"DIGITAL"


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rubic qubic|DIGITAL (2019)
 01. Headache
 02. Digital
 03. デフレ・インターナショナル
 04. Communication
 05. I'M A GOD
 06. Crystal
 07. 野蛮人
 08. Like
 09. テレパシーが流行りだす理由
 10. 砂の城
 11. Numbers
 12. 停電の日


About


●歌詞●
All Lyrics Written by Manabu Fukushima


 1. Headache (Instrumental)

 


 2. Digital

 男だからとか女だからとかって
 あれこれと決めつけられるなんてデジタル
 世代とか血液型なんかで
 括ったり括られいい気になってる だけど
 ああ本当にそれでいいの?

 おかしいことおかしいと言えないムードに今流されたら
 おかしいことおかしくないって認めていることと同じ
 押し黙ったり 見て見ないふり
 逃げるほど追い詰められていくもの

 男みたいとか女みたいとかって
 そんな風に片付けられるなんてデジタル
 飼い主を真似る小鳥みたい
 条件反射で受け応えしてる そして
 ああ誰かのせいにするの?


 信じられないひどい出来事は信じすぎる気持ちが生むよ
 ありもしない嘘に踊らされ 本当の味方撃つことになる
 利巧ぶったり 足引っ張ったり
 無理するほど息が苦しくなるだけ

 男らしくとか女らしくとかって
 いちいちと押し付けられるなんてデジタル
 何キャラとか〇〇系なんかで
 居場所与えられてその気になってる だけど
 ああいつまでそこにいるの?

 


 

 3. デフレ・インターナショナル 

 街に出れば 直ぐに分かる 人の波かきわけ思い知るはず
 いくらオレがオレでオレらしくあろうと
 これだけの人を前に何の価値がある?

 一つが流行れば皆真似する 飽きられる前にまた次を探す
 こんな時代 せめて生き残りましょ 足並みを揃えよ競争社会

 人の処理速度 超える情報 皆キャパシティオーバー
 2〜3秒毎 上がる投稿 すでにデフレ・インターナショナル
 偽造・盗作 価格暴落 全てがコモディティゼイション
 薄利多売 弱肉強食 続くデフレ・インターナショナル


 選挙権なんて持たされたって
 皆言うことにそれほどの違いはない
 時間と金いくら費やしたって ゴミも問題も山積みのまま
 人の数だけ意見なんてある
 それを全部聞いていたんじゃキリなんてない
 デカイ声の奴だけが得してばっか
 カナリアは今夜も一人で嘆く

 窮屈なまでのFreedom 限りある生命の中何を選ぶ?
 はちきれんばかりの情報量 それは洪水僕らを押し流す
 縮こまりきった経営プラン 外れなし狙いなら当たりもなし
 適応の早いNationalism もはや異常事態すら暮らしの一部

 
 美少女だらけ 目移りしちゃう
 特に誰か一人絞る理由なんてない
 「浮気性はヤダ でもストーカーもヤダ」
 定められた距離だけは埋まるはずもない
 自主規制された表現の中
 謳うは愛と夢と勇気ばかり
 調子に乗れば すぐ見せしめになる
 そして拍車がかかるデフレ・インターナショナル

 人の処理速度 超える情報 皆キャパシティオーバー
 2〜3秒毎 上がる投稿 すでにデフレ・インターナショナル
 偽造・盗作 価格暴落 全てがコモディティゼイション
 薄利多売 弱肉強食 続くデフレ・インターナショナル

 


 

 4. Communication

 久しぶりに会えたのに 画面ばかり見つめてる
 どんなに今日を待ちわびてきたか分かる?
 忙しそうな素振りで 話しかけてもうわの空
 いつになったらまともに向き合うつもり?

 楽しいことは皆それぞれ
 だからと言って周りのこと いないことにできないよ

 何も言わずに分かり合う まだそんな仲じゃないよね
 気が付いた後じゃ手遅れ だから目の前を見て
 誰だって沈黙は怖い 話し上手に見られたい
 だけど言葉の他にない 思い伝えるために


 席を外した間に 違う人と替わっても
 気づいてもらえないような気さえするよ
 他の人たちの目には どんな関係(ふう)に映るかな?
 自分で自分が一番分からなくて

 大事なことは時と場合で
 入れ替わることもあるけれど 今すべきことは何?

 でも本当は信じたい ここに来た理由は同じ
 カタチが見えにくいだけで きっと通じ合ってる

 突然こっちに画面向けて 見せてくれた可笑しい写真
 話題を探してたんだね ホントすごく笑える

 


 5. I'M A GOD

 火が上がる 血が騒ぐ
 今日もまた 獲物探す

 情報を偽り 正体は見せず
 闇の奥潜み 毒を撒き散らす
 殴ろうとしても 実体は持たず
 誰も指一つ触れることすらできない

 我思う、故に我在り 絶対なる存在 I'M A GOD
 人の上に人在らず 我こそが法なり I'M A GOD


 誰も皆 秘密がある
 表と裏 使い分けて

 つけあがった奴の評判を落とし
 たてつく連中は叩き潰すのみ
 正しいも悪いも 俺の気分次第
 先に謝ったほうが身の為になるぜ

 我思う、故に我在り 絶対なる存在 I'M A GOD
 人の上に人在らず 我こそが法なり I'M A GOD
 夢心地


 現実社会の落ちこぼれ達
 仮の姿得て羽ばたくがいい
 どんな思想でも自由に叫べる
 間違いや嘘で真実を覆え

 我思う、故に我在り 絶対なる存在 I'M A GOD
 人の上に人在らず 我こそが法なり I'M A GOD
 いい身分


 I'M A GOD

 


 6. Crystal

 遠くの街へ向かう列車が走る
 涙を浮かべ別れる人を乗せて
 何も言わずに時間だけが流れる
 この世界から取り残された二人

 電話や手紙じゃ伝えきれないこと
 そっと手を握るから感じていてほしい

 その白い息や 小さな足跡は
 君が今ここに生きている証(しるし)
 君のすべてをずっと見届けたい
 一番近い場所で


 一番綺麗なものに今気づいたよ
 美しく透明な君の強がり

 写真の表情じゃ気づけなかったこと
 その瞳(め)を見つめるから 素直に見つめ返して

 その細い指や 白すぎる肌が
 もろく儚い嘘だったとしても
 僕のすべてをかけて守りたい
 君と過ごす瞬間(とき)を


 その白い息や 小さな足跡は
 君が今ここに生きている証(しるし)
 君のすべてを ずっと見届けたい
 一番近い場所で

 ずっと側にいたい
 許されることなら

 


 7. 野蛮人

 無いものなど何もないほど一見豊かで
 そこそこの自由もそこそこ味わえる
 情報なら何でも手に入りそうな気がする
 でもその陰では原始時代まで逆行している

 暴力 恫喝 偏見 中傷 略奪 弾圧 その他諸々


 強い者に味方する方が一見利口で
 一時的に甘い汁だってそこそこ味わえる
 今あるもの全て諦めて野生に帰るか
 もう一度自由を夢見て皆で力を合わせるか

 そんな時困ったことに俺ときたら
 そんな時代に生きてるくせに君ときたら
 ・・・

 


 8. Like

 もて囃され僕は狂った
 このスポットライトもう手放せない

 I hear a voice inside my head
 "what will you do to entertain us?"

 もう限界を超えているのに

 (Like)
 I lose myself, I Do Anything, I Bet My Life
 (Like)
 Can't help myself, Spend My Everything, All The Time


 良い反応をずっと待ってる
 数分おき 見てる 一晩中

 I know you just don't have time now
 This post will entertain you

 閉ざされた部屋に独り

 (Like)
 I lose myself, I Do Anything, I Bet My Life
 (Like)
 Can't help myself, Spend My Everything, All The Time

 


 9. テレパシーが流行りだす理由
 
 The Reason Why Telepathy Is Getting Popular

 言葉はとても便利なツール
 歴史がつなぐ偉大なるルール
 自分勝手に受け止めるばかりで
 肝心なことは分かり合わないまま

 まるでテレパシー 頭が割れそうなんだ
 心の声が 今日も飛び交ってる
 言いたい放題 操作は単純明快
 でも返事が来なくちゃ 落ち着かないもの


 調べものならばすぐに見つかる
 知りたいことは皆教えてくれる
 君は瞬時に探し当てられるが
 こんな満たされないのは何故だろう

 これはテレパシー 全部が筒抜けなんだ
 やることなすこと 先読みされてる
 自分の意見も ないわけじゃないけど
 言葉にすると 取り消せなくなるから


 批判 (Dis)
 悪口 (Abuse)
 嫉妬 (Envy)
 皮肉 (Irony)
 デマ (False rumor)
 愚痴 (Complaint)
 上から目線 (Condescending)
 ポーカーフェイス (Pokerface)


 名前も顔も居場所も晒し
 胸張って生きてる強い君を見た
 後ろめたさ しがみつくプライバシー
 守るべきものは自分?未来?一体何なの?

 まるでテレパシー 空気を読む天才
 言われる前から 動けるなんて優秀
 組織の中では 上の言うことが絶対
 でも忠実に仕えたのに 切り捨てられる現実

 これはテレパシー 君に問いかけてくる
 嘘か本当か? ぶつかり合うセオリー
 答えにもう少しで たどり着きそうになると
 なぜか決まっていつも 風に舞い上がる


 これはテレパシー

 


 10. 砂の城

 波打ち際に そびえる砂の城
 やがて流され崩れて散る定め
 脆く儚い 遠く昔の景色
 同じことが繰り返されている

 穏やか 人気のない夕暮れに
 潮は満ち引き 海底へ引き込まれていく


 燃える太陽 帰れない故郷
 瞼の裏に今も浮かぶ面影
 時は過ぎても 過ちは消えない
 海辺に残る 誰の為 砂の城

 


 11. Numbers

 自分の価値を数字で示せ
 信用できるか証拠を見せて
 人が認めることがすべて
 流行りものならすぐ仕入れて

 バラ色の日々を演出して
 格上の人と思い込ませ
 それでだめなら悪者気取れ
 不愉快さで相手のこと煽れ


 君がどれだけの人と人脈があるか
 どれだけの人を集められるか
 それだけ聞けば十分
 これ以上話す必要があるかわかる

 御託ばかり並べても時間の無駄だ
 それでは世間はごまかされない
 この世の中で一番正直なもの
 それは数字だ

 順位をつければ白黒決まる
 何が流行りで何が飽きられたか
 グラフにすれば一目でわかる
 どんな奴でもねじ伏せる方法

 データが揃えば未来も見える
 はじき出された答えに従え
 疑うべきはおまえ自身
 数の支配からはもう逃れられない


 止まらないこの悲しみを抱えながらも顔色変えず
 すれ違うたくさんの人
 同じ思いだと気づいたら きっと

 

 都合の良いデータだけを見せて
 すべて順調と信じ込ませ
 愚かな民衆騙し通せ
 もっともらしく数字で示せ

 御託並べて時間を稼げ
 うやむやなまま追及躱せ
 理解できない用語で話せ
 早くその場から姿くらませ


 ごまんとある情報の中で
 人は迷うと数字を頼る
 だからみんなは数字を競う
 数字は結果で数字は事実

 オンリーワンなどロンリーワンでしかない
 綺麗ごとなんてもう通じない
 容赦なくさらけ出す
 今ここで何が起きているのかを


 終わらないその疑問符に誰に答えを求めるべきか
 所詮皆ただのマイノリティ
 だけど手をつなぐ準備ならいつでも


 物価を上げ生活困らせ
 考えさせる余裕を無くせ
 身近なとこで争い起こさせ
 怒りの矛先 他に向けさせ

 本当のことは隠し通せ
 多数決で強行に潰せ
 忙しそうな素振り見せて
 その場から早く姿くらませ

 都合の良いデータだけ見せて
 すべて順調と信じ込ませ
 愚かな民衆騙し通せ
 もっともらしい態度で挑め

 御託並べて時間を稼げ
 うやむやなまま追及躱せ
 理解できない用語で話せ
 早くその場から姿くらませ

 


 12. 停電の日

 冬の寒さがまだ残る3月
 誰かが始めた『停電の日』
 やがて少しずつ広まっていき
 今では日本中のお祭りの日に
 電気を使わずに一日だけ過ごすだけの日だけど

 

 学校や会社はみんなお休み
 今年は何をして過ごそうか
 心細い想いさせないように
 できるだけ大切な人の側に居よう
 縛りつけられるものがないだけで 時の流れも緩やか

 テレビもゲームも今日はおあずけ
 近くの公園まで歩いて行こうか
 戸棚の奥にしまい込んでた
 いつかもらった2つのグローブ
 キャッチボールなんて初めて
 だけど少しずつ楽しくなってきた

 

 広場はまるでキャンプ場のように
 持ち寄られた食材で炊き出しがはじまる
 僕らも何か手伝えたらと
 危ない手つきで野菜を切り笑われる
 見慣れない光景 はしゃぐ子供
 助け合う人々を良く目に焼き付けて

 久しぶりに灯すロウソク
 お祝いみたいで胸が躍る
 灯りを囲んで話し出したら
 いつまでも話題が止まらなくて
 もう少し普段からこんな時間を
 持てたらいいのにと君も思ったはず

 

 何かと批判もある『停電の日』
 悪いとこはどんなことにだってある
 一日電気が使えないだけで
 見えてくる問題があるとしたら
 つまりそれは今の僕らが抱えている状況そのもの


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About


『Headache』

 『Worries worries pile up on my head Woe is me, I should have stayed in bed』
  《─心配事が次から次へと頭に積みあがる 我に苦悩あれ、絶対安静にすべきだな》

"Problems" by The Everly Brothers


 ◆オーバーチュアとして冒頭を飾るインストナンバー。
  ところでさっきからずっと続いてる頭痛の理由は何なんだろう。


『Digital』

 『Tell me why are we, so blind to see That the ones we hurt, are you and me』
  《─教えてくれ どうして俺たちはこんなに盲目なのか?俺たちが傷つけているのは 他でもない自分自身なのに》

"Gangsta's Paradise" by Coolio Featuring L.V.


 ◆『アナログ』が取り残されていく人たちの悲哀みたいなコンセプトになっていたから、
  この『デジタル』は逆に時代を追いかけてきた人たち側の葛藤や疲労をテーマにしようと考えていた。

  このアイディア自体は「デフレインターナショナル」ができた5年前に既に思いついていたものなので、
  かなり長いこと企画だけが先行して頭の中に渦巻いていたことになる。

  時間が経過するにつれて、テクノロジーはどんどん進化してより人間に近づこうとしている中で
  もはや『デジタル』って言葉のイメージすらも古くさくなってきた感じすらある。
  0か1で単純に物事を決めつけること自体を『デジタル』と呼んでるというだけでなく、
  そういう行為を時代遅れで低次元なものの象徴として『デジタル』と呼んで非難することに
  作った自分でも時代の変化を感じてびっくりしてます。


『デフレ・インターナショナル』

 『気のきいた男の子 ここしばらく出会わない やさしくて可愛くてお金持ちの男の子
  ほんとにちかごろ不景気 ほんとに世界は不景気 ほんとにちかごろ何だかつまらない』

"不景気" by ピチカート・ファイヴ


 ◆デフレーション(デフレ)とは、不景気のとき、さまざまな物の価格が下がり続ける現象を指す。
  選択肢がたくさんありすぎて、その一つ一つに心を割く余裕がなくなってしまい、
  周りのすべてのものに対して価値を見いだせない状態に陥っていやしないか。

  先行して決めたアルバムタイトルを元に温められてきたコンセプトに見合う曲として
  一番最初に完成した曲は2013年にできたこの「デフレインターナショナル」だった。
  これまで無意識的に結果として何かに似てしまった曲は数多くあるが、
  もろに他のアーティストのフレーズをモチーフに全体を構築した作品は初めてだったかもしれない。

  こうしたスタイルでできた曲はアルバムの中に何曲か登場するが、
  元となるアーティストや作品に対してだけでなく、
  こういう渋谷系で括られてきたアーティストの類によく見られた作風に対しても、
  思い入れを込めてオマージュができるようになったという心境の変化が大きい。


『Communication』

 『I know that you've been around But hear me now, I'm crying out』
  《─離れずにいてくれたことは知ってる でも聞いて わたしはこうして叫んでる》

"Give A Little" by Maggie Rogers


 ◆2人で一緒にいるのにスマホをいじってるカップル。
  そんな今では珍しくない光景の中で、戸惑いを感じる当事者の目線で描いた。

  人との関わり合い方もその受け止め方も
  時代とともに変化する部分があれば、変化しない部分もある。

  一見ハッピーエンドに収まっているが、さてこれから先どう発展していくのか。
  そっと見守ってあげましょう。


『I'M A GOD』

 『I cried for all the others till the day was nearly through For I realized that God's a young man too』
  《─僕は日が暮れるまで皆を思って泣いた 神も若者だとわかったから》

"円軌道の幅" by David Bowie


 ◆自尊心が強い人々は自分だけが正しいと信じる。
  自分以外が自分より劣っていると考える。
  だから自分を傷つける相手に対しては憎しみを抱く。

  しかし友達を否定して、恋人を否定して、家族を否定して、すべてを否定した先に残るものは何なのか。

  こんな終わりのない不毛な争いから自分を守るには、より強い自己愛を持つしか方法はないのか。


『Crystal』

 『Wear No Disguise For Me, Come Into The Open. When It's Cold Outside, Am I Here In Vain?』
  《─僕になら何も偽ることはない すべてを打ち明けて 寒さに凍える中 僕に何もなす術はないのか》

"Always" by Erasure


 ◆ちょうどこれを作った時期的なものもあってか、音が冷たく感じるから、雪景色の映像が浮かびます。

  かつて『プリズム』で描いたような春の別れを横目に
  いつか離れる運命にあることを知っている二人は一緒にいる残された時間を悲愴な心境でかみしめている。

  以前に比べて交通の便も良くなってきたし、ネット通話で気にせず長電話もできるようになった。

  距離や時間の問題は幾分か解消されたけど、彼らにはそういう問題以前にもっと深い事情がありそうだ。


『野蛮人』

 『ハイテクが進み心の豊かさ遅れるわが国の
   如何んともし難いところなんてどうでもいいか いやいやよくないな あぁよくない』

"Out Of Control" by B'z


 ◆競争の中で生まれ広がっていく格差。
  強者は周囲を抑圧しながら欲しいものを欲しいままに奪おうとし、
  弱者は生きていくために他人から幸せを奪うことを余儀なくされる。

  子供のころ口喧嘩で「悪いことしたら警察に捕まるぞ」と戒めあう姿を見かけたが
  世の中に決めたは良いが誰も守ってくれないルールがいくつもある。

  今あるすべてのルールが同じように扱われたら、僕らを守るもの自体がなくなることになる。


『Like』

 『Come Rescue, Rescue Me From This Holloywood Life』
  《─誰か助けて 私を救い出して このハリウッドライフから》

"Hollywood Life" by Suede


 ◆一度有名になった人たちは、その座を守るために必死。
  今では一般の人もこの病に囚われてしまっている。


『テレパシーが流行りだす理由』The Reason Why Telepathy Is Getting Popular

 『道徳 得到 道徳』
  《─道徳が道徳を得るに至った》

"A.I. 愛" by 王力宏 (Wang Leehom)


 ◆原曲となる高野寛氏の「テレパシーが流行らない理由」が出たのが1991年。
  技術の発展は目覚ましいが、根本的な不満は干渉されないので
  いっそテレパシーを使えるようになりたい、でもそれって不便かも?という
  超能力や霊感について今ほどタブー視されなかった当時ならではの内容になっていたが、
  この曲は2019年の現在テレパシーを想起させるテーマに置き換えたアンサーソングである。

  今では「SNS」を通じて思ったことがそのまますぐに言葉で発信できてしまう状況にあり、
  もはやテレパシーに近いと感じるし、「AI」のように行動パターンを読んでくれる技術もテレパシー的である。

  でもこうしたネットワークの普及を脅威に思う政府が
  都合の悪い言論に対して監視や弾圧を強める風潮が加速し、
  やがて本当に言いたいことを言えなくされたら
  念力で伝えるしか残された道がないんじゃないかという不安もあり、
  原曲からタイトルを少しもじって過去と現代を重ねながら対比している。


『砂の城』

 『And so castles made of sand slips into the sea, Eventually』
  《─砂の城は海の中に滑り落ちて行ってしまった 結局は》

"CASTLE MADE OF SAND" by Jimi Hendrix


 ◆築いた時点で既に崩れ去る運命にあるもの。
  過去から押しつけられた無謀さの代償は早くも破綻を見せている。


『Numbers』

 『You can scream & you can shout,It is too late now Because you have not been paying attention』
  《─君は悲鳴を上げることも叫ぶこともできる...けどもう手遅れなんだ だって君が注意を払っていなかったから》

"2 + 2 = 5 (The Lukewarm.)" by Radiohead


 ◆一時期何でもランキングにして順位をつけたり、興行収入や成績を打ち出して宣伝する風潮があったけど、
  数字によって誰かの主観や思い入れを排して
  無機的に説得力を持たせることが情報として最も有効だとされたせいだと思う。

  最近では皆が知ってる、皆が良いって言ってるというものに対して
  後追いで乗っかることに抵抗感を示すようになってきたのか、こういう論法は廃れた感がある。

  理数系の学科で学んできた自分にとっては
  数学によって世の中の事象を言い表せられるロマンは理解できる反面、
  数字は非常に嘘つきであることも良く知っている。
  場面場面で解釈に都合の良いデータだけを見せつけたり、
  2+2=5というデタラメな数式ですら証明することができるのだ。

  この歌で登場する数字を増やす意義を訴える者、数字を悪用する支配者。
  そして彼らに押しつぶされないためには数で対抗して示すしかないと奮起する人々。

  実際はここに登場する以外に相当する人の方が圧倒的に多いのだと思う。


『停電の日』

 『お化けは消える 消えるは電気』

"いろはに金平糖" by 童謡


 ◆『デジタル』アルバム全体が現代をディストピア視したテーマになると想定していたので
  最後くらいは何か救いになるような曲が欲しくて、
  長いことアルバムのラストに入れるつもりでアイディアを温めていた曲です。

  「今日は一日携帯電話の電源をオフにして気ままな一人旅〜♪」みたいな
  個人レベルの内容にしてしまうと束の間の現実逃避で話で終わってしまうところが、
  社会全体が敢えて強制的に一切の電気を落とす、という仮の前提で話を進めていることで
  電気なしでも不便だけど生きていけることを自ら進んで確かめ実感しようとする所とか、
  その中で無意識的に人間らしさを取り戻す姿から見えてくるディストピア感が
  アルバムのテーマともっと密接にリンクしたように思います。


解説/福島 学

 


● I’M A GOD


● Communication


● デフレ・インターナショナル


● テレパシーが流行りだす理由 The Reason Why Telepathy Is Getting Popular


● Crystal


● Numbers