「烏賊した怪作のホウム」様、10万ヒット記念SS



『別れの朝』(後編)


by イイペーコーさん


『それじゃあ、シンジ君。
 どうしても理由は言えないという訳ね』

『はい・・・』

『理由もなしに、どこか遠くに引っ越したい・・・なんていう要望を聞き入れられると思う?』

『ごめんなさい、ミサトさん。
 落ち着いたら、必ず事情を説明しますから、今は僕の引越しに同意して下さい』

『あのねぇ、そんなコトをしたら、アスカがどれほど悲しむか分かってんの?!』

『いいえ・・・その心配は必要ないですよ、ミサトさん。
 僕が遠くに行っても、アスカは悲しんだりしませんよ』

『シンジ君、それはどういう事?』

『・・・ごめんなさい、今は言えません』


 そんな僕とミサトさんの会話は平行線を辿った。
 このままでは、ミサトさんの説得は難しいと思っていた時だった。


「どうだろう・・・シンジ君の事は俺に任せてくれないか」

 そう言ったのは加持さん。
 昔から何でも相談できるお兄さんたいな人だったけど、ミサトさんと結婚してからは、以前にも増して気さくで優しい雰囲気を漂わせるようになった気がす る。

「ちょっと、あなた・・・私はねぇ」

 ちょっと頬を膨らませて、子供っぽく不満の旨を顔に出すミサトさん。
 けれど、それをさらりと遮るように穏やかな口調で加持さんは続けた。

「シンジ君とアスカの保護者がミサトだっていう事は分かっているさ。
 けれど、どうやら今回は、男同士の方が話を聞きやすそうだ。
 ・・・なぁ、シンジ君」

「はぁ・・・」

「そういうワケだ。
 ミサト、ちょっとシンジ君と出かけてくるぞ」

 優しい物言いの中にも反論できない力強さを感じてしまう。
 これが大人の男性の懐の広さというものだろうと思う。

 かつてアスカが加持さんに憧れていたのも良く分かる。
 それだけ大人の魅力を感じさせる人だ。

 そんな訳で僕は、加持さんに連れられて、近所の公園に向う事になったんだ。

○○○○○○○○○

 いない・・・。

 シンジのヤツ、どこにもいない・・・。
 本当にシンジはアタシを見限って、どこか遠くに行ってしまったんだ・・・。

 アタシはあの後必死になって町中を走り回って、シンジが立ち寄りそうな所を探して回った。

 けれど、シンジの姿はどこにも無かった・・・。

 こんな・・・こんな事でアタシの初恋は最後の時を迎えてしまうの?

 それだけはイヤ!

 シンジがアタシのコトを嫌いになって、失恋してしまうのならばまだしも、こんな誤解が発端で、シンジを失ってしまうなんて、絶対にイヤ!

 ううん、違う!
 そんな奇麗事なんかじゃない!
 そう・・・誤解だろうが何だろうが関係ないわ!

 アタシにはシンジしかいないの!
 たとえシンジがアタシのコトを見捨てると言ったって、縋り付いてでもシンジの傍にいたいの!

 シンジが他の女の子と結ばれるなんて絶対にイヤよ・・・。

 アタシは、ずうっと、ずうっと・・・シンジと一緒にいたいの・・・。

 泣きたくなるような気持ちを必死に堪えて、アタシはシンジを探し続けた。
 それでもシンジは見つからない・・・。

 時間が1分1秒過ぎ去っていくごとに、アタシとシンジの心の距離も遠ざかってしまいそうで、焦る気持ちがますます高まっていく。

 冷静に考えれば、シンジを探し始める段階で気付く筈の場所をアタシはなかなか思い付く事ができなかった。

「ああっ! そ、そういえば!!」

 辺りは人通りの多い繁華街。
 そんな事を構わずに大声を出したものだから、近くを歩いていた通行人が、何事が起きたのかと怪訝な様子でアタシに視線を向けた。

 しかし、そんなコトに恥ずかしがっているヒマはない。
 アタシはシンジが必ず向かうであろう場所を思い出したのだ。

「そうだ、きっとミサトの所だわ!」

 なんでこんな初歩的な事をすぐに思い付かなかったんだろう!

 ミサトはアレでも一応、アタシとシンジの法的な保護者だもん。
 仮にシンジが引っ越そうと考えたって、ミサトの同意もなしにできる筈がないもの。

 幸いにもアタシが今いる所から、加持さんとミサトの家は、そう遠くない。

 携帯で連絡する事も考えたけど、もし、誤解したままのシンジの話をミサトが聞いていたら、逆にアタシをシンジから遠ざけようとするかもしれない。

 とりあえず今はシンジがまだミサトの所にいる事を願って、このまま向かった方がいいかもしれない。

 そう考えたアタシは、再び全力で走り始めた。

 走る。走る。走る。

 起きてからずっと走りっぱなしで、アタシはかなり疲れていた筈だけど、残っている体力を振り絞るように走り続けた。


 そして・・・。


 アタシはきっと測定すれば、自己ベストタイムをたたき出していただろうスピードで、ミサトの家に辿り着き、玄関のチャイムのボタンを壊さんばかり に連打していた。

「ミサト! ここを開けて!」

 チャイムの次は、激しく玄関のドアを叩くアタシ。
 早く、早くシンジの顔を見て安心したい・・・。

 すると、“ぷしゅっ”というエアー音とともに玄関のドアが開き、中から不機嫌そうな面持ちのミサトが顔を見せた。

「あら、アスカ・・・待ってたわよ。 ずいぶんと遅かったわね」

 何か含みを持っているかのようなアクセント。
 やはり、シンジが誤解したままの事をミサトに話したのだろうか。

 でも、そんな事、今は関係ない。
 今はシンジに直接会って、誤解をとく。
 そして素直に謝らなきゃ!

「ねぇ、ミサト。 ここにシンジがいるんでしょ?
 お願い、シンジに会わせて!」

 するとミサトは、ちょっと考え込む様子を見せたかと思うと、おもむろに口を開いた。

「悪いけど、今、ここにシンジ君はいないわ」

「嘘!! お願い、アタシ、シンジに謝りたいの!
 だから、かくまったりしないでシンジに会わせて!」

「嘘じゃないわ。
 ・・・今、シンジ君はウチの旦那と一緒に出かけてるの。
 そうね・・・行き先はだいたい見当がつくから、これから一緒に行ってみる?」

 どうやら、ミサトは嘘をついている訳ではないみたいね。
 しかもシンジの居場所に案内してくれると言うのなら、異存があるわけないわ。

「分かったわ!・・・それじゃ、早くシンジの元へ案内してよ!」

「いいわよ。・・・でもね、アスカ。
 後でたっぷりと事情を教えてもらうからね、覚悟しておきなさい」

 うっ・・・結局、ミサトの尋問を受ける羽目になるのね・・・まあ、仕方ないか。


 こうして、アタシはミサトの案内で、シンジと加持さんがいるであろうという公園に向かったのだった。

 しかし、“後で”って言ったのに、歩きながらミサトにいきさつを追求されてしまったんだけどね。

 もちろん、さんざん叱られたわよ。

○○○○○○○○○

 近所の公園にまでやってきた加持さんと僕。
 緑豊かなその公園には、穏やかな陽射しが降り注がれていて、気分が落ち着くような心地良い雰囲気を僕は感じていた。

 ただ、辺りを見渡すと僕達以外に人影は無い。
 相談事をするには絶好の場所なのだろうけれど、こんなに居心地の良い場所なのにちょっと意外だった。

 そんな辺りの雰囲気もあったのかな。
 そして、もちろん相手が信頼できる加持さんだった事もあると思う。
 ミサトさんも、もちろん信頼しているけれど、加持さんの言う通り男同士の方が、やっぱり話しやすかったのだと思う。

 まるで奥深くに仕舞い込んでいたモノをゆっくりと引き出されるかのように、僕はここ2週間のアスカの不審な行動・・・そして、昨夜の出来事を加持 さんに話していた。

「なるほどね・・・」

 僕の話を聞き終えて、加持さんはそう一言呟くと、考え込み始めた。

 そうして暫くの間、加持さんは俯き加減に考え込んでいたのだけれども、ふと何かの考えがまとまったのか、顔を上げるとニヤリと意味ありげな笑みを 浮かべながら話し出した。

「シンジ君、しょせん君のアスカへの想いはその程度のものなんだなぁ」

「と、突然、何ですか? それに“その程度”って、どういう意味です?」

「つまり、アスカがちょっとぐらい浮気した程度で、忘れる事ができる程度の想いでしかなかったという事だよ。
 まあ、そんな事だから、アスカを他の男に寝取られてしまうんだよ」

「くっ!」

 思わず言葉を失ってしまう・・・。
 僕のアスカへの想いは、誰よりも大きくて深いものだと思ってきた。

 しかし、加持さんが言う通り、アスカを他の男に寝取られたという事実は間違いないのだから。

「何も言えないのかい? シンジ君」

「そんな事・・・ありません。
 僕は・・・僕は、誰よりもアスカの事を・・・」

「誰よりもアスカの事を愛している・・・と言いたいのかな?
 ならば、シンジ君。
 どうして君はその想いをあっさりと捨て去るんだい?

 他の男にアスカを奪われたのなら、その男からアスカを奪い返せばいいじゃないか。
 『俺の元に帰ってこい!』と強引にでもアピールすればいいじゃないか。

 そんな努力もせずに、『誰よりもアスカを愛している』なんて語る権利はないね」

「そ、そんな・・・ですけど、アスカの気持ちが一番大事じゃないですか。
 いくら、僕がアスカを好きでも、アスカの方が他の男性の事が好きだったら仕方ないじゃないですか」

 すると加持さんは、僕を半ばからかっているかのように口笛を「ヒュゥ」と鳴らしてみせた。

「ほほう、するとシンジ君はアスカの気持ちを全て把握している訳だ。
 それは大したものだな」

「え、あ・・・そんな事はないです。
 アスカの気持ちを理解しようといつも思っていますけど、未だによく分かりません・・・」

「それじゃあ、どうしてアスカがシンジ君よりも、他の男の方が好きだと分かるんだい?
 アスカに直接聞かなければ、分かる筈がないじゃないか。

 いいかい、シンジ君。
 アスカの気持ちを決めるのはアスカ自身なんだ。

 そのアスカを寝取った男でもなければ、シンジ君でもないんだよ。

 しかし、そのアスカの気持ちを決める為の土俵に上がらなければ、そのチャンスすらも無くなるんだよ。

 ここはひとつ、アスカを寝取った男を殴り倒してでも、アスカへの愛を貫いてみせればいいじゃないか。

 その上でアスカが、その男の方を選ぶというのなら仕方ないじゃないか。
 その時にすっぱりと、アスカの事を諦めればいいじゃないか。

 潔く身を引くなんて奇麗事を言うなよ。
 男と女の関係にセオリーもルールもないんだ。

 ただ『好き』か『嫌い』かだけだぜ。
 その『好き』という言葉を女に言わせるために、がむしゃらになって、はいつくばってでも努力して見せろよ。

 それが『男』のあるべき姿だと俺は思うぞ」

「でも・・・加持さん、アスカは・・・その・・・その男に身を任せたんですよ」

「それがどうした?
 君は相手が処女だと好きになるのか?

 好きになった女が、初めてかどうかなんて関係ないだろ?

 身体に惚れるんじゃないだろ?
 そのハートに惚れるんだろ?

 そのハートに惚れたのなら、全身全霊をもってその女を愛して見せろよ。

 もしもだぜ?
 もしも結婚したら、一生涯その女と顔を突き合わせていくんだぜ?
 その長い人生を考えれば、初めてかどうかなんて、ちっぽけな事だぞ」

 熱い加持さんの教え・・・。
 確かに加持さんの言う通りだろう。

 アスカの事が本当に好きならば、彼女が初めてかどうかなんて関係ない。

 しかし、僕には・・・今の僕には・・・アスカを奪い取るだけの価値があるんだろうか。

 そんな僕の心の中で洩らした独り言が聞こえたかのように、加持さんは大きなため息をついた。

「仕方ない・・・ここまでは言うつもりはなかったが、話してやろう。
 アスカの純潔を奪った男というのはな、この俺の事なんだ」

「な!?」

「どんどんいい女になっていくアスカを見ていて、どうしても抱きたくなったんだよ。
 まさか、“初めて”とは思わなかったがね。
 アスカは俺に憧れていたからなぁ・・・ちょっと誘ったらすぐに身体を開いたよ。
 ・・・もちろん、あらかじめに、ほどよく酔わせておいたがな。

 予想通り、いいカラダだったよ・・・アスカは。
 あれなら、これからもちょくちょく抱いてやってもいいぐらいだ」

 ぷつん・・・。

 ナニかが、僕の中で弾け飛んだ・・・。

「きさまぁぁぁぁ!! 僕の、 僕のアスカにぃぃ!!」

 渾身を込めた拳で、加持さん・・・いや、この“男”の顔に一撃を打ち込んでいく。

 ずしっ!・・・と拳に伝わる痛み。
 しかし、もっとこの“男”・・・いや、“こいつ”は痛い筈だ。

「ふんっ、その程度か、碇シンジ!
 そんなヤワな根性だから、アスカを奪われるんだぜ!」

「うるさいっっ!! おまえなんかにぃ! おまえなんかにぃ!
 おまえなんかに、アスカを渡すものか!!

 アスカは・・・アスカは、“俺の”女だ!!」

 アスカへの深い想いを込めて、そして・・・絶対にアスカを奪い返すという決意を込めて・・・僕の一撃は、“こいつ”の頬 にめり込むように打ちつけた!

 すると“こいつ”は、もんどりを打つように殴り飛ばされ、その場に崩れ落ちた。

「あててて・・・やればできるじゃないか、シンジ君」

 起き上がった“こいつ”・・・いや、加持さんは、いつものような優しい視線を僕に投げかけた。

 え?・・・まさか・・・まさか、加持さん・・・今までのは、ひょっとして演技なの?

 あたふたと動揺を隠せない僕が、倒れた加持さんの下へ駆け寄ろうとした時だった。

「シンジぃぃ!!」

 突然、背後から僕の名を呼ぶ声が上がった。

 それは、たとえ遠くに居たって、聞き間違えようのない声。
 僕の・・・僕の大好きなアスカの声だった。

 思わず振り返ると、そこには宝石のような蒼い瞳にいっぱいの涙を浮かべたアスカが、真一文字に僕を射貫くような熱い視線で見つめていた。

「アスカぁ!」

 気がつくと僕は駆け出していた。

「シンジぃぃ!!」

 アスカも僕に向かって駆け寄ってくる。

 そして・・・僕は、僕の胸に飛び込んできたアスカを受けとめて、離すものかと言わんばかりに彼女を抱きしめた。

「愛してる! 愛してるんだ、アスカ!
 僕は、僕は絶対にアスカを誰にも渡さない!!
 誰にも渡すものか!!」

「嬉しい・・・嬉しいよぉ、シンジぃぃ・・・」

 胸板から伝わってくるアスカの柔らかな身体の感触が心地良い・・・けれど、本当に心地良かった訳は、アスカの暖かなハートを抱きしめる事ができた からだろう。

 僕らはどちらからともなく、唇を求め合った。
 それは・・・熱くとろけてしまいそうなキス・・・心の底から溶け合うようなキスだった。

○○○○○○○○○

 そして、長い長い・・・そう、とても長かった一日が終わりを告げようとしていた頃。
 僕とアスカは、とある高級ホテルのスイート・ルームの寝室・・・そのキングサイズのダブルベッドで、互いに生まれたままの姿で身を寄せ合っていた。

 その愛を何度も何度も確かめ合うかのように求め合った今・・・僕は、より深い絆を感じていた。

 身体の繋がりだけがきっかけではなかったと思う。

 けれど、確かに今は胸の中で眠る少女を生涯かけて守っていきたい。
 そして、僕の全てを投げ出してでもアスカを愛していきたい。

 この想いは、きっと僕の命が尽きるまで、決して変わらないと思う。


「シンジ・・・」

「あれ? 起きてたんだ、アスカ」

「うん・・・」

 アスカは、まどろむようにとろけてしまいそうな瞳を見せる。

「アスカ、眠いんでしょ? ゆっくり休みなよ」

「うん・・・でもね、これだけは言っておきたいの」

「アスカ・・・昨夜の事やアルバイトの事なら、もう何度も謝ってもらったんだから、もういいんだよ。
 それに一番悪いのは勘違いしてしまった僕なんだから」

 するとアスカはゆっくりと小首を左右に振った。

「アタシね・・・今日という日が17年間生きてきた中で一番嬉しかったの。

 ひょっとしたら、今後の生涯を通しても最高の日なのかもしれないわ」

「それって・・・その・・・僕と結ばれる事ができたから?」

 純白のベッドのシーツにくっきりと残るアスカの純潔の証。
 加持さんの熱い教えのおかげで、「初めて」に拘るつもりは無かった筈だったけれど・・・やっぱりアスカの初めての男になれた事はとても嬉しく感じてい た。

 もちろん、アスカにとって最初で最後の男になるつもりだけどね。
 僕自身もアスカ以外の女性と肌を合わせるつもりなんか微塵もない。

 きっと、アスカも僕と結ばれた事が嬉しかったのだろうと、ちょっとだけ自惚れていたら、アスカは微笑みながら、もう一度、小首を左右に振った。

「ふふふっ、シンジのえっち♪
 そのコトも、もちろん一生忘れられない思い出になると思うわ。

 だけどね、もっと嬉しいコトがあったの。

 それはね・・・シンジのあの“言葉”よ」

「僕の・・・“言葉”?」

 するとアスカは、満面の笑みでこくんと頷いた。

「“アスカは・・・アスカは、“俺の”女だ!!”・・・か。
 何度、思い出しても、ジーンとしちゃうな♪
 このセリフをシンジに言わせてくれた加持さんに感謝しなきゃね!」

 僕は黙って頷いた。

 加持さんには、本当に感謝しなくちゃね。
 痛い思いをして、悪役まで演じてくれたのだから。

 そんな風に感謝の気持ちを思い描いていたら、突然、アスカがベッドに両手をついて半身を起こした。

 とたんにあらわになるアスカの少女とは思えない豊かな双丘・・・。
 そんな自身の姿を恥ずかしがりもせずに、アスカはニヤニヤと笑みを溢しながらにじり寄ると、仰向けになっていた僕の身体の上に覆い被さってきた。

 そして一言。

「ねぇ・・・シンジぃ、もう一回言ってぇ♪
 あの・・・セ・リ・フ♪」

 ううっ・・・こんな魅惑的な体勢でのリクエストに“No”と言える男が居るだろうか。

「ねぇん、早く言ってぇ♪」

 こ、こんなにアスカって甘えん坊だったかな?

 そんな事を考えながら、僕はゆっくりとアスカのリクエストに応えるべく、口を開いて“言葉”を紡いだ。

 ・・・その直後、僕の唇は濃厚なアスカの“蓋”で、しっとりとぴったりと閉じられてしまった事は、もう言うまでもないよ ね♪

 え・・・そのまま、眠れたのかいって?

 とんでもない!
 結局、僕は2日続けて一睡もできなくなってしまったんだ。





 そして、僕達は朝を迎えた。

 今までの僕達に別れを告げて、新しい道を共に歩み出す朝。

 その前途にはさまざまな障壁が待ち構えているかもしれない。

 けれど僕達は絶対に負けない。
 アスカと一緒なら怖くはないさ!

 2日続けての徹夜明けで見上げた朝日。
 今度は、涙は流れなかった。



END
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−おまけ−

「さあ、シンジぃ♪ 今日もたっぷりと愛を確かめ合うわよ♪」

「え゛・・・ま、まさか、朝から?」

「何を言ってるのよ! 愛し合う二人に朝も昼も夜も関係ないわよ♪」

「せ・・・せめて、少し休ませてぇ(涙)」

「だぁーーーーーーめ!!(はぁと)」

 あ、明日も徹夜明けの朝日を見るのかなぁ・・・。



−おわり♪−


−あとがき−

●怪作様へ

 いつもいつもお世話になります(ぺこり)
 この度は10万ヒットのご達成、本当におめでとうございましたo(^o^)o
 これからも鋭い切り口で魅力溢れるお話をたくさん書いて下さいね♪

●皆々様へ

 はじめての方は、はじめまして。
 イイペーコーと申します。

 今回は「ちょっぴり痛い・・・でも本当は、ちっとも痛くないLASモノ」に挑戦してみました(^^;;;

 未熟な技法しか持ち合わせていない当方ですが、精一杯の愛情を注いで書き上げたつもりです。

 ほんの一握りでも構いません。
「面白かったな」・・・と感じて下さる方が、いらっしゃいましたら幸いです(^.^)


 それでは、東北地方の片隅から、怪作さんのますますのご活躍をお祈りしつつ、この辺で失礼致します。


 イイペーコーさんの感動の後編、公開です!

 なんというか‥‥雨降って地固まるというか‥‥どきつい状況から爽快な大逆転、超嬉しいLASですなぁ〜

 う〜ん、いいなぁ‥‥は!?もうこんな時間だ!
 じっくり読んでたら更新時刻に間に合わなくなる‥‥。

 怪作は焦ってますけど(^^;;‥‥みなさんはゆっくりじっくりお楽しみください〜
 それから、イイペーコーさんへのメールもお願いしますね。

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