女同士 


引越し case2 after

by でらさん









アスカとシンジが正式に?同棲を認められて数日。

幸せを満喫している二人は、至る所で甘い空気を振りまき(いちゃつくとも言う)
周囲のひんしゅくを買っている。


「シンジ〜〜〜〜〜〜〜〜キスして♪」


「こ、ここで?きょ、教室だよ、ここ」


「いいじゃな〜〜〜い・・・・・・・ね?」


(うっ、か、可愛い・・・)
「し、仕方ないな。はは・・・」



・・・もう放っておこう、こいつらは。



かつての保護者は、元の悲惨な生活に戻ってしまった。
シンジと同居する前の、あの生活にである。


「今日もカップラーメンか・・ペンペンもいないし・・・・
ビールも何か味気ないのよね〜〜〜」


などと言いつつも、500缶は既に五本が空。

つまみはコンビニの惣菜、メインディッシュはカップラーメン。
アスカが出て行ってから、ずっとこんな感じの食事が続いている。
部屋も当然荒れ始め、後数日でゴミ溜めになる事は必定。
ペンペンまで引っ越したのは、正解かもしれない。


「加持のやつ、早く帰ってこないかな〜」


アスカとシンジの幸せぶりを見ていて、さすがのミサトも婚約者が恋しくなったようだ。
何だかんだ言っても、愛しているらしい。


「アイツも結構、料理できんのよね〜」


そっちかい。






第三新東京市立第壱高等学校 2-A 教室 昼休み


今日は、実に静かな昼食風景となった。

その原因は、シンジが居ない事。

この所甘い空気を撒き散らしている片割れがいないおかげだ。
もう一方の片割れは、親友のヒカリ嬢とお食事中。

シンジはネルフに召集されてのお休み。
何でも、国連のお偉いさんにエヴァの実際に動く様をお見せするそうだ。
予算確保も大変らしい。

霧島 マナと、綾波 レイの二人も一緒に食事中。
何かと行動を共にする事が多くなった二人は、昼食も机を合わせて仲よく談笑しながらとる。
もっとも、話をするのはマナがほとんどで、レイは聞き役に徹しているが。


アスカと並び称される容姿の持ち主レイと、健康的な美少女との評判のマナのそんな姿は
ケンスケの格好の標的となっている。
写真部の副部長を務めながら、中学以来の生写真販売はやめていないケンスケ。
さすがに盗撮まがいのものは、もう撮っていない。
まともな写真ばかりだ。

今日も、楽しそうにお喋りするマナとレイを撮り、彼女達のファンに高額で引き取ってもらう
腹ずもりだった。

慌ただしく食事を終え、美少女二人にカメラの焦点を合わせる。
望遠付きのデジタルカメラで。
実の所、これはマナも承知済み。代わりに上がりの何割かをバックする事で話はついている。
マナにすれば、楽にお金が入ればそれに越した事はない、ぐらいの軽い気持ちでしかない。
偶にサービスと称してカメラ目線を送る事もある。

クラスメート達はそんな彼らの関係を知っており、カメラを構えるケンスケに注意すら払わない。
ケンスケはファインダーを通して、様子を窺いながらシャッターチャンスを待つ。

・・と、何か気に掛かったようだ。


(ん?綾波の視線・・・・・・・あれは・・・・・ほう、そういう事か・・・・
霧島は・・・・・満更でもないようだな・・・・これは、いけるぞ)


妖しく光る眼鏡と、緩む口元。






ケンスケが何やら、妖しい考えに埋没していた頃
仲睦まじく食事を続ける、マナとレイに注意を払う人物がここにもいた。


「ほら、言った通りでしょ、ヒカリ」


「え〜〜〜?ただ仲が良いだけじゃないの?」


「よく見なさいよ、レイのあの目・・・あれは、恋する女の目よ」


「分かんないわよ、そんなの。アスカの考えすぎだと思うけど」


「む〜〜〜、なら、アタシが証拠見せてあげるわ」


「証拠?」


マナとレイの関係を完全に誤解していたアスカは、ヒカリにそれを話したが
ヒカリは信じようとしない。
彼女から見て、二人の間にそんな関係があるとは思えなかった。

どうしても納得しないヒカリにアスカは、決定的な証拠を見せる必要に迫られた。

・・・・・・・が

アスカとてそんな証拠など持っていない。ただ状況から見て確信しただけだ。
つい勢いで言ってしまったが、何らあてがある訳でもない。



考え込むアスカの目に、問題の二人にカメラを向けるケンスケの姿が・・・・・・


ニヤリ


彼女は勝利を掴んだ。




放課後


写真部の部室を訪れたアスカは、ケンスケを呼び出す。
この頃すっかり疎遠になってはいるが、友人の一人には違いない。
噂で、後輩の彼女ができたとも聞いた。


「用って何だ?惣流」


言いながら部室から出て来た彼の後ろには、噂の彼女とおぼしき女の子が。
アスカから見ても中々のルックス。
しかし、アスカを見る視線に刺がある。


(焼餅か・・・可愛いもんね)
「アンタに頼みがあるの、聞いてくれるわよね?」


「いきなりかよ、俺にも都合ってもんが・・・」


「聞くわよね?」


「・・・・・・・言ってみろよ」


過去、アスカの写真で大儲けした事もあり、アスカには逆らえない。
後ろに控える後輩の彼女に、情けない姿を見られるのは辛かったが仕方ない。


「今度の休みさ、レイとマナが水族館に行くんだけど、それを追跡してもらいたいのよ
でもって、二人のあ〜んな写真やこ〜んな写真、撮ってもらいたいの」


ケンスケにとっては、正にタイミングぴったり。

レイとマナをマークしようと思ってはいたのだが、彼女達にはネルフのガードが付いている。
へたすると、尋問を受けた上カメラなども没収されてしまう恐れがあった。
どうしようかと、悩んでいたとこなのだ。
アスカなら、そこの所は何とかしてくれる筈だ。
しかし、二つ返事で受けたのでは怪しまれる。


「何だよ、それ。ネルフのガードがついてるのに、追跡なんてできっこないだろ。
その上、盗撮なんて・・・」


「それなら心配しなくていいわ。アタシからアンタの事、上に言っておくから
アンタの事、ネルフだって知らない訳じゃないんだから、大丈夫よ」


別にケンスケに頼まなくても、保安諜報部の監視記録を後で閲覧させてもらえばすむ事なのだが
アスカにはまだ、そこまでの権限はない。
ゲンドウにすがる手もあるが、そこまで甘えられないしネルフの内規に抵触する。
ケンスケの行動を甘く見てもらうのが、いい所だ。


「そういう事ならやってもいいが・・・俺に何かメリットあるのか?
それに、何でそんな事するんだよ」


「理由をアンタが知る必要ないわ。
アンタのメリット?
あの二人のツーショット写真なら、絶対売れるわよ。ぼろ儲けじゃない。
そのお金で、後ろの可愛い彼女に何か買ってあげれば?」


顎でくいっと後ろを示し、殺し文句を吐く。
ケンスケも頃合と判断する。


「やらせてもらうよ・・・二人の待ち合わせ場所とかわかったら、メールでもくれよ」


「分かったわ。じゃ、いい写真期待してるからね」


すっかり赤みの抜けた金髪をなびかせて、アスカは去る。
その彼女の姿が、廊下の角から消えるのを確認すると・・・


「ヒトミちゃん!今度の休みに予定してたデートはキャンセルだ!
代わりに、霧島 マナ及び綾波 レイの偵察任務に同行する事を命ずる!」


「はっ!了解であります!少尉殿!」


敬礼を交し合う二人を、遠巻きに見守る他の写真部員達。
かなりな呆れ顔だ。


・・・・・似たもの同士か。





部室を離れたアスカは、下駄箱には向かわずに屋上へ。
マナを呼び出してあるからだ。


アスカが屋上に出ると、既にマナがいた。
かなり待ったようで、いらついている様子がわかる。


「話って何なの?もう、昔の事なんか忘れてよ。
今更、シンジ横取りしようなんて思ってないわよ」


アスカに呼び出しを受けるのは、初めてではない。
高校に入って再会して以来、度々ある。

理由の全てが、シンジに関する事。

マナの言動が、一々感に触るらしかった。
そんな扱いを受けて尚、アスカを友人と言えるほどマナは人間ができていない。
それもあり、彼女との会話はつい、きつい口調になる。


「そんな事、もう言わないわ。アタシが聞きたいのはレイの事よ」


「レイの?」


「そっ、最近アナタ達仲いいじゃない・・・・・とっても」


「それが何よ」


レイとアスカの微妙な関係は、誰もが知っている。

戦友にして恋敵・・・

恋の勝負は、アスカとシンジの婚約で決着がついたという見方が定説。
しかし、マナにはどうでもよかった。
シンジは思い出の人・・・レイは大切な友達。


「アンタ、レイの事どう思ってるの?」


「はぁ?」


「レイの事、好きかって聞いてるの」


「そりゃ、仲の良い友達だし、好きかと聞かれれば好きだけど・・」


「一応、隠しとくって事・・・・・・まあ、いいわ。
でも、レイを捨てたりしたら承知しないわよ。あの娘、アンタの事本気で好きみたいだから」


「え?」


マナは何を言われたのか理解できない。


(捨てる?レイが私を本気で好き?・・・・・・・・・・・・どういう事?)


「言うのが恥ずかしいなら、それでいいわ。とにかくレイを大切にして。
あの娘はとても不幸なのよ、人に利用される為に生み出された可哀想な娘なの
レイがアンタを好きになった理由なんてわからないけど、アンタも満更じゃないみたいだし」


固まってしまったマナを前に、アスカは言いたい事を喋り捲る。
反論の暇すら与えてくれない。

正直な話、マナもレイにおかしな気分を持った事はある。
透けるような白い肌・・守ってあげたいと思うような儚げな雰囲気・・自分を何かと頼ってきたり
して、可愛いなんて・・・・・

しかし、それは一時の気の迷いと否定してきた。
偶に下級生の女の子から、ラブレターらしきものを貰ったりはするが、自分にはそっちの気はないと思ってたし。


「まっ、アタシは同性愛に偏見ないつもりだから、その点は心配しないで。
じゃあね!」


呆然と立ち尽くすマナを置き去りにして、アスカは行ってしまう。


「な、なな、何を言うのよ、アスカ・・・・そんな事言われるとい、意識しちゃうじゃないのよ
た、確かにレイは綺麗だし、見詰められたりするとドキドキしちゃったり・・・って、
違うのよ!そんなんじゃないったら・・・・あ〜〜〜もう、どうしよう
これから、レイと帰るのに・・・」


顔を赤くして、独り言をぶつぶつ呟く姿はかなり怪しい。
アスカの言葉は、マナにとって爆弾に等しかったようだ。

その頃レイは・・・


「・・・・・・・マナ、遅い・・こほ


ただ待ちつづけていた。
ちょっと、風邪気味らしい。顔も少し紅潮しているみたいだ。







その夜 ネルフ女子寮 綾波宅


以前住んでいたマンションとは、格段の差がある部屋にレイはいる。

部屋の中は程ほどに飾り立てられ、ぬいぐるみなどもちらほら見える。
甘い匂いで包まれた、女の子らしい部屋。

リツコが正式に保護者になったのを機に、彼女の権限でここに移したのだ。
いくらガードがついているとは言え、ろくに鍵も使えない部屋に年頃の女の子を
置いとく訳にはいかない。

本人には言ってないが、レイを付回していた男はここ二年だけでも二桁に迫る。
その全ては今、行方不明者として処理されているが、あの頃の事を考えると背筋が寒くなる
リツコだった。

時移って現在、絶対安全圏に居住するレイは、子機を前にしてベッドで正座している。
何をしてるのかと言えば・・・・・


「今日は遅い・・・・マナ、どうしたのかしら」


マナからの電話を待っているらしい。
最近の習慣として、寝る前に必ずマナと少し話をして寝る事になっている。
それが、いつもの時間になってもかかってこない。

そう言えば、帰りの時のマナもおかしかった。
顔が赤かったし、口数も少なかった・・・・・・


「まさか、マナも風邪?電話してみよう・・・」






同時刻 霧島宅


レイと同じくベッドの上で、子機を前にマナは悩んでいる。

電話はしたい・・・レイの声を聞きたい。

でも、何か恥ずかしい。

アスカに言われた言葉が頭から離れなくなり、レイの顔を思い浮かべるだけで
頭に血が上ってしまう。


(ど、どうしちゃったのよ私は・・・・・・ホントにレイの事が・・・・・・・・・
違うわ!レイは大切な友達よ!
それ以上じゃないんだから・・・・・・・で、でも今日の帰りのレイったら顔赤くして
私の事見てたし、目も少し潤んでたような・・・可愛かったな・・・・・・・・・はっ
だ、だから違うったら!)


さっきから、ほとんどこの繰り返し。
電話どころではなかった。


プルルルルルルル


と、突然電話が。
反射的に電話を取るマナ。


「はい、霧島です・・・・・え?レイ!・・・・・ううん、違うのちょっとごたごたしてて・・・・・・
ははは、大丈夫よ。私は風邪なんかひかないって・・・・・うん、ありがと、じゃあね、おやすみ」


電話を切り、暫くぼーっとする。
その後、何かを吹っ切るように深呼吸すると寝る事にした。


「おやすみ・・・・・レイ」





綾波宅


「・・・うん、おやすみ」


子機を大事そうに元へ戻すと、レイも寝る事にする。

寝る前に思い浮かべるのは、マナの顔。
以前はシンジだったのだが、いつの間にかマナに代わっていた。

アスカとも、よく話しをするようにはなった。
彼女は戦友・・・それは事実で、他の誰にも代わりはできない。
でも、シンジを奪った女でもある。
しこりが全くないと言えば嘘。

マナは・・・・・・優しくて、明るくて・・・一緒にいてとても楽しい・・・・・・・
できれば、ずっと一緒にいたい・・・

言い方を変えればそれは・・・・・

・・・・レイにはまだ分からない。


「おやすみなさい・・・・・・・・・マナ」





良い雰囲気を壊したくないのだが

同時刻 碇 惣流邸


「どう?これ・・・思わず買っちゃったんだけど」


「に、似合うよ、似合いすぎて・・・・」


「きゃーーーー♪まだ早いわよ〜〜〜〜〜〜〜」


「アスカが悪いんだ!アスカが〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


・・・・・好きにしてくれ。






んで、休日


いつもの待ち合わせ場所に、マナはいた。幾分そわそわしながら。

アスカに言われた言葉が頭から離れず、暫く混乱したマナだがもう大分落ち着いた。
とは言っても、レイを意識してしまうのは相変わらず。
今日とて、知らず知らずの内にかなり気合のはいったおしゃれ具合。
なぜか下着まで勝負物だ。


(落ち着いて、落ち着くのよ、マナ。これはデートじゃなくて、ただ仲の良い友達と遊びに行く
だけなんだから・・)


何とか気を静めようと、イメージトレーニングに励むマナ。
が、その様子は恋人を待っている少女にしか見えない。


「お待たせ・・・・マナ」


「あ、レイ・・おは・・・よう」

いきなり現われたレイに、びっくりしてしまう。
しかし、よくよくレイを見て更に慌てる。
そのあまりの可愛さに。

誰にコーディネートしてもらったのか、正にレイにぴったりの服と靴、そしてバッグ。
軽く化粧までしている。
思わず、抱き締めたくなった程だ。
実を言うと、レイがデートすると勘違いしたマヤが、全力をあげてコーディネートした訳。


「どうしたの?マナ」


「い、いえ、何でもないのよ、レイ。はははは・・ははは」
(ま、まずいわ・・・これじゃホントに・・・)


我を忘れて、見詰めていたようだ。
もはや自らの意思とは関係なく、深みにはまって行くマナであった。





その様子を、少し離れた所から窺う人影が二つ。
二人共街中なのに、迷彩色の戦闘服姿・・・しかも、何を持っているのか、かなりの重装備だ。


「せ、先輩・・あれって・・」


「しっ、気付かれる。会話は必要最小限だ。いいな、軍曹」


「はっ、了解であります。少尉殿」


「よし、あれを・・」


あれで分かったのか、背負った装備の中から望遠付きのカメラを取り出すヒトミ。
それを受け取ったケンスケは、マナとレイに焦点を合わせると記録を始める。


「・・・む、目標が移動した。追跡するぞ軍曹」


「はい!」


通行人達の哀れむような白い視線の中、迷彩服の彼らは行く。






水族館


「ねーねー、あれ見てレイ!バカみたいな魚!」


「ホント・・バカみたい・・・・・・・美味しそう」


「・・・え?」


当初、必要以上に緊張していたマナも、しばらくするといつもの調子を取り戻しつつあった。
レイの視線にどぎまぎする事はあったが。


「今度は、こっちよ!ほら、早く!」


「待って、マナ・・ちょっと、早、あっ」


「危ない!」


マナが少し強引に手を引っ張った為、レイの足がもつれて転びそうになる・・・
思わず抱きとめるマナ。


「あっ」


「御免ね・・・大丈夫?レイ」
(きゃーーー抱き締めちゃったーーー!!・・・・・良い匂い、これ香水かな・・でも、小さくて
守ってあげたい、なんて・・・・・・・はっ・・違〜〜〜〜〜〜う)


「・・・うん」
(マナに抱き締められた・・・・・・・・私嬉しいの?・・・そうなのね)


何事もなく再び歩き出した二人だが、手は離される事はなかった。





それを又もや窺う二人組。


「見たか?軍曹」


「はい、しっかりと」


「記録は?」


「万全です」


「よくやった」


「光栄であります」


家族連れで賑わう水族館の中、迷彩服は特に目立つ。
水槽の中より、彼らの方が注目されている・・・よく気付かれないものだ。




どうでもいいが、同時刻・・・アスカとシンジのデート


とある遊園地  お化け屋敷


「きゃ〜〜〜〜〜〜シンジ、こわ〜〜〜〜〜い♪」


「大丈夫だよ、アスカ。僕に掴まってて」


「ずっと、抱き締めてて・・お願いよ」


「離すもんか。僕がアスカを離すはずないだろ?」


・・・・・疲れないか?二人共。







そして、夕方


「今日は楽しかったわ。じゃね、明日学校で会いましょう」


「待って」


レイのマンションの前まで彼女を送ってきたマナは、別れの言葉を言って帰ろうとしたが
呼び止められる。
彼女を見ると、寂しそうな瞳・・・今にも泣き出しそうだ。


「な、何?」
(そ、そんな顔しないで、そんな顔されると・・わ、私・・・)


「私の事好き?」


「え、ま、まあ・・・・・す、好き・・かな」
(と、ととととと、友達としてよ!)


「・・・・嬉しい」


零れる涙・・・・
意味はどうあれ、人に好きと言われた事がレイには嬉しかった。だから涙も出た。
人として生きていける・・・・・そう感じた。


しかし、レイの涙を見たマナは堪えていたものが決壊したようだ。
気が付いたらレイを抱き締めていた。


「本当に・・・・・・好きだから。誰よりも・・・シンジよりも」


「碇君よりも?」


「そう・・・だから、レイも私だけを見て」


「・・・・・・うん」


周りを見渡し、誰もいない事を確認すると、マナはレイに優しく口付けた。
そして、一緒にマンションの中へ。



植え込みの一角が動く。例の二人組。
今度は木の枝で偽装までしている。


「どうだ?」


「ぬかりありません」


「よし、本日はこれで撤収する。基地に戻り戦果の確認と分析だ」


「はっ、了解であります、少尉殿・・・で、その・・・・・先輩?」


急に普通に戻り、上目遣いにケンスケを見てもじもじする。


「な、何?ヒトミちゃん」


「あ、あの、今日は汗かいちゃったから、先にお風呂使わせて下さい」


「は、はい・・問題ありません」


「それと、今日は危険日だから・・・・・・つ、つけてもらわないと・・・・」


「りょ、りょ、了解であります」


そういう事・・・・・やる事やってんのね。





書きたくないが、同時刻・・・アスカとシンジのデート


「何、この女、まるでなってないわ」


「男も下手だな〜これでよくプロだなんて言えるよ」


「腰の動きなんて最低よ。もっとこう、自在に動かさなきゃ」


「あの程度じゃ、相手を満足させるなんて無理だね」


派手なインテリヤの部屋で、謎のビデオを見ている二人。
口から出てくる言葉も意味不明だ。
しかも、二人共全裸だったりする。


「よし、僕が本当の男って奴を教えてやるよ、アスカ」


「アタシこそ、本当のテクニックを教えてあげるわ」



だから書きたくなかったんだ。





翌日


ケンスケから数々の証拠写真を受け取ったアスカは、ヒカリに証拠として見せた。
厳重に口止めして。

それを見たヒカリは・・・


「うそ、うそ、うそ、うそ、うそ、うそ、うそ、うそ・・・・・・・・・」


最後のキスシーンはとどめだったようだ。


「女の子同士で・・・・ふ、不潔・・・・・・・・・でも、いいわね・・・ふふふふふふふふ」


壊れてしまった。




一方、これで大儲けを予定していたケンスケは、レイの涙を写した写真を見て
今回撮った写真を、全て処分した。
興味本位で取り上げるのは、人間として許されない気がしたから。

それを知ったヒトミちゃんに惚れ直されたのは、嬉しい誤算。



当の本人達は・・・・・


「レイ!今度はどこに行く?」


「どこでもいい・・・・・マナと一緒なら」


「て、照れるじゃない」


「どうして、照れるの?」


これも、一つの幸せの形・・・・・







おまけ


ネルフ本部 司令室


「碇、ゆゆしき事態だぞ」


「どうした?」


「レイが事もあろうに、女の子とキスしたというのだ!」


「な、何ぃぃぃーーーーーーーー!!!


「これは、計画を変更せざるを得ないな」


「し、仕方ない・・リツコ君に頼んで、女同士でも子供を作れるよう取り計らってもらおう」


「うむ、それがいい」



何やってんの?あんたら。

 でらさんから衝撃の問題作?をいただいてしまいました〜。

 アスカも罪深い‥‥かつての恋敵を変態の道へと送り込むとは‥‥(笑)
 しかし、マナもまんざらじゃないみたいですね?

 うーむ、これが同愛というものか‥‥。

 こってりとしていて良かったですね(笑)

 シンジとアスカがしっかりとらぶらぶなのも結構なことでありました。

 楽しまれた方はでらさんへの感想メールをお願いします〜

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