秘密 act.7

    作者:でらさん
















    世界最先端のサイバー都市とも謂われる第三新東京市の遊園地にしては、施設自体、それ
    ほど立派と思えない。アスカが見る限り、ごく普通の遊園地。それどころか、全体のデザイン
    など総合的に見れば、ドイツでたまに行った遊園地の方が”いけてる”だろう。
    第三新東京市は、不思議な街だ。
    近未来的なデザインのビルが林立するその陰では、レトロな電柱があったりする。戦闘で損
    害を受けたとき復旧しやすくするため、ケーブルの全面的な地下化を敢えて避けたとの話を
    聞いたことはあるが、アスカは本気にしていない。それはそれでやりようがあるはず、何か他
    の理由があったと思っている。それが何かは、想像の域を出ないが。
    少し足を延せば、第二新東京近郊に、世界で一番有名なテーマパークがある。セカンドイン
    パクトで壊滅した先代の施設を上回る規模で再建されたそこは、海外からの客も相まって連
    日盛況と聞く。実はアスカも、行くならそっちの方がいいと思っていた。
    でも、ヒカリ達の小遣いの問題とか、未だパイロットである自分達の警備の問題等も考えると、
    それは難しいと思えるのだ。
    それに・・・


    「シンジと一緒なら、どこでもいいわ」


    シンジが傍にいれば、アスカにはそれでいい。
    実にアスカらしい台詞だが、惚気を真正面からぶつけられるヒカリは堪らない。今は、トウジ
    と微妙な空気の中だし。
    金髪に真っ白なワンピースが映えるアスカも、ヒカリには眩しすぎる。
    ヒカリも丈の短いスカートにしようと思ったのだが、アトラクションに乗ることも考えてジーンズ
    にした。上着はお洒落なシャツだし、薄化粧もしたのでみすぼらしい格好というわけではない
    のだが。
    それにしても、アスカは綺麗すぎる。初めて会った時よりも、数段綺麗になった。レイも同じくら
    いに綺麗なので、どうしても引け目を感じてしまう。

    一行は今、ジェットコースターなど一通りのアトラクションを愉しんだ後、屋外の軽食コーナー
    で一休みしているところ。
    だったのだが、シンジは、新しく入った絶叫マシンとやらに目を輝かせたトウジとケンスケが拉
    致。女組は、取り残されてしまった。
    その内、レイが買い物したいと言い出して席を離れ、ヒカリとアスカが二人きりの状態。ヒカリ
    はチャンスと見て、周りを伺いながら、どう話を切り出すか思案中。レイが帰ってくる間に、相談
    のきっかけくらいは掴みたい。すぐに結論は出なくとも、あとは電話でもいいし。
    と、アスカが先に話しかけてきた。


    「なんか、相談事?」


    「え?わ、分かる?」


    「なんとなくね。
    巧くいってないの?鈴原と」


    「そういうわけじゃないんだけど・・・」


    気を利かせたアスカが話を切りだしてくれたことに、ヒカリはホッとする。
    ヒカリはアスカを親友と思っているが、それを確認したことはないし、アスカが自分をどう思っ
    ているかは正直言って分からない。
    日本の常識ではあり得ない彼女のキャリア。この歳にして修士号を持つ英才なのだが、彼女
    はごく普通に中学生として溶け込んでいる。そこは、シンジと違うところだ。元々の気質、性格
    が陰より陽に向いているせいだろう。
    その性格故か単に気が合ったのか、アスカは転校初日からヒカリと打ち解け合い、気さくに話
    をする仲になった。
    アスカは幼い子供のような一面を見せる反面、並の大人以上に大人の顔をすることがある。
    無邪気に甘えてくる妹のようであり、頼れる姉・・・
    いや、母親のような存在でもあるのだ、アスカは。
    考えてみれば、変な親友だ。
    アスカは自分のことを隅から隅まで知り尽くし、自分はアスカのことを掴み切れていない。
    でも、こんな時、頼りに出来るのはアスカだけだ。姉にも、こういうことは相談できない。


    「トウジと二人きりになったとき、何となくいい雰囲気になって、その・・・
    キ、キスとか」


    「してるの?
    別に普通じゃない、キスくらい」


    「ち、違うの。
    キスしようかな〜なんて感じになるんだけど、いまいち、わたしが踏み切れなくて」


    「拒んじゃうってこと?」


    「・・・うん」


    「鈴原は、何も言わないわけ?
    強引に迫ってもこない?」


    首を縦にコクンと振ったヒカリを視て、トウジが思っていたよりも理性的な男だったことにアスカ
    は意外性を感じていた。性の問題に関して奥手のヒカリに根ほり葉ほり聞くのも悪いと思い、そ
    ういった話題を避けてきたのだが、性的好奇心旺盛なトウジがいつも迫っているのではないか
    と思っていたのは事実だ。
    シンジに初めて抱かれたときは、逆の感想を抱いている。
    エヴァによる戦闘時、シンジは普段の性格が嘘のように豹変することがあった。
    が、それは、追いつめられたときの特殊な事情が彼をそうさせただけと思っていた。
    最初の時、アスカは抱かれてもいいという気持ちと拒否する気持ちが拮抗し、迫るシンジに抵
    抗している。
    でもシンジは、抵抗するアスカに構わず、服を剥ぎ取り、下着をも取り去って、目的を果たした。
    完全に合意の上での行為ではなかったにも拘わらず、シンジは己の我を通した。あれがシンジ
    の本性だとしたら、トウジの方が理性的と言える。
    あの時は、世界に二人きりという異常な環境の中にいたので、一概に言えないとは思うが。


    「アタシは逆の心配してたから、ホッとしたってのが、正直な感想ね。
    鈴原が奥手だったのは、意外もいいとこよ」


    「お姉ちゃんと同じこと言わないで。
    それより、どう思う?」


    「ヒカリが拒むこと?
    それとも、もっと強引に迫って欲しいとか?」


    「前の方」


    「だったら、他に好きな人がいるんじゃないの?
    自分では気付いてないだけで、ヒカリは鈴原を好きって思いこんでるとかさ。
    あとは、漫画チックだけど、鈴原を好きな自分に酔ってて本心が分からなくなってるとか・・・
    って、まさかヒカリ、シンジを」


    「ちょっと待って、アスカ。
    はっきり言って、碇君だけはあり得ないわ。アスカには悪いけど」


    ヒカリに悪気はなく、単に好みの問題。性格的に、シンジは受け付けないタイプ。顔が多少よか
    ろうと、付き合う対象にはなり得ない。ヒカリにとって、外見はあまり重要ではないのだ。
    そんなヒカリの好みは前から知っていたアスカではあったが、ここまで断言されるといい気分は
    しない。


    「そうまで言われると、なんか複雑ね」


    「ごめん、言い方が悪かったわ。
    碇君は、なんか、とっつきにくいっていうか、大人すぎるのよ。あんまり冗談とかも言わないし」


    「確かに、つまんない男よね、アイツ。それは、認めるわ」


    外見を抜きにすれば、シンジがもてる男でないのは確か。認めざるを得ない。外見にしても、
    秀逸というほどではない。普通より良いといった程度だろう。彼の魅力は、身近で接しないと
    分からない。或いは、特定の人間にしか分からないのだとアスカは思う。
    ただ問題は、その特定の人間の中にレイが含まれること。自分が同等と認める数少ない女が、
    シンジへ好意を持っている。しかも、シンジと共通の同輩にして友人。今現在は絶対的な優位
    にあるとはいえ、どうにも油断ならない。シンジが自分の体に飽きてレイに気を移したら・・・
    などと考えると、気が狂いそうになる。環境の変化はあるにしても、関係が出来て一〇年を過
    ぎた今、飽きてもおかしくはない。いっそのこと、レイ以外の女をあてがって最悪の事態を未然
    に防ごうかとも思うのだ。非現実以上の何物でもないが。


    「で、話の続きなんだけど、ヒカリに心当たりはないの?
    鈴原以外に気になる男とか、本当にいない?」


    「意識してる人なんて、見当も付かないわ。
    よく喋る男子って、トウジか相田くらいだし」


    「小学校から、一緒だったんだっけ?鈴原と相田って」


    「そうよ、いつも三人一緒だったわ。
    小学校の卒業式の後、トウジが担任の先生に告白したときなんか、相田とお膳立てしたのよ」


    「へ〜、そんなことあったんだ。
    鈴原を意識したのは、割と最近てことか」


    「そういうこと。
    初恋みたいなものね」


    ヒカリがトウジを意識しだしたのは、中一の終わり頃だったと記憶している。
    何かの拍子で視た、トウジの顔。
    それはすでに男の子ではなく、骨張った男のそれだった。
    気付かない内に声も変わっていて、幼馴染みの変化は、ヒカリに初めて異性というものを意識
    させたのだった。
    一旦意識すると、もう止まらない。トウジを知るほどに恋愛感情に至るのは、自然の流れだった。
    そのことについて後悔はないし、今でも好きとはっきり言える。
    明け透けで明るい性格。それでいて、人の心の機微を敏感に察する優しい心をも持ち合わせて
    いる。
    表面上は朗らかながらも、どこかで他人と一線を引いているようなシンジとは違う。


    「逆に聞きたいんだけど、アスカは、碇君と初めてその・・・
    エ、エ、エ、エッチしたとき、その・・・」


    真っ赤になって、その後の言葉が出てこないヒカリを視て、アスカは彼女の意を察した。
    問題は、キスがどうのこうのではない。その先のこと。ヒカリは、トウジとの関係に今ひとつ踏ん
    切りが着かないのだろう。気持ちは、分からないではない。女にとって、初めては人生の岐路に
    も等しいからだ。軽く考える女も多いが、アスカにとっては岐路そのものだった。ヒカリも自分と同
    じ価値観の持ち主だと思うと、歳を越えた友情と絆を感じる。


    「アタシだって、何も考えないでシンジに身を任せたわけじゃないわ。それなりに葛藤もあったわよ。
    最後は、シンジに押し切られた格好だったけど」


    「碇君に押し倒されたってこと?」


    「微妙に違うけど、そんなところね。
    アイツって、あんな顔して結構強引なところもあるの。鈴原とは逆ね」


    「そっか」


    「悩んでるなら、急ぐことないわよ。アタシ達の場合は事情もあったし、参考にならないわ。
    それより、鈴原とのこと、よく考えてみたら?
    恋に恋してるだけなら、さっさと見切りつけるのも一つの道よ」


    恋に恋にしてる・・・
    そう言われると、そんな気がしないでもない。
    トウジを意識した瞬間から他の男子に目がいかなくなったのは、否定しようがない。
    アスカがシンジとの付き合いを公にしたことも、影響していると思う。友人のカミングアウトは、正
    直ショックだった。アスカとシンジの関係は、喧嘩友達くらいにしか考えていなかったし。
    関係の表明後、人が変わったように仲睦まじく過ごす二人を視て、ヒカリは焦りと羨望を感じた。
    それは、事実だ。ここらで冷静になってみるのも、いいかもしれない。


    (あの頃のわたしって・・・)


    ヒカリは、トウジと付き合う直前、自分がどのような気持ちを持って、どのような想いを抱いていた
    のか、記憶の深層を掘り起こし始めた。










    西暦二〇一五年・・・


    数日前、衝撃的なニュースが第壱中を駆けめぐった。
    かねてから一部で噂されていた、惣流・アスカ・ラングレーと碇シンジの付き合いが、本人達に
    よって公にされたのである。
    このニュースに一番驚いたのが、意外にも、アスカの親友と誰もが認めるヒカリ。
    ヒカリは、一部の噂をあり得ないとまで断言し、姉のコダマが紹介してくる男とアスカとのデート
    を積極的に斡旋すらしていた。
    それ故に、アスカの彼がシンジと知ったときは、文字通り、唖然呆然のヒカリだった。
    レイも大きな衝撃を受けた一人だが、彼女の場合は意味合いが違う。
    そのレイは、あまりに大きい心理的ショックのためか、あの日以来学校を休んでいる。自棄食い
    で腹をこわし入院したとの噂もあるが、真偽は不明。


    「アスカに悪いことしちゃったわ。
    彼氏持ちにデート斡旋してたなんて、笑い事じゃ済まないわよ」


    食後の一時、掌に顎を載せたヒカリは、相席するトウジとケンスケにポツリと漏らした。
    最近は、ヒカリがトウジの分も弁当を持ってくるようになったので、食べるのも一緒することが多く
    なっている。いつもトウジと連んでいるケンスケは、ついでのようなもの。
    ヒカリとしては、トウジの反応を見て弁当作りの参考にといった理由がある。ヒカリの気持ちを知
    る友人達は、敢えてヒカリを誘うことをしない。友達思いの、良き友人達だ。データ収集は、その
    内に終わるだろうと考え、後で惚気話でも聞きだそうとの魂胆もありそうだ。
    数日前に全校の話題を攫ったカップルは、今も仲睦まじく二人で食事中。それを気にするクラス
    メートはほとんどなく、すでに馴染んでいる。当初は二人を冷やかす人間もいないではなかった
    が、それはすぐに消えている。今の二人は、ずっと前からそうであったように振るまい、周りもそん
    な二人を気にしていない。心なしか、アスカの性格も変わったようだ。


    「洞木だけが悪いわけじゃないだろ?
    コダマさんも、男達から斡旋料取ってたみたいだし。
    だいたい、あいつらが隠してたのが原因じゃないか」


    「こら、ケンスケ。コダマはんを、悪う言うな。
    金の必要な事情があったんや、きっと」


    友人らしいフォローをしたケンスケに、トウジが噛みついた。
    トウジは幼い頃からコダマに憧れ、コダマもまた、自分を慕ってくれるトウジを可愛がっていた。憧
    れるあまり、多少、美化しているきらいはあるようだが。
    コダマを庇うトウジに少し気分の下降したヒカリは、事実の暴露で冷水を浴びせる。


    「お姉ちゃん、そのお金で、ナイキの新型買ったわよ。
    で、お父さんに、無駄遣いするなって怒られたのよね。
    お姉ちゃんがお父さんに怒られるなんて、よっぽどのことなんだから」


    「そ、そうなんか。
    い、意外やな」


    「トウジは、昔からコダマさんに憧れてたからな。
    というより、年上全般だが」


    「あほ。ワイを、節操のない男と一緒にすな。
    ワイは、ベッピンはんにしか興味ないんや。
    葛城はんもコダマはんも、ごっつうベッピンやないかい」


    トウジの台詞を聞いて、ヒカリの気分は更に落ち込む。自分の容姿は、どう見ても美形とは言い難
    い。面食いを自称するトウジの好みではないということ。彼に想いを寄せる身としては、ガッカリす
    る言葉。憧れは憧れで、実際の恋愛は別と思いたい。
    それにしても、姉のコダマが、ミサトと同レベルで論ぜられる美形とは思えない。
    ミサトは、確かに美人だ。背が高い上にスタイルも良く、モデルさえ務まりそう。
    姉も美形の範疇に入るとは思うが、そこまでではない。性格も性格だし、高校三年にもなりながら
    誰とも付き合ったことのない事実が全てを物語っていると思う。


    「まあ、惣流にも鼻の下伸ばしたくらいだから、面食いには違いないよな、トウジは」


    「ケンスケも同じやないかい。
    惣流を、理想とか言いよったで」


    「アイドルみたいなもんだ。実際に付き合えるなんて思ったことないぜ、俺は。
    それに、シンジとのことは薄々わかってたしな」


    「え〜、いつから?
    わたしは、全然だったわ」


    「そんなの忘れちまったけど、二人を視てりゃ分かるさ。
    俺、自分のことはさっぱりだけど、他人の人間関係は、よく分かるんだよな」


    「ワイには、さっぱりや。
    あかん、小便や。トイレ、トイレ」


    慌てた様子でトイレに向かったトウジを揃って見送ったケンスケとヒカリは、暫く気まずい空気の中
    で無言だった。
    ケンスケはヒカリの気持ちを知っているし、ヒカリも、ケンスケに自分の気持ちがばれていることを
    知っている。いかに幼馴染みでも、ちょっと恥ずかしい。ヒカリの好きな相手がトウジでなければ、
    もっと明け透けに語り合えたように思う。
    と、ケンスケが沈黙を破った。


    「自分のことで精一杯なのに、他人のことに口出すからだよ」


    素っ気ない口調の中に、気遣いが見え隠れする。
    ケンスケとは、幼い頃からこういう人間だった。常に一歩引いたところから自分達を視ている。
    シンジも似たようなものだが、ケンスケのそれには暖かみが感じられる。気心の知れた者同士の
    絆だろうか。
    ヒカリは、ケンスケが何を言いたいか大体分かるものの、自分でそれを認めたくない。
    だから、惚けてみた。


    「何のことよ」


    「シンジと惣流に、余計な茶々入れようとしたろ?
    綾波にも、何かとアドバイスしてたじゃないか」


    「わたしは別に」


    そんなことないと否定したかったが、事実であるが故に、ヒカリは言葉を詰まらせた。
    自分の勝手な思いこみで、シンジにはレイを、アスカには素敵な男性をと、色々動いたのは事実
    だからだ。
    今思えば、身が震えるほど恐ろしい。アスカとの友情が決定的に壊れたかもしれない。こんな自分
    と友達付き合いを続けてくれたアスカの度量に感謝だ。


    「他人のことはいいから、自分の足下固めろよ。
    ああ見えて、トウジは結構もてるんだぜ。一年の女子にファンが多いんだ」


    「うそ・・・」


    「意外と知らないんだな、トウジのこと。
    まあ、お前らしいけど」


    トウジを好きになる女など、自分くらいだとヒカリは思っていた。
    アスカを始めとして女子達の評判は良くないし、トウジと雰囲気良さげに話す女子など見たことも
    ない。彼を近くで視すぎたせいなのか・・・
    ヒカリは認識を新たにし、情報収集の算段を考え始めた。


    「何にしろ、早くはっきりさせてくれ。
    端で見てるこっちがハラハラするぜ」


    「相田は、好きな娘いないの?
    いたら、わたしが仲に入って」


    「いるけど、手の届かない娘だよ。洞木に協力してもらったって、駄目なものは駄目さ。
    余計な気廻さないで、自分のことに集中しろよ。トウジのアホは、黙ってたって何もしてこないぜ」


    「はいはい、分かりました」


    ケンスケの叱咤激励をヒカリが受け容れたのを待っていたかのように、トウジがトイレから帰ってき
    た。どっかと自分の席に腰を下ろし、ケンスケとヒカリに剣呑な視線を送る。


    「なんや、なんや、二人で内緒話かいな。
    ワイは、仲間はずれか?」


    堰を切ったように、トウジへ話しかけるヒカリ。
    弁当の味、量、朝食の有無などなど・・・
    いきなりの展開にトウジは戸惑いつつも、満更ではない様子。
    そんな二人を端で視ていたケンスケは、自分の弁当箱を手にして、喧噪に包まれる机から、そっと
    立ち去るのだった。
    ヒカリとトウジの付き合いが始まったのは、これから約一ヶ月後。
    予定調和の如く収まったカップルに周囲は別段驚くこともなく、本人達が拍子抜けしたという。








    でらさんから「秘密」のact.7をいただきました。

    ケンスケが好きな女の子とは、いったい誰でしょうね?
    いや、途中までヒカリとトウジの愛が醒めて○○とかとか、展開を想像してしまったのですが。
    まずはヒカリとトウジの恋バナなのでしょうね。

    でらさんは素敵なお話を書いてくださいました。
    ぜひ感想メールを送りましょう。

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