「・・・汚されちゃった・・・」

アスカ崩壊。



「・・・これは、私のココロ・・・
 碇君とひとつになりたがってる私の・・・」

レイ自爆。



「ごめんなさい・・・私、三人目だから。」

レイ復活?



「・・・最低だ。」

シンジ発射!



異形のものたちとの連戦に次ぐ連戦、
全てのパイロットが心身ともに限界に達し、
第三新東京市およびジオフロントは半壊、
もはや最後の使徒がもたらすであろう終局を待つだけかのように思えた。

だが、なぜか最後の使徒がいつまでた〜っても現れないまま一年が過ぎ、
すっかり餌付けされていたアスカが、シンジが毎日持ってくる弁当のにおいに釣られて復活したり、
『よくわかんないけど、綾波はやっぱりきれいだし、ま、いっか!』とシンジが開き直ったり、
その間に、都市部の修復も終わって、疎開していた人々も戻ってきて、学校も再開、
ついでにトウジの足もバイオな義足でほぼ元通り、となんだかまったりした日々が訪れていた。

そして、本業がすっかり暇になったネルフでは・・・





『マスク』



by HALQ





赤木リツコの部屋に、ネルフの誇る二人の美女が集まっていた。
一年たち、完全なサーティペアとなったが、もちろん結婚はまだだ。

「記憶喪失?」

「そうなのよ。この一週間、ネルフ内部で意識不明のまま倒れてる職員が十人も見つかってさ、
 何があったのか聞いても、どうしても理由が思い出せないっていうの。
 検査しても、何もわからないし、しかも、全員がよ。」

「意識不明だったなら、記憶が飛んでても不思議じゃないけど、
 短期間に同じ症状の職員が十人・・・
 どんな手を使ったのかは分からないけど、どこかの工作員とか?」

「当然、そう思うわよね。でもいくら調べても、なんにも出てこないのよ。
 いくら腕利きだとしても、何も不審な点が見つからないって、そこまでうちの連中もバカじゃないし。」

「それで?」

「前さナノサイズの使徒がいたでしょ。今度も似たようなやつじゃないかって意見があるのよ。」

「バカバカしい、MAGIには何の反応もないわ。
 第一、何で使徒がそんなことを・・・あっ、人の記憶を。」

「そうなのよ。最近・・・て、もう結構前だけど、
 使徒が人に興味を持ってるんじゃないかって、あんた言ってたでしょ?」

「分かったわ。少し調べてみる。」

「あんがと。ま、どっかの工作員って線は捨てらんないから調査もつづけるけど。」


**********


ネルフの誇る人型決戦兵器エヴァンゲリオンを駆る三人のパイロットたちは、
激しい訓練を追え帰宅の途についていた。

「あ〜、お腹減った。シンジ、お茶していくわよ!」

「ネルフで?家まで待てないの?」

「うるさい!黙ってついてくればいいの!
 優等生、あんたもくんのよ!」

「了解。ありがとう碇君。」

「え、いいよお礼なんて、僕、なにもしてないし。」

「いいえ、おごってくれるのだからお礼をいうのは当然。」

「・・・僕が、おごるの?」

「こ〜んなとびっきりの美少女二人とお茶できるんだもの、おごるくらいは当たり前よ!」

「うう・・・今月のおこずかいが・・・」

そう言って財布の中味を確認しようと取り出した。

「いただきっ!」

「あ、返してようアスカ。」

だが、中味を見る前にアスカに奪われる。

「どれどれ・・・これじゃ、チョコパフェ二つが精一杯か・・・シンジ、あんたお冷ね。」

「うう、ひどいや・・・」

ほとんどいじめだ。
精神崩壊から復活するために、ジャイアニズムを強化したのかもしれない。

「さっ、行くわよ♪」

パイロットたちが機嫌よく(シンジ除く)、ネルフのカフェへと行こうとした。
その時、どこからか男の歌声が!


♪ ど〜この だ〜れだか知らないけれど

  体はみぃんな知っている〜 ♪


「いたいけな少年からカツアゲとは、天が許してもネルフの平和を守る私が許さない。
 そこの赤毛の不良少女よ、聞け!
 私の名は、”けっこう仮面G”!」

どこからともなく現れたその男。
目、鼻、口の周りが金で縁取りされたプロレスラーがかぶるような真っ赤なマスクをかぶっている。
よく見るとサングラスをかけた上からマスクをかぶっているらしく目の周りが不自然に盛り上がっている。
サングラスが食い込んでいるように見えるのだが、痛くないのだろうか?
なぜか、あごのあたりのラインがふっくらしているのも気になるところだ。
顔だけみても、かなり異様だが、それさえもささいなこと、最大の特徴は首から下にある。
身につけているものが、風もないのになぜかたなびいている黄色いマフラーに、マスクと同色のブーツだけ。
つまり、裸(ら)だ!
もう、猥褻物全開!

「いやあ〜!!
 汚されちゃった・・・汚されちゃったよう・・・」

それを見てしまったアスカ、持病再発。

「言っておくが、GはグレートのGだ。
 ゲンドウのGではない。」

「知らない、私、三人目だから。」

見事にかわすレイ。

「知らない人だ知らない人だ知らない人だ知らない人だ知らない人だ
 知らない人だ知らない人だ知らない人だ知らない人だ知らない人だ・・・」

シンジ得意技発動。

「・・・ママ、ママ、どこに行ったの?」

アスカ、病状進行中。

「ふっ、私の正義のオーラに当てられ、早速改心するとはなかなか見所がある。
 だが、悪は悪!
 相応の罰が必要だな。」

どうやら、壁に向かってぶつぶつ言ってるアスカを見て、反省してると判断したようだ。

「待ってください!」

「なんだ、シン・・・いや少年よ。」

「もういいですから、許してあげてください・・・」

「ふむ、カツアゲした相手をかばうとは・・・さすが私の息・・・いや、優しい少年だな。」

「それじゃあ?」

「しかし、罪は罪!
 そして、罪には罰!
 だが、君が替わりに罰を受ける。
 そこまで言うのなら彼女は見逃そう。」

「・・・えっ?、そ、それは・・・」

「そうよ、私が開発したこれをつければ、弐号機はもっと強くなるわ。
 そうすれば、また、みんなが私を・・・」

酸素欠乏症っぽいことを呟くアスカ、さらにヤバ気だ。

「・・・分かりました。 」

「いい覚悟だ。では、行くぞ!」


 必殺・おっぴろげアタック!!


けっこう仮面Gは、そう叫び、シンジの顔を目掛けて大ジャンプ、
さらに空中で大開脚した。
激しい動きにシンクロするかのように、すね毛の濃い太ももの間にある”物体”が激しく上下する。
シンジは、目前に迫る物体のあまりのおぞましさに、
動くことはもちろん、目をそらすことさえできない。
その永遠とも思えるほどの一瞬ののち、けっこう仮面Gは、
股間をシンジの顔面に押し付け、同時に両足を巻きつけた。
もちろん、シンジの呼吸は脊髄反射速度で、自主的に停止だ。


そのまま、一分、二分、三・・・


「・・・ふっ、もういいだろう。
 少女よ、君をかばい、替わりに罰を受けた少年の気高さを忘れるな!
 では、さらばだ。」


♪ ど〜この だ〜れだか知らないけれど

  体はみぃんな知っている〜 ♪


そう歌いながら、正義の味方は去っていった。
後に残るのは、

「・・・キモチワルイ。」

病状の進みきったらしいアスカと、白目を向いて気絶しているシンジだけ。

レイは・・・

「碇君とアスカ遅い・・・でも、チョコパフェ美味しい・・・」

いつの間にか独りだけ、カフェでくつろいでいた。


**********


「何ですって?今度はシンジ君が?!」

「そうなのよ!
 しかも、一緒にいたアスカまで、おかしくなっちゃったの!」

「エヴァのパイロットが二人・・・偶然とは思えないわね。
 それで、シンジ君の記憶は?」

「やっぱりダメね。訓練の後、着替えて、その後のことは全然覚えてないみたい。」

「アスカは?」

「ちょっと、質問できる状態じゃないわね。
 シンジ君の方は別に後遺症とかないみたいだし、
 また、シンジ君のお弁当に頼るしかないでしょ。」

「・・・本能的な子ね。」

「ホント。
 ま、シンちゃんたちが被害にあった以上、本気にならざるを得ないわね。
 司令への報告と、工作員対策はやっとくから、使徒の方お願い。」

「分かったわ。
 MAGIの内部センサーの精度を上げるようマヤに指示しておくから。
 調査が長引くようなら、センサーの数を増やしてみる?」

「うん、お願いするわ。
 そんじゃ、よろしく。」


*********


その夜、レイは、最近習慣となった日記をつけていた。


 ×月 ×日


 今日の訓練は大変だったけど、帰りに食べたチョコパフェは美味しかった。
 でも、碇君がおごってくれるはずだったのに、いつまでたっても来ないので、
 自分で払うことになってしまい、残念。
 途中、碇司令と会ったので、なにか用事ができたのかもしれない。
 そう思って、家に帰ったら、赤木博士から電話があって、
 最近、ネルフ内で意識不明となって発見される人がいるから、気をつけるように、
 そして、何かおかしいことがあったら報告するようにと言われた。
 さらに、碇君も、今日、似たような状態でいるところを発見されたというのだ。
 お見舞いに行こうと思ったら、少し記憶が飛んでいるが明日には退院できるので大丈夫だといわれた。
 今晩も、碇君の家に晩御飯を食べに行こうと思ってたのだが、仕方がないのでコンビニでお弁当。
 碇君がいないと、いろいろお金がかかって大変かもしれないと思った。

 そういえば、今日、なぜ、碇司令は裸で歩いていたのだろう?
 碇君に人前で裸になるのはよくないと教えてもらったが、
 もしかしたら、顔を隠せばいいのかもしれない。

 今度、赤木博士に聞いてみよう。


「終わったわ、寝ましょう。」




少女の素朴な疑問によって、謎の記憶喪失事件が解決する日は近いかもしれない。




(完)




”あとがき”

はじめまして、HALQといいます。
拙作を読んでいただきありがとうございました。

そして、貴重な時間と脳細胞を浪費させてしまい、
本当にすいませんでした。(汗)

作中に出てくる『けっこう仮面』とは、
超有名漫画家の一方向性における代表作です。(爆)
興味を惹かれましたら、検索するとよいかもです。

なぜ碇司令が、このようなことをしているか?ですが、
それがゲンドウだから!
です。(^^)

では、機会がありましたら、
また、ネットのどこかで。


HALQさんから不思議なお話をいただきました。

実に烏賊な話であります。‥‥不思議な進化のGENDOU力を感じさせてくれますよね?<謎

頭で考えるのではなく、感じてください(笑)

何かを感じた人はHALQさんに感想メールをお願いします!

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