妄想と現実
    作者:でらさん















    僕、碇シンジは、常に現実を見てる。
    なんとかなりそうなことに対しては努力もするし、これまでそれなりに結果も残してきた。決して、
    怠け者とか斜に構えているとか、そんな人間じゃないつもりだ。
    父さんは、何だかよく分からない国連の一組織を牛耳るトップ。僕が幼い頃に死んだ母さんは、
    優秀な学者だったそうだ。
    こんな両親を持った僕に周囲は何か期待してたみたいだけど、僕の成績は、小学校時代から
    今に至るまで平々凡々としたもの。そんなもんだから、いつしか僕の周りの人達は僕に期待し
    なくなって、父さんさえも僕を遠ざけるようになっていった。仕事に専念するために僕を親戚に
    預けたというのは、半分本当かもしれない。でも、半分は嘘に違いないと僕は思ってる。僕に失
    望したのが、理由の半分なんじゃないかな。
    父さんや母さんと違って、僕はあくまで普通の人間。先の長い人生でもそれは変わんなくて、普
    通に進学して就職して、どこにでもいそうな平凡な女性と結婚して、多少の浮き沈みやトラブル
    はあるだろうけども、平穏に人生を終える・・・
    それが自分という人間だと、半ば確信してた。そして、そういった平穏な生活が僕の望みだった。
    面白みのない生き方かもしれないけど、僕は、それでよかった。僕にドラマチックな人生なんて
    似合わないし、日常の中で、そうそう都合良くドラマ的な展開が起こるはずもないしね。
    でも、まいったことに、僕は異常な環境の中に突然放り込まれてしまった。他ならぬ、父さんの意
    思で。

    ”来い”
    とだけ書かれた手紙で僕が呼び出されたのは、将来の首都、第三新東京市。
    そこで僕は、手荒い歓迎を受けたんだ。
    人っ子一人いない街でミサイルと戦闘機が飛び交い、漫画に出てくるような怪物が闊歩する非現実。
    僕の常識は、一瞬で崩壊してしまった。
    その非現実は、更に続いてね・・・
    僕は、汎用人型決戦兵器のエヴァンゲリオン初号機とやらに乗り込んで化け物と戦って、訳の分か
    らない内に勝利。その後に正式採用になったとかで分厚い契約書にサインさせられ、上司になると
    いう葛城ミサト一尉の家に住むことになったんだよね。
    ここで初めて知ったのは、父さんは、ネルフと呼ばれる国連の非公開組織のトップだということ。国連
    組織といっても、末端のどうでもいいような組織だと思ってた僕には、とても意外だった。
    その後も色々あって、僕は失敗もしたし逃げたりもしたけど、先輩兼同僚の綾波レイやミサトさん。
    他のネルフの人達の助けで、僕は使徒と呼ばれる化け物との戦いを凌いでいたんだ。
    その僕に、更なる異常事態が襲いかかってきた。正確に言うと、環境の変化ってやつだね。
    ネルフ・ドイツ支部で育成されていたセカンドチルドレンの本部異動は、当時の僕にとって、災厄以
    上の何物でもなかった。
    セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレー。
    独系アメリカ人の父と日独ハーフの母との間に生まれた彼女は、金髪碧眼の美少女。
    その上、すでに大学も卒業した天才。僕には、雲の上の人にしか思えなかったな。彼女と面識のある
    ミサトさんもきつい性格と言ってたから、正直、会うのが怖かったんだよね。
    実際に会った彼女は予想してたほどじゃなくてホッとしたけど、それでも僕には苦手な人だった。
    だけど現実は、容赦なく僕を責め立てる。このアスカとの同居生活が、作戦上の都合から始まってし
    まったんだよ。
    クラスメートの女の子ともあまり口を利かない僕が、滅多にいないような綺麗な女の子と同居するなん
    て、ほんの数ヶ月前には思いも寄らないこと。ちょっと軽い奴なら、アスカと何か進展でもあるんじゃな
    いかと期待すると思う。また、彼女に対して積極的にアプローチするよね。
    でも現実志向の僕は、そんな可能性を頭から否定した。
    一〇年近くにも及ぶ専門教育と大学卒業というキャリアを併せ持つ彼女は、何もかもが僕よりも大人び
    ていて、僕なんか子供にしか見えないのは明らか。事実、彼女は加持さんが好きだと言って憚らない。
    こっちで通うことになった中学では周りに合わせているし、僕にもフランクな態度で接するものの、それ
    が彼女の実体でないことを、僕は知ってた。だから僕は、何かとアスカとの仲を疑ってからかってくる
    トウジやケンスケを、心の内から醒めた目で観ていたんだ。

    そんな馬鹿なこと、あるわけないじゃないか。

    ってね。
    もちろん、僕だって年頃の健康な男子。綺麗なアスカに目がいかないわけじゃない。家の中じゃ結構
    無防備だし、思わず目が釘付けになりかけたシーンに遭遇したことも何回かあったさ。
    それに本当にたまにだけど、一四歳の女の子らしい仕草とか表情とかすることもあるんだ。心がぐらつ
    くのは、男として仕方ないよ。
    でもね、その度に現実を見直すんだよ。アスカが手の届く存在かって。
    こんな異常な状況も、いつか終わりが来る。
    使徒との戦いが終われば、アスカはドイツに帰って、僕なんか比べ物にならないくらいの格好良い男
    の人と付き合うようになるんだろう。そしてそのまま結婚して、子供が生まれたなんて手紙が来るのか
    もしれない。でも僕は普通の生活に戻って、普通の道を歩んでいく。僕とアスカの間に、エヴァ以外の
    接点なんて全くないんだよな。好きになったって、無駄なんだよ。大体、アスカが僕を男として意識し
    てるかどうかさえ怪しいんだ。いくら習慣の違いだからって、風呂上がりにバスタオル一枚で僕の前に
    立つなんてどうかしてるよ。何かの拍子でバスタオルが落ちたらどうするんだよ。僕を男と思ってない
    証拠だね。
    こういった憤りや閉塞感を紛らわせるために、僕は妄想するんだ。
    アスカが幼なじみだったらとか、せめて普通の女の子だったらとか、料理が得意だったらとか・・・
    まあ、虚しいことなんだけど、ちょっとした息抜きにはなるよね。






    アタシ、惣流・アスカ・ラングレーは、現実主義者。
    一四歳の女の子らしい夢や希望もないことはないけど、アタシには現実が第一。
    正直言えば、小さい頃から天才だ何だと周りから持ち上げられて勘違いしてた時期もあったわ。でも
    今は落ち着いてる。いつまでも、バカやってらんないし。
    なによ、その目は。
    アタシが落ち着いてるっつったら落ち着いてんのよ!文句あんの!

    ふ、ふん、ちょっと取り乱したわね。
    それはともかく、今のアタシは昔のアタシじゃない。昔と言っても、たった数ヶ月前の話なんだけどさ。
    その頃、アタシはまだドイツに住んでて、訓練に励みながら本部の招集を待ってる状態だったわ。
    使徒戦が始まって、ファーストチルドレンと新参パイロットのサードチルドレンがスコアを上げていくの
    を、アタシはただ指をくわえて見ていただけ。この時のために一〇年近くも訓練を続けてきたアタシ
    にとって、それは屈辱にも思えたわ。ドイツ支部とか委員会の都合もあったんだろうとは思うけど、ア
    タシには関係ない。アタシは、早く戦いたかった。戦って、実力を示して、初回から驚異的なシンクロ
    率を記録したっていうサードチルドレンよりアタシの方が上だってことを証明したかった。
    それが、アタシの生きる証だと思ってたから。
    今考えると、危なっかしい綱渡りみたいな状態だったんだって分かるわね。一歩間違えれば奈落の
    底に堕ちてしまうような、危険な状態。強気で自信家を気取ってたアタシも、一皮むけば、正気を失っ
    たママから拒絶され死を間近に見たトラウマを抱える、ひ弱な少女に過ぎなかったんだから。
    ひ弱なアタシなんて、イメージできない?
    ぶっ飛ばすわよ!!

    余計な茶々は入れないこと。分かったわね!
    話を元に戻すわ。
    とにかくアタシは、心の内に爆弾を抱えたような状態だったわけ。
    それを変えたっていうか、気にならないような感じにしてくれたのが、日本での生活だったの。
    始めはくだらないとしか思えなかった中学校も、ヒカリやクラスメート達との出会いと触れ合いが心地
    よかったし。
    変わった同僚達にはイライラさせられたりもするけど、基本的には良いやつらよね。
    ファーストチルドレンの綾波レイって女は、アタシの真逆みたいな女で、必要最小限しか喋らないし
    愛想もない。おまけにショートカットの髪型なんて、出来すぎ。体の色素が薄くて、髪の毛は白っぽい
    し瞳も赤いけど、とびっきりの美形であることは認めるわ。ま、アタシほどじゃないけど。
    司令のお気に入りらしくて、そこんところはシンジも気にしてるんだけど・・・
    って、そうだわ、シンジよ。問題なのが、この男、碇シンジなのよ。
    いまのところ一番新しいパイロットで、操縦技術、戦術能力、体術、全てが素人に毛の生えたようなも
    の。そんなアイツが、なぜかスコアトップなのよね。
    アタシもバカじゃない。司令の息子であるシンジの立場とか、エヴァ各機の特性とか、作戦の都合とか
    で、アタシだけが前面で使徒と戦うわけにはいかないってことくらい分かってる。確かに、アタシがバッタ
    バッタと使徒を倒すのが理想だけど、エヴァは人類の希望。我が侭なんて言えないわ。
    それはともかく、シンジよ。
    アイツったら、そんな自分の立場ってものをまるで分かってない。
    アイツが初めてエヴァに乗せられた時の経緯とか、その後のこととか聞いたときは、幻滅したもんよ。
    映画の主人公みたいに颯爽としてたなんて流石に思わなかったわ。でも、最低限のプライドくらいは
    持ってると思ってた。それが、男ってものでしょ?
    それが、乗るのはイヤだとごねるわ。作戦の失敗を責められたくらいで拗ねるわ。その上、家出。
    なんて軟弱なヤツ。こんなヤツと一緒にやっていけるのかと不安に思ったくらいよ。
    今でも、基本的にそれは変わらない。
    ただ、たまにリミッターが外れたように頼もしくなることがあるのよ、アイツ。
    アタシが初めて恋した加持さんは、いつでも格好良い人だけど、アイツは時々しかそんな姿を見せて
    くれない。
    煮えたぎるマグマに沈んでいくアタシに、手をさしのべてくれたとき。
    あの時、アタシは初めて、アイツに男を感じた。
    それからよ。アイツが気になって気になって・・・
    気付いたら、加持さんのことなんかどうでもよくなってた。
    アイツは、シンジは、アタシの理想とはかけ離れてる。
    自分に自信を持てなくて、中途半端に平和主義で、周りに流されやすい。おまけに、愛情に飢えてる。
    だけど、好きになっちゃったものは、しょうがない。シンジの全てが欲しい。全て手に入らないなら、ア
    タシは何もいらない。
    恥ずかしくて誰にも言えないわね、こんなこと。シンジにだって言えないわ。アイツの理想は分かってる。
    レイみたいにおとなしくて、ヒカリみたいに家庭的な女の子がアイツの理想。アタシは、ケンカ友達って
    ところね。
    恥ずかしいのを我慢して挑発しても、アイツの反応は寂しい限り。バスタオル一枚の女の子を前にして
    平然としてるなんて、信じられない。アタシには、本当に興味ないみたい。ちょっと自信なくすわ。
    だから、今のところは妄想で自分を慰めてるの。シンジがもっと男らしかったらとか、強引に迫られたら
    どうしようとか・・・
    ふふ・・
    現実には、あり得ないんだけどさ。










    「ちょ、ちょっと、二人とも」


    ミサトは、手にしたビールを飲むことも忘れ、言葉を発した。
    ここ、葛城ミサトが所有するマンションの一室では今、一種異様な光景が繰り広げられている。
    ダイニングキッチンでは、ミサト、アスカ、シンジの三人が揃って夕食を摂っている。
    それ自体は普通だ。人物の構成が世間一般の家族とは少々違うようだが、それは事情というやつ
    だから問題ない。ミサトの隣にアスカ、その対面にシンジという座席の位置も、すでに暗黙の了解
    となって久しい決めごと。夕飯の献立、メインディッシュの肉野菜炒めについても問題はない。日本
    食に慣れてきたアスカが不満を言うことはないし、作ってもらったものを食べるだけのミサトも当然
    ながら不満などない。第一、今夜はアスカも手伝って作ったと聞いた。それ故に、肉野菜炒めと言
    いながら、アスカの好きな肉が半分以上を占めている。味はともかく、見た目が、どこか変だ。それ
    が普通ではないと言えなくもないのだが、この異様な光景の主原因でないことは明らかだ。
    で、何が異様かというと、アスカとシンジの様子。
    二人とも下を向いてブツブツと何事か呟きながら、時折、笑ったり怒ったり、一人芝居を続けている。
    食事が始まって暫くしたら、ほとんど二人同時にこんな状態になってしまった。色々な意味で怖い。
    普通なら、近寄りたくもないくらい。
    しかしミサトは、この二人の上司兼保護者。全てにおいて責任を負わなくてはならない。更に言うな
    ら、シンジは組織の最高責任者であるゲンドウの一人息子。管理責任の不備は、自分の勤務評価
    に直結する。なんとかしなくては。


    「ね、ねえ、どうしたのよ」


    「「え?」」


    同時に顔を上げた二人は顔を見合わせ、目をぱちくり。それがほとんど同時に行われたので、ミサト
    は変に感心した。
    でも今は、それどころではない。


    「やっと、正気に戻ったわね。
    薬でもきめたのかと思ったわ」


    「今の、聞いてました?ミサトさん」


    「よく聞こえなかったけど、大体はね。
    アスカがどうとか・・・」


    「じゃ、アタシのも聞いてたの!?」


    「う〜ん・・・
    シンジ君が男らしいとか何だとか」


    「「・・・・」」


    再び仲良く沈黙した二人が、ミサトにはどこか不気味。
    聞いたことをそのまま言っただけなのだが。


    「今度は、何よ」


    「いえ、何でもないです、ミサトさん。
    早く、ご飯食べちゃってください。僕達も、色々と忙しいんです」


    「そうよ。いつまでも飲んだくれてると、お腹が出っ張ってくるわよ。加持さんに愛想尽かされても知ら
    ないから」


    「はいはい。
    珍しく仲がいいのね。何だってのよ、もう」


    理由はともかく、二人が普通に戻ればいい。
    ミサトはビールを一気に飲み干し、食事に取りかかるのだった。
    そして翌朝・・・


    「おはようございます!ミサトさん!」


    「お、おはよう、シンジ君。元気ね」


    「おはよう!ミサト!
    とっっっっっっっっても、清々しい朝ね!生まれ変わった気分だわ!」



    「そ、そう・・
    よかったわね、アスカ」


    異様にテンションの高い二人に圧倒されるミサトは、ただ惚けて二人を視る。
    すでに制服に着替えた二人は食事も終えたようで、鞄を持ち、いそいそと玄関へ向かう。
    テンションが高い以外は普通の光景なのだが、どこかおかしい。
    ・・・と、未だ半分寝ぼけているミサトの目が、二人の手に視点を固定した。


    「て、て、て、て、て」


    なんと、二人の手がしっかりと繋がれている。
    ミサトの常識では、あり得ない事態。アスカもシンジも互いを意識はしているものの、それは恋の萌芽
    に過ぎず、二人が想いを伝え合うほどに精神的成長を遂げるには、まだまだ時間が必要だったはず。
    少なくとも数年はかかるはずだった。精神分析の報告書に目を通したので知っているし、実生活の中
    での実感でも、二人が今すぐに付き合うなど・・・


    「なに、驚いてんのよ。
    昨日の晩、互いに本心聞いちゃったから、付き合うことにしたの、アタシ達。
    だから、問題ないでしょ?」


    「あれ、お互いに聞こえてたの?あなた達」


    「空耳だと思ってたんですけどね。
    知らない内に本心口にしてるなんて、まいりましたよ。
    はははははははははは!」


    「・・・・」


    快活に笑うシンジは、性格まで変わってしまったようだ。ミサトの惚けた顔は、更に崩れていく。
    そのミサトに、大輪の花が咲き誇るような笑顔を浮かべたアスカが言った。


    「朝ご飯、ちゃんと食べてから出勤すんのよ。後片づけもきちんとね。最低限の家事くらいは覚えなさい。
    それと、肌が荒れてるから食生活を根本から考えた方がいいわ。いつまでも若くないんだから。
    じゃあね」


    にこやかに言い放ったアスカは、心底愉しそうに、シンジと出ていった。
    恋人が出来た余裕なのか、アスカは完全に自分を見下していた。悔しいが、今の自分は、あの幸せな
    少女に女として負けている。あんな満ち足りた顔など、自分には出来ない。誰が悪いのか、何故こうなっ
    たのか、このままでいいのか。このままだと、何もかもアスカに先を越されてしまう。
    現在は人類の存亡を賭けた戦争の最中で、彼らの歳も歳だが、同居という状況下では何があってもお
    かしくはない。アスカの妊娠という事態も充分にあり得る。しかも、建前は息子に冷たいゲンドウも実は
    息子が可愛いくて仕方ないという事実は、ネルフ上層部において常識なのだ。それを考えれば、アスカ
    が妊娠しても、シンジが特に処分されることはないだろう。いやそれどころか、孫の誕生に狂喜するかも
    しれない。とはいうものの、組織として何らかの処分は必要。組織の規律を保つためには必要なことだ。
    となれば、処分されるのは自分しかいない。場合によっては、詰め腹を切らされるだろう。
    アスカに女として負けて嘲笑され、その上に職も失う。最悪の未来像だ。


    「負けない、負けないわよ、アスカ。
    こうなったら、加持の奴を何としてもその気にさせなきゃ」


    この日以降、ミサトは加持に猛烈な攻勢をかけ続け、数ヶ月後に妊娠という成果を挙げている。
    危惧されていたアスカの妊娠は、彼女が一八の歳を数えるまでなく、ミサトの杞憂は杞憂で終わったよ
    うだ。
    更に、使徒戦を無事に乗り切った功績を、ネルフの上部組織である委員会から讃えられたミサトは、多
    額の功労金と二階級特進の栄誉を得ている。最悪かと思われた未来は、光り輝いていたというわけだ。
    もっとも、当時の関係者に言わせると、ミサトの考えた最悪のケースは、妄想の類でしかなかったのだが。
    人類の盾となるべきエヴァパイロット達は、心も体も厳格に管理されていた。妊娠も当然ながら規制され
    ていて、そのための対策も講じられていたのだ。立場上、ミサトはそれを知っていたはずなのだが・・・


    「ええ、ええ、忘れてたわよ。
    どうせ私は、馬鹿で間抜けな無能ですよ。悪うございました」


    「ミサト、訳の分からん言い訳はいいから、手伝え。まだ掃除は終わっとらんのだぞ。
    シンジ君とアスカが遊びに来るというのに、これじゃ格好つかんじゃないか。ユウキを見習え」


    慌てた様子で部屋を片づける夫は、伸ばしていた髪の毛も切り、普通の旦那にしか見えない。 その夫を
    真似るように、まだ幼い息子がうろちょろしている。
    ネルフと折り合いの悪かった日本国政府との暗闘で死にかけた男が、今は良き父、そして亭主。更には
    愛する息子もいる。
    これも幸せかとミサトは嘆息し、重い腰を上げるのだった。







    でらさまから妄想たっぷりなお話をいただきました。

    ここまで妄想度が高いと、シンジとアスカが出来ちゃった婚とかなぜか中学生なのにしちゃったりするお話もよくありますけど、そこまでイッテないですね。ここの人たちは。


    ま。ミサトなら大人だし妊娠しても問題ないですね。ちょっとだらしない主婦みたいですけど(笑

    それにしても髪の毛を切った普通の旦那の加持‥ちょっと想像しにくいですね(笑

    素敵なお話でありました。みなさまもぜひでらさんに感想メールをお願いします。

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