旬の味
 
 
 
 
 
 
 
阿頼耶さん
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ふーーーーーっ・・・。」

大きな溜め息をつく少年が1人、眠れない夜を過ごしている。
頭を冷やそうとベランダに出ようが、冷たいシャワーを浴びようが、気持ちの高ぶりがおさまらない。
すでに傍らにはティッシュの山・・・。 原因は、彼が想いを寄せる少女にあった。
すでにお互いの想いは伝えあった。
抱き締めてキスもした。
そこから先が・・・。
「・・・やっぱり、まだ早いよなあ・・・。」
 

碇シンジ。16歳2ヶ月の夏。
悩み多き思春期真っ最中であった。
少年の気持ちを知ってか知らずか、少女は何気ない仕草の中に女を感じさせるようになった。
それは無意識のフェロモンとなって少年の鼻孔をくすぐり、理性を麻痺させようとする。
愛する少女との同居は、シンジにとって無上の喜びと同時に地獄の苦しみを味あわせた。
 
 
このままじゃ、いつアスカを押し倒してしまうかわからない・・・。
 
 
不安に駆られ、思い余ったシンジは、加持に相談することにしたのだったが・・・。


 
 
 
 
 
 
 

「なるほど。このままじゃ自分を押さえる自信がないと。でもアスカと離れて暮らすのも辛いか。 
 なかなか贅沢な悩みだな、シンジ君?」
「はい・・・。僕もそう思うんですけど。どうしたらいいんでしょうか。」
「アスカの気持ちはどうなんだ?その気があるのかないのか・・・。聞いてみたのか?」
「いいえ・・・。でも、まだ心の準備ができてないと思います。その、なんていうか、 身体固くしちゃうから・・・。」
「(やれやれ・・・。)まあ、まだ早いっていうのが一般的だろうな。原始時代のように何のしがらみもない世の中なら、欲望の赴くままにということもできるだろうが・・・。
 こんなに複雑になった世の中じゃ、それなりに社会のルールに乗っかった方が無難だろうし。
 君たちはまだ高校生だからな。 特にアスカは女だ。 男のシンジ君よりしがらみは多いだろうさ。」
「はあ、それはわかってるんですけど・・・。」
「まあ、どうしても我慢しなきゃいけない状況に陥ったら、こういうふうに考えたらどうだ?
 シンジ君は、食べ物には旬というものがあることを知っているだろう?」
「はあ。それが何か?」
 

「旬というものは、食べ物が一番おいしい時期を言うよな?
 その見方からすれば、アスカはまだ旬じゃない。固くて青い時期の果物のようなものさ。
 まあ、その味を好むヤツもいることは確かだがね。
 アスカもこれからだんだん熟して甘くなっていくはずだ。
 じっくりと待って、最もおいしくいただける状態まで我慢するというのも、男の醍醐味というものさ。」
 
「・・・それからいくと、私の味はどうなのかしらねえ?」
「まあ、熟れきって腐る寸前の果物といったところかな・・・って?  お、おい、まさか・・・?」
一瞬にして凍り付く加持。
振り返ると、熟れきっているが売れ残った美女1名の、世にも恐ろしげな形相が・・・。
 
 

「 だーれが熟れきって腐る寸前の果物じゃあー!! 」


 
 
 

ミサト・ボンバー:スイッチオン・・・。 (加持さん、成仏してください・・・。)


 
 

「まったくもう!シンジくんになんつーこと教えるのよ、こいつは!
 いいこと、シンジくん! 女は一生旬なんだからね!30代は特においしい時期なんだからあ!
 これからじっくりとこいつに味あわせてやるう!」
 
 ・・・果たして加持を待ち受けているのは地獄か極楽か・・・。
見送るシンジはただ加持の無事を祈るだけだった。
「旬になるまで待つ、か・・・。できるかな・・・? 今でも十分おいしそうなんだけど・・・。」


 
 
 
 
 

結局シンジの我慢はその後1年もたなかった。
どうやら17歳の誕生日には、合意のもと、16歳の旬の美味を堪能したらしい・・・。
ちなみにもう1人の旬の美味も、その前にめでたく売り切れとなったということである。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
終わり
 
 
 
 
 
 
 
 
 

あとがき

・・・しょーもないお話ですみません(汗)。阿頼耶と申します。

感想のお礼をしようと思ったんですけど、何の話かわからなくなっちゃいましたね。

最近まともなお話が湧いてこなくて困ってます(爆)。

おとなしめのお話を目指したはずなんですけど・・・。

やっぱりリハビリしなきゃいけませんよね、怪作さん?
 


阿頼耶さんから悩めるシンジのお話をいただきました。
アスカの旬…なんか加持って俗な男ですねぇ。それに助言が的外れだし<基本ですね。
うーん、シンジ君にとってはアスカは出会ったときから旬だったんですよね。
その点、ミサトさんは女性らしい細やかな情感を持ってて(一部嘘)そのうえシンジ君やアスカの心中もわかるし(誇張アリ)、…加持と違って助言がポイントをついてますね。

二人の愛はやはり、二人のペースで育んでいくものなのでしょう。まる。
阿頼耶さんのお話、素晴らしかったですね、リハビリ不要でしょう(笑)

みなさんいいお話を投稿してくださった阿頼耶さんに是非感想メールをお願いします。

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