気まぐれ ver.2
    作者:でらさん















    理屈は、とりあえず棚に上げて欲しい。
    大宇宙を想像、もとい、創造した崇高なる神様の気まぐれと考えてもらえば、作者は非常に嬉しい。
    それに、都合もいい。更に言えば、深く考えても無駄骨なので、よろしく。
    とにもかくにも、エヴァンゲリオン初号機のコアに棲んでいるのは、シンジの母、ユイではなく、
    父であるゲンドウ。そう、頭に叩き込んでいただきたい。この話の胆は、そこだ。
    ご想像の通り、こんな歪んだ設定では、まずまともに話は進まない。少なくとも、シリアスな話に
    ならないことは保証させていただく。
    語り手は、ゲンドウ本人。
    新世紀エヴァンゲリオン本編では・・・
    表向き、感情を露わにしない冷徹な指導者で、息子との接し方に悩みながらも女癖は悪く、現世か
    ら消えた妻を盲目的に追い求めていた、訳の分からない男。実際にいたとしたら、あまりお近づき
    になりたくない人物だ。
    だが、この話の彼は、ちょっと違う。
    どう違うのかというと・・・


















    私は、碇ゲンドウ。
    さる事情から、ある特殊生命体のコアという部分に取り込まれてしまった、哀れな男だ。
    だがまあ、こうして次元の高みから現世を見下ろすのも、悪くはない。神の視点というものを、人
    の意識を持ったまま手にしていると思えばいい。その気になれば、永遠に生を長らえることも可能
    なのだ。まさに神の領域にいると言えよう。
    と言ったところで、今のところ色々と制約があって好き勝手出来ないのは事実。後先考えずに力を
    解放させてしまえば自由に出来るが、現世で頑張っているユイを思えばそれも出来ない。ユイには
    ユイの思惑があり、力任せに全てを壊せば物事が解決するわけではない。それに、計画というもの
    がある。
    私が発案した、人類補完計画。その完遂には、手順が必要だ。
    で、その私がすることと言えば、この特殊生命体、エヴァンゲリオン初号機と現世で呼称される機
    体を操ることになる我が息子、シンジの面倒を見ること。他にもあるにはあるが、これが最重要項
    目だ。年がら年中戦闘するわけでもないから、大方は見守るだけだがな。
    息子を鍛えるのは、何と言っても父親の役目だろう。仕事の傍ら子育てにいそしんでいるユイも巧
    くやっているようだが、息子を一人前にするのは、やはり父親でないと。
    裏死海文書の記述に依れば、使徒の再来が迫っている。そろそろ、シンジが来る時期だ。ユイの奴
    が、どうシンジを育てたか、見極めてやろうではないか。
    思えば、シンジは虫も殺さぬ優しい心根の持ち主だった。自らの意志で戦場に出るなど、まずあり
    得ん。私なら、小細工を弄するところだ。怪我をした美少女を、これ見よがしに担架で運ぶとか。
    血の染まった包帯で顔を覆うとかしたら、効果抜群に違いない。男の本能に訴えるというやつだな。
    それでも拒否するなら、単なる腑抜けだ。
    だが私は信じている。私の息子は、断じて腑抜けではないと。
    お、特別警戒警報か。いよいよだな。
    ユイ、シンジ、冬月先生・・・
    と、赤木博士、それに娘のリっちゃん。その他諸々のネルフ職員達、頼むぞ。
    ついでに、葛城君もな。





    久しぶり・・・
    でもないか。一ヶ月に一度はシンジと顔を合わせていたらしいからな、ユイは。
    私の方は、シンジを間近に見るのは本当に久しぶりだ。感慨深いな。私に似た、凛々しく男らしい
    顔立ちに成長したではないか。
    ふっ、やはり、血は争えんか。
    しかし、葛城君やリっちゃん、その他関係者大勢が私の目の前に揃うとは危険過ぎる。私が浸かっ
    ているLCLのプールの深さは何メートルだと思っているのだ。一応、柵はあるが、万が一落ちたら
    洒落にならんぞ。


    「これに乗る?僕が?
    なぜです?母さん」


    実弾飛び交う戦闘の最中を連れてこられたというのに、ビクつくわけではなく動揺するでもなく、
    実に落ち着いている。流石、私の息子だ。
    それに、ふむ・・・
    なかなか良い受け答えだ。予想より、かなり出来る。ユイの教育の成果か?
    まあ、私なら、

    乗るなら乗れ。でなければ、帰れ!

    の一言で、まず威圧するがな。
    で、拒否するなら、例の小細工だ。
    私が現世から消える直前、私の趣味・・
    ではなく!、補完計画の要として、ユイとリリスの遺伝情報をかけあわせた子供を創っている。
    レイと名付けたその少女を使えば、シンジは一瞬で堕ちるに違いない。外見は、ユイの少女時代
    そのもの。あの美しさに勝る物など、この世にはないと断言する。
    言っておくが、私はロリコンではない。誤解するな。


    「あなたにしか乗れないの。
    そのために、あなたには特別な教育をしてきたわ。子供のあなたに戦闘技術を叩き込んだのは、
    私の趣味じゃないのよ」


    「母さんは、ろくに学校にも通わせてくれなかった。
    僕は、普通の」


    「愚痴と文句は、後で聞きます。とにかく今は、出撃なさい。
    それとも怖いの?あなた」


    「・・・悔しいけど、あなたは僕の母さんだ。焚きつける壺を知ってる。
    行きます、リツコさん。これの動かし方を教えてください」


    なんだ、これは。
    ユイは一体、シンジに何をしたというのだ。ろくに学校にも行かせないで戦闘訓練を施したと
    でもいうのか。
    信じられん。あの優しいユイが・・・
    普通に考えれば、妥当な措置なのかもしれんが。
    確実に危機が迫り来ると分かっていれば、それなりの対策を講じるのは当然。一四歳の少年、
    しかも何の訓練も専門教育も受けていない素人に、いきなりエヴァのような兵器を操れと言っ
    ても無謀以外にない。事実、ネルフドイツ支部では、セカンドチルドレンに一〇年ほど前から
    英才教育を施している。ユイは個人的にやったようだが、本来はネルフ自らシンジを教育しな
    ければならなかった筈だ。ここに私がいる限り、シンジ以外に初号機のパイロットは務まらな
    いのだからな。
    そういえばシンジは、碇の本家筋にあたる知人の家に預けられていたそうだが、どんな訓練を
    していたのだ。リーサルウェポン育成コースみたいな訓練が現実にあるわけはないが、どうも
    気になる。
    とにかく、シンジの戦いぶりを見守るか。いくら訓練を受けたとしても、所詮は一四歳の少年。
    限界はある。しかも初陣だ。精神的にも辛いだろう。危なくなるようなら、暴走を装って助け
    なければ。
    ま、取り敢えず状況を見ることにしよう。


    「目標、活動を停止しました!」


    なんと、一分もかからんとは。
    助けを出す間もなかった。我が息子ながら、恐ろしいものだ。
    ユイ、お前は何を考えている。息子を兵器に仕立て上げて、何をするつもりなのだ。







    細かい問題は色々と在るが大まかな点で問題はなく、事は進んでいる。実に順調だ。
    補完計画は、このままいけば私の思惑通りに完遂するだろう。そして私は、ユイと再会するのだ。
    ユイも、そのために補完計画を推進しているはずなのだから。
    くくくくくくくくくく・・
    夫婦愛は、良いものだ!

    使徒戦は、全く問題なし。
    シンジの戦闘技術は、葛城君の戦術能力を不要とするまでに卓越している。レイの零号機の出番
    はほとんどなく、暇を持て余しているくらいだ。暇なせいで余計なことを覚えたのか、どうも最
    近、性格が変だ。この間なども、


    『何これ!碇君のお父さんて、センス悪〜!
    これで格好いいとか思ってんのかしら。信じらんな〜い』


    初号機の前で、思いっきり言ってくれた。
    どうやら、シンジが私の写真をレイに見せたらしい。初号機に取り込まれる寸前に撮った写真な
    のだが、そんなに写真写り悪かったかな、私は。
    ふっ、レイのセンスが悪いのだ。そうに決まっている。こんなにもてる私が、センスの悪さを指摘
    されるはずがない。誰もがうらやむユイとの結婚、そして美形で知られる赤木ナオコ博士との・・・
    っと、今のは勢いというやつだ。信じるなよ。私が浮気などするはずないではないか。
    それはともかく、レイはこんな性格ではなかった。もっと控えめでおとなしい、清楚な美少女で
    あったはずなのだ。性格設定を決めたのは、この私なのだから、間違いはない。
    重ねて言うが、私はロリコンではない。決して勘違いしないように。

    レイがこんな性格になってしまい、ただでさえ気落ちしていた私を更に落ち込ませる事件が。
    正確には事件ではないな。人事異動だ。ドイツ支部で養成されていたセカンドチルドレンが、正
    式に本部へ配属となったのだ。
    実力は、ドイツ支部の至宝と謂われるだけあって、確かに秀逸。
    戦闘技術は、シンジと互角かそれ以上。その上、すでに大学も出ている。付け加えると、金髪
    碧眼の美少女だ。
    問題は、洋物にあまり興味のない私にとっては、大してそそられない体・・
    違う!!
    問題は、その性格だ。
    強気で物事をはっきり言うその性格は、どことなくユイに似ていて、どうも受け付けない。やけ
    にシンジに突っかかるその態度も、気にくわない。シンジには、レイがいるのだぞ。いや、まだ
    そこまでの関係ではないが、そのようになってもらわなければ困るのだ、色々とな。横からちょ
    っかいをかけられると、こっちの都合とか計画がだな・・・
    って、シンジに何をするつもりだ!セカンド!


    「どうしたの?アスカ」


    「なんか、視線感じるのよね。
    誰か、のぞいてんのかしら」


    「ここには今、僕達以外、誰もいないよ。初号機以外はね。
    母さんに、人払いしてもらったから」


    「アンタ、司令に頼み事するのイヤがってたのに」


    「こういう時は別さ。今日は、アスカの誕生日だろ。
    それより、続きしようよ」


    「ふふ・・
    エッチね」


    け、けしからん!
    一四歳の身で、キ、キ、キスなど、不純極まりない!
    そもそも、いつの間に付き合うようになったというのだ、この二人は。私が気を逸らしたのは、
    僅かな一瞬だぞ。
    ・・・そうか、ここは時間の流れが一定していないのだったな。現世では数ヶ月が過ぎていた
    のか。ったく、油断も隙もない。
    ユイもユイだ。人払いまでさせて、シンジに協力するとは。
    だが、まてよ。
    ユイがここまで協力するということは、すでにシンジとセカンドは公認の仲ということか。
    計画は、どうするのだ。レイとシンジの関係は、計画の重要ポイントだぞ。その修正は容易なこ
    とではない。ユイの思惑が読めん。私達の絆を思えば、計画の破棄などということは万が一にも
    考えられんが。そうだ、赤木博士との関係がばれでもしない限り・・・
    まさかぁ!!
    いや、気のせいだ。ナオコ君が私を裏切るはずがない。そんな事をすれば、彼女自身にも災いが
    降りかかる。ユイが彼女を許すはずはない。ユイの性格は、充分すぎるほど知っている。罪の告
    白の末に女同士の友情に目覚めるなんてことは、絶対にない。
    絶対だ!!
    そんなことがあってたまるかぁ!!











    あれから一年か。
    思えば、あっという間だった。
    中途から路線変更したネルフはユイの元に一丸となり、委員会と絶縁した。
    それが、今から丁度一年前。最後の使者はいつ現れるのかと、皆が緊張の極みにあった頃だ。
    最後の使者とは、委員会からの使者。
    計画の立案者であるが故にそれを知っていた私は、その後に訪れるはずの魂の救済へ思いを馳せ
    ていた。
    が、ユイは、計画の変更どころか全てを破棄。人は人のままで進化の道を歩むと宣言し、委員会
    へ最後通牒を突きつけ、それが受け容れられぬと知るや委員会本部へ先制攻撃。エヴァ三機を投
    入したその作戦で、全てを灰燼に帰した。
    ユイは、当初からその機会を待っていたのだ。私の計画に乗っている素振りをして。
    シンジへの戦闘教育も、全てこの日のために仕込まれたことと分かった。ユイらしい慎重さだ。
    はは・・
    とんだ道化だよ、私は。
    ナオコ君との浮気もとうにばれていて、私はサルベージされたものの、即離婚。ナオコ君の気持
    ちもすっかり冷めていてな、今の私は独身の身だ。お情けで、ネルフに身を置かせて貰っている
    のは幸いだな。路頭に迷わなくて済む。
    たまに冬月先生が飲みに誘ってくれるのが、身にしみて嬉しい。ユイが引き取ったシンジも私に
    は冷たいので、仲間という仲間は冬月先生くらいなものだ。
    だが、物は考え方一つ。独り身で子供の養育にも関わらないともなれば、勝手気ままに生きるこ
    とが出来る。私は自由だ。ユイを失ったのは確かに辛いが、これで人生が終わるわけではない。
    そういえばナオコ君の娘、リッちゃんは、私に憧れていたと記憶している。今の彼女は魅力的な
    一人の女。しかも今のところ、付き合っている男はいないと葛城君に聞いた。
    ふふふふふふふふ・・
    希望が沸いてきたぞ。
    都合のいいことに今日は、ネルフ勝利一周年記念とクリスマスを併せたネルフ職員雄志主催のパー
    ティが開かれ私も出席中。立食パーティの上に人が多くてまだ確認していないが、リッちゃんも
    当然出席しているはず。なんとか見つけ、話を盛り上げて、その後にどこか落ち着く場所にでも
    誘って、それから・・・


    「あら、六分儀さん。お顔の色がすぐれませんわね。
    どこか、お体の具合でも?」


    「は?」


    ユ、ユイか。後ろからいきなりとは、吃驚させおって。
    仮にも夫だった男に向かって、何という言い草だ。サルベージされてから散々、嫌味と罵倒を繰
    り返してきたというのに、まだ足らんというのか。
    いかに私に非があるとしても、そこまでするか?
    が、私とて大人だ。ここは冷静に対処しなければ。


    「いえ、ただの緊張ですよ、碇司令。
    私のような者をパーティに呼んでいただけるなど、光栄の至りですからな」


    ふっ、どうだ、ユイ。
    私も、人並みの付き合いくらい、やろうと思えば出来るのだ。決して社会不適応者ではない。
    私が不幸な事故で初号機に取り込まれたりしなければ、ネルフの司令として補完計画を完遂して
    いたのは間違いない。あの事故さえなければ、こんな屈辱を受けることもなかったのだ。あの事
    故さえなければ。
    ・・・事故?
    あれは、本当に事故だったのか?
    いや、疑いのない事故だ。
    ユイが、その身を使って挑む予定だった初号機とのシンクロ試験。ユイの急な体調不良で、急遽
    私が乗り込むことになったのだが・・・


    「ま、まさか、お前」


    「どうかなさいました?六分儀さん」


    「お前、いや君は、私を嵌めたのか。
    あの時、君は」


    「何のことか、私にはさっぱりですわね。
    初号機の中に長くいたせいで、妄想癖でも染みついたのかしら?」


    「・・・・」


    この顔、間違いない。私は嵌められたのだ。
    私の浮気を知った彼女が、腹いせに私を初号機に捧げた。
    ユイを信ずるあまり、これまでこんな可能性は考えもしなかったが、今となっては普通に理解で
    きる。
    全く愚かしい。道化以下か、私は。
    だが、まだだ。まだ終わりではない。リッちゃんとの明るい未来が、私には在る。


    「そうそう、ナオコのところのリッちゃんね、憧れてたあなたに幻滅して男性不信の挙げ句、女
    に奔っちゃったわ。
    今日は、彼女と二人きりのクリスマスパーティだそうよ」


    「・・・・」


    なに〜〜〜!!
    馬鹿な、あのリッちゃんが。
    何故だ。何故、私から幸せが逃げていく。私が、何をしたというのか。
    ・・・いや、そうだ、レイがいるではないか!
    セカンドと違って私に優しいし、ユイにそっくりだしな。
    よし!レイに賭けるぞ!


    「失礼しました、司令。
    少々、酔ったようです。私は、これで」


    負けるものか。
    私は、負けない。これしきのことで人生を諦めるなど、ただの敗北者だ。
    とにかくレイを探そう。レイを探して、それから、


    「父さん」


    「こんにちは、お義父さま」


    シンジ・・・
    と、セカンドではなくてアスカ君か。
    ええい、私は忙しいのだ。話をするなら簡潔に頼むぞ、シンジ。


    「ああ、アスカ君、シンジがいつも世話になっている。
    これからも、愚息を頼むよ」


    「挨拶はいいから、ちょっと聞いて欲しいんだ、父さん。
    アスカのご両親が、近々来日するんだけど」


    「おお、そうか。
    失礼のないようにするんだぞ、シンジ。何事も、最初が肝腎だからな」


    「他人事のように言わないでよ。
    父さんにも会ってもらうんだから」


    もはや父でもない私が会ってどうする。ユイとだけ会えばいいだろう。
    今の私には、そんなことよりレイの方が大事だ。こんな機会は、そうそうない。パーティで浮
    かれている女の心につけいるのは、容易いのだぞ!男なら、そのくらい理解しろ、シンジ!


    「こんな私と会って、アスカ君のご両親に変な誤解を与えてもいかん。
    私は、遠慮しておこう」


    「そんなこと言わないでさ。
    ホントのこと言うと、まだ父さんにわだかまりはあるけど、僕の父さんには違いないわけだし」


    「そうですよ。
    ドイツじゃ、離婚なんて珍しくもありませんし。パパとママにも事情は話してありますから」


    意外に優しい娘だったのだな、アスカ君は。彼女への見方を変えなければならんか。
    まあ、会うくらいならいいか。それに、私にはやることがある。適当に返事をしてこの場を去
    るとしよう。


    「分かった。詳しい日時と場所は、後で連絡してくれ。
    じゃ、私は用があるから、これで」


    シンジとアスカ君は、実に幸せそうだった。
    私とユイにも、あんな時代があったのだと思い起こさせてくれる。
    どこから私の人生は狂ってしまったのだろうか。
    ナオコ君との浮気か?
    もっと前、ユイとの出会いが私を狂わせたのか。
    いや、それよりもずっと前、生まれたときから私はどこかが壊れていたと思う。
    自分が壊れているから、世界そのものも壊したい。
    そんな衝動が、私を突き動かしていたのかもしれない。
    ふっ、今となっては、どうでもいいことだ。
    レイ。
    今の私が真に愛せるのは、君だけだ。
    私の愛を、受け容れて欲しい。










    おまけ


    「!」


    「どうしたの?レイ」


    「いや、ちょっと、寒気がしたのよね。
    身の危険が迫ってるみたいな感じがするの」


    「碇君としっぽり過ごしてるアスカが羨ましくて、ブルーになってるだけよ。そんなときは、
    歌うに限るわ。
    彼のいない女ばかり集まって憂さ晴らしてんだから、パーっと弾けなきゃ」


    「それもそうね。
    よし!今日は、レイちゃんの独演会よ!
    みんな、心して聴きなさい!」


    「あ、あのね、レイ」


    カラオケボックスでのレイの独演会は夜通し続き、付き合った友人達は疲労困憊したというこ
    とだ。
    パーティ会場でレイを探し続けたゲンドウは、当然のことながら彼女を見つけることはなく、
    失意の内に会場を去っている。
    ゲンドウはこの数年後、職場で知り合った女性と再婚。レイへの想いは断ちがたかったようで
    はあるが、特に問題を起こすこともなく、再婚した女性と幸せに暮らしている。
    ユイとの確執は一生続いたものの晩年には笑い話となり、それは子孫達に引き継がれ、碇家と
    六分儀家に後世まで伝わる逸話になったという。






    でらさんから素敵なお話をいただきました。

    面白いお話ですね。ゲンドウとか‥ぜひ、読後はでらさんへの感想メールをお願いします。

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