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ようやくいちごぼっくり達が死神の館に着いた時、死神はいなかった。死神は彼等が到着するとすぐに机の上に書き置きを残したまま急いで出ていったのだった。
書き置きにはこう書いてあった。
『私は急用ができたので出掛けてくる。お前達は一日だけここで休養してもよいが、それが済んだらすぐにここから立ち去ること。畑男、おまえは三人を無事連れ戻したので今回は許すことにする。』
「ああ、よかった。なんとかここに残れそうだよ。」
畑男はうれしそうに言った。
「え、死神さんいないの。それはないわよ。いろいろ聞きたいことが山ほどあったのになー。」
いちごぼっくりは不満そう。
「君とうちの先生はなにか因縁がありそうだね。くわしいことは知らないけど、以前少しだけ聞いたことがあるんだ。」
そういうと畑男はみんなにテーブルの上のお茶をすすめながら話しだした。
「先生は若い頃からとても踊りが好きだったんだって。暇さえあれば踊っていたそうだよ。もちろん一人でだけど。
ある時先生は、冬の寒い朝、誰もいない海辺で踊ってたんだって。ところがすぐそばの岩陰で一人の子供が遊んでたんだ。その子は立ち上がると同時に死んじゃったそうだよ。
もしかしたらそれがその子の運命だったのかもしれないけど、先生はそうは思わなかったみたい。先生はすぐに黄泉の国に旅立ってその子を連れ戻したんだ。でも連れ戻した時にはもうその子の身体は埋葬されてた。それで仕方なく先生はその子の魂を別の世に転生させたんだそうだよ。
うちの先生はたぶん、死神としては優しすぎるんだよ。 」
「優しい死神なんてさまにならないわね。でもそれが私とどういう関係があるわけ。ひょっとして……」
「ううん、そんなことは全然解らないけど、ただなんとなく……」
「……………まあここで今、ああだこうだ考えてもしょうがないわね。何時か死神に聞いてみるわ。」
そう言ったいちごぼっくりの顔は少し寂しそうだった。
「それよりも私、腹ぺこ。」
畑男が『ごちそうをするよ。』といって振る舞った料理は、『死神ランチ』ではなく、この湖でとれた魚料理だった。
その夜、みんなが寝静まった頃、しいのみ君は一人窓辺に座っていた。目が冴えてどうしても眠れなかったのだ。窓からは煌々と月の光が射し込んでいた。
ふと傍らの棚を見るとそこには一冊の本が置いてあった。
しいのみ君はその本を手にとると月の光を頼りに読み始めた。
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