ある屋台
筆者:愛技さん
俺はラーメン屋台をやっている。NERVから出前が来るほどの自慢の店だ。
しかし、それを広告として使っては行けない。NERVの4文字がつけば、誰もが恐れる怪しげな店と勘違いされるおそれがあるからだ。
そんなわけで、お得意さまがいてもずっと屋台でやっていっている。
今日はいつもと違う風景が見られた。
金髪のねーちゃんの横には、若い後輩ではなく変わった男の姿があったからだ。
「いつもの後輩はどうしたんだい?」興味半分で訊いてみた。
「あの子は今日はちょっと行く場所があるからって・・・」
それを訊いた横の男が茶々を入れている。会話の内容からするとこの2人は、昔からの知り合いのようだった。
今日は、白髪の風格と苦労の色が漂うジーさんがやってきた。この人もお得意の1人だ。
「いつもおひとりですね、おくさんとかいないんすか?」この人にも訊いてみた。
「昔は教え子たちがいたがなあ・・・・・・、今は独り身なのだよ」
「へえ、先生だったんですか?」
「大学だ・・・、あの頃が懐かしい」
もう、人生を捨ててしまったような発言をしている。さぞ、気苦労が耐えないのだろう。
そうしていると、また昨日の男がやってきた。この2人も知り合いのようだった。
今日はヒゲがあり、威厳と云うよりは威圧感のあるジーさんがやってきた。何でもNERVで最も偉い人間らしい、俺には独裁者のような人間にしか見えなかったが。
「・・・ラーメンライス」
「あいよ」
いつもこれだけである。会話もなし、追加も、酒もなしである。一体どういう人間なのであろうか。
また昨日の男だ、これで3日連続である。よく続くな・・・、何を頼んだかを訊いている。
「・・・・・・ラーメンライス」
同じ答え方をしやがって・・・、男の方も平然と聞き流している。ちょっと、ここは1つ・・・・・・。
「この頃お子さんをお連れになりませんね・・・、どうしたんです?」
ヒゲの顔から脂汗がダラダラと流れ始める、横の男は楽しそうににやにやし出した。
そして2人とも全部食べ終わっていないというのに急に帰ってしまった。
今日は子供連れの人間がやってきた。大人2人、子供3人の組み合わせだ。
何でも、ここのことを聞いてわざわざやってきてくれたらしい嬉しいものだ。
それぞれが楽しそうに食べている。彼らを見ていると、これまでに来た人よりも幸せな気分になっていくようだ。
さて、そろそろ店じまいだ。この人生も楽しいものだ・・・・・・・・・。
後に、NERV総司令と4日連続でラーメン屋台に通った男の元に、一通のメールが届いた。
その内容はこんなものだった。
「経費でラーメンを食うべからず」(BY バイザーの老人)
FIN
愛技さんから投稿小説を戴きました。
えぇと‥‥元ネタが少しわからないのですが‥‥ちょっと日常、ちょっと滑稽な雰囲気が良いですね。
冷や汗のゲンドウ、最後のおまけの通達とか…(笑)
読んだあとは愛技さんに感想メールをお願いします。