名誉挽回

<保安諜報部5班の記録より>


byむぎさん



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正体不明だった凄腕の殺し屋であるペプシマンを捕らえた保安諜報部

これで彼等の本当の姿がおわかり頂けたか・・と作者もほっと息をついた。


息をついたのだが・・・・




ざわざわと騒がしいネルフ本部内保安諜報部室。

電話が鳴り響き、書類が飛び交い、真剣な表情の黒服の男達が右往左往している。


「で?ペプシマンの調べはどこまで・・!!」

「今日のガード計画は・・!!」

「A2ブロックは確認したのか!!?」

「この件に関する報告はどうした?」


・・・・・・・・

すごく忙しそうだなあ・・・

ペプシマンを捕らえたことで、皆、勤労意欲に燃えちゃったんだなあ・・


「Vばっかりにええかっこさせてたまるか!!」


ああ、そういうことですか。


どうやらこの連中は影の部分の仕事をしなければいけない立場の割に

自己顕示欲が強い奴等が多いらしい・・


でも、困ったなあ。

どっちかって言えば、お間抜けで、へっぽこで、ぼけた所を見たいって

御要望が多いんだよなあ・・


「何言ってるんだ!これ以上恥なんかさらさないぞ俺達は!!」

「だいたい貴様はLAS書きってことなんだろう!?

その割にはこのシリーズは主役2人の影が薄いじゃないか!!」


はあ・・まあ、そうなんですけど・・

じゃあ、今回は主役2人の事でもお伝えしましょうか。






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「ふむ・・」

とある日の夜。

場所はリビング

何やら真剣な顔でカタログを眺めているシンジ。


通販のカタログ


前にアスカが雑誌に載っていた服を買ったら季節ごとに

新しいぶあついカタログが送られてくるようになった。


レディスの服だけでなく、メンズやインナー、

家具や収納用品、カーテンに布団etc.etc.の総合カタログ。


シンジが見てるのはベッドの載っているあたりだ。

「セミダブル・・いや、ダブルかなあ?」

ぶつぶつつぶやいている。


シンジ、アスカ共に、今使っているのはシングルベッドだ。

シングルというだけあって、1人で寝るぶんには何ら差し支えはない。

ないのだが・・


盗聴機が外されている事に保安諜報部が気づかないうちに

ちゃっかりとしっかりとXデーを経過して(笑)

2人で同じベッドで眠る日もある・・というか、

ほぼ毎日同じベッドで一緒に眠っている今日このごろ。

(何かするか、しないかはともかくとして)


183cmの長身と細身とはいえそれなりに筋肉のついたシンジと

きゃしゃとはいえ165cmのナイスバディのアスカ。


そりゃもちろん、

アスカのあのすべすべで、ぷにゅぷにゅで

やあらかーい、あったかーい感触は大好きだから、

くっ付いて眠るのは大歓迎だけど・・・・


『やっぱり少し狭いよなあ・・』


シンジはしばらく前からそう思っていた。





いや、何も、なーんにもせずに、ただ眠るだけの時はいいのだ。

でも何か「事を成そう」とする時に、

下手にでかく育てた体がベッドからはみ出しかけるのだ。

こないだも体勢を変えようとしたらベッドから落ちかけた。

これはまだ手慣れてないせいもあるだろうけど・・・・


『でも、あの時のアスカ、かわいかったよな・・』

などと、不埒な事を思い出してにんまりするシンジ

おい、よだれよだれ・・・・

・・・・・





シンジは再びカタログに目を落とした。

『やっぱ、ダブルかなあ?その方が・・』

何やら考える所があるらしい・・

・・・・だから、よだれをふけって・・・・






そこへアスカ嬢がひょこっと顔を出した。

風呂から上がったばかりらしく、パジャマ姿で濡れた髪。


「何見てんの?シンジ」

とシンジの肩口から覗き込む。

「ベッド?」

「うん。買おうかと思って。」

「何で?シンジのベッド壊れてないじゃん?」

アスカがキョトンとした顔をする。


「少し大きいのにしようかな・・って。

2人で寝るんだし、もうちょっと広い方がいいかな・・なんて」

「?そうなの?」

首をかしげるアスカ。

「ほら、あの時とかさ・・」


?あの時?って・・どの時?

一瞬「?マーク」を飛ばすアスカ。

が、理解した途端、ボン!!と赤くなる。


「な・・ななな!バ、ババ!!」

おーおー真っ赤っかである。

顔から全身に赤さが広がっている。


「だってアスカ、ベッドじゃないとやだって言うじゃん」

そのアスカを面白そうに眺めつつシンジ。

シンジのセリフに真っ赤なまま口をぱくぱくさせるアスカ。

「っっっ!!あっ・・あーいう事はお布団かベッドの上って決まってるでしょ!!」

何とか声をしぼりだす。

「いや、別に決まってるってわけじゃ・・」

シンジが言い終わらないうちに

「決まってるでしょ!!」

と、アスカがズイ!と言い切った。

「はいはい。そうですね。」

シンジが苦笑する。





シンジもアスカと付き合い出して、そういう関係になって初めて知ったのだが

アスカはとんでもなく「うぶ」で「恥ずかしがり」だった。

冗談のようだが、未だに電気がついたままだと

真っ赤になってべそをかいている。


『そういうとこも可愛いけどね』

などと、にんまりするシンジ。

「何、にやけてんのよ・・」

アスカがじと目で言った。


「あ・・あはは。何でもないよ。だ、だからね、ベッド買おうかなって」

シンジが無理矢理話を戻す。

「で・・でもさ。そんなでかいベッドどこに置くのよ」

アスカが赤い顔のまま聞く。

「え?そりゃ僕の部屋でしょ?」

アスカの部屋で「事におよんだこと」はまだない。


「そ・・そしたらシンジの部屋狭くなるじゃん」

アスカ、反論

「んーでも、これなんてロータイプだから圧迫感なさそうだよね。

もともと部屋にあんまり物ないし」

「で・・でもさ、でもさ」

アスカがさらに反論しようとする。

「・・・・アスカ?何でそんなに嫌がってんの?」

シンジが首をかしげる。


「だ・・だって、なんか露骨な感じがして何となく、やなんだもん」

真っ赤なアスカがうつむいてつぶやく。

「・・・・考えすぎだと思うよ?それ・・」

シンジが呆れた声で言った。





アスカだってそう思う

思うけど、思うけど。








「う〜〜〜・・・・」

うまく言葉に出来ないアスカがうなる。

真っ赤な顔の中の蒼い瞳がうっすら涙を浮かべて

シンジを上目遣いで見つめた。


『かっ!!可愛い!!』

シンジ撃沈。





「う〜〜〜・・・・」

アスカはまだうなっている。

「あー、はいはいアスカ泣かないで」

シンジはひょいとアスカを抱き寄せた。


素直にシンジに抱っこされるアスカ。


自分の腕の中で真っ赤になってうなっているアスカを

蕩けそうな目で見つめるシンジ。





何がどうしてだかわからないが、どうやらアスカにとっては

ダブルベッド・・というのは恥ずかしいらしい。

・・・というのが、シンジにはわかった。





「う〜〜〜・・・・」

抱っこされたまま、うなり続けているアスカ

「・・・・そんなに恥ずかしいの?」

シンジの声に、こくこくとうなづく

「ふうん・・」

シンジは一度そう言うと、








「じゃ、もっと恥ずかしい事、しよ!」

「え?」

驚いているアスカをそのまま抱っこして、

とっとと自分の部屋に運んで行くシンジ。








「やだあ!!やだやだ!!」


アスカの声が聞こえた。

非難めいた声がやがて甘くなって・・





そうして夜が更けていった。








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「これが、昨夜のセカンド・サード両名の様子です。」

黒服、黒眼鏡の男が司令室で報告した。

「今朝、サードがダブルベッドを注文した事が確認されています」


「そうか・・」

いつものように、口元を隠したポーズで重々しく声を出すひげ面・・

もとい、碇ゲンドウ。








「・・盗聴機を外され、Xデーを探れなかった件は、不問としよう。

よくやってくれた。5班の諸君」

その場に姿勢を正して立ち尽くしていた面ツがほっとした表情になる。





盗聴機が外されていた事を報告した後、

ゲンドウに怒られて怒られて怒られ倒した保安諜報部5班。

その失敗を取り返すべく、彼等は本気で

セカンド・サードの住むマンションの一室に

新たな盗聴機、ならびに隠しカメラを設置したのであった。

その第一回の報告を今日行なったわけである。


『よかった・・これで減俸は免れる・・』

『車のローンが・・』

『家賃が・・』

『彼女に買った指輪のローンが・・』


などと、胸をなで下ろす面々。

そこへ、ゲンドウが一言訊ねた。







「・・サードの部屋には隠しカメラは設置していないのか?」


・・・・・・・・・・・・・・・






俺達はこんなオヤジの下で働いているのか・・・・・


その場にいた5班の全員が同時に思ったらしい・・







がんばれ負けるな、諜報部!

これも仕事だ、デバガメ部隊!


とりあえず給料の為だと思ってさ・・

明日もとにかく元気で行っとけ!







・・・こんな設定にしちゃってごめんね。いや、まじで。






END


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こんにちは、むぎです。

頭を冷やす旅に出ます。探さないでください・・

では・・・・











だって!私にこの話の何を語れというんですか!!

逃げるのか?と言う声も聞こえる気がしますが、

逃げさせてください、脱兎のごとく!!(笑)

逃げる前にこれだけは言いますが、

「シンジの部屋に隠しカメラはついてません!!

ですから、そこを書け!と言われても書けませんよ!

書けないったら書けないんですからね――――!!」

(脱兎のごとく走り去る・・)


 むぎさんからのい〜いお話を頂きました。

 むぅ、逃げてしまいましたか‥‥。

 今回はシンジとアスカ、この二人がメインのお話でしたねぇ。既に、Xデーを経験していたのか‥‥(^^)

 保安諜報部も見事に任務を果たしました(笑)‥‥でも、二人のプライバシーを守るため、カメラは自粛してくださいね(笑)

 みなさんも素晴らしいお話を贈ってくださったむぎさんにぜひ感想をおくってください。

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