いちごぼっくり物語

[その6]

 いんげんどじょうはぼんやりと空を眺めた。このやるせない気持ちをどうしたら良いのだろう。家に帰ってやけ酒でも飲むか、それともしいのみ君のところで愚痴をこぼそうか。
 結局、彼は山の中腹に湧き出ている小さな温泉に行くことにした。心が冷えている時は、身体を暖めるのが一番だという、おばあさんの言葉を思い出したからだ。

 その頃、しいのみ君は昼寝から醒めたところだった。妙にリアルな夢を見ていた。夢の中でしいのみ君は、とても高い所から森を見ていた。その森はどこまでもどこまでも果てしなく続いて、最後にぼんやりと青い海が見えた。それは彼が今まで見たこともない風景だった。「夢って不思議だな。」と、しいのみ君は思った。
 その風景は昔昔、しいのみ君のおじいさんのそのまたおじいさんが、高いしいの木の天辺から見た風景だったのだけれども、そんなことは彼には分らなかった。
 しいのみ君は海が見たくなった。


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