魔法の鏡 

    明日香と眞二の場合 中編
    作者:でらさん















    エヴァンゲリオン初号機を使用した最大出力試験そのものは、無事に終わった。
    視察に訪れたヴァレンタイン事務総長も満足の笑みを浮かべ、関係者全員に労いの言葉と
    一時金の支給を約束して帰っていった。彼の政治的目標であり野望でもある、国連による軍
    隊の一元管理は、エヴァの圧倒的な力に依ってのみ実現する。それが一歩前進となれば、
    機嫌も良くなろうというもの。
    が、しかし、試験終了数時間を経てから、第三新東京市各地で空間の歪みが観測された。そ
    のほとんどは目視も不可能な低レベルで、生活にも支障はない。ただ一カ所だけは、レベル
    が桁違い。明らかに空間そのものが干渉を受けていると思われる。幸いなことにそこは、ネル
    フ高官の一人、碇源藤の自宅。
    情報の秘匿に余計な手間がかからないことについては、皆がホッとした。すでに天文学的な予
    算が投じられているS2機関実用化プロジェクトに対しては、スケジュールの遅延もあって批判的
    な意見が多い。中でも、S2機関実用化で確実に影響を受けるであろう石油メジャーや産油国な
    どは、プロジェクトを鵜の目鷹の目で監視している。
    彼らは、何か問題でも見つければプロジェクトを潰すと言って憚らないだけに始末が悪い。S2機
    関はとっくに完成していて、世界を統べるための兵器を極秘で開発しているなどという事実は、
    絶体に公表できないのだ。
    仮にこの情報が漏れたとしても、局所的な空間の歪みともなると世間ではオーバーテクノロジー
    の部類に入る。現在では、恒星周辺とかで僅かな歪みが観測されている程度。普通の学者なら、
    居住地での局地的空間歪曲など一笑に付すだけ。観測ミスで片づけられるだろうが。


    「重ねて聞くが、暴走ではないのだな?赤木博士」


    源藤は、スーパーコンピューターMAGIを管轄する赤木尚子博士に念を押すように問うた。
    所長の冬月孔三から今回の件の調査を任された源道の声が、無駄に広い福所長室に響いて
    消える。
    実験はMAGIによって全てがコントロールされていた。MAGIに残っている記録が全て。それが
    ネルフの公式見解となる。つまり、状況的に暴走であっても、MAGIが否定すれば暴走ではない
    ということ。その源藤の含みを、尚子も理解はしている。二人は、学生時代からの仲間同士。そ
    の辺の機微は、阿吽の呼吸で分かる。


    「記録では、全て正常にコントロールされています。暴走は、考えられませんね」


    「仮にS2機関が暴走したら、こんなものでは済みません。第三新東京市どころか、本州の中央
    部が確実に消滅します」


    源道と尚子の間にある暗黙のやりとりに茶々を入れるように、尚子の斜め後ろに立つ津子が口
    を出した。
    彼女の言うことは正論だし源道達も基本知識として承知していることだが、今はネルフの公式見
    解をどうするかという話。万が一情報が漏れ、S2機関暴走の嫌疑で査察が入ることにでもなった
    ら、この会話記録は証拠となる。そのための芝居でもあるのだ。母である尚子の才を受け継いだ
    優秀な学者の津子ではあるが、まだ政治のなんたるかを理解するには若いということ。
    源道は、津子の口を封じておくことにする。


    「津子君、発言は慎重に頼む」


    「申し訳ありません、副所長」


    「ともかく、暴走でないにしても空間の歪みは事実だ。原因の究明と対応策を講じる必要がある
    だろう。調査のため、私と家族は家を空けるが、他に要望はあるかね?尚子君」


    「では、一つ条件を」


    「遠慮なく言いたまえ」


    尚子の表情から意をくみ取った源道は、会話記録を妨害する装置のスイッチを入れた。ここから
    は、非公式非公開の会話となる。この後の会話については、適当に合成した会話を付け加えて
    記録に残しておけばいい。
    MAGIを使えば全てを合成で仕上げることも可能だが、敢えてそれはしない。冬月によれば、完
    全合成の会話記録には人間の温かみや厭らしさがなく、すぐに作り物と分かるそうだ。MAGIの
    開発を主導し、性能と運用に絶対の自信を持つ尚子は、あまり納得していないようだが。


    「副所長宅と共に、副所長の御子息と惣流博士夫妻の御息女両名を、監視対象に指定していた
    だきたいのです」


    自分の娘とも言える明日香と実子の眞二を監視したいと要求されては、流石の源道も即答しか
    ねる。
    大体、眞二と明日香が、この問題にどう関わるのか源道には分からない。
    が、尚子が言うのだ。理論的な裏付けか意味があるのだろう。それを、親として聞いておきたい。


    「その理由は?博士」


    「はい。実は・・・」


    進みすぎた科学は、魔法と何ら変わらない。
    尚子の説明を聞いた源道は、誰かが言ったその言葉は真実であると実感した。







    平行宇宙、パラレルワールド。
    SFや漫画、アニメなどでよく使われるシチュエーションで、別の可能性の基に進むもう一つの歴史、
    日常。そこでは、別の自分が別の人生を歩んでいる。貧者は金持ちになっているかもしれないし、道
    を誤った落伍者が、別の世界では成功者として地位と名誉を手に入れているかもしれない。言うな
    れば、それは人の願望と妬み僻みが生み出した哀しい妄想だと、眞二は思う。その考えからすると、
    現状より劣る幻覚を視た自分は、例外となるのだが。

    両親と惣流夫妻は、暫くネルフで寝泊まりするそうだ。実験で何か問題が起きたとかで、色々と面倒
    なことになっているようだった。電話越しでも、喧噪やら機械音でネルフの慌ただしさが感じられた。
    そんな親達には悪いが、明日香と眞二にしてみれば愉しい状況には違いない。しかも今回は、明日
    香を一人で家に置くのは心配だとかで、碇宅で預かってくれと明日香の両親から頼まれている。源道
    と唯も追認したので、親公認で新婚生活の予行練習をするようなものだ。
    親公認となると変に倫理観が働くのか、朝は普通通りに起きて食事し、普通に二人して登校した。朝
    から事に励むような気すら起きなかった。不思議なものだ。夜は、普通に同衾しているのに。まだ若い
    ながらも関係が始まって長いことから、少々アブノーマルなシチュエーションでないと燃えにくくなって
    いるのかもしれない。自分も、明日香も。


    「そんなこんなで、あんな幻覚見たのかなぁ。
    妙に現実感あったけど」


    寝る前に用を足した眞二は、普通に自分を映す洗面所の鏡を前に、一昨日の幻覚を思い出しながら
    少し考える。あれが幻覚でなく、平行する別世界の自分を映したものであったら・・・
    面白いとは思うが、納得できかねる気持ちも強い。何かにおびえるような目と、明らかに自信を喪失し
    た言動。あれには、自分、他人を通り越して生理的嫌悪すら感じる。自信に溢れ、すかした態度と台詞
    を吐く自分がいたら、それはそれで引くが。


    「今の僕が一番とは言わないけど、高望みしたっていいことなんて・・・
    って、またか」


    わずかに視線をそらせ、次に戻した眞二は、そこに一昨日と同じ状況を見た。
    が、今日の彼は取り乱していない。余裕とまではいかないが、落ち着いている。あたふた慌てている
    様子はない。
    鏡に映る顔、体つき、着ているパジャマ、それはやはり微妙に自分ではない。
    こと此処にいたり、眞二は、これを幻覚と考えないことにした。鏡の向こうに平行世界があると思えば
    面白いし、誰にも喋らなければ、頭がどうかしたとか思われることもない。そう思ったら、愉しくなってき
    た。ベッドで自分を待つ明日香には悪いが、少し遊んでみるのもいい。


    「どうした?今日は、落ち着いてるじゃないか」


    <吹っ切れただけさ>


    「失恋でもしたか?そっちのアスカに、男でもできたとか」


    向こうの自分は、三年間、明日香や美里と暮らしていると言った。
    であれば、明日香に恋心を抱いても不思議ではない、いや、必然だ。他人同士が一緒に暮らす理由
    はともかく、明日香のような魅力的な女の子と一緒に暮らして何も感じないはずはない。おそらく好意
    を抱いているだろう。だけども、何らかの理由から告白を躊躇っていたと思われる。
    向こうの明日香の心情なりは不明だが、告白してこない同居人にいい加減痺れをきらして他の男へ
    乗り換えたか、或いは嫉妬を煽っているかのどちらか。それとも


    「それとも、最初から相手にされてなかったことに、やっと気付いたか」


    この可能性もないではない。なにしろ平行世界だ。こっちの明日香と同じ性格、考え方をしている確証
    はない。向こうのアスカが碇シンジを好きになる確証もないのだから。


    <先輩に告白されて、OKしたんだってさ。
    でも、なるようになっただけだから、別にどうってこともないよ>


    自棄になったような口調、素振り。それが本心でないことは、様子からも明らか。単なる強がりだ。
    だが眞二は、励ますより罵倒する方を選ぶ。嗜虐的な意味ではなく、自分だからこそ奮起してもらいた
    いといった気持ちからだ。


    「三年も一緒に暮らしてて手を出さない男なんて、見限られて当然だな。
    お前が悪い。自業自得ってやつだよ」


    <最初から手の届かない女の子だったんだよ、アスカは。
    僕は、綾波と付き合うことにするよ。綾波なら、僕に優しくしてくれるし>


    「綾波って、綾波麗のことか?」


    <そうだけど、なんだよ>


    「こっちじゃ、僕の従妹なんだよな。
    明日香に輪をかけたやんちゃでね、色々と騒ぎを起こしてくれるんだ。
    中学の時なんか」


    後を続けようとした眞二だが、鏡の中に突然現れた明日香の姿を見て口を止める。いや、止まった
    と言うべきか。明らかに自分の知る明日香ではなかったからだ。
    鏡の奥からこちらに向かってくる彼女の顔は、わずかに棘があって目もきついように見える。頭には、
    見たこともない紅い髪飾りが二つ。彼女の存在に気付いた向こうの自分は、振り向き、そして言った。


    <ア、アスカ、これはさ>


    先ほどまでの落ち着きが嘘のように狼狽える、もう一人の自分。しかしまた、嬉しそうでもある。
    ふられるのは当然といった感じであったのに、ただ話をするだけで嬉しいとは。やはり、彼女のことが
    好きで仕方ないようだ。
    と、向こうのアスカがシンジを押しのけ、身をずいと乗り出して鏡に顔を近づけてきた。


    <幻覚・・・
    じゃないわね、これは。
    アンタ、シンジなの?>


    「そう、碇眞二。
    そっちの僕とは、少し違うけどね」


    <確かに、シンジとは思えないくらい落ち着いてるわ。憎らしいくらいよ。
    でも>


    「そっちのシンジの方が好き?」


    「明日香!」


    眞二の後ろには、いつの間にか明日香が。
    平静さを失わない彼女の様子からして、初めての体験ではないようだ。彼女も、既にもう一人の自
    分と対面していたのだろう。ならば、これは絶対に幻覚などではない。
    眞二とシンジ、明日香とアスカの対峙によって場の混乱に拍車がかかり、おかしな空気が洗面所に
    満ちていく。眞二達はともかく、明日香達の方は険悪な感じ。眞二も、ヒートアップした明日香によっ
    て脇に追いやられた。


    「アタシと違って英語もドイツ語も堪能な誰かさんは、まだヴァージンのようね。体つきを見れば分か
    るわ。
    三年も一緒に暮らしてて何もないなんて、信じられない。どうかしてんじゃないの?アンタ達」


    <相変わらず、いけすかない女ね、アンタ。
    自分ながら、一発殴ってやりたいわ>


    「やれるものなら、やってみなさい。お嬢ちゃん」


    <・・・お嬢ちゃん?>


    「眞二達のやりとり聞いてたから、事情は、大体分かってるわよ。
    アンタ、シンジにヤキモチ妬かせて告白させようとしてるんでしょ?先輩とやらをダシに使ってさ。
    ったく、子供の浅知恵ね」



    先日の洗面所での一件を自分なりに考えた明日香は、眞二も自分と同じ体験をしたのではないか
    と推論していた。正確には、自分より先に。洗面所へ向かおうとした自分に話しかけてきた時の眞
    二、あの眞二は少し変だった。あの時すでに、彼はもう一人の自分と相対していたのだと思う。
    そして今夜、もしやと思ってトイレに立った眞二の後を密かに尾けた明日香は、決定的な場面を目に
    した。鏡の表面が揺らぎ、眞二でないシンジが映し出される瞬間を見たのだ。こうなると、幻覚では
    片づけられない。平行して存在するもう一つの世界が、鏡を介して見えていると考えた方がいい。
    それを証明するかのように会話を交わす眞二とシンジ。その内容も興味深い。鏡の向こうにあるも
    う一つの世界では、互いに好意を抱いているだろうにもかかわらず、自分とシンジはまだ付き合って
    いない。三年も同居しているのに。
    一四歳になる前に眞二と付き合うようになった明日香にしてみれば、向こうの自分はまどろっこしい
    と言うより、子供じみている。好きならば、変な策など弄せず、さっさと気持ちを伝えればいいだけの
    こと。そんな簡単なことが、なぜできないのか。そう思った明日香は、偶然にも現れた向こうの自分を、
    自分なりに鼓舞したつもりだった。
    しかし、アスカはそれを冗談抜きの挑発と受け取った。暫く心の内に収められていた攻撃性が、首を
    もたげてくる。


    <アタシを、ガキ扱いするつもり?>


    「好きなら好きって言えばいいのよ。簡単なことじゃない。
    何を怖がってんの?アンタ」


    <言わせておけば>


    「明日香、その辺で」


    眞二は、険悪なやりとりが洒落にならない域に達したと判断し、口を挟もうとした。
    が、次の瞬間、


    「きゃあ!」


    鏡の中からアスカの手が突き出し、明日香の首を両手で掴んだ。
    それを止めようとするシンジの手も、こちらに突き出ている。
    明日香は反射的にアスカの手を掴み、首からふりほどこうとしている。しかし、腕力はアスカの方
    が上のようだ。明日香の顔が、瞬く間に苦悶で歪んでいく。
    あまりのことに暫し唖然としていた眞二は助けを求める明日香の目で我に返り、彼女を助けるた
    め、揉み合いに加わる。
    そしてそれは、更なる混乱の引き金となった。


    「わぁ!」


    鏡から突如発生した白色の光が場の全てを呑み込み、意識をも消し去っていく。
    四人に、考える暇はなかった。








    「ん・・・」


    軽い頭痛と共に目を覚ました明日香がまず目にしたのは、見覚えのない天井。部屋全体を見れば
    構造は似ているものの、自宅や眞二の家の天井とは違う建材が使われている。照明や洗面所の
    設備なども違う。デザイン全般がどうも無機質というか、人間的な暖かみが感じられない。センスが
    悪いというわけではないのだが。


    「・・・何だよ、ここ」


    傍に倒れていた眞二も起きたようだ。彼も異変に気付いている。
    と、彼の姿を見た明日香の頭に閃くものがあった。
    明日香は身を起こし、鏡に自分を映す。やや痩せた体に、きつめの目。着心地の悪いパジャマ。そし
    て、頭に着けられた変な髪留め。ここがどこか、自分が誰か、明日香は理解した。


    「眞二、ちょっと確認したいんだけど」


    この眞二が自分の知る眞二なのか、または異世界のシンジなのか、明日香は幾つかの質問で確認
    を取ろうと思い、床に座って眞二の顔を両手で挟んだ。そして、自分の方へ向ける。そのままで、自分
    と眞二にしか分からないことだけを聞く。かなり恥ずかしい質問も中にはあるが、これが一番手っ取り
    早い。
    結果、眞二も共に異世界へ飛ばされたと確信した。
    いや、入れ替わったのだ。精神だけが。ここは、自分達の知る世界ではない。
    となれば、まずは状況を把握しなければ。ここの自分がどういった人間でどういう立場に在って、学校
    は、友人は・・・


    「あんた達、朝っぱらから洗面所でなにやってんの?」


    「「え?」」


    揃った返事と共に向けられた視線二つは、洗面所の出入り口に立つ人物を同時に捉えた。明日香の手
    は、反射的に下ろされている。
    立ってこちを見ているのは、明日香と眞二にとっては、忘れつつあった人間。中学時代、担任でもあった
    女教師、葛城美里。何かと話題の教師で楽しい思い出も多いが、今は当然ながら付き合いはない。よって
    明日香は、突然現れた予想外の人物に対し反応に困った。見たこともない制服も、どこか気にかかる。
    一方、眞二は、咄嗟にシンジとの会話を思い出した。彼は確かに、美里と同居していると言った。相手
    が美里なら、何とかごまかせそうだ。同じような性格であればだが。


    「あ、明日香がタオル持ってこいって言うから、持ってきたら足滑らしちゃって。
    咄嗟に明日香のパジャマ掴んで、一緒に転んじゃったんですよ」


    「そ、そうなのよ。
    眞二ってば、そそっかしいんだから」


    明日香も臨機応変に合わせたが、いかにもとって付けたような言い訳。普通なら、すぐに納得するとは
    思えない。事実、ミサトは怪訝な表情を隠さない・・・が、すぐにそれは崩れた。


    「危ないわね。気を付けてよ、シンジ君」


    「は、はい」


    「ここんとこ訓練続きだったから、今日は学校休みにしてあげたけど、あんまりはめはずさないでね。
    じゃ、私は、すぐ寝るわ。夜勤明けは、辛くて」


    拍子抜けするほど簡単に納得したミサトは、そのまま出ていった。
    残った二人は顔を見合わせ、次に額と額がくっつくほどに顔をつきあわせる。外に声が漏れないよう、
    小声で話をするためだ。ここの人間関係は、全く分からない。ここのミサトが自分達とどういう関わりが
    あるのか、どの程度の関係なのか知らない内は用心した方がいいだろう。あの制服は、どう見ても軍
    隊に関わる組織の物だ。それに、ミサトは訓練と言った。ここの自分達は、なにがしかの専門的な訓練
    を受けているようだ。あまり普通な状況ではない。


    「まず、私物を洗いざらい調べるのよ。いいわね?眞二。
    ここのアタシ達のこと、全て知る必要があるわ」


    「分かってる。
    日記でもあれば、簡単なんだけど」


    「ここのアンタは真面目そうだったから、几帳面に書いてそうね。
    アタシの方は、かなり怪しいわ」


    「とにかく、早く調べよう。
    ここは、何か普通じゃない」


    「そうね、イヤな感じがするわ」


    ここは、自分達にとって居心地の良い世界ではない。
    それを本能的に悟った二人は、まずは自分達の部屋を探すべく洗面所を出るのだった。
    そして、そんな二人の様子を自室からひっそりと窺う視線が一つ。
    怪しい素振りの二人を特に追求もせず、そそくさと洗面所から退散したミサトだ。二人の様子から、何
    か感じ取ったようである。彼女得意の、女の勘で。


    「ついに一線越えちゃったか・・・
    シンちゃんも、とうとう我慢の限界を超えたのね。
    ま、くっついてくれたのはいいんだけど、避妊したのかしら、あの二人」


    相変わらず、外しまくっているミサトであった。









    でらさんから連載の続きをいただきました。
    今回も素敵なお話であります。

    やはりパラレルワールドといったら入れ替りですよね。やっと本当の物語がスタートするという感じですね。

    読後にはぜひでらさんに感想メールを書いて送って激励しちゃってくださいませ。

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