「結局、アンタは遺されちゃったわね・・・」

「・・・いいの。」

「・・・幸せだったから? 」

「そう・・・そうね。」

「結局、アンタは人形だったのよ。」

「・・・違う・・・と思う。」

「違わないわ、最初は司令、そしてシンジ。」

「・・・そうね、そうかも知れない。」

「アイツも悩んでいたわ、ファーストから自由を奪ったんじゃないかって。」

「・・・違う。彼を選んだのはわたしの意志。」

「ふ・・・ん、自由意志だって言いたいのね? 」

「・・・・・・」

「シンジに尽くして、シンジの人形になって・・・そんな事、アイツは望んじゃいなかったのに・・・」

「・・・・・・」

「いいわ。これでアンタは自由よ、アイツの望んだとおりにね。」

「・・・」

「・・・ダンマリか。アンタ、あの頃から変わんないわね・・・出棺の時刻よ、お別れをしなさい。」


 わたしは、彼に接吻けた。
 わたしの瞳を濡らすものは、血のように熱い涙。
 その涙をどんなに降り注いだところで、彼の唇は固く冷たいままだった。


「・・・きっと、シンジは祝福してるわよ・・・」


 ・・・そうかも・・・そうかも知れない。

  レイの人生は、レイのものなんだよ?

 ・・・あなたは、いつも言ってたものね。

 でも。

 この寂しさが、自由の意味ならば。



「・・・わたしは人形だから。」

 

 だから、わたしは。

 涙を捨てた。


 喰う寝る36さんからお話をいただきました。

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