つまらないものですが

作者:でらさん
















西暦 2016年 12月 2日


中学から高校への進学は、ほぼ義務化された事もあって、現在の大方の中学生に受験の試練は無い。
勿論選択の自由はあるわけで、それなりのレベルを目指そうとすれば、勉強は当然必要となる。

だがここ第壱中のほとんどの生徒達は、本格的な勉強の時期を先送りする者が大半。
よって・・
3年になっても、各種行事に浮かれる連中も多い。
12月と言えば普通はクリスマスだが、今年の一部男子生徒達には、その前に重要なイベントが。

4日の、惣流 アスカ ラングレーのバースデイである。

全ての男子生徒が彼女に入れ込んでいるわけではない。
好みが違う、無関心、或いは最初から諦めている者。
付き合いたいとまで思わないが、アイドル的な存在として憧れている者・・この中には、女子生徒も少なからず居る。
そして、付き合う対象として狙っている者。
第壱中の男子を大別すると、大体こんな感じ。

イベントとして意識しているのは、この中の最後のグループに含まれる少年達。
数にすれば、大した事はない。50人もいないだろう。

しかしこの少年達は、アスカほどの少女を狙うだけあって、自分でも自信を持つ者達ばかり。
学業優秀であったり、スポーツ万能であったり、家が金持ちであったり・・
はたまた、それら全てを持っていたり・・・優良物件がずらり。
普通の女の子ならば、歓喜しそうな状況。

実際、去年までのアスカなら、こんな状況を上手く立ち回って幾人かを選抜・・都合の良いように利用したかもしれない。
女王のように振る舞い、羨望と嫉妬の視線を送ってくる女子生徒達を見下ろして悦に浸っていたかも・・・

だが、アスカは変わった。
戦争は、自分を見つめ直す機会を彼女に与え、彼女はそれを糧として人間的に成長。
死んだ母に縋っていた自分を捨て、虚栄心も高すぎるプライドも捨てた。
人との付き合い方も覚えて・・・
本当の恋を知った。

アスカの思い人は、作戦上の都合から同居を初めて早一年が過ぎた碇 シンジ。

彼も又、戦争を糧に成長した一人。
気弱で自分の意見もろくに言えなかった彼が、今では実力行使も躊躇わない攻撃的な性格を手に入れた・・
はずなのだが。


「何で事ここに至って、アタシに告白してこないわけ?
同居して一年過ぎてんのよ?おかしいと思わない?ヒカリ!」


「わ、私に言われても、ちょっと・・」


僅かな地軸の移動により、幾分和らいだ日射しになった今日この頃・・親友によって校舎の屋上に連れ出された洞木 ヒカリは、
またもや彼女の愚痴を聞かされるハメになってうんざり。
最近アスカは、こんな愚痴ばかりだ。

給水塔の蔭で彼女と並んで座って見上げる、青い空と眩しいまでに白い雲が恨めしい。

当初は、ただの惚気と考えていたが、こうなると本当の愚痴。
シンジでも誰でもいいから、何とかしてもらいたいと、心の底からヒカリは思う。


「それに、碇君だけに相手を絞る事もないんじゃない?
他にいい人いっぱいいるしさ。
私達まだ中学生よ?私達には、これから先いろんな出会いがあって」


「付き合いと別れを繰り返して、生涯の伴侶を見つけろって言うの?」


「ま、まあね」


「そんな世間一般の常識なんて、アタシには無意味だわ。
大体、そんなこと言ってる当のヒカリはどうなのよ。鈴原以外の男を好きになれるの?」


「それは・・」


今年の夏休み中にヒカリとトウジの間に何かあったようで、二人はすでに付き合っている。
別に隠しているわけではないが、その事実を知るのは、ごく限られた仲間のみ。
付き合っていると言っても、今はまだ、手を繋ぐだけでお互いが赤面してしまうような初な関係。


「ほ〜ら、ヒカリだってアタシと同じじゃない。
多分・・いいえ、アンタ達は絶対結婚するわ」


「け、結婚?」


「そうよ。来年には結婚出来る歳になるのよ、アタシ達。
夢でも何でもなくて、身近に迫った現実ってわけ。
あくまで、法律上可能ってだけだけどね」


「アスカが結婚考えてるなんて、意外ね。
バリバリのキャリア想像してたわ」


「男も取っ替え引っ替えってやつ?
いい加減、そういう妄想から離れてよ」


「だって・・
アスカは綺麗だし、頭も良いし、行動力もあるわ。
こんないい女、周りが放っておかないわよ。
一人の男性に尽くすなんて、無理だと思うんだけど」


ヒカリの持つアスカへのイメージは、外国の映画によく出てくるキャリア女性そのもの。
持ち前の才能と努力で若くして高い地位を勝ち取り、プライベートでも様々な男達を手玉に取る・・
そんな夢みたいな生活をアスカなら可能にする・・いや、彼女は絶対そうなる、なるべきだとヒカリは考えていた。
家庭に収まり、平々凡々とした生活を送るアスカなど想像しがたい。

彼女は、自分とは違う世界にいる。
今は親友とまで言ってくれるが、いずれ道を分かつ時が来ると思う。


「いい女って言ってくれた事には感謝するわ。
でもね、アタシはシンジが好きよ。この気持ちが変わるなんて、あり得ない。
アタシは、普通の恋したんじゃないと思ってる。
極限状況下での愛情は長続きしないなんて言われてるけど、アタシはそんな俗説信じないもん」


「そこまで言われちゃ、私は万歳するしかないわ。
私に出来ることがあったら言って。碇君との仲、応援するわよ」


「そうね、とりあえず防波堤になってくれない?
自分の家で誕生パーティやろうなんて誘ってくる奴もいるから、鬱陶しくて」


「はいはい、何でもやります」




アスカの一途な想い・・
それにほだされたヒカリだが、後に思いっきり後悔することになる。





放課後・・


今日はどうしても一人で帰りたかったシンジだが、なぜかトウジが強硬に同行を主張。
仕方なく彼を横に引き連れて、シンジは街の繁華街を歩く。
もう一人の遊び仲間、相田 ケンスケは未だ写真部の活動に忙しくて、最近はほとんど顔も会わせていない。


「急にどうしたんだよ、トウジ。
洞木さんも寂しがってるんじゃないか?」


「ここなら、もうええか・・
シンジと一緒に帰れ言うたんは、ヒカリや。お前の動きを探れやと。
惣流の差し金やろ」


本来隠し事が苦手なトウジは、早く本当の事を喋ってしまいたかったのだが、学校では不味いと思い我慢していたのだ。
言葉を吐きだした彼は、すっきりしたように天を仰いだ。


「アスカのね・・」


「シンジも悪いで、いつまでもはっきりさせんからや。
惣流のこと、好きなんやろ?」


「うん、まあ」


「ったく、もう・・
一緒に住んどるなら、さっさときめればええんや。
考える事もあらへんやないかい」


「でも加持さんが・・」


「加持はんて・・ミサトはんの男か。
あん人が、どないしたん」


「アスカにどうやって告白しようかと思って、半年くらい前、加持さんに相談したんだ。
そうしたら・・・」


話は、半年ほど前・・
シンジの15の誕生日が過ぎた頃に戻る。





ネルフ本部 加持執務室・・


「アスカにどうやって告白したらいいかだって?
簡単じゃないか、自分の思いをありのままにぶつければいいのさ。
何を考える必要がある」


人生は別として色恋沙汰についてはそれなりの経験もあり、自分の知り合いの中では、加持がこういう事に一番精通していると
判断したシンジは、今日久しぶりに加持の執務室を訪れた。

で、もらった答えが冒頭の台詞。
ありきたりと言うか、真面目に考えてないというか・・・
こんな答えを聞くために相談しに来たのではない。
それで済むなら人に相談せず、とっくに行動へ移している。


「お言葉ですが、そんな事は百も承知です。
僕が聞きたいのは、そこに持っていくまでの段取りをどうしたらいいかって事です。
女の子は、ムードとかシチュエーションに拘る生き物だって、加持さんはいつも言ってるじゃないですか」


「・・・何だ、それならそうと最初から言ってくれ。
そうなると話は違ってくる。何と言っても、相手はあのアスカだ。
隙のない舞台を作らないと、かえって彼女の機嫌を損ねちまう」


「でしょ?僕もネットや本で情報集めてみたんですが、僕の歳に合う情報がほとんど無いんです。
綺麗な夜景の見えるレストランなんて、僕にはまだ無理です」


「ふっ、それで俺の出番てわけか・・
よし、俺の渾身を込めたアドバイスをよく聞くんだシンジ君!」


「はい!」


久々にシンジから相談を受けた加持は、少々気分が高揚している。

彼と知り合った当初は、つまらないと思える事でもよく相談を持ちかけられたのだが、いつの間にか縁遠くなってしまった。
自分を父のように慕ってくれたアスカも、日本へ来たとたんに離れていった。
情には溺れない人間と自負していたが、自分の周りから人が離れていくのは、やはり寂しい。


「まずは、日取りだ。
どういうわけか女ってやつは、記念日に異常に拘るんだ。
これをまず頭に入れておけ、いいな?」


「記念日ですね?分かりました!」


「そう、記念日。
結婚記念日が一番メジャーなんだが、女によっては訳の分からん記念日を勝手に決める。これが厄介だ。
こっちが覚えていない事を笠に着て、言いたい放題やりたい放題・・・って、話がずれたな。
ちなみにシンジ君、君とアスカが出会った日付を覚えているか?」


突然聞かれても、シンジには思い出せない。
特に重要な日とは思っていなかった。


「・・・いいえ」


「いかんな、基本中の基本だぞ。
すぐに調べておくんだ」


「は、はい」


「話を元に戻す。
アスカが日本に来て、一番印象に残った事は何だと思う?シンジ君」


「う〜〜〜ん・・・
ユニゾンの特訓かな。同居のきっかけだし」


「今一インパクトに欠けるな、他に無いか?」


「・・・ちょっと思い出せません。
初めてキスしたのは、随分前だったような気がするし」


「何?・・キス?」


「キスって言っても、ドイツ式の挨拶ですよ。
アスカが、家の中ではドイツ式にするって聞かないもんで。
唇同士を付けてのキスなんて最初は照れくさかったんですが、もう慣れましたよ。
ミサトさんにキスしようとしたら、アスカに思いっきり殴られましたけど。
ドイツじゃ、キスが挨拶代わりなんでしょ?アスカは、そう言ってましたよ」


「・・・・・」


なし崩し的に関係を深めようと、アスカがシンジに変な事を吹き込んだらしい。
確かに頬へのキスくらいなら挨拶代わりとも言えるが、シンジの台詞から判断すると、どうやら唇をつけてのキス。
ドイツの習慣などと見え透いた嘘を付くアスカもアスカだが、疑いもしないでコロッと騙されるシンジにも
問題がある。
加持は、開いた口がふさがらない。


「どうかしました?」


「いや、話を続けよう。
キスまでしてるのなら、そんなに慌てる事もないか。
決めた!決行日は、アスカの誕生日だ!」


「・・・半年も先ですよ」


「それがどうした。
自分の誕生日に好きな男から告白を受けるなんて、こんな幸せがあるか。
それともう一つ」


「はい?」


「付き合いを申し込むには、それなりの礼儀がいる。
プレゼントは、当然指輪だ。
普通は結婚の申し込みに使うんだが、女ってのは貴金属に弱い。
しかもインパクトを狙うなら、指輪しかない!」


「指輪か・・・
よし!僕はやるぞ!


「その意気だ。
で、他の段取りなんだが」









「・・・というわけなんだ。
優柔不断に事を構えてたわけじゃない。
僕は、明後日に賭けてるんだ!」


「さ、さよか。
なんや、えらい気合い入っとるの」


その時の気分が蘇ったのだろうか、シンジは急に気合いが入ったようだ。
普段と違う彼の様子に、トウジは少し引いてしまう。

が、何か引っかかる・・何かがずれているように感じるのは、思い過ごしだろうか。


「僕の一生が決まるかもしれないんだよ、そりゃ気合いも入るさ」


「一生て、そんなオーバーな・・」


「い〜や、僕の一生は明後日で決まる。
違う!決めるんだ!」


「セ、センセ、あんなあ」


「僕は注文した指輪を受け取りに行くから、ここで別れよう。
じゃあ、トウジ」


「おう、さいなら」


シンジは気合いの入ったまま、トウジに手を振って別の方向へ歩いていった。

彼が滅多に表に出さないやる気を見せた事は、友人としてトウジは嬉しい。
誰が見てもアスカとの関係は明らかなのに、それをはっきりさせないシンジが、もどかしくて仕方なかった。
自分でさえ、好きな女の子に気持ちを伝えられたのに、何でシンジが・・・

身近に迫ったアスカの誕生日は、一つの契機とトウジは考えていた。
そこで何の進展も無ければ、自分とヒカリ・・ケンスケをも引き込んで、何が何でもあの二人をくっつけてしまおうと思っていたのだ。
その点では心配なさそうだ。シンジのあの様子なら。
月曜日には、少し照れたような二人が学校に現れる事だろう。

しかし、一抹の不安がトウジの頭をよぎる。


「センセ・・何も指輪にこだわらんでも。
ちゅーか、加持はんに一杯嵌められたんやないか?」


トウジの推測は、無理もない。
こう考えるのが普通。





12月 4日 葛城宅・・


昨日の準備の段階から、シンジはどことなく浮ついていた。
アスカと買い物に出かけても、気もそぞろで・・
幾度も彼女に注意される始末。

ヒカリを通じてトウジから事の詳細を聞いているアスカは、にやけそうになる顔を理性で封じ込め、普段通りの自分を演じていたのである。

そして、その時は来た。
友人を集めてのパーティは、あくまでも前座。
アスカとシンジにとって、本番は彼らが帰った後。
邪魔なミサトも、加持に連れ出してもらっている・・舞台は整えられた。

シンジは加持に教えられた通りに服を整え、リビングに待たせていたアスカの前に出る。
彼の姿を見たアスカは・・・目が点。


「何て恰好してんのよ、アンタ。
タキシードなんか着て、これから結婚式でも挙げるつもり?」


「え?男の勝負服はタキシードしかないって加持さんが言うから、貸衣装屋から借りたんだけど・・
変かな」


「はっきり言わせてもらうけど、変よ。
内輪のパーティよ、これ」


「そう・・じゃあ、着替えてくる」


「そこまでしなくていいわよ。
時間が勿体ないわ、座って」


アスカは自室に戻ろうとするシンジを押しとどめ、座らせる。

トウジの話から多少は覚悟していたものの、ここまでとは思わなかった。
加持から何を教わったのかは知らないが、シンジの素直さは問題。
良い意味で、人を疑う事を覚えた方がいいと思う。
シンジがこのまま大人になったら、利用されるだけされて切り捨てられる存在になってしまうだろう。
自分も苦労する事になる。


「じゃ、あらためて乾杯しましょ。
アルコール無しのシャンパンだけど」


「うん、誕生日おめでとう、アスカ」


「ありがと、シンジ」


触れ合う程度に合わされた小ぶりのグラスが、軽い音をたてて離れた。

大雑把に片付けられた室内には、友人達との喧噪の後がまだ残っている。
思えば、ここで彼らと騒いだのも久しぶり。
最後はいつだったのか、もう忘れてしまった。


「何か、気が抜けちゃった。
楽しみにしてたパーティなんだけど、気が付いたら終わってたって感じ」


「実は僕もだよ。
ずっと・・半年も前からこの日を待ってた。だけど、今ので緊張が切れちゃった。
その、もっと気の利いた台詞も用意してたのに・・やっぱりダメだ」


シンジはバツの悪そうな顔をしながら、持っていた物をテーブルの上に差し出す。
それは、綺麗に梱包された小さな箱。
トウジの言っていた指輪だろう。

この半年、シンジが買いたい物も我慢していた事をアスカは思いだした。
自分達にも給料は出ているが、それは成人まで使えない。
小遣いは、ミサトから貰う決まった額だけ。その額も、世間一般と変わらない。
一緒に買い物に出かけても、彼は何も買わない事がほとんど。
意外にケチな男だと思ったこともある。
しかし、今日この日のために彼は我慢を重ねていたのだと思うと、その気持ちが嬉しい。


「つまらない物だけど、今はこれくらいの物しか贈れない。
でも、将来には期待してよ。僕は必死で努力するから」


「開けていい?」


「う、うん」


自信の無さそうなシンジの台詞を敢えて無視して、アスカは包みを開け箱を開く。

中には、彼が必死の思いで選んだだろうプラチナリングが。
ゴテゴテした装飾もないシンプルなデザイン。値段は聞くまでもない・・それなりだろう。

アスカはそれを手に取ると、左手の薬指に嵌めてみた。
すると・・
いつどこで調べたのか、サイズがピタリと合う。


「いつの間に指のサイズ調べたの?
しかも薬指なんて」


「手繋いだ時とか、それとなくね」


「それも、加持さんのアドバイス?」


「違うよ、これは僕が自分で」


「あはははははは!よかった」


いきなり笑い出したアスカに、今度はシンジの目が点。
訳が分からない。


「ねえシンジ。
アタシは、アンタの声が聞きたい。
加持さんのアドバイスもいいわ。
でもアタシは、アンタ自身が自分の頭で考えて行動して、喋って欲しいの・・・どう?」


アスカの言葉を聞いたとき、シンジは自分の間違いに気づいた。

シチュエーションとか形式に拘っていたのは、アスカではなく自分。
どう格好良くきめるか、それしか頭になかったと思う。
考えることなど、何もなかったというのに。


「好きです、僕と付き合って下さい」


「大好きよ、シンジ」




テーブルを挟んで二人の顔が接近し、そして唇が合わされた。
慣れたはずのキスは、妙に照れくさかった。






3年後・・


「つまらない物ですが、お受け取り下さい」


「なに畏まってんのよ、たかが誕生パーティくらいで」


アスカ18回目の誕生日。
またもやタキシードを着用し指輪入りの小箱を持参して現れたシンジに、アスカは呆れる。
正式な付き合いが始まったあの日を再現しているのだろうが、どこか外しているようにしか見えないからだ。
身長も伸び、体つきもしっかりしてきたシンジにタキシードが似合うのは、ちょっと嬉しい。


「思い出の場面を再現したアンタの努力は認めるわ。指輪まで用意してくれたんじゃ、アタシとしても・・
これって」


シンジから受け取った箱を開けたアスカの動きが止まる。
それは、プラチナ台に大粒のダイヤをあしらった本格的な指輪。
手にとってよく見てみると、二人の名前が彫ってある。

シンジは、動きの止まった彼女の手から指輪を取ると、その左手の薬指にそっと指輪を嵌めた。


「これを右手に付け替えるのは、いつがいいかな?」


「今すぐでもいいわ」




アスカが姓を変えたのは、この日から約三ヶ月後・・
季節の戻ったこの国に、桜が復活した時期であった。






おまけ


「ふっ、どうだ葛城。
俺のアドバイスは完璧だったろ?」


「あんたのアドバイスは、別に関係ないんじゃないの?
何もしなくても、あの二人はくっついたわよ」


「何を言う。
俺の的確な指示があったればこそ」


「なら、責任取ってもらえる?」


「責任?お前、まさか妊娠したのか!?
だとしても別に問題は無いだろ、俺達婚約もしてるんだし。
今時そんな事で」


「違うわよ。
くっついたのはいいんだけど、家の中ピンク色に染まりそうなほどラブなのよ、あの二人。
タガが外れたみたいね。
洞木さんからも苦情が来てるわ、何とかしてくれってね」


「そこまでは責任持てんぞ。
俺にどうしろと言うんだ!?」


「そうね、差し当たっては・・」


「何だ?」


「今晩泊めて!
アスカのあの声って、凄く響くの!
全然抑えようとしないし・・とても眠れないわ!」



「・・・もう、そこまでいってるのか?あいつら」




大晦日も間近に迫る、12月末の加持宅での会話である。

でらさんからアスカ誕生日記念をいただきました。

これはまた豪勢なプレゼントをいただいたものです。某マナとか某マユミが泣いて悔しがるでしょう(笑)

それにしても高校卒業と同時に結婚ですか、進学や就職と結婚というイベントが重なるとあれこれの手間が大変でしょうね<ズレてる

なかなか記念になる話でした。みなさんも読後にはぜひでらさんに感想メールをお願いします。

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