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CINEMA COLLECTION

 皆さんは最近映画を見ていますか?映画館へ行っていますか?私はというと。。。ここ数年、映画館へ 足を運ぶ回数がめっきり減っていました。ですから新作映画を大きなスクリーンで見る面白さ を忘れていたようです。
 そもそも自分は大の映画好きで、大学3〜4年の1年間で50本ほど観ていたんですがね。 そりゃー本当の映画好きの人は年間に200本観るとか毎日レンタルビデオを見ているよとか いう人は沢山いるでしょうが、なかなか時間とお金に自由が利かないとそうもいきません。 他にもやりたいことは色々とありますからね。

 今年は何となく「映画を観たい」という気分になってきました。職場に映画好きの人がいること もありますが、渋谷や新宿、銀座と大小の映画館へ行くのが何となく楽しみなのです。うわさ通り 面白い映画だと「うーん。いいねー」と素直に喜び。ちょっと納得がいかないと「うーん。うーん。うーん」 とがっかりするのもまーいいじゃないですか。
 さて、何も考えずに映画のコーナーを作ろうと思ってキーボードを叩き始めましたが、どんな コーナーにしようか実は思案中なんです。とりあえず今年観た映画のご紹介、そして、 楽しみなアカデミー賞の情報などを徐々にお届けしたいと思います。(Feb.2000)






 

 
<<<今年観た映画です>>>
その8July.2000  ザ・ハリケーン・川崎チネ・チッタ ★★★★☆
監督:ノーマン・ジェイソン
キャスト:デンゼル・ワシントン

 Story
 実在のボクサー、ルービン"ハリケーン"カーターが獄中で執筆した伝記に基づく 感動の実録ドラマ。ミドル級チャンピオンに上りつめながらも、白人殺し容疑で 終身刑を宣告された主人公の苦悩と、彼の無実を証明しようとする人々の人間模様を 描き出す。
 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 実は、この事件のことを知りませんでした。1966年といえば私の生まれた年。知らなくても 仕方がない。。。人種差別、正義、人間愛。この映画が語っていることは沢山あります。 そして、真実の重みが観ている者の胸に突き刺さります。この役を獲得するために必死の トレーニングでボクサー体型となったデンゼル・ワシントンの演技は正に名演!

その7June.2000  アメリカン・ビュティー・川崎チネ・チッタ ★★★☆
監督:サム・メンデス 脚本:アラン・ボール
アカデミー賞5部門受賞
キャスト:ケビン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチ

 Story
 ご存知今年度アカデミー賞作品賞受賞作。会社からリストラ宣告されたケビン・スペイシー 演じる中年男レスター。家庭でも威厳ゼロの彼は、こともあろうに娘の同級生の美しさに 心奪われ一念発起。彼女を振り向かせるために大変身していくが。。。
 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 ブラックユーモアとは正にこういうのを言うのだろう。多少おげれつなギャグもあるが 毒気たっぷりの異色なホームドラマは意外に観ている者を飽きさせない。さて、 バラに包まれた裸の少女。彼女が意味するものは?最後にげげという結末が。。。 まいりました。
 
アメリカン・ビューティー
その6May.2000  アナザヘヴン・渋谷松竹セントラル ★★★★
監督・脚本:飯田譲治
キャスト:江口洋介、市川実和子、原田芳雄、柏原崇、加藤晴彦、松雪泰子

 Story
 原田芳雄演じるベテラン刑事・飛鷹と部下の江口洋介演じる早瀬の前に東京を震撼させる 連続殺人事件が発生した。犯人は、殺害した被害者の首を切り取り脳を料理していたのだ。 二人は犯人らしきひとりの女を追いつめ,事件は解決するかのように見えたのだが。。。 「ラスト30分、悪意の哲学。驚いた人97%、その謎を解けた人5%」のキャッチフレーズの 意味するところは?
 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 ちょうど始まったドラマの前に映画を観てしまえと思って映画館へ足を運んだ。あまりにも 衝撃的なシーンが多いとのことでR15という年齢制限がついているのには驚かされる。 この映画、出演者が実にいい。江口、原田の演じる刑事。柏原の中性的な妖しさ。キュートな市川。 松雪の色気。そして加藤のボケ。どれをとっても欠けてはならない存在だ。そして、事件はとんでも ない方向へ向って行く。これは一筋縄ではいかない設定、展開、結末ですね。ヒントは”水”。
アナザヘヴン
その5May.2000  エニイギブンサンデー・よみうりホール ★★☆
監督:オリバー・ストーン
キャスト:アル・パチーノ、キャメロン・ディアス、デニス・クエイド、ジェームス・ウッズ、 ジェイミー・フォックス、LLクールJ

 Story
 かつての栄光はいずこへ。アル・パチーノ演ずるアメフトチームの名コーチのトニーは 苦悩していた。チームの中心選手を怪我で失い連敗地獄から抜け出せない。そして、先代の オーナーを引き継いだ娘を演じるのは「メリーに首ったけ」で名演を演じたキャメロン・ディアス。 二人の間にチームの方針の食い違いが起き衝突が。トニーはやむなく無名のウィリーをクォータバックに起用する。 するとウィリーは思わぬ活躍を見せるが。。。
 
 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 久し振りに試写会というものを観に行った。「オリバーストーン監督。全米No.1!」というふれ込みでした。 まず、感じたのはアメフト版メジャーリーグ?アメフトのルールを知らないので勝ったのか負けたのかもよく分からない。 コーチとオーナー、若手選手との衝突ばかりが描かれ、ほっとつける笑いの場面が少ない。うーん。最後まで唸ってしまいました。 まータダだからいっか。

エニイギブンサンデー
その4Apr.2000  ボーン・コレクター・川崎チネ・チッタ ★★★★
監督:フィリップ・ノイス 脚本:J・ディーヴァー
製作:M・ブレイグマン
キャスト:デンゼル・ワシントン、アンジェリーナ・ジョリー

 Story
 ニューヨークで猟奇殺人が起こる。犯人は被害者を拉致しては、殺人予告がわりの 手がかりを警察へ突きつける。そんな犯人の挑戦へ挑むのはある事件をきっかけに、 四肢麻痺の体となり世間との接触を絶っている元ニューヨーク市警の科学捜査本部長 リンカーン・ライム。そして、動きのとれない彼の手足となるのは女巡査サックス。 ライムの彼女への指示は常軌を逸しており、事件現場のシーンはおぞましい。
 それでも、事件の手掛かりが掴みかけてくると次第に二人の信頼感は深まってくる。 そして、犯人の本当の目的は??

 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 原作が昨年の海外ミステリーで絶賛された作品。デンゼル・ワシントンの身体を 動かさない迫真の演技も前評判がよく楽しみに観に行った。いやー、次々に起こる殺人事件。 犯人の挑戦は凄まじい。どうしてここまでやる!といった感じで目を背けたくなるが 迫力は満点。そして、犯人の犯行のからくりが分かった時に、遂に現れた意外な犯人。 さて、あなたは犯人を当てることが出きるでしょうか?
ボーン・コレクター
その3Apr.2000  遠い空の向こうに・日比谷シャンテ・シネ ★★★★
監督:ジョー・ジョンストン 脚本:ルイス・コリック
製作:チャールズ・ゴードン、ラリー・フランコ
キャスト:ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパー、ローラ・ダーン、 クリス・オーウェン、ウィリアム・リー・スコット、チャド・リンドバーグ、 ナタリー・キャナデイ

 Story
 舞台はウエストバージニアの炭坑の町コールウッド。高校を卒業すれば炭坑で働くか、それともフットボールで優勝して奨学金をもらい、大学に進むか、という極端な人生の選択を強いられる炭坑の町に生きる主人公。  そんな中、少年は1957年、世界で初めて打ち上げられたソ連のスプートニクが夜空に輝くのを見て、ロケットのとりこになる。  とにかく自作ロケットを打ち上げてみよう、ということで、花火を束ねたような第一号を皮切りに、友人達とともに数々の失敗にもめげずロケットを作り続けていく、そして一旦はその夢も潰えたかのように思われたが。。。
 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 炭坑の町で疲れ切った表情の労働者達のシーンでこの映画は始まる。うーん暗い。炭坑しかないこの町では夢を持って何かをする事は皆無に等しい。 唯一、フットボールで有望な選手となって奨学金をもらうという道があるがそんなのはほんの一握りの人に与えられるチャンス。  主人公のホーマーも兆戦はするが体力に自信がないのは十分承知している。あー残念。そんな彼には密かな夢があった。1957年10月5日にスプートニクが打ち上げられたニュースを 知ってから、「自分もロケットを打ち上げられたらどんない素晴らしいかと」。。。何だかわくわく。
 この映画で素晴らしいのは、一見、無謀とも思える少年達のチャレンジにも、耳を貸し、協力してくれる大人達がいることでしょう。 そして、終始反対し続ける父親がしっかりと息子の支えになっていること。
 やっぱり、ハッピーエンドはいいですね。都内では上演はあと数日。急げ!
遠い空
その2Jan.2000  地雷を踏んだらサヨウナラ・渋谷シネ・アミューズ ★★★★
監督:五十嵐匠 プロディース:奥山和由
チームオクヤマ制作/1999年/1時間11分
キャスト:浅野忠信、Robert Slater、ThorngDarachhaya、川津佑介、羽田美智子

 Story
 1972年、内戦の激化するカンボジア。銃撃の飛び交う中、機関銃の代わりにカメラを抱えてシャッターを押し続ける男がいた。 それが一ノ瀬泰造。彼はフリーのジャーナリスト。キャパや沢田教一に憧れて戦場カメラマンを志し、自らの生きる道を求め激動の インドシナ半島を駆け回るうち、解放軍の聖域アンコールワットを撮影することににとり憑かれてしまう。 「うまく撮れたら東京まで持って帰ります。もし、地雷を踏んだらサヨウナラ」と書き残した男は、死の直前、果たして何を目にしたのか。。。

 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 だいぶ前に泰造氏の両親が出版にこぎつけた原作(主に両親・友人との手紙のやりとり、日記で構成されている)を読んだ。同じような話で 沢田教一氏のドキュメンタリーがあるが、あちらはピューリツァー賞を受賞したある意味では成功者。
 一方、泰造氏は”アンコールワットを撮れれば死んでもいい!”と純粋な気持ちを持った伝説のカメラマン。いつか映画化されるだろうと 思っていた。主役を務めた浅野忠信さんは原作に載っている写真を見れば分かるのだが、うわさ通り本人に風貌が似ている。そして、泰造氏の 自由奔放さ、撮影することへの熱い気持ちを見事に演じている。
 ストーリーは単純である。でもその中に、泰造氏とベトナム人の友人たちとの固い絆がとてもピュアに描かれていて思わず胸を打たれる。 途中、何度か涙を誘うシーンがあるが自分はそこではしんみりとスクリーンを見つめた。ところがどうしたことだろう。最後のシーン。なんでもない シーンなのだがそこで何故だか不覚にも涙腺が緩んでしまった。。。。静かな名作です。ビデオを借りてみてください。

地雷
その1Jan.2000  Amy(エイミー)・銀座シネ・スイッチ ★★★★★
監督:ナディア・タス 脚本:デヴィット・パーカー
キャスケイド・フィルムズ制作/1997年/オーストラリア映画/1時間43分
キャスト:アラーナ・ディ・ローマ、レイチェル・グリフィス、ベン・ベンデルソン、ニック・バーカー

 Story
 主人公のエイミーは9歳の少女。エイミーは大好きなパパが死んでから耳が聞こえなくなってしまう。 そして声も出なくなってしまう。何人もの専門医が診断しても原因はわからずままに。それでもたった一人の家族の 母親はいつか声を聞かせてくれる事を信じている。
 父親の死を目の当たりにするというトラウマに冒された少女の心を癒したのは、隣に住む売れないミュージシャンである ロバートのへたくそな歌だった・・・。
 笑いあり、涙あり、メルボルンのダウンタウンに住む個性的なな隣人達の温かい心に支えられ、心の傷を抱えたエイミー が生きる望みを見出す感動のストーリー。

 あんなこと・こんなこと・感じたままに
 とにかく主演の少女エイミー役のアラーナ・ディ・ローマの歌のうまいこと!透き通った歌声が心に響きます。他の登場人物も 最初は偏屈な連中ばかりだなーと思っていたのですが、次第にエイミーの心に触れていくのです。  そして、驚いたことに連中のみんなが歌がうまいこと。その歌はみんなはちゃめちゃでおかしいのだけれど、どれも何か伝わるもの があるのです。はらはらどきの場面があったり、ほのぼのしたり、そして、ジーンとなって優しい気持ちになれるのでした。 You&Meという最後に流れる歌がいつまでも心の中に残り、歌い出したくなりますね。
 劇場公開は終わってしまいましたが、ビデオのレンタルが開始したら是非観て欲しい1本です。

 
 99年カンヌ・ジュニア映画祭・グランプリ受賞
 98年ブリスベン映画祭・最優秀作品賞 98年ハートランド映画祭・最優秀作品賞
 98年リヨン国際映画祭ヤングコンペ審査員大賞
 98年アメリカン・フィルム・インスティチュート・最優秀主演女優賞/最優秀脚本賞