"喜劇王 - king of comedy-"


 喜劇王 - king of comedy -

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About

01. 愛のすべて
02. YESMAN
03. Lost My Way
04. 魔王
05. かけがえのないものについて
06. 嘘つき
07. vague
08. パラソル
09. 警告
10. happy-go-lucky
11. HEAVY
12. アンタ
13. 愛してしまうべきではなかった
14. 誓い



《解説》

 こういうタイトルをつけるとこのアルバムがコミックソング集だと勘違いされるかも知れないがそういうわけではない。
 もちろん今のお笑いブームとも関連も一切ない。
 そういうコンビ名もあったけど全然関係ない。

 僕にはコメディという表現には実はたくさんの要素が含まれている気がする。

 例えば「悲劇(tragidy)」と聞いたら、話の流れも結末も何となく浮かべられるだろう。
 でも「喜劇(comedy)」には反対語の「悲劇」の側面すらも包括するように思える。
 つまり「喜劇」が「悲劇」に変わることがあっても、「悲劇」が「喜劇」には変わり得ないということだ。

 言葉の上では反意語に位置する言葉だが「喜劇」とは「笑い」が起きて成立する。逆に「悲劇」には「涙」を誘うことで成立する。

 でも、この「涙」と「笑い」は決して反意語ではないわけでどちらも感情表現の一部でしかない。
 ただ「悲劇」には笑いなど起きてはならないが、「喜劇」には涙があっても問題がないのだ。そこにコメディの幅広さがあり、自由さがある。

 僕の音楽にはシリアスな一面もあるけれど、その反対にコミカルな一面もあると思っている。でもそのどちらが自分らしいかと言うと、結局どちらも自分の作品でしかない。
 どちらかと言われるならば僕は「喜劇」作家と答えるだろう。
 なぜなら前述した通り、そちらの方が幅広く作品を作る可能性が残されるからだ。

 もう一つタイトルの所以を付け加えると、ある意味では自分が「喜劇」の当事者でもあることにある。
 駄目な自分、情けない自分、どうしようもない自分、そんなドタバタしている滑稽な姿を戯画化しているのだ。それは悪く言えば開き直りでもあるし、「キングオブコメディ」とまで言ってしまうなんてかなり皮肉に思われるかも知れない。
 でも「悲劇のヒロイン」なんて刹那的な名前よりよっぽどいい。
 ただ面白いだけでも物足りない。
 滑稽な部分もあり、最後に感動の涙を呼んでこそ本当の「喜劇王」と呼べるような気がする。

About

●歌詞● All Lyrics Written by Manabu Fukushima


 01. 愛のすべて

 愛のすべてをこの僕にくれないか
 限りない想いのそのすべてをくれないか

 太陽のようにいつまでも微笑んで
 幸せな日々を共に笑って歩いていこう


 目覚めたら夢を見た事も忘れてしまうけど
 泡のように消えないように信じ合えるならば


 愛のすべてをこの胸に詰めこんで
 抱えられる以上の気持ちを全部抱きとめて

 太陽のようにいつまでも微笑んで
 惜しみない光を共に放って照らしていこう

 

 愛のすべてをこの僕にくれないか
 限りない想いのそのすべてをくれないか

 太陽のようにいつまでも微笑んで
 幸せな日々を共に笑って歩いていこう

 


 02. YESMAN

 複雑そうな顔して隠してる正体
 あれもこれもみんな全部正しく見えちゃう
 オレは誰とでも話を合わせる
 オレには自分ってものがまったく無いんだ

 そうさYESMAN
 I'm YESMAN, Baby
 Oh 気付かないうちに忍び込んでいる
 YESMAN

 HA HA HA HA


 誰かを非難するほどの度胸もないし
 誰か一人支持できるほどの奴もいない
 オレにテストの採点させたら早いぜ
 書いてあるすべてに目をつぶって○をつけるだけでいい

 I'm YESMAN
 I'm YESMAN, Baby
 Oh 正義も悪もないこの世界
 YESMAN


 味方がいないとどんな奴でも不安に押しつぶされちまう
 そのうちオレがいないとオマエは何にも出来ないようになっちまう
 人をけなさず褒めるだけ それで平和に済むならいいんじゃない?
 自分を殺せ 自分を捨てろ
 プライドなんて吸殻のように踏み潰せ 揉み消せ 捻り潰せ


 不平も不満もこの際どうでもいいじゃん
 下手に立てつくと何をされるか分かんない
 決まっちまったことなんてのむしかないし
 今さらあれこれ言ってももうどうこうなるレベルの話じゃない

 そんなYESMAN
 We're YESMEN, Baby
 気付けば不利に立たされてる
 YESMAN

 だって何が正しいか分からない
 YESMAN
 

 


 03. Lost My Way

 もう何も分からない 来た道すらも戻れない
 コンパスは北を指す けど正しいと限らない

 落としてた道しるべ いつの間にかもう消えていて
 振り向けば町並みも 音を立てて変わっていく

 ここはどこ? どうすればその場所へ辿り着けるの?
 ここはどこ? 少しでもその場所に近づけたの?

 きみははるか遠く 僕を手招きするフリして

 誰も信じられなくなっちまった
 みんな信じられなくなっちまった
 広い世界の片隅で今は自分だけしか頼れない

 

 これ以上歩けない 足投げ出して寝転んで
 だけどまだ本当は 足踏みしてただけかもね

 ここはどこ? どうすればその場所に辿り着けるの?
 コンパスは北を指す さっきと違うところへ

 いつの日かの記憶 辿れば見えそうな気もする

 何も感じられなくなっちまった
 驚きもしなくなっちまった
 広い砂漠の真ん中で声を張上げる気にもなれない


 誰も信じられなくなっちまった
 みんな信じられなくなっちまった
 全てやってられなくなっちまった
 後はどうなったって知るもんか

 


 04. 魔王

 ピアノを習うために 出かけていく少女
 そのままおさぼりして 道草踏んでいた

 そのとき落ちてきた 黒いカラスの羽根
 それを拾った時 笑い声が響いた

 

 突然姿見せた 魔王が少女に言う
 「今からお前を家まで招待してやる」と

 「急いでいるから」と少女 だけど魔王はお見通し
 「お前には時間なんて腐るほどあるはずだ」

 

 そのまま言い訳できず 連れ出された少女
 魔王の家に着くまで いろんなものを見た

 ある人はゴミを投げ捨て ある人は信号無視
 ある人は歩道をふさぎ 座り込んで喋ってる

 

 そうこうするうちに 魔王の宮殿に着いた
 門番はあいさつもなく タバコを道に捨てた

 部屋は散らかっしっぱなし 食べ物は残されたまま
 「ここではお前の好きにしていい」と魔王は両手を広げた

 

 だけど少女はたまりかねて その部屋を片付け出した
 部屋が全部片付いた時 魔王は消えていた

 その時落ちてきた 白い天使の羽根
 気付けばいつもの街 少女は帰ってきた

 

 その足でピアノの教室まで走り出す
 「遅れてごめんなさい」と少女は謝った

 


 05. かけがえのないものについて

 なにひとつ報われず
 惨めな思いに沈む

 なにもかも投げ出して
 逃げ出したくなる時も

 君が照らすその明かりで
 どれだけ僕は救われたことか

 

 先のこと見えなくて
 独りで途方にくれる

 毎日が空回り
 自分で嫌になるけれど

 どんな時も君のことが
 どれだけ僕を支えてたことか


 ありふれた平和な時間がいつまでも続きますように
 その気持ちなくさないでこのままでずっと


 君が灯すその明かりが
 どれだけ僕を暖めたことか

 君が欲しい そのすべてが
 確かなものが感じられるほど


 どんな時も君のことを
 守るためならば なんでもする きっと

 

 


 06. 嘘つき

 嘘をついたのは 傷つけたくないから
 嘘をついたのは 嫌われたくないから
 思えば最初の時も同じ理由だった


 嘘をついたのは 言い訳が面倒だったから
 嘘をついたのは その方が面白かったから
 思えば最初の時も同じ理由だった


 本当のことを言ったら 本当に納得してくれたの
 本当のことを言ったら 本当に許してくれたの


 嘘つき

 

 嘘をついたのは それでお互い様だったから
 嘘をついたのは それが正しいことと思ったから
 思えば最初の時も同じ理由だった


 本当のことを言ったら 本当のこと話してくれたの
 本当のことを言ったら 本当に分かり合えたの


 嘘つき

 


 07. vague

 決まり事を覚えるだけ
 このまま永遠に

 そして僕の頭の中
 動きを止めていく


 そのまますべてが当たり前に思えて
 何も不思議に思わなくても
 一から百まで正しい顔するのはきっと違う

 

 宿題なら机の上
 山積みになったまま

 解けなかった謎ばかりが
 残されてきたから


 そのまますべてを見てきたように思えて
 なにも傷を負わなくても
 いつかは僕らもどうせ同じミスを繰り返すだけさ


 習ったようにはいかないことが多すぎるみたい
 例外ばかりの事象もぜんぶ覚えきれるのかい


 そのまますべてが当たり前に思えて
 なにも不思議に思わなくても 
 気づけば僕らもどうせ同じ道を歩いてるはずさ

 La La La...

 

 


 08. パラソル

 突然の電話に 耳を疑った
 耳なじみあるその声が 懐かしい

 無邪気なあの頃の君が
 まるでそのままだから


 もう半袖じゃ肌寒い 9月の午後
 浜辺に置き去られている ビーチパラソル

 君から呼び出したくせに
 無口になるから

 今は何も訊けないけど
 ただ近くにいる それが嬉しい


 仲良しだった僕らの距離を縮めようとした僕のせい


 誰もいない海岸沿い 肩並べて
 ずっと打ち寄せる波の音が続いている

 こんな大人びたふりなんて
 僕らしくないけど

「おあいこだね これで二人」
 そっと笑う君を見つめているよ


 もう戻れない 元通りには
 ただもう少しだけ 側に居させて

 


 09. 警告

 隣の山は大火事だと言う
 今からみんなで見に行こうと言う

 だけどキミらは何にも気づいちゃいない
 君の山にも炎は移ってきている

 警告 君の山にも炎は移ってきている

 

 隣の町が水に沈んだと言う
 家も車も水浸しだと笑う

 だけど少し足元を見た方がいい
 水は君の足まで流れてきている

 警告 水は君の足まで流れてきている


 Gosh!


 変わり者のあいつにうしろ指を指す
 思いつく限りの罵声を浴びせる

 だけど少しは後ろを振り向いた方がいい
 今はそんなお前が指を指されている

 警告 今はお前がうしろ指を指されている

 

 平気で嘘を使ってはすぐ逃げる
 気付かれなければ嘘ではないと言う

 だけどそれでもどこか損はしていないかい?
 まだ騙されてるのに気付いていないのかい?

 警告 まだ騙されてるのに気付いていないのかい?

 

 


 10. happy-go-lucky

 7時起きたが二度寝に誘われ
 8時の電車が駅を出る
 9時に改札抜けたら ダッシュで
 10時の会議にすべりこみ

 後ろから 「福島君 こんな時間に何してる」

 朝から晩まで同じペースで
 息切れしないで走りましょ
 長い人生だ あせることはない
 道草しながら 進みます

 

 18時のチャイムと同時に走って
 19時の約束 待ち合わせ
 20時に閉店 店を追い出され
 21時半の門限 お見送り

 お疲れさん また明日 手を振るあなたが遠ざかる

 空振三振 三者で凡退
 いつかは打ちたいホームラン
 大器は晩成 一日一歩で
 最後の最後に笑います

 

 22時のニュースに あくびを殺して
 23時過ぎには 夢の中
 気づけば時計は 7時を指してる
 金曜の夜には まだ遠い

 かけこみは およしなさい 満員電車も急ぎます

 朝から晩まで同じペースで
 息切れしないで走りましょ
 長い人生だ あせることはない
 道草しながら 進みます

 空振三振 三者で凡退
 いつかは打ちたいホームラン
 大器は晩成 一日一歩で
 最後の最後に笑います

 


 11. HEAVY

 とてもヘビーな気分
 とてもヘビーな気分なんだ
 とてもヘビーな気分で
 I feel so bad


 ずっとシックな気分
 ずっとシックな気分なんだ
 ずっとシックな気分で
 I feel so low


 昔ブルースを歌った人は
 何を嘆いているか判っていたのに
 おれはただ訳もわからぬまま
 ブルーな気分わめきちらすだけさ

 

 ひどくダウンな気分
 ひどくダウンな気分なんだ
 ひどくダウンな気分で
 I feel so bad
 I feel so low

 


 12. アンタ

 憎い憎い アンタが憎い
 ちょっといやだ あっち行ってよ
 いやらしい視線 さっきとちがう
 ちょっと離して 大声出すわよ


 開き直るその態度はなに
 ひどい ズルい 卑怯な男
 それじゃまるで話がちがう
 早く家まで帰してちょうだい

 都合のいいことばかり言わないで
 あとでどうなるか わかっているの
 決して許さない

 

 ヘドが出るわ その荒い息
 お金ぜんぶ投げ返してやる
 嫌い嫌い アンタが嫌い
 こんな仕打ち覚えていなさい

 

 甘い言葉で 夢を見させて
 これまで何人 騙してきたの
 憎いろくでなし

 


 13. 愛してしまうべきではなかった

 愛してしまうべきじゃなかった
 うまくゆかないことはわかりきってた
 だけど避けられない力で
 惹き寄せられてたことは君もわかっていたんだろう


 踏み込んでしまうべきじゃなかった
 わからないままの方がいいこともあるのに
 知れば知るほど欲張りになってく
 自分を抑えられないその報いなのか


 君がぼくの肩に
 そっと頭乗せて瞳閉じてる
 すべてに疲れたように
 永遠の眠りにつくように

 

 求めてしまうべきじゃなかった
 何もか投げ出してしまうほどに
 失くしてはいけないものが
 お互いの肩に重くのしかかっていたのに


 求めてしまうべきじゃなかった
 完璧な自分の思い通りにすべてを
 望みのままに作り上げて
 それを君に押し付けてしまうべきではなかった


 君の最後の言葉
 最後の涙 精一杯の笑顔もすべて
 きっとぼくはずっと引きずるだろう
 死ぬまで永遠に

 

 愛してしまうべきじゃなかった
 うまくゆかないことはわかりきってた
 今さら償うすべなど
 何一つありはしないことはわかっているから


 愛してしまうべきじゃなかった
 結ばれないことはわかりきってた
 望みのままに作り上げ
 それを君に押し付けてしまうべきではなかった


 こんなことなら いっそ始めから
 二人がめぐり逢いさえしなければよかった

 こんなことなら いっそ始めから
 二人がめぐり逢いさえしなければよかった

 


 14. 誓い

 いつまでもと誓ったから これからもう一人にしない
 何より大切な人よ どうか涙拭いて
 笑った顔みせて


 どんな過去を歩いてきたの 僕と出会うまでの間に
 そのすべてに負けないほど愛したい 君のこと
 素敵な思い出が増えるように


 君が悲しい瞳をしたら 僕も悲しくなるから
 なにも言葉はいらない 今日から二人ひとつだ
 君と僕はひとつだ

 

 どんな未来を描いてるの できるだけ大きく描こう
 力を合わせたらきっと叶うはず 君となら
 必ず幸せになれるから


 どこまでも誓ったから これからもう迷いはしない
 今繋いでるこの手をもう二度と離さないで

 いつまでもと誓ったから これからもう一人にしない
 そっとうなづいてほしい 今日から二人ひとつだ
 君と僕は

 

 



Album Cover Design/Kaoru Fukushima
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