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真夜中にはまだ少し間がある頃、窓際で寝ていたいちごぼっくりは、ふと目をさました。
何か物音がしたような気がしたのだ。窓の外は真っ暗だった。
窓のすぐそばには潅木が生えていた。小さな木のわりには大きな葉を茂らせているのがかろうじてわかった。
今、その葉がかすかに揺れて、さくさくという音がしている。やがてその葉の間から白く輝く大きな芋虫が現れた。白い光を発したまるまると太った芋虫が、いちごぼっくりの目の前で黙々と葉を食べている。
これらの光景をいちごぼっくりはまるで夢のようにぼんやりと見ていた。
その時、上から何かがゆっくりと落ちて来た。それは鳥の羽のようだった。その羽が芋虫にふれた瞬間、大きな変化がおこった。
みるみる芋虫は立ち上がると、近くの枝にしがみつき、さなぎになった。そしてすぐにそのさなぎの背中がわれて、なかから白く輝く蛾が羽を広げたのだ。真っ白な羽には金色の小さな模様が一面にちりばめられていて、中央には目のような形がくっきりとついている。
これらの変容はあっという間に、いちごぼっくりの目の前で起こった。
白い燐光を発する蛾は枝の上でしばらくじっとしていたが、やがて大きく羽を二、三度上げ下げしたかと思うと、ひらひらと闇の中に消えていった。
いちごぼっくりは蛾が飛び去った後も、いま起こったことが夢なのかうつつなのかよくわからなかった。
翌朝いちごぼっくりがその話を女の人にすると彼女は笑って答えた。
「その羽はホマ鳥の羽よ。ホマ鳥はとても生命力の強い鳥で、地上の生物がその羽に触れると、生命過多の状態になり、一気に成熟してしまうの。」
いちごぼっくりは思った。
『その羽にはあまり触りたくないわね。一気におばあさんになってしまうもの。』
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