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いちごぼっくりが古都の入口に着いた時、そこにはあの畑男が待っていた。
「ああよかった。無事二人を捜し出せたようだね。」
「あら、ありがとう。迎えに来てくれたのね。」
「うん。死神先生の命令さ。ここからは俺が案内するよ。」
四人は町を通り過ぎ、細くて暗い道をとぼとぼと歩きはじめた。
暗い道を歩きながら、ふといんげんどじょうが聞いた。
「でもどうして覚えたばかりのダンスを君が適当に踊ったくらいで僕達が死んだりするんだろう。」
「適当じゃないわよ。でもいくら私のダンスが素晴らしかったからといって、確かに変よね。帰ったら死神に聞いてみるわ。」
「僕も聞きたいことがあるんだけど。」
一番後ろを歩いていたしいのみ君が言った。
「さっきいちごぼっくり君が『永遠からみればどんな時にどんなことしてたって優劣なんかありゃしないもの。』って言ってたけど、あれってどういう意味なの。何をしてもいいってことなの。」
「あら、そんなこと言ったかしら。良く覚えてないけど。」
「これだからなー、君は。」
いんげんどじょうは呆れ顔。
「それって倫理の問題だね。」
畑男が言った。
「俺以前、死神先生から聞いたことがあるんだ。
ほとんどの人は自分のやってることに責任なんてないんだって。製造物責任法ってあるじゃない。人間がどんなに馬鹿なことをしても、どんなに愚かでも人間がその罪を咎められるのはおかしい。人間を創ったやつの責任だってことになる。でもそれって被造物根性というものらしいよ。
心の奥の奥まで入っていくと、本当は自分というものが、誰かに創られた結果存在してるんじゃなくて、今、その瞬間瞬間、限り無く変転しながら営まれている宇宙的な創造作業に自分自身も参加していることに気がつくんだって。自分を被っているベールを一枚一枚取っていくと、自分が存在の最先端にいることに気付くんだって。そのリアルな臨場感を体感した人はもう自分が被造物だという意識はなくなる。その時はじめて自分の行動に対する責任が生まれ、倫理が問題になってくる。倫理といったって社会を維持するために人間が都合よく造り出した倫理観とはかなり違うけど。
他者を愛することと自分を愛するということは同じことだと気づくんだって。他者を傷つけることは自分を傷つけることと同じことなんだって。たとえば君が机を思いきり叩けば痛いでしょう。机に与えた衝撃と同じ衝撃を君も受け取ることになるんだよ。」
「かなづちで叩けば痛くないよ。」いんげんどじょうが口をはさんだ。
「すぐ屁理屈を言うお馬鹿は放っときましょうよ。」
「存在の最先端なんて、そんなこと僕みたいな小さな生き物にはとても出来そうにないな。」しいのみ君がつぶやいた。
「なんか疲れそうだしなー。いちごぼっくりなら頑張れば出来るんじゃない。」いんげんどじょうが言った。
「でも私も煩悩が多い方だからねえ。」
「そう言えばそうだね。君から煩悩を取ると、あと何が残るかってもんだよね。」
「うるさいわね。あんたから言われたくないわよ。」
その時、四人の前方に光の道が現れた。
こうしていちごぼっくりは二人を黄泉の国から無事連れ戻した。
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