕が何回も「大丈夫?」って聞いても
アスカちゃんは無理やり笑いながら
「へいきよ」
って
それでも心配で
「お医者さん呼んでもらう!」
って言ったら
アスカちゃん、やっぱり無理やり起き上がって
「女の子はみんななるの、赤ちゃんを産めるようになっただけよ」
そういうと僕を抱きしめたんだ

もう僕は何だか涙があふれてきて
アスカちゃんがかわいそうで
「アスカちゃん可愛そう、ぼく赤ちゃんなんていらないからそんなに痛がらないで」
泣きながらそういったんだ

アスカちゃんが「きゅ」って抱きしめてきた
「ばか」
っていいながら




あれ?
何で苦しいんだろう?



息ができない

助けて
とうさん
かあさん



アスカちゃん




目が覚めるとアスカちゃんが僕の鼻をつまみながらキスをしていた

もう…

「アスカちゃん、死んじゃうよ…」
目覚めの一言がこれだもん…
最悪だ…

「こんな美人のキスでお目覚めなんだから文句言わない!」

嬉しそうにそんなこと言われても…
はぁ
「アスカちゃんお嫁さんしたら死んじゃうよ…」
アスカちゃんには聞こえなかったみたい


もうすぐ日本につく
それこそ夢にまで見た日本
僕は日本へ向かう船の上にいる
アスカちゃんと一緒に
ほんとは飛行機で帰りたかったんだけど
アスカちゃんが
「私と一緒に船で行くからね」
って

アスカちゃんはロボットのパイロットで
宇宙人や怪獣から日本を守るため日本へ向かうことになった
僕も父さんとリツコさんから、一緒に帰っておいでって
もしかして最初っからアスカちゃんと一緒に日本に行く予定だったのかな?



朝ごはんが運ばれてきた
「好き嫌いしちゃだめよ!」
アスカちゃんがサラダを取り分ける
「はい、シンジ」
パンにジャムとバターを塗ってくれる
僕の前に朝食が並んでゆく
アスカちゃんはまるで僕のお嫁さんみたいだ


朝ごはんが終わるとアスカちゃんはロボットの練習に向かった

僕は控え室で勉強
アスカちゃんの所の人が僕の勉強を見てくれる
僕はアスカちゃんみたいに頭がよくないから、毎日ちゃんと勉強しないといけない
でも
アスカちゃんは
あんまり学校にも来ないのに、テストは全部100点
なにをやらせても一番
だから学校のみんなに
その…
きらわれてた…



「休憩にしましょう」
勉強がひと段落したから、僕はアスカちゃんのところに向かった
途中でジュースを買って

ロボットのところに着くとアスカちゃんが待っていた
「アスカちゃんおやつにしよう」
ジュースを渡そうとしたら
非常ベルが鳴り出した

「使途」

アスカちゃんがつぶやいた

ビックリした!
アスカちゃんはジュースを投げ捨てると僕の腕を引っ張って更衣室に連れて行かれた
裸にされて
「これ着なさい!」
アスカちゃんと同じ服を渡された

着替えが終わると、また腕を引っ張られて
今度はロボットの中へ
水が入ってきた
「思いっきり吸い込んで」
アスカちゃんから聞いてはいたけど…
怖いよ!?
おぼれちゃいそうで!

それにこの格好
「なんかこれ恥ずかしいよ」
アスカちゃんが僕を見てちょっと笑った

この服…
やっぱり胸にパットが入ってる
ブラジャーといいこの服といい…
やっぱりアスカちゃん、胸のこと気にしてるんだ

そんな事思ってたらアスカちゃんが誰かと怒鳴りあってた
「あんたたちじゃシンジを守れない!絶対に私が守る!」

ぽかーんとしてたら
アスカちゃんが
「とにかくシンジにはなるべく何にも考えないのよ!できるわね?」
って
ボーっとしてればいいのかな?

ロボットが動き出した
かっこいい!
遠くに飛沫が見えた

あれが怪獣か…

アスカちゃんを見ると
舌なめずりしていた

途端、水中から魚の化け物みたいな怪獣が飛び上がって襲ってきた
アスカちゃんが
「こぉんのぁー!」
って叫んで海にたたきつけたんだ!
やっぱりアスカちゃんはすごい!


あれ?
アスカちゃんが僕をチラッと見ると
なんだかちょっと不安げな顔になった…

また飛沫がこちらに向かってくる

ロボットが海に飛び込んだ
思わず
「うわぁ!」
ってこえだしちゃった

目の前に怪獣が迫る!
思わず目をつぶっちゃた

「ふふふ…」
アスカちゃんの笑い声が聞こえた
そーっと目を開けると、何かの力で怪獣が閉じ込められていた

アスカちゃんが勝ったんだ!

僕がそう思って喜ぼうとしたら
怪獣が口を開けて噛み付いてきた

ロボットはとっさに口の中に入り込んで牙を受け止めようとしたんだ

その時

声が聞こえた

“おねがい”

なんだろう?

“たすけて”

アスカちゃん?

“たすけて・おねがい・たすけて・たすけて”

どうしたの?アスカちゃん?

“たすけてあげて”

「うん」
いいよ

刹那

手のひらと足の裏が内側から裂けていくのがわかった
痛いとかそんなもんじゃなくて
叫び声しか出ない

「ア・ア・ア・アス…!助けて!」
必死にアスカちゃんに助けを求めたんだ
何回も

アスカちゃんが僕を抱きしめてくれるんだけど
もう気が狂いそうに痛くて

「やめて!ママ!」

アスカちゃんがそんな事叫んでたきがする

それに

“ありがとう”

って
何回も



どれくらいかな?
水が抜けて…
アスカちゃんが僕をうつ伏せにして、肺の中の水を吐き出させたんだ

すぐに中に大人の人がぞろぞろ入ってきた
アスカちゃんは大人を叫びながら蹴っ飛ばし…泣いていた
僕の顔にアスカちゃんの涙が落ちてきた


外に運び出された僕は急に寂しくなって
アスカちゃんを探しちゃったんだ

誰かが僕の手を握り締めてくれた

アスカちゃんだ…

そこから先は覚えてない





「出ていって!」

アスカちゃんの声が聞こえる

「………」

「とにかく出て行って!」

誰かとけんかしてるみたい

目を開くとアスカちゃんが誰かをにらみつけていた


アスカちゃんは僕をみると
泣きそうな顔になった

のどがかわいたなぁ…
あれ?声が出ない

「もう一度」
アスカちゃんがそういいながら私は顔を近づけた
そのままキスされた

ゆっくりしゃべってみた
「のどかわいた」

アスカちゃんが如雨露のちっちゃいので水を飲ませてくれた

「ねえ、誰か来てたの?」
何でだろう?小さい声しか出せない
「アスカちゃん何か言ってるので目が覚めた」


「ちょっとね」
アスカちゃんはやっぱり泣きそうな顔しながら答えてくれた

「ふぅ〜ん」
そうだ!

「ねえシンジ…」
「ねえアスカちゃん」

ハモっちゃった

「なに?言ってごらんなさい」

アスカちゃんがちょっと笑った
ぼくの右手をさすりながら


「ねぇ、あのガブゥ!ってなったときさぁ、アスカちゃん僕にいったよね『助けて』って。あれ?助けてあげてだったけ?だってあそこには僕とアスカちゃんし かいなかったし、なんかちょっと声が変だたけど、あれアスカちゃんでしょ?でもひどいよアスカちゃん、こんなに痛いなんていってくれなかったじゃないか」

アスカちゃん、ぽかーんってしてる
なんで?
ま、いいや

それに、この右手
「でもいいや、包帯とかギブスって一回やってみたかったし…あ、点滴も」
マンガとかでみて、ちょっと憧れてたんだよね


それに


「怪我しちゃった…でもいいよ…ちゃんと聞こえてたから。あの時さアスカちゃん何回も『ありがとう』って言ってたでしょう。あの時の声、ちょっと大人の人 みたいだったなぁ」

あれ?上手く右手がうごかないなぁ?
けがしたからしょうがないか

「だめよ!動かしちゃ!怪我してるんだから」
アスカちゃんが僕の手を抑えつけた
ちょっと痛い

アスカちゃんは、じーっと僕の顔を見て
「おなかすいた?何か持ってきてもらうからちょっとまってなさい」

そういうと部屋から駆け出していった

う〜ん
それにしても
何で右手
こんなに動かないんだろう?


アスカちゃんはすぐに戻ってきた

「お待たせぇ〜ってこら!」
アスカちゃんは僕が手を動かそうとしてるのを見て怒っちゃった

でもすぐに、機嫌なおして
「ごはんにしましょ」

起き上がろうとしたんだけど
力が入んなくて
アスカちゃんが起こしてくれた

アスカちゃんが僕のこと抱きかかえる
あれ?
アスカちゃんの手のひら
片方だけすごくあったかい


アスカちゃんの髪の毛が僕の鼻をくすぐる
「アスカちゃんのにおいだ」



アスカちゃんは嬉しそうに微笑んだ


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