THE MAP OF TOLKIEN'S MIDDLE-EARTH

2002.5記(最終更新日: 2004.6/6)

書名 THE MAP OF TOLKIEN'S MIDDLE-EARTH
著者 文: BRIAN SIBLAY / 画: JOHN HOWE
出版 Harper Collins
ISBN0-261-10318-0
価格(U.K.)£6.99
書影 MAP OF MIDDLE-EARTH
撮影 地図撮影サムネイル

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(本書の入手日: 2002.4/27)

ポスターサイズで見栄えがいい、中つ国(Middle-earth)の地図を壁に貼っておきたい。 指輪物語(The Lord of the Rings(以下LotRと略))を読みながら僕はそう思っていました。 きっとLotRを読んで、同じように思う人は少なくないはずで、 この気持ちの理由は説明するまでも無いのではないでしょうか。

邦訳の単行本に付属していた地図はサイズ的には、割りと大き目なのですが、 壁に貼る用途には明かに向いてません。 そこで、何箇所かで好意的な紹介を見かけていて気になっていた本書が、 まさに僕の希望に添うのではないかと思い購入しました。 そして、実際にその希望を、この本の地図は充分に満たしてくれました。

この本は、LotRで語られる時代の「中つ国」の折込大判地図1枚と、 LotRと「ホビットの冒険」の場面や、主要な場所の解説などが書かれた、 20ページ程のテキストからなります。 「中つ国」の地図本と言えば、深い研究と考察からなる詳細な地図と解説を持ち、 読み応えがあって実用的でもある「中つ国歴史地図」や「Journeys of Frodo」などが有名で、 僕も興味深く読んだり、役立てたりしているのですが、そういった本のクローズアップされた地図とは、 また違った魅力が、本書の地図にはありました。

トールキンの御子息であるクリストファー氏によるオリジナルのLotR付属地図を ペースにして、John Howe によって描きなおされた本書の地図は、 詳細さこそLotR付属の地図と同等でしかありませんが、 その最大の魅力は優れたビジュアルでしょう。

「中つ国」に関する、優れたイラストを多く手掛け、 Pジャクソンの映画LotRにもデザイナーとして参加している、 John Howe の手によるこのフルカラーの地図は、 大地は薄いグリーンの階調で、海は薄い青を基調に描かれており、 決して派手過ぎることのない(かといって地味で味気ないわけでは全くない)美しい出来映えで、 地図の周囲は、LotRの場面を描いた魅力的なイラストで彩やかに飾られています。 そう、まさに壁にポスターとして貼るのにも最適な地図だったのです。

僕と同じように地図をお探しだった方や、手持ちの LotR の地図の大きさに不満のある方にも、 お薦めできる一冊です。 本書の地図を、LotR を読み返しながら、眺めるのも勿論いいでしょうし、 短くも実に巧みにまとめられているテキスト(英語は決して得意では無い僕にも、 そうであることは分かりました)を読みながら、 地図を眺め、指輪物語の場面を思い出したりするのもいいでしょうね。

ところでこの本、地名を瀬田・田中訳に合わせて日本語化して、邦訳出版すれば、 絶対に売れるように思うんだけど、どこか出版しないだろうか。テキストの量も少ないので、 さほど翻訳に時間もかからないと思うんだけど。 映画便乗で慌てて作ったのが分かる、似たような原作ネタバレ解説本は次々と出てくるけど、 そういうのよりこれの日本語版出した方が、小さな地図しかついていない文庫版で読んでいる読者とか、 絶対に喜ぶと思うんだけどなぁ。

(2004 6/6追記) この地図と同シリーズの他の地図とがセットになった商品[ 米国版 ISBN:061839110X / 英国版 ISBN:0007169701] が、 2003年に発売された関係かもしれませんが、 単体の本書は現在入手しにくくなっているようです。amazon.co.jpでの取り扱いも終了したようなので、 書名欄のリンクはamazon.co.ukのものにしました。


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