今年読んだ本は60冊ほどでした。その中から勝手に選んだベスト20です。
|
順位 | 書名 | 著者名 | 出版社 | ジャンル | あらすじ・ストーリー | 選考理由・どこがいいか |
1 | 永遠の仔 | 天道荒太 | 推理 | 幻冬舎 | 17年前に小児精神科病棟で出会った3人を霧の登山中の事件が呪縛し続ける。あまりにももの悲しいストーリであった。最後に次々と明かされる事実にあっと言わされる。 | 年末の最後の最後で読んだ本。既に自分の中では今年のベスト1は手のひらの闇に決めていたのだが最後の最後での逆転。上下で900頁の大作だったが一気に読みきった。 |
2 | てのひらの闇 | 藤原伊織 | 推理 | 文藝春秋 | 大手飲料メーカーの宣伝部課長の堀江は退職を2週間後に控えた時、会長の石崎からプライベートで撮影したVTRをCMで使えないかと依頼される。その後、会長が自殺して意外な展開に。 | 数年前に直木賞を受賞したテロリストのパラソルが文庫化されて読んで見ると目がうろこ。何で自分は著者の本を今まで読まなかったのか。新作も裏切ることなく絶品でした。 |
3 | 落下する夕方 | 江國香織 | 文藝 | 角川文庫 | 梨里と8年一緒だった健吾が家を出た。それと入代わるように推しかけてきた健吾の新しい恋人・華子。奇妙な三角関係の中で不思議な日常が過ぎていく。 | どういうわけか今年は江國さんの本がブレイク。「きらきらひかる」を愛読していた自分も自然に次々と文庫化・出版される本へ手が伸びたのでした。神様のボート、流しのしたの骨もいいが、映像化されて思い入れが深まった本書を選出。 |
4 | 「武豊」の瞬間 | 島田明弘 | ノンフィクション | 幻冬舎 | アドマイヤべガで史上初のダービー連覇を達成した武豊。みはてぬ夢を追い続ける彼の様々な瞬間はドラマチックである。 | 自分は常々競馬はドラマだと思う。馬、騎手、調教師、馬主、観客が演じ手となる究極のドラマ。そして数々の名演を演じてきた武騎手の素顔が今まで以上に明らかになった。 |
5 | 夏の破片 | K・羽音 | 文藝 | 角川書店 | 夏の気怠い午後、涼生は三日月に出会い、強烈に惹かれる。どんな結末になるかも知らずに彼は扉を開き戸惑いながらも進んでいった。 | 年末本屋で何となく手にしたこの本の作者は作詞家。青年の痛々しい青春と愛を描いたストーリーはやけに新鮮でした。マル。 |
6 | 青の炎 | 貴志佑介 | 推理 | 角川書店 | 高校2年生の櫛森秀一は母と妹と3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。そこへ母がかつて離婚した男が突然もぐり込んできる。秀一は義父を強制終了する計画をたて始める。 | 黒い家で有名になったホラー作家の異色作はあまりにもせつない青春ミステリーでした。とにかくせつない思いを禁じ得ない。 |
7 | あした蜉蝣の旅 | 志水辰夫 | 推理 | 新潮文庫 | 友人の会社を引き受けている主人公の前に突如現れた老人は彼の家に伝わる財宝の隠し場所を記した地図の手がかりを探しに来る。過ぎて行く13年の間に意外の方向へストーリーは進む。 | 志水辰夫さんの本に登場する主人公には男の強さ、渋さ、ふがいなさが感じられ共鳴します。しっかりした構成は長さを感じさせない大作でした。 |
8 | 秘密 | 東野圭吾 | 推理 | 文藝春秋 | 夫婦、娘の3人の仲のよい家族を襲った突然のバス事故。家内が絶命し、目を覚ましたのは娘だったが。。。運命は愛する人を二度奪って行く。 | 広末涼子、小林薫出演で映画化された作品は微笑ましく滑稽で、切ない物語。ラストについていろいろ意見が分かれますが、自分は原作も映画もよかったと思います。 |
9 | 蛍雪時代 | 矢口高雄 | 漫画・エッセイ | 講談社文庫 | 釣りキチ三平の著者が心豊な人々に囲まれ過ごした青春時代を渾身の絵筆で描いていた漫画エッセイ。 | 5冊の文庫本になった漫画。1冊づつ出版されるのを楽しみに待ちました。漫画とは馬鹿に出来ない感動溢れる作品でした。 |
10 | ななつのこ | 加納朋子 | 推理 | 創元推理文庫 | 表紙に惹かれて手にした「ななつのこ」にぞっこん惚れ込んだ駒子は手紙を書く。そして、作者に身近な事件のことを手紙で伝えると意外にも返事が返ってきたのだった。。 | 手紙を媒体としたこの推理小説は読んでいて心地よい気分になりました。静かに流れる話しの中にもあっという展開があって何とも気持ちがいい。 |
11 | 燃える地の果てに | 逢坂剛 | 推理 | 文藝春秋 | 場末のバーテンをやっている男が演奏会で幻のギターを手にする女性に出会う。そのギターと友人の手掛りを求めてスペインに飛ぶ。スペインの昔のできごとと現代とが交互に綴られ真実に近づいていく。そして最後に。。。 | これも長い話でしたねー。交互に時代・場面が変わるので段々何が何だかわからなくなってくる。次第に事実が明らかになり、最後に「えー!」。またやられました。 |
12 | 柔らかい頬 | 桐野夏生 | 推理 | 講談社 | 家出同然で北海道から上京し結婚したカスミは得意先のデザイナー石山と不倫か関係になり自分と石山の家族と彼の北海道の別荘へ招かれる。別荘で情事を重ねる間にカスミの娘が行方不明になってしまう。 | 今年の直木賞受賞作。不倫という重苦しい背景を背負いながら母の娘を探す必死な姿が描かれる。ストーリが進むにつれて謎が解決されように思えたが。。。何だか自分が夢を見ているような感じに。 |
13 | キスまでの距離 | 村山由佳 | 文藝 | 集英社文庫 | 5歳年上のいとこのかれんに久々に再会した勝利は彼女に恋する。そして、守ってやりたい、誰にも渡したくないとその気持ちは次第に強くなって行く。 | 天使の卵を昔難波の本やで見つけてから、「わーまたこてこてのラブストーリーだー。」と思いながらも純な物語をぱらぱらと。確かに自分も昔は背伸びしたくなるものでしたね。 |
14 | 五体不満足 | 乙武洋匡 | ノンフィクション | 講談社 | 「障害を持っていても、ボクは楽しいよ」と著者は語る。圧倒的な不利を背負いながらも逞しく生きてきた著者の半生が爽やかに描かれる。 | 表紙をみてまず驚く。しかし、生まれながらに四体がなく育った著者が懸命に生きてきた姿を知った時、それは興味や同情でなく同じ生きていく者の姿勢として共鳴にかわるのです。 |
15 | 有限と微小のパン | 森博嗣 | 推理 | 講談社ノベルズ | N大生西之園萌絵の周りに起こる連続殺人。不可解な密室殺人はすべて「F」から始まったのであった。 | 今年も森ワールドのご馳走を頂きました。それも「F」に繋がる最後の結末。「うお!またやられた」 |
16 | 奇跡の人 | 真保裕一 | 推理 | 角川書店 | 交通事故。8年間の入院生活の後、奇跡的な回復を見せた彼を病院の皆は「奇跡の人」と呼んだ。全てを包み込んでくれた母の死後、自分の過去を知るために昔の友人を訪ねるが。。 | 人は必ずしも過去を振り返ることが幸せとは限らない。これが推理小説かというと違うかもしれないが最後に物語は物凄いスピードで突き進んで行きました。 |
17 | 鉄道員 | 浅田次郎 | 文藝 | 集英社 | 8編の力作が収められた短編集。表題の「鉄道員(ぽっぽや)」。嫁と娘に先立たれた駅長は愛する幌舞線の廃線の時まで今までと変わりなく寂しく日常を過ごしていた。その時、彼に起こったやさしい奇跡の物語。 | 高倉健さん主演の映画を先にみました。原作は短編だったんですね。文字も映像も心に残る作品として自分の中にしっかりと残りました。 |
18 | ターン | 北村薫 | 文藝 | 新潮社 | ターン、ターン、その繰り返しで、全てが元に戻ってしまう。でもいつかはリターンして帰りたい。君は強く願うのであった。 | てっきり「スキップ」の続編かと思っていました。でも全く別の話。魂が時を超えて異次元へ行ってしまうという設定は陳腐だけど、最後はどうなるんだろうか?と思ってわくわくしながら読み進める。なかなかいい結末でした。 |
19 | ここに地終わり海始まる | 宮本輝 | 文藝 | 講談社文庫 | 18年間の療養生活を終えた志穂子は病状に奇跡をもたらすきっかけとなった差出人に会いに行く。期待と不安を込めて外に飛び出した彼女は意外な事実に突当り困惑する。 | 久し振りに読んだ宮本輝の本。といっても5年くらい前の本を本屋で手にしたのでした。相変わらず波乱万丈のストーリーは読み応えがありました。 |
20 | 物語が、始まる | 川上弘美 | 文藝 | 中公文庫 | いつもの暮らしのそこそこに、ひっそりと開いた異世界への扉。公園で拾った<雛型>との不思議なラブストーリー | ストレートなタイトルに惹かれました。それにしてもこの作者不思議な人ですね。「よくこんな話を思いつくよ」というだけで感心します。 |