精鋭 保安諜報部


byむぎさん




注:このお話は君を守りたいをお読みになってから読むと、わかりやすいと思われます。


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エヴァのパイロットである以上、当然監視をかねた護衛がついている。

車を運転するように、操作方法が分かれば誰にだって動かせるという代物ではないのだ

汎用人型決戦兵器、エヴァンゲリオン というのは。

使徒も来なくなった今となっては、研究用であるとはいえ

各方面に対する抑止力になっている一面も否定できない。

その、テクノロジーの一端なりとも探ろうとする面々や

パイロットがいなければ、エヴァなどかさばるお人形にすぎない・・と

チルドレンの命を狙う面々に備えて、ネルフがあちこちから引き抜いてきた

精鋭が、シンジ達 チルドレンを、ガードしていた。


保安諜報部の皆さんである。


彼らはこの常夏の第3新東京市で、

黒いサングラスに黒いスーツ、乗ってる車も黒のセダン・・という

悪めだちする人々である。


目に付かないようにしなきゃならないのに、

どーも、今いち 間が抜けている。

これで、監視されてることに気づかないのは

初めてのおつかいに出ている子どもくらいなものだ。


でも、精鋭なのである。





その精鋭な方々が、前回アスカがお馬鹿な兄さんたちに襲われた時

なぜ出てこなかったのであろうか?

別に、電柱の影で「おでん」を食っていたわけではない。

(そんな、コンビニのCMありましたよね?

張り込み中の刑事さんが、延々とおでん食ってる・・というやつ)

ただでさえ、暑い中、くそ暑い格好をしているのだ。

輪をかけて、熱々のおでんなんざ食いたかないだろう。

・・・だからといって、アイスを食べていたわけでもない・・





じゃ、何をしてたんだ?と、皆さん 首をかしげることと思う。

答えは1つだ。


呆気に取られていたのである!!


あ・・石は投げないでください。石は。

どーせ、届きゃしません、作者には(届いたら やだなあ)

ご自分のPCにあたって、石がはねかえりますよ。PCも壊れるし・・


いや・・あの、すみません。

でも、これが答えなんです。そうなんです。





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アスカが公園に入ったとき、その後ろ30mの所に彼らはいた。


さささっ

さささっ・・とさりげなく(さりげないか?)

影から影へ移動しているうちに、

アスカの前に、やばそうな連中が並んでいた。


それを、確認したとき、セカンドチルドレン・ガード担当2班である

保安諜報部員A(34歳)、、B(28歳)、C(22歳)の3人の胸に

去来したのは喜びだった。


『やっと・・』

『やっと、汚名挽回出来る・・』


数年前、セカンドチルドレン、ロストから 7日目に発見。

発見時には、心身共に弱り果てていた 14歳の少女。

あの時は、もちろんこちらの責任なのだが

散々言われたものだ・・


作戦部への嫌がらせか!

――そんなことのために14歳の女の子を利用するものかよ――

さぼってたのか!!

――家庭も彼女も顧みず、働いている俺達に向かって何を言う!――


『もう、我慢できません!これに判子を押してください・・』

Aの脳裏に、子供たちの手を引いて去っていった妻の顔が浮かぶ。

『高校生、追っかけまわすのが仕事だなんて、もう少しうまい嘘吐きなさいよ!』

Bの胸に冷たくそう言って、振り返りもしなかった彼女の声がよみがえる。


C?・・彼には彼女を作る暇すらなかった。



・・み・・見ろ!!保安諜報部はこんな人間ばっかりだ!!

やもめとチョンガーの吹きだまりだ!!むさ苦しいったらありゃしねえ!!

その俺達に向かって

「寝てたのか!?」とか

「給料泥棒!」とか

「ったく、使えないわね!」とかいった奴等に

やっと

やっと!!

俺達の真価を見せ付けてやれる!!


ここで、ばし!!っとセカンドチルドレンを守って、

あの子に

「ありがとう」

と、一言、言ってもらえれば、今までの苦渋の日々も報われるってもんだ。





などと、追憶に浸っているうちに、アスカがとっととおっぱじめてしまったのだ。

「あ・・あれ?」

その強さたるや・・

可憐な外見からは想像がつかない


人は見かけによらないな・・


と、つい、出るタイミングを逃して立ち尽くす3人。

「えーと・・」

「・・これは・・」

「・・・・もう少し、様子を見よう・・」

一番年長のAの言葉にうなづくBとC


ここが難しいところなのだが、

できれば

出来れば、あまり姿を、ガード対象の前に出さない方がいいのだ。

監視しているのがわかるのはよろしくない。

(だったら、まず その黒スーツを何とかしろ!)


なので、少し傍観することとなった3人。

が!

さすがのアスカも男の腕力の前に地面に引き倒された。


今度こそ!!


と、出て行こうとした3人の横を風が通り抜けた。

「あれ?」

「えー・・と」

「・・・・サードチルドレン・・だな・・」


そうそこには、鬼と化したシンジが駆けつけていた。


強い強い

一撃必殺

つかみ掛かってきた男のみぞおちに膝が入る。

ナイフを出した男が、そのナイフを構える前に裏拳で殴り飛ばされる。

違う男の顔に肘打ちを叩き込む。


「あ・・やくざキックだ・・」

シンジの戦いっぷりをみていたCが呆然とつぶやいた。

「強いなあ・・」

「愛の力っすかね・・」

AとBも思わず感心する。

その肩が、ぽん と叩かれた。

「・・よぉ・・」

サードチルドレン、ガード担当4班の面々がそこにいた。

D(39歳)、E(27歳)、F(24歳)である。

「いやー・・まいった。年には勝てんな・・息があがる・・」

ぜーぜーと肩で息をしているD

「・・足が速いですよね・・彼は・・」

Eも少し息を乱している。

「で・・どうなってるんすか?・・」

と言うFにBがあごをしゃくって見せた。

「そろそろ終わりそうだ・・」


シンジがリーダー格らしい金髪ロンゲを

ドバキ!!と殴り飛ばしたところだった。


「あー・・あいつ、しばらく固いもの食えませんね・・」

「いいパンチだったな・・」

「差し歯にするのに結構かかるんすよね。金・・」

うつろな顔でそう言って、顔を見合わせると、はぁ・・とため息を吐いて肩を落とす

セカンドのガード担当2班とサードのガード担当4班


もう一度、シンジとアスカの方に目を向けると

アスカの頭を胸に抱え込むシンジ。

アスカの目から涙が落ち、シンジの胸を叩く。

シンジはさらにきつくアスカを抱きしめる。


「あそこで、キスの一つもしないあたりが、何ともねえ・・」

「若いよなあ・・かわいいっていうか・・うぶっていうか・・」

「え?あの二人って、出来てるんじゃないんですか?」

「まだだろ?俺、前に5班にいたけどそんな雰囲気じゃないぜ?」

「5班にいたのか?!あの盗聴班・・デバガメ部隊に・・」

「人聞き悪いっすねえ・・」

「けっこう、面白いぞ・・あの二人の会話。な?」

「あ、何だ、5班経験者じゃないっすか・・そうなんすよね!

こう、はまりますよね 何となく。あのむずがゆい感じが!!」


黒服の男達が物影で立ち話をするの図・・怪しいことこの上ない

のんきにおしゃべりしてる場合か?


そのうち、携帯がなった。

「了解しました。すぐそちらに向かいます」

そちらにも何も・・

現場にいるじゃねえかよ・・

「あ、じゃ、自分が車取ってきます。」

最年少のCがそう言って走り去る。


残ったメンツがシンジとアスカに目を向ける。


お姫様に忠誠を誓う騎士のようだ。

ベンチに座るアスカの前に、しゃがみこんで

何か真剣に話し掛けているシンジ。

夕日に照らされる公園

夕日に照らされる二人

やがて、アスカが立ち上がると きらめくような笑顔を見せる。

青春映画の一場面だ。


「かゆいな・・」

「ですね・・」

黒服の面々は、首筋のあたりを掻いた。


やがて、車が到着。お馬鹿さんたちを積み込み、CとFが運んでいく。

バックミラーごしに見える手をつないで歩き出す2人。


「俺も彼女ほしいなあ・・」

Cがため息交じりにつぶやいた。

「そうだなあ・・」

Fもため息を吐いた。

彼もこの仕事が原因で彼女と別れたばっかりだった。

気の毒だなあ・・


残りのメンツは手をつないで帰るシンジとアスカを尾行している。

仕事だ仕事


2人の様子を見ていて、一人がつぶやいた。

「この先、5班の連中 楽しいかもなあ・・」


そうかもね。

班替えの申請でもするかい?


・・これでも、彼らは精鋭だ!


がんばれ!保安諜報部

ファイトだ!保安諜報部

いつかはきっと、いい日がくるさ!

・・多分ね・・




END


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こんにちは、むぎです。

えーと、今回のお話は・・ですね。

もちろん怪作さんへのお礼でもあるんですが、

感想メールをくださった方が「保安部は何をしてたんでしょうね」

と、聞いてくださったので、出来上がったお話です。

メールでお返事をだそうとしたんですが、何回やっても

何故か送り返されてしまったんです。すみません

「むぎにメールを出してやったのに、返事が来ねえ!」とお思いのあなた!

この文面に思い当たる節がおありのあなたです!(お名前は控えさせていただきますが)

あなたのおかげでこの話がぽんとわいて出たんです。

ありがとうございました。

後書きを私信に使ってしまってすみません。


おわびにまたなんか書いて送ったりとかしたら・・怒ります?怪作さん

では



むぎさんからまたまた素晴らしいお話を戴きました。

シンジとアスカのらヴな姿‥‥しかし。
こういう裏(笑)の世界も同時並行で存在する‥‥それがエヴアってものなのですね(笑)

しかし‥‥こういう連中だったのが保安諜報部って‥‥いいぢゃないか!(爆)
こういうお話ももっと読んでみたいですねぇ!

みなさんも素晴らしいお話を送ってくださったむぎさんにぜひ感想を送ってください。

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