ただ、その言葉を伝えたい
この気持ちは本当だと思うから
Messages
by 敏芳祥
NERV司令室。 髭面と初老の男二人が密談を交わしている。 初老の男が、驚愕に顔をゆがめた。 ただでさえ薄ら寒いこの部屋の空気が、一気に氷点下まで下がったように感じる。 髭面の男の口から、今、恐るべき計画が語られた。
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「他界させる気か?!」 「策のない者への、当然の報いだよ」 「法務部が何と言うかだな......」 |
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「今更、体面を気にしても仕方あるまい」 「そのなけなしの体面を、誰が守っていると思う! お前が上との折衝に行くか?」 「........要は、処刑という形を取らなければよいのだな」 「......? どういうことだ、碇?」 「.............」
「ふ。.........問題ない。すべては善意から為せる贈り物だ」
しかし彼の脳裏には、長年の付き合いから導き出された、ある結論が渦巻いていた。
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コンフォート17、葛城家。 そのキッチンを、見慣れぬ者が占拠していた。
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シタビラメはぶつ切り。 カイバシラを煮込んで、 サクラエビをすりつぶす.......メンドーねぇ。コレでいいわ! ノープロブレム! ホウレンソウのペーストを混ぜる。要は青物よね、ぽぽい。 ムース状に固めて、よっしゃできあがり! 我ながら傑作よん♪」 |
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「「............................」」
黒髪の少年は生来の性格を存分に発揮し、尻餅をついてブルブル震えている。 気丈な紅い髪の少女は、さすがその場に踏みとどまってはいたが、 無理もない。たったいま目にした光景は.......
『 さきいかと、 缶詰のカレイの煮付けと、 砂抜きしてない殻のままのアサリと、 カッパえびせんを粉々にしたものを、 青汁で煮込んで、 整髪料でまとめたもの』 を、創造する過程の一部始終だったのだ。
心のこもった、「愛情家庭料理」らしい。
しかし、そのふたりでさえ、こんな無謀な戦いに挑もうとは思わなかった。 いや、むしろこのふたりだからこそ、真の恐怖を感じ取れたのかも知れない。
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NERV司令室。 女性士官と司令が机越しに、にこやかに(片方、とてもそうは見えないが)笑い合っている。 脇に立ちつくす副司令は、この世の終わりを迎えたような面持ちで、2人のやりとりを見守っていた。 「ご苦労だったな。それが『例の物』か?」
司令室に、えもいわれぬ臭いが漂う。 男2人は、ふとすれば飛びそうになる意識を必死でつなぎ止めていた。
要人の接待に、このワッタクシの手料理でもてなそうだなんて! ナイスアイディア! ハートフル! いよ、感動ぷろばいだー!」
政府・戦自・国連・委員会......どの連中も、天にも昇る心地だろうな」
2人の高笑いはいつまでも続くのでした。 めでたしめでた............
「おい碇、どうするつもりだ? 貴様の猪口才な策略を、シンジ君とアスカ君が誤解........」 「な、なななななんのことだ? これは不可抗力だ、シナリオの範疇だ......」
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その頃、とある田舎町の河原。 少女が、並んで座る少年に語りかける。 普段は機関銃のように言葉を乱れ打つ彼女だが、 しかし、少年は上の空。
やっと気づいた彼は、いつものように謝罪しながら、言った。
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「かんがえてたって、何を?」 「しあわせって、こういうことなのかなって」 「たぶん、そうよ」 「かなしいことがあっても......」 「いっしょにいるから、すぐに癒えてゆくわ」 「さむい夜も.......」 「くっついて眠ればいいのよ」 「のんびりぼやぼやっとした、僕なんかでいいの?」 「ほっとけないのよ、アンタのこと」 「う、嬉しい......嬉しいよぉ! アスカ......」 「ムード無いわねぇ、まったく」
周囲も自然と笑顔を誘われ、 年明けの空気を明るく彩っていた。 |
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fin.
どうもこんにちは、敏芳祥です。
よくわからん話を書いてしまいました......要するにメッセージです。
意味が判らなかった方は、各「Message」の横に書かれている数字分、
行頭の文字を繋げて読んでください。
例:「Message:3」の場合 行頭3文字で、
「生かし
「他界
「策の
「法務
となります。
それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
敏芳祥さんから2周年記念をいただいてしまいました。
実はまったく認識していなかったのですが、12月で2周年を迎えていたのですな。
何はともあれ楽しんでください、なお話でありました。
烏賊した怪作のホウムへの祝辞をくださった敏芳祥さんに、是非感想メールをお願いします!