仮面
    作者:でらさん















    私は、碇シンジ。
    西暦二〇〇一年に生を受けた、一四歳の少年だ。

    口調が一四歳に思えない?お前は偽物だろう?

    まあ、そう思うのも無理はない。
    が、しかし、私は正真正銘一四歳。これは、あくまで心の内にある私の本性。外面は、それなりに
    創ってある。死んだ母の面影を追い、父の背を追い、自虐的で気弱な少年を演じる私の生活は、
    常に欺瞞に満ちている。
    実を言えば、私も好きこのんでこんな歪んだ性格になったわけではない。幼い頃からの環境が私
    を変えたのだ。
    母が事故で死亡した当時、私はまだ五歳だった。
    そんな幼い私を、父は邪魔者のように親戚へ預け、自分は遠く離れた地で仕事に没頭した。預け
    られた親戚では大切に扱われたものの、そこに真の愛情はなく、成長するにつれて一人で放って
    置かれることが多くなっていった。当時の私は人並みの子供でしかなかったが、子供心にも大人
    達の都合とか冷徹な現実を感じ取っていたと思う。それが闇となって徐々に心を浸食し、中学に
    進学した頃、離れの部屋を与えられたことが決定的となったようだ。
    自分の中で肥大しつつあったもう一つの人格は、それをきっかけとして完全に意識を乗っ取り、私
    は精神的な飛躍を遂げた。普通の人間が数十年かけるところを、私は一気に飛び越えたのだ。
    私は、この心的飛躍を表に出すことなく、普通の少年を演じ続けた。
    人は、自分と明らかに異なる個体を嫌い、排除しようとする。他人との触れ合いなどどうでもいい私
    にとって、それ自体は別に構わなかったのだが、不審に思った父が何らかの対処に出たらことは
    厄介だ。心の病を治療するとか称してこの人格を消されたら、元も子もない。たとえ意図しない、心
    の防護本能が生み出した人格であっても、私は碇シンジだ。存在を消されたくはない。そのためな
    ら、多少の屈辱など甘んじて受け容れようではないか。


    「シンちゃ〜ん。悪いんだけど、今日もお願い。
    わたし、酔っぱらっちゃって動けな〜い」


    私の上司であり臨時の保護者でもある女、葛城ミサトが、リビングに突っ伏して寝てしまった。そう
    とうな量のアルコールを飲んだのだろう、彼女が部屋に入った瞬間から部屋にアルコールの匂い
    が充満した。これでは、もう一人の同居人が機嫌を悪化させてしまう。同い年の彼女は、自分を大
    人びて見せようとするくせに酒や煙草が嫌いだ。どこか矛盾している。余計なトラブルを避けるため、
    口にしたことはないのだが。
    それはともかく、酔い潰れた女を彼女の自室へ運ばなければ。
    私は優しい少年ということになっている。放って置いたら、その評価が崩れてしまう。物事は、こん
    な些細なことから崩壊することもあり得るのだ。私は自分のために、女の肩に手をかけた。


    「シンジ。そんな酔っぱらい女、構うことないわよ。
    風邪でもひけばいいんだわ」


    ちょうどその時、もう一人の同居人が姿を現した。同僚の、惣流・アスカ・ラングレーだ。
    白人の血が四分の三入ったクォーターの彼女は、想定した通りの不機嫌な顔。それは、部屋を満
    たすアルコールの匂いのせいだけではない。葛城女史が最近、アスカ嬢が思い焦がれていた加持
    リョウジという男とよりを戻したことも原因の一つだろう。
    学生時代に付き合っていた二人は、加持氏の本部異動によって再会を果たし、そのままなるように
    なったらしい。よりを戻してから関係は急速に進んでいて、使徒戦終了後に結婚するとのこと。想い
    が完全に断たれたアスカ嬢として、面白くないのは分かる。分かるのだが、私に当たるのはやめても
    らいたい。学校帰りや訓練の帰り、ゲーセンとか自棄食いに付き合わされるのは、精神衛生上、色々
    と問題があるのだ。勘弁してもらいたい。


    「そんなこと言うなよ。
    ミサトさんだって、辛いこととかあるんだろ」


    「結婚の決まった女が、自棄酒なんか飲むと思うの?アンタ。
    使徒戦も順調だし、今の生活を面白おかしく愉しんでるだけよ」


    「・・・そ、そうかな」


    宥めるどころか、藪を突いてしまった。アスカ嬢は、どうも苦手だ。繰り出す手が裏目に出てしまうこ
    とが多い。
    この少女と対するとき私は、素の一四歳に戻ってしまうのではないかと思うほどに冷静でいられなく
    なる。これが恋という感情であり、私の精神年齢から考えれば異常の域にあるのは分かっている。ロ
    リコンと謂われても反論できない。
    しかし、この突き上げるような感情の高ぶりを巧くコントロールするのは難しい。二人きりになると、つ
    い理性が挫けそうになる。更に、彼女の態度にも問題が。


    「ミサトには、毛布でもかけておけばいいわ。
    それより、アタシの部屋に来なさいよ」


    「で、でもさ」


    「でもも何もないの。さっさとミサトに毛布かけて、すぐ来るのよ。いいわね?」


    「は、はい」


    私は、返事をするしかなかった。
    ここで一つ弁明しておくが、彼女の部屋で別に怪しい行為をするわけではない。まだ漢字とか日本の
    慣習をよく知らないという彼女にレクチャーするだけだ。俗に言う、勉強会というやつだな。
    ただ問題は、一ヶ月ほど前、葛城女史と加持氏がよりを戻したと思われる夜、私とアスカ嬢がキスを
    交わしていること。それ以来、癖になったのか、私達は頻繁と思われる回数のキスを交わした。それも、
    触れる程度の軽いものではない。フレンチキスと呼ばれる濃厚なものだ。二人きりになれば当然のよう
    にそれは行われ、私は若い肉体の欲望を抑えるのに必死となる。私の精神年齢は大人のそれだが、
    肉体は一四歳だし実際の経験は当然ながらない。従って、欲望の制御は非常に困難だ。
    驚くべきことに、アスカ嬢はレクチャーの間にもキスを求めてくることがある。彼女が何を考えている
    のか、私には分からない。加持氏への想いを振りきるため、敢えて私と擬似的な恋人関係を結ぼうと
    しているとも考えられるが、彼女の潔癖性的な性癖を思うと、無理がありそうだ。かといって、彼女が私
    に気があるとは更に考えにくい。内面はともかく、外面では子供以上ではない私を彼女が好きになるな
    ど、あり得ないとすら言えるだろう。彼女が求める男性像というものは、理解しているつもりだ。いくら私
    が彼女を求めようとも、それは適わぬ想いなのだ。だから私は、欲望を可能な限り抑え込む。私は、彼
    女の純潔を奪っていい男ではないのだから。








    「おはようございます、司令」


    「う、うむ」


    せっかく息子が挨拶したというのに、素っ気ない返事だ。
    まあ、こっちに呼び出す時も、”来い”とだけ書いた手紙を寄越したほどの変人に普通の父親像を求
    めるつもりはなかったのだが。
    私が、父さん、父さんと慕うとでも思ったのか?父の背を追うことをやめた私が不満なのか?
    だとしたら、愛情に飢えた、ただの親バカだ。私を親戚に預けたのも、私を愛するが故に、私と関わ
    るのが怖かっただけなのかもしれない。親バカというより、対人恐怖症に近いな。よく母さんが父さ
    んと結婚したものだ。綾波レイも父さんを信頼していると言ったし、人の感情というものは、よく分か
    らない。


    「ま〜た、何か深刻に考えこんでんのね、シンジ」


    「痛って・・・
    アスカか」


    軽口と共に後ろからポンと頭を叩いてきたのは、アスカ嬢だ。
    彼女はそのまま私の横に並び、手を絡めてきた。すでにプラグスーツに着替えているので生地越し
    だが、彼女の体温を感じる。日常的なキスのせいか、このくらいのことでは特に緊張もしなくなった。
    すれ違うネルフの職員達も、意味ありげな視線と含み笑いを残して過ぎ去っていく。このところ、私と
    アスカ嬢がすでにできているとの噂がネルフ内に広まっているので、それを鵜呑みにした職員達か
    ら何かと冷やかされることが多い。確かに私とアスカ嬢は日常的にキスを交わし、このように人前
    でも手を繋いで歩くが、たかがこれくらいのことで付き合っているなどと噂されては・・・
    ・・・そう思われても仕方ないな。少々、世間の感覚とずれていたようだ。


    「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな」


    「何よ、あらたまって」


    周りに人がいなくなり、ちょっとした物陰に入ったので、私は思いきって聞くことにした。キスや手を繋ぐ
    とかの行為に、どういう意味があるのかと。
    彼女がただ加持氏を振りきるつもりなら、こんな行為はやめた方がいい。彼女が将来に出会うであろ
    う立派な恋人のためにも、するべきではない。私にとっては非常に光栄であり喜ばしいのだが、子供
    に手を出しているような罪悪感がどうしても拭いきれない。私は聖人君子などではない。いつ理性が
    吹き飛ぶか自分でも分からないのだ。


    「キ、キスのことなんだけどさ」


    「キスが、どうかした?」


    「なんで、ああいうこと」


    「恋人同士がキスするのは、当然じゃない」


    「へ?」


    い、いかん。私としたことが、つい、素っ頓狂な返事をしてしまった。
    私とアスカ嬢が恋人同士?どういうことだ。私は、告白した覚えなどないぞ。


    「・・・いつからだっけ?僕達が付き合ってるの」


    「ミサトと加持さんがよりを戻した夜よ。
    覚えてないの?アンタから告白してきたのよ」


    なに〜〜〜!!
    何ということだ。全く覚えていない。あの夜、キス以外に何があったというのだ。
    ま、まさか、最後までなんてことは・・・


    「嬉しすぎたせいか、あの夜のこと、よく覚えてないんだ」


    「このアタシを彼女にしたんだから、舞い上がるのも無理はないわね。
    でもいいわ、ちゃんと映像に記録してあるから。今日帰ったら、決定的な場面を見せてあげる」


    き、記録か、彼女らしいというか何というか。
    しかし、何だ。このアスカ嬢は何か違う。子供っぽさがない・・・
    ん?顔つきが瞬時に変わった。目に邪気がない。 これは、まさか!


    「気付いた?
    アタシも、アンタと同じよ」


    やはり、そうか。何らかの原因で、心の内に大人を忍ばせた少女ということなんだな。
    では、あの夜の記憶があやふやなのは、彼女が私に何か仕掛けたのか。


    「アタシは、初めて会った時から分かってたわ。
    仕草、視線の動き、会話、隠そうとしても隠せないものはあるのよ。
    アタシはその点、慎重の上に慎重を重ねたわ。危うい立場はアンタ以上なんだから、万全を期さな
    いとね」


    「分かってて僕を誘ったのか。
    じゃあ聞くが、あの夜、僕に何をしたんだ?」


    「最初のキスでアンタを催眠状態に堕としたあと、アタシの部屋で色々と聞き出したわ。アンタの正
    体について、確証が欲しかったの。
    愉しんだのは、そのあと。アタシは、痛いだけだったけど」


    「無意識のうちに君を抱いたとは、記憶のないのが残念だよ。
    それにしても、君が催眠術を使えるとはね」


    「心理学を勉強したついでに、その筋の専門家に習ったの。勉強会の時にも、さりげなく暗示をかけ
    ておいたのよ。
    アタシは、ママに首を絞められ、死を間近に見たトラウマを抱えてることになってるから、そっち方面
    の勉強についてはフリーパスに近かったわ。もちろん、トラウマなんてとっくに克服してるわよ」


    「成る程、僕よりも、遙か上をいってるわけだ。
    で、その君が、僕に何を求めるんだ?」


    私の精神年齢はともかく、知識及び基礎学力は普通以上ではない。大学はおろか高校にさえ通って
    いない身では、たかが知れている。
    だがアスカ嬢、いやアスカは、すでに大学を出た英才。精神年齢も知識も実力も大人なのだ。私と体
    の関係を持ったようだが、私に何を期待しているというのか。


    「上も何も関係ないわ。
    アタシは自分に目覚めてから、嘘偽りないアタシ自身を受け容れてくれる人をずっと探してた。そして、
    幸運にも同類を見つけた。 それとも、同類のアタシを拒否するの?」


    「・・・僕に選択の余地はない。
    君と共に行くよ。どこまでも」


    諦めるはずの想いを、私は諦めずに済んだ。
    他人との付き合いなど煩わしいとしか思わなかった私が愛を知り、想いを遂げるとは・・・
    人生とは、本当に分からないものだ。
    この幸せが中途で破綻することのないよう、私は願う。
    それが、私の心の奥底で今も眠っているであろうオリジナルの願いでもあるに違いない。
    ああ、ホッとしたら眠くなってきた。
    眠気?なぜ、こんなところで眠気が。
    何だか景色が薄くなっていく。アスカも消えて・・・






    <初号機に依るタンデムシンクロ試験終了。整備斑は所定の作業に係って下さい。
    セカンド、サード、パイロットの両名は>


    館内放送が響き渡る中、紫を主体とした塗装に彩られた初号機の背から白いエントリープラグが
    半回転しながら突き出し、更にそれが中央付近から割れて中の構造が明らかになる。
    今日の実験のため、急遽複座型に改造された初号機用のエントリープラグ。中から出てきたのは
    赤いプラグスーツを着たアスカと、青いプラグスーツを着たシンジ。両名とも実験直後のせいか、
    顔色がよくない。こういったパイロットを見慣れている整備員達は、労いの言葉もそこそに作業に
    とりかかった。彼らが非情というわけではない。下手な言葉をかけるより、早く休ませてやろうとい
    う気遣いである。


    「なんか、変な夢見たような気がするんだけど」


    「あら、アンタも?」


    「アスカも見たんだ」


    「覚えてる?その夢」


    「内容は、ちょっと・・・」


    更衣室へ歩く道すがら、シンジはシンクロ中に見た夢らしきものを思いだそうとするが、思い出せ
    ない。それは、彼の横を歩くアスカも同じ。
    今日は、初号機を使ったタンデムシンクロ試験。アスカ来日時に弐号機で行ったシンクロを初号
    機で再現する実験。これで好結果が出れば、実戦にも導入される予定だった。
    が、実験中は不可思議な現象が相次いだ。シンクロ開始と共にパイロットの意識が跳び、プラグ
    内もモニター不能となった。それでもシンクロ率は上がり続け、最終的には二〇〇パーセント近く
    にまで上がっている。初号機自体は全く動く様子がなく、ただ胸のコアが活動していることだけは
    確かだった。そんな状態が三〇分ほど続いたのちシンクロ率が急激に下がり始め、コントロール
    も回復したのだった。今は、リツコを始めとする技術部スタッフ達が異常の原因を必死で探ってい
    る。アスカとシンジも、着替えの後にリツコの尋問を受ける予定。


    「でも、何だか不思議なんだよな。
    妙に自信がついたっていうか、何でも言えそうな気がするんだ」


    「初号機に精神汚染でもされたの?
    ま、アンタに自信がついたって、何がどうなるもんでもないけどさ」


    「酷いなあ。
    じゃあ、試してみようか」


    「何を試すのよ」


    「好きだよ、アスカ」


    「・・・え?
    バ、バカ、なに言ってんのよ、アンタ。変な冗談」


    「冗談じゃないよ。好きなんだ」


    歩みを止め、向き合うシンジの顔を視るアスカは、暴走しそうなほど高鳴る心臓の鼓動に驚いて
    いた。
    自分は加持が好きだったはず。シンジは同居こそしているものの単なる同僚で、それ以上ではな
    かったはずなのだ。決して、それ以上では・・・
    ホントにそうだろうか。
    初めて会ったとき、ユニゾンの特訓に励んでいたとき、浅間山で助けられたとき、シンジの存在は
    確実に自分の中で大きくなってきたのではないのか。
    今でも加持が好きと、はっきり言えるのか。あの男に自分の全てを捧げても悔いはないと言える
    のか。 シンジが嫌いと、突き放せるのか。
    そこまで考えたとき、アスカの心は決まった。
    すると、鼓動は自然と収まっていく。清流が濁った水を押し流していくように、心が落ち着く。


    「アタシも好きよ、シンジ」








    おまけ


    「で、一体全体、どういうことなのよ、リツコ。
    あの日以来、シンちゃんとアスカがラブモードに突入しちゃったじゃないの。わたしは、お邪魔虫扱
    いで、自分の家なのに帰りづらいのよ。何とかしてちょうだい」


    「シンジ君はしっかりしてきたし、アスカの精神的不安定さは消えかかってるし、ミサトの気まずさ以
    外、不都合はないでしょ」


    「ふん、異常の原因も掴めない赤木博士に言っても無駄か」


    「失礼ね、原因は判明してるわ。今、報告書を仕上げてるところよ」


    「じゃ、その原因とやらを窺いましょうか」


    「シンクロが開始された時点から、初号機が二人の精神に干渉したのよ。
    なぜそんなことが起こったかは不明だけど、結果として二人は何らかの影響を受けたと考えられるわ。
    互いに補完し合ったのかもね」


    「精神汚染ってこと?」


    「悪い言い方すれば、そうね。
    でも良い方に解釈すれば、性格改造とも言えるわ。今回のデータから異常の根本原因を突き止めら
    れれば、精神医療の革命が起きるかもしれないわね」


    「じゃあさ、レイとアスカを乗せたら、レイが面白愉快な性格になったりするのかしら。今のままじゃ、
    彼氏もできないわ。不憫なもんよ」


    「・・・な、何を馬鹿なこと言ってるの、ミサトは」


    微妙な間、そして、ピクピクと引きつるリツコの頬が、好奇心旺盛な女科学者の心の内を示していた。
    その好奇心に抗えきれなかったのか、この一ヶ月後、こじつけのような理由でアスカとレイによるタン
    デムシンクロ試験がリツコ主導の下に強行されている。
    初号機を使用した実験は、アスカとシンジの時と同じような経過を辿り、とりあえず無事に終了。
    結果、レイがどうなったかというと・・・


    「おっはよ!シンちゃん!」


    「お、おはよう、綾波」


    「なによ、なによ、元気ないわね。
    さては、またアスカと一晩中励んでたのね。
    よっ!、この、好きもの夫婦!」


    「恥ずかしいこと、大声で言い散らかしてんじゃないわよ!
    元、冷血女が!」


    「あ〜あ、アスカちゃんに怒られちった。レイちゃん、退散するしかないわ。
    じゃあね〜」


    へらへらと笑って去っていくレイ。
    同僚の変わり果てた姿に、アスカとシンジは、割り切れない哀しさと憤りを感じるのだった。感情の起伏
    の少ない彼女を不憫にさえ思っていたものだが、いくらなんでも、変わりすぎだ。


    「あれなら、前の方がマシだったわ」


    「僕も、そう思うよ」


    いささかげんなりしながらも、繋がれた互いの手は離さず、二人は学校への道を歩く。
    世はこともなく、平穏に時は過ぎている。この平穏が、初号機のコアに棲むシンジの母、ユイが望んだこ
    となのか・・・
    それを知る者は、いない。








    でらさんから久しぶりの新作をいただきました。
    やはり、でらさんのお話は面白いですね。
    リターンでないけどあれこれの理由で老成したシンジですか。そういうのも面白いですね。
    どんな理由でもシンジラヴになるアスカもいいですね。
    素敵なお話でありました。みなさもぜひでらさんに感想メールをお願いします。
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