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2001 私の読んだ本ベスト20-ミステリー以外-

昨年に引き続き私の読んだ本ベスト20のミステリー以外編です。こちらの方は今年発売の本よりちょっと 昔の本も多く選ばれましたかね。昨年に続き「海峡シリーズ」の最終章となる「岬」を1位に選ばせてもらいました。 今年は白石氏の作品はこちらの2位へ。

  
様々な感動や、爽やかな風をを運んでくれる作品たちです。ごらんあれ。
順位書名著者名出版社あらすじ・ストーリー 選考理由・どこがいいか
1岬へ*伊集院静新潮社  著者の自伝的小説「海峡」の最終章。主人公の英雄は大学へ入学。父との決裂。初めての狂うおしい恋。次々と彼を襲う衝撃、失望、絶望の結末は。前作に増して衝撃のストーリー展開。激し過ぎる主人公の青年期に思わず涙がこぼれます。
2不自由な心*白石一文角川書店人は何のために人を愛するのか?生きていくのか?そして本当の幸福とはいったい何なのかを問う感動の数珠5編。昨年のデビュー作「一瞬の光」に続く短編集は心のもどかしさを様々な形で描いた作品でした。すごすぎる。
3エイジ重松清朝日文庫 通り魔事件が相次ぐ東京郊外のニュータウン。14歳の主人公エイジは家族、友情、初恋に揺れる。山本周五郎賞受賞作。重松さんの作品には親や大人の視点から描かれた作品が多いが、エイジは中学生。新鮮で溌剌としていました。
4せんせいの鞄*川上弘美平凡社  主人公は三十代女性シングル。偶然に高校時代の70歳の恩師にであって、恋愛関係に陥ってそして。。。何ともいえない感触。すーっと息を吸ってふーっと吐くような気持ちの物語。そして背筋がピントなる感じ。
5神々の山嶺夢枕獏集英社文庫  死なせたパートナーへの罪悪感に苦しむ伝説の単独登攀者の羽生丈ニ。彼は目指す頂きへ辿りつけるのか?「陰陽師」の作者が描くシリアスな山岳小説は読み応えのある感動巨編でした。
6白い薔薇の淵まで*中山可穂集英社  「わたしやっぱり結婚したい」。この言葉に勝ち目がないのは不倫と同性愛だけだろう。今年の山本周五郎賞受賞作。自分は同性愛というのには拒絶感がつよいのだが読み進めると賞をとるだけのことはあると。。。
7サヨナライツカ辻仁成世界文化社 舞台はバンコク。二人は別れの日まで激しく愛し合った。長い時を経て、そして再会が訪れる。最も切ない果敢ない愛の物語。人間は死ぬ時、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトに分かれる。あなたはどちら?
8クロスロード鎌田敏夫角川文庫 「この橋で会おうよ」。高校の同級生達が1年に1度、思い出の橋で会う約束をした。そして、10年の月日が流れて行く。揺れる心、自分にしか分からない自分。それを実感したのでした。久々の鎌田作品はなかなかよかったです。
9愛の領分*藤田宜永文藝春秋愛を信じられない男と女。それでも出会ってしまった彼らの運命。全てをかなぐり捨てた4人がゆきつく果ては。。。直木賞受賞作なんだか一昔の小説のような感じもしたが現在の場面も織り交ぜられていて案外馴染めました。これで夫婦受賞。おめでとうございます。
10セントメリーのリボン稲見一良新潮文庫どれも”男の贈り物”をテーマにした5編の短編小説集である。人と動物と自然と、それを繋げる心が描かれている。著者の短い人生を集約した毅然さの中に、どこかメルヘンチックな感じが共存している粒揃いの作品集でした。
11リセット北村薫新潮社《時と人》の三部作最終章。求め合いめぐりあう二人、そして月日は流れ、星はまた空に降る。「スキップ」「ターン」に続く待望のこの作品。前作品に比べるとストーリーが少し複雑でした。でも最後に話が繋がると。ははーん、なるほどという感じ。
12雪が降る藤原伊織講談社6編の短編集。男と女の間にそっと息づく魂の忘れものが切なく描かれる。それぞれの主人公が正義感に満ちていて力強い。かっこよすぎる気がするが読後感は痛快でした。
13プラナリア山本文緒新潮社「次に生まれてくる時は、プラナリアに」という有名な書き出しではじまるこの直木賞受賞作。5つの短編はどれも女性の心理描写が巧みである。同時受賞の重松清著「ビタミンF」が元気が出る小説だとしたら、こちらはづどーんと暗くなれる小説。うーん。奥が深い。
14臨機応答・変問自在*森博嗣集英社新書「全てがFになる」の著者が本業の大学の講義での質問&回答をまとめた本。人生相談、雑学、たわいのない質問など様々。新書なのだが実に面白い。質問のないようよりも、それに対する答えがユニークで抱えて笑ってしまうのです。
15ひかりのあめふる島 屋久島田口ランディ幻冬舎文庫仕事に疲れ、屋久島にやってきた著者は、美しい自然や不思議な出会いによって運命Gが激変した。これが「コンセント」を書いた人か?というくらい明るくテンポのいい文章で屋久島での体験談や島の魅力が綴られている。読めば必ず行きたくなる!
16ブリジット・ジョーンズの日記ヘレン・フィールディングソニーマガジンズ月曜の朝、ブリジットは頭痛と二日酔いで目覚めた。そして、隣には上司が・・・映画にもなったベストセラー。ロンドンで暮らす架空の独身女性の生活を日記風に綴っていて、体重の毎日の上下に一喜一憂する姿、浮沈する心理描写が面白おかしい。
17BAD KIDS〜海を抱く〜村山由佳集英社「BAD KIDS]の続編。4人の高校生のうち前作とは別の2人にスポットを当てる。海の、潮の香りが漂ってきそうな感じ。ちょっとアブノーマルなところはあるかいな。
18つきのふね森絵都講談社友人との関係が急にギクシャクし始めた中学生達の悩み。ひょんなことから出会った青年が心の病に苦しむ事がわかって。。。中学生達の等身大の行動で青年を助けようとする姿に心打たれる。「カラフル」の作者の切ないお話でした。
19丘の上安西水丸文藝春秋都電の走る東京で高校生のぼくはいろんな人と出会い多くを知った。そして・・・・著者の青春時代をモチーフとした作品。イラストレーターが日常を淡々と綴る様子があたかもスケッチしているようで好きだなー。
20サラブレッド99頭の死に方や流星社編集部編流星社馬たちの死に方は様々だ。年齢も、原因も、場所も。ファンに愛された馬たちへの鎮魂歌。馬たちの栄光の軌跡を偲び、天国へ召された彼らに合掌したい。

ベスト20には入れませんでしたが面白かった・よかった本はまだまだあります。(順番に意味はありません)
重松清著「ビフォア・ラン」・「舞姫通信」、伊集院静著「海峡」、白石一文著「すぐそばの彼方」、宮本輝著「私たちが好きだったこと」、喜多嶋隆著「ルアーに恋した日」、 ピーズ夫妻共著「話を聞かない男、地図を見ない女」