色々言い訳したんだけど
使徒が来たらとか
体調が悪いとか

結局ヘリコプターに押し込まれた

前回と違うことといえばあの二人がいないことと
綾波が一緒に行く事になったことと

「随分心配するのね?使徒が来ないかどうか」

リツコさんが見送りに来て僕に嫌味を言った事と
僕にプラグスーツの入ったカバンを渡してくれた事







少し眠い
でも、眠れるほど静かじゃない
空を飛ぶってのはそういうこと

それにしても
買ってもらえばいいのに…

綾波は毎日何時間も僕の部屋でチェロを練習していく

ギーギーギーギー

おかげで少し寝不足

ギーギーギーギー

多分上達はしない
センスがない

わかってるよ
触れて欲しいんでしょう?
手をとって教えるしかないし
まるで抱きしめるように後ろからね

きっとずっと下手くそでいる気だ




それと少し後悔…
ヘッドホンがない

いや、わかってるよ?
綾波に取られたんだ

音楽は何でもいいらしい
ただ、使ってみたいだけで…

ぼくのする事を何でもして見たいだけで
別にいいけど



僕って傍から見てたらこんなだったのかなぁ?



綾波はヘッドホンをしたまま外を眺めている

たまに僕と視線が合うと急いでそらす

そのくせまた直ぐに僕の方を横目で…

いいけど…

どうせ少し先には三人目になって…

まぁいいや






空母が見えるととてつもなく憂鬱な気分
綾波は不思議そうに僕の顔を覗く

勘違いしてからかってくるミサトさん

うん
とりあえず、ずっと下を向いていよう



前回と同じコースを辿り
あぁ…そろそろだ


「ヘロウ!」

気に障る甲高い声

そう思っていたはずなのに
気がつくと僕は顔を上げていて

頬を叩かれてしまった


ただ、前回と違うのは
僕が叩かれて直ぐに
なぜか、綾波がアスカを叩いた

そしてアスカは綾波を叩き返し…

「何よ!?あんたがサードチルドレン!?人よりちょっとシンクロ率がいいからって調子に乗ってんじゃないわよ!」


ああ、そっか
僕の方がシンクロ率高いのか

まあどうでもいいや

と思った矢先

「はいはい、喧嘩しない…そのこはレイ、ファーストチルドレン。サードチルドレンはこっち」

ミサトさんの要らないおせっかいで

「はぁ!?この人形みたいなヤツが?」

人形?

「なによ?」

僕が?人形?

「無表情もそこまで行くとアレね」

パン!

蔑むように僕を罵るアスカの頬を綾波がもう一度引っ叩き

そのまま取っ組み合いの喧嘩になってしまった



なんで?





加持さんのわざとらしい登場と
ちょっとした息抜き

やたら僕に難癖つけてくるアスカ

鬱陶しい…

だから言ってやったんだ
言葉尻捕らえて

挑発的に僕のこと覗き込みながら
「はん!女の影にこそこそ隠れて!なに?私なんか目じゃないって?ちょっと数字がいいからって!ほんとにあんた見てるといらつくわね!」
って言ってきたら

いやみったらしく笑いながら
「自分見てるみたいで?」
って
言ってやったら
アスカのヤツ

一瞬、息呑んで
ぐっとなって


もう一度叩かれた


綾波?
立ち上がろうとしたから手を引いて座らせたよ

めんどくさいのイヤなんだ





そうそう
加持さんとさ
話すチャンスがあったから
二人っきりで

なんだか僕に色々探りを入れてきたけど
まぁいいよ

どうせ加持さんもそんなに長生きしないし

「そろそろ出発の時間じゃないんですか?」
「なにがだい?」

白々しいね
本当に
多分スパイみたいな事してるんだろうけど

「忘れ物、しないようにしてくださいね…迷惑だから」

いつもの
とぼけたような表情で
でも
視線だけは刺し殺されそうに鋭く

「あぁ…気をつけるよ」

それを聞くと僕は綾波たちのところへ向った

別に僕は何かを知ってるわけじゃない
ただ意味深なことを言ってみただけ

野球で言ったら適当にバットを振ってみただけ

でも

ボールに当たったみたい
どれくらい飛んだのかな?








もうそろそろ使徒が現れる

だから僕はそこら辺をフラフラ

本当はミサトさんと一緒に移動しようと思ってたんだけど
綾波につかまって
移動し損ねて

このままじゃぁもう直ぐ海の藻屑だし

そうならないためには弐号機に乗らないと…

やだけど…
死ぬのはもっとイヤだ…

だからフラフラ

そろそろかな?







やっぱりこういうことは前回と一緒
使徒が現れ
アスカに呼び止められた

「自分の…あるから」

プラグスーツは受け取らずにすんだけど
でも…
今回は



「あんた“達”!日本語で考えてるんでしょう!?」



綾波も…
三人で…
まぁいいや
赤いプラグスーツの綾波も悪くないし

僕は適当にそっぽを向いていた
手助けするのは最後だけでいいし
めんどくさいから

「随分余裕じゃない?お人形さん」

アスカの嫌味を聞き流してればいいだけ
楽だよ
ついこの前まで、もっとひどく罵られてたんだから

“何もしないで”
“あんた…私のこと傷つけるだけだもの”

思い出したくもない

そんな事、考えてたら
そろそろクライマックスで

そういえば“キングストン弁”ってなんだろう?
それを開くと戦艦が沈むの?
変なものつけてるんだね

まぁいいか

アスカと綾波が念じている
開け開け開け

はいはい

わかりましたよ

じゃあ僕も

「開け!」

なに?
何で二人とも僕のこと見てるの?
ビックリした顔で

あれ?
使徒…引き裂いちゃった

あらら…

こいつ…弱かったんだ

まぁいいか





別れ際
アスカに呼び止められた

「認めてやるわよ…ライバルって」
「どうも」
「あんた名前は?」
「碇シンジ」
「シンジ…シンジね」

アスカは一瞬、迷うような表情を見せて
それを直ぐに消して

「ライバルのよしみで“お人形さん”は止めて上げる」
「どうも、惣流さん」
「アスカでいいわ」
「は?」
「ライバルのよしみで…アスカでいいわ」

なにそれ?
まぁいいや

「わかったよ、アスカ」

ん?
アスカ勝ち誇ったような顔して
なんだ?

「なによ?あんた笑えるんじゃない」

え?
笑ってるの?
僕が?

「そっちの方がいいんじゃない?じゃあねシンジ!」





会話が終わって
アスカは嵐のように過ぎ去り
僕はため息をついた

あれ?
綾波、いつからそこにいたの?
何で不機嫌なの?








人づてに聞いた
アスカはミサトさんと暮らすらしい
引きずり込まれたのかな?

まぁいいや

そこにいてくれれば顔を見なくてすむ

僕の純白の日々を穢されずにすむ








悩んでるんだ
だってさ
このままだと絶対ユニゾンが待ってるんだよ

綾波とにしてもらおうかな…

それもイヤだな
距離感が大事なんだよ
綾波とは

いま、綾波は感情の海で溺れている
そこから先にあるのは愛欲…

さすがにそれは勘弁して欲しい

綾波のことだ
朝晩絶え間なく求めてくるに決まってる




とにかくアスカとのユニゾンはごめんだ…
いい思い出なんか何にもないじゃないか…

けなされて
蹴られて
罵られて
馬鹿にされて


絶対イヤだ

そこまで考えたところで僕と初号機は輸送機から切り離された

もう時間がない

「レディーファースト!」

気に障る甲高い声
そして気合一閃、使徒を真っ二つ

あぁ…二体になちゃッた

僕は焦るアスカを蹴り飛ばす
なんだかワーワー言ってくるけど無視

“二対一でも楽勝よ!”

見たいな事をさっきから
うるさいなぁ…

あの地獄の日々をもう一度過ごすくらいなら…


僕はアスカの影になった


二体に分かれた使徒はそれぞれ僕とアスカを襲う
僕はアスカの影だ
アスカが逃げれば僕も逃げ
アスカが攻めれば僕も攻めた

みるみる使徒は追い詰められていく

そしてヤツが一つに戻ったその瞬間
僕とアスカは
影と光は
ヤツのコアを貫いた


まぁ
結局前回と同じだったってことかな
ちがったって言えば
アスカの弐号機が着地のときにちょっとだけ足を滑らせ
すっころんだから
僕が受け止めたんだ

初号機が弐号機をお姫様だっこ


思わずゾッとした
アスカはこういう時必ず
“よけいなお世話よ!”
見たいな事を言って僕を罵る

勘弁してよ…

「…やるじゃない」

え?

「さすが私がライバルって認めたヤツだけのことはあるじゃない」

あれ?

「とりあえずあんたに貸し…一つね」

ん?

「あー!もう!悔しいから早く下ろして!このばかシンジ!」

どういうわけかアスカの言葉は最後の罵りまでが楽しそうだった



本部に戻るとアスカは挨拶もなく風のように去っていった
僕はとても疲れていて
部屋に戻るとすぐに寝てしまった

夢を見た
アスカと暮していた頃の
他愛のない、晩御飯がどうとか
そんな夢


目が覚めるともう朝で
綾波がいつの間にか来ていたらしく
リビングで雑誌を眺めていた

「おはよう」
「おはよう…碇君」

朝食の準備を始める

なんだろう?
この香り

覚えがある

あ…

アスカだ
アスカの使っていた…




ハムエッグとトースト
簡単な朝食
綾波はハム抜き

綾波が雑誌をしまう

あぁ…そういうことか

綾波が読んでいた雑誌はクラスの女の子がよく読んでいたやつで
感情の海に溺れる綾波は小さなジェラシーの波に次から次へと襲われている

僕が町で女の人を目で追うたびに
僕がテレビの中の女優に息を呑むたびに
僕が雑誌のグラビアのページだけゆっくりめくるたびに


“この人と私…何が違うの…”


綾波を襲う小さな感情の波

その結果がこの香りと雑誌で
広く胸元が開いたシャツで
撫で付けられた髪の毛なんだろう

使徒リリスは綾波レイに完全に落ちてしまった

父さんはどうするんだろう?
三人目に切り替えるのかな?

まぁいいよ
そうしたら三人目もおぼれさせるさ








前回は三人でプールだった
今回はDVDを綾波とみていた

火山に使徒が現れる

最初からそのつもりだった

「僕が弐号機で…」

出ます
そう言うつもりだったんだけど

「ちょっと待った!弐号機は私が乗るの!つまり私がいくの!」

結局前回と同じで
アスカが潜り
僕がバックアップ

綾波は非常事態に備えて本部待機

綾波は傍目にも不満そうで

「あらぁ〜?レイ、シンジ君と離れるのが寂しいのぉ〜?」

なんてミサトさんにからかわれて

「いいえ…」

なんて答える綾波がまた、更におかしかったらしく

「シンジ君の部屋の鍵貸して上げるから掃除でもしてあげて待ってなさいよぉ〜」

なんてからかって

べつにどうでもいいんだけど
あんまり茶化されるのもかわいそうだし

「いいよ、僕の部屋にいて。DVDの続き見てて良いから」

って、ちょと開き直ってみたんだ
ミサトさんは“亭主関白じゃない”みたいなこと言ってきて
とりあえず無視したんだけど
綾波が

「いい…後で」

普通の女の子の言葉に直すと
“碇君と見るからいい”
って意味で

なんだか少しめんどくさい

なんて思っていたら

「見せ付けてくれるじゃない?」

気に障る甲高い声で
僕の肩に肘を付き
アスカがつまらなそうに話しかけてきた

「あんたたち付き合ってるの?」

その言葉はなぜか小声で
どうしてだろう?
まあいいか

「別に」

あしらおうとしたんだけど

「何よ…かっこつけて」

だからなんで小声なの?
めんどくさいなぁ…

「付き合ってるとかそういうのとはちがう」
「じゃあなに?」
「家族みたいな…」
「家族?」
「たぶん…ね」

ふ〜ん
みたいな顔でアスカが僕の事を覗き込む
一瞬アスカの顔が…
笑顔?

「あっそう!」

なぜだかアスカは嬉しそうに行ってしまった

あれ?
アスカ…あの香りがしなかった…
今回は綾波からするあの香りが…
何でだろう?

アスカはミサトさんに何かを話しかけられると、目を吊り上げてミサトさんの事を蹴り飛ばした

相変わらずだね
きみは








さて…
どうしよう…

とりあえずアスカは潜って行った

“今回は楽させてあげる”

なんて言いながら

どうしよう
本当に楽、しちゃおうかな
ん?
あぁ…アスカが使徒の捕獲に“成功”した
けど
ほらね?

大騒ぎだ

アスカは武器を失い左足を切り離し、必死に使徒に挑む

少しくらいなら…いいか

僕は言われるままナイフを放り投げ
アスカには話しかけた

「多分…きかないよ」
「いいから!あんたは黙ってみてなさい!」
「溶岩の中でしょう?」
「気が散るのよ!」
「一回引き寄せてさ」
「言われなくても!」
「無理やり冷やしてやれば?」
「はぁ?なに言ってんの!?この非常事態に!」
「熱膨張」
「はぁ!?」
「わかるでしょう?」

じゃあそろそろかな?
僕は話を切り上げてマグマに飛び込んだ

ミサトさんがわーわー叫んでる
離れてよくわかった

うるさいよね
このおばさん

ん?
見えてきた

アスカが使徒の口に冷却材のパイプをねじ込んでる
使徒はのたうち
沈んでゆく

弐号機が得意げに僕を見上げ
「どう!?」

僕は答えずに弐号機の手をとった
あ…今回はケーブルが切れる前にたすけちゃった

まずいなぁ…
“よけいな事すんじゃないわよ!”
“よけいなお世話よ!ばかシンジ”
なんて騒ぎ出すんだよなぁ
失敗した…

あれ?

「いいとこあんじゃない…」
「え?」
「やっぱりあんたそっちの方がいいわね」

なんだ?
何のこと?

「笑ってる方がいいって言ってんの!」

笑ってる?
ぼくが?
なんで?

「あ〜あ!またあんたに貸しができちゃったわね」

何でアスカは嬉しそうなんだろう?






僕らはご褒美で温泉で一泊
リツコさんたちはなんだか色々忙しいらしく引き上げて言った

別れ際、リツコさんは僕にかまをかける
「どうだった?碇シンジ君」
なんてわざとらしくフルネームで呼んで

だから僕も少しからかって
「問題ないです、シナリオ通りです」
って

リツコさんは目を細めて
笑うような睨むような…そんな表情で

まあいいや

「にたもの親子ね」

なんて言われたけど
まあいいよ

もういっその事“とおさんによろしく言ってください”って言った方が面白かったかな?







「動物とは勘弁してください」

ペンペンには女湯にいってもらった
僕はのんびり温泉に浸かる
途中、ミサトさんに声をかけられたけど無視した

仕切り越しに、気に障る甲高い声が聞こえる
「残念、アスカのライバルは温泉が御気に召さなかったみたいねぇ〜」
「一々うるさいわね!」
「んふふ〜」
「なによ!」
「極秘情報教えてあげようかぁ〜」
「はぁ?」
「諜報部の報告によると、ファーストチルドレン綾波レイは最近、美人のお姉さんの所に来て男の気の引き方を聞いていったそうよ」
「は?」
ミサトさんが綾波のまねをしながら
「葛城三佐…どうすれば碇君は私を見ますか…なんて健気に!」
「なによ!?」
「いやー驚いたわぁ、色々アドバイスしてあげたんだけどねぇ〜シャンプーとか」

僕は温泉から上がって部屋に戻った
そっか
そういうことか

まぁいいや





旅館で晩御飯
一人でいいって言ったんだけど

「あんなおばさんと二人で食べる身にもなってよ!ライバルでしょう!私の!」

毎日一緒に食べてるんでしょう?
なんて言う間もなく、無理やりアスカに引きずられて
三人と一匹で

あぁ…
もちろんペンペンに驚いて見せた
すっかり忘れてたけど初対面なんだよね

酔ったミサトさんは仕切りにアスカの事をどう思ってるか聞いてくる
アスカはそのたんびにミサトさんの頭ををひっぱたく

もう、うるさいしめんどくさくて
「ミサトさんよりはアスカのほうが好きです」
って嫌味を言ったんだ
嫌われようと思って



あれ?
ミサトさんは“ケッ!”って顔でお酒飲んで

何でアスカは黙っちゃうの?

おかしいなぁ…

まあいいか
「ごちそうさま」
とりあえず部屋に戻るか


僕は眠りに落ちた
夢を見たけどよく思い出せない
多分アスカの夢だったと思う






帰りの飛行機の中
ミサトさんは爆睡中で
アスカは仕切りにあくびをしている
まぁ大体わかるよ
夕べは大変だったんでしょう?

ん?

急にあくびをかみ殺して
どうしたんだろう?




アスカは随分乱暴な方法で、ミサトさんが目を覚ましそうもないことを確かめると、僕の方に向ってきて
「ねぇ、」
「…」
「はぁ…わざと?それともあんた本当にお人形さん?」

もちろんわざと無視したんだけど
大げさに溜息なんかされて
うっとおしいな

「聞いてるよ」
「じゃあこっち向きなさいよ、それとも私が美少女すぎて困っちゃう?」
「そうだね」
「はぁ…ほんとに…あんたどんな生き方したらそんなふうになるわけ?」

“君と一緒に暮らしたらだよ”

って言う変わりにアスカの瞳を覗き込んだ

ほんの少し前まで
僕を哀れむように蔑むように見下した
冷たく光る青い瞳を


「…」

アスカは直ぐに視線をそらしてしまう
うぅ〜ん…アスカって…一体…

「ねぇ」
「なに?」
「あんた、普段何してるの?」
「普段?」
「登校拒否児で引きこもりなんでしょう?将来の夢はニート?」

将来?
将来の夢は“赤い世界”だよ

「それもいいね」
「はぁ!?ばっかじゃないの?」
「楽しい?」
「はぁ?」
「その年で大学出て、大人に囲まれて、見張られて生活して…たのしい?」
「…特別なのよ…私は特別なの!あんたなんかにわかってたまるもんですか!」

ははは、アスカのヒステリーだ
そうやって自分を高いところに置いておかないと不安でしょうがないくせに

「いい思い出なんか…ないよ…きっとこれからも」
「いちいちムカつくヤツね」
「それともあった?いいこと」
「山ほど!」
「そ…よかったね」
「ええ!」

僕はそっぽを向いた
これでいいや
これでアスカも僕に愛想を尽かすよ
よかったよかった

「つまりあんたは毎日が退屈でしょうがないわけね!?」

あれ?

「しょうがないわね、本当に素直じゃないヤツね…まったく、ミサトの言う通りだわ!」

んん?

「たまには気分転換も必要よ?わかる?わかんないか…じゃあわかり易く言ってあげる」

なんだ?
なんなんだ?

「今度私が正しい生活のリズムってのを指導してあげるわ!特別にね!」

はい?

「あ〜あ、もう!ほんとににぶちんね!特別にこのアスカ様が付き合ってやるって言ってんの!」

え…

「付き合うって…勘違いすんじゃないわよ!そういう意味じゃないからね!一緒に出かけてやるってだけよ!わかった!」

「…う…うん」

「わかればよろしい」

アスカは颯爽と自分の席に戻ってゆく

なんだ?
何がそんなに楽しいんだ?
…それとも、新手のいやがらせかなぁ

アスカは近くにいても遠くにいてもよくわからない


ゲシ!

アスカが豪快にミサトさんを蹴り飛ばしている
んん?
ミサトさん、いつの間に起きたんだろう?
何でアスカの顔、真っ赤なんだろう?
何でミサトさん、こっち見てニヤニヤしてるんだろう?



僕の周りでは、絶対に何も起こってない
真っ白な日々だ
絶対にそうだ

だから僕は帰っても日記に日付しか書かない

僕の心はかき乱されてなんかいない



僕は自分に言い聞かせた
静かに生きるって決めたんだ
絶対に

だから今、ガラスに写る僕の顔が笑ってるのも気のせいだ
絶対に認めない


フォークリフトさんの「あの頃の僕なら」第2話です。
アスカに対して、少しづつ心を開くフラグ?だとしたらいいですね。

続きの気になるお話を書いてくださったフォークリフトさんへの激励・感想をぜひアドレスforklift2355@gmail.comまで〜おねがいし ます。

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