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解説 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜(Söldner-X 2: Final Prototype)』は、PlayStation 3用の横スクロールシューティングゲームである。オンライン配信専用タイトルであり、2010年5月25日に北米PlayStation Storeで配信が開始された。そして、実に4年後の2014年7月1日、日本のPlayStation Storeでも完全日本語ローカライズバージョンが配信された。さらに、翌2015年にはPlayStation Vitaにも移植され、60FPSでの動作を実現している。 発売元のeastasiasoftは香港を拠点とし、開発元であるSideQuest Studioとともに、2007年にPC用シューティングゲーム『Söldner-X: Himmelsstürmer』を発表した。翌2008年には、同作のPlayStation 3版もPlayStation Storeにて配信している。『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』は、その続編に当たる作品だ。ちなみに『ゼルドナー(Söldner)』はドイツ語で「傭兵」を意味し、本来の発音は「ソルドナー」が近い。
『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』の前作である『Söldner-X: Himmelsstürmer』は、HD画質の美しいグラフィック、印象的な音楽など、プレゼンテーション面においてはユーザーを十分に引き付ける出来だった。また、PC版の初回限定版に同梱されたハードカバーのブックレットには、アートワークやキャラクターの設定、ゲームの詳細なデータの数々が掲載されており、制作陣の並々ならぬ意気込みが感じられた。 しかし肝心のゲーム内容は、野心的なシステムを盛り込もうとするあまり、プレイヤーにとってはストレスとなる要素が満載だった。冗長なステージや、堅過ぎるボスの装甲によって引き延ばされたプレイ時間。ノーマルショットを含むすべての武器にはエネルギー制限があり、しかも「特定のタイミングで武器を切り替えるとコンボが成立する」という奇妙なシステムのために、好きな武器を好きなときに使うことができない。全体に意地悪なギミックが多く難度は高めで、挙句の果てに「取ると武器が全部なくなる」「取った瞬間に即死する」など、ネガティブな効果を持ったアイテムまでもが存在した。 『Söldner-X: Himmelsstürmer』からは、『グラディウス』や『R-TYPE』、『ダライアス』など、クラシックな日本のシューティングゲームへの憧憬とともに、そのゲーム性を最新の技術で再現しようという意欲は感じられた。しかしながら結果的には、一言で言っていかにも「一昔前の洋ゲー」といった内容になってしまっていた。
そんな前作と比較すると、『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』は、完璧とまでは言わないが、前作にあった問題点のほとんどを解消している。まず、ノロノロとしたスクロール、同じような背景の連続や、狭苦しい地形の類は一切なくなった。多くのステージでスピード感あふれるスクロールを見ることができ、『グラディウスV』や『サンダーフォースV』をほうふつとさせる。武器の使用にも制約はなくなり、好きな武器を好きなだけ撃ちまくることができる。ネガティブな効果を持つアイテムもすべて削除された。 前作から変わらない長所もある。1080p対応のHD画質をフィーチャーした『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』は、間違いなく今日のゲームの中で最も美しいグラフィックを持つシューティングといえるだろう。音楽は前作同様、ドイツの作曲家Rafael Dyllが担当している。Dyllはドリームキャストのシューティングゲーム『Last Hope』を手がけたほか、Chris HuelsbeckやTim Follinが作曲したコモドール64、アミガのBGMをリミックスしたことでも知られている。
『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』の新しい特徴は、明確にシステム化されたランク変動だ。ランクはG〜Sの8段階あり、ミスが少なければランクは徐々に上がっていく。逆に自機が被弾したり、敵を画面外に逃したりすると、即座にランクは下がる。ランク変動自体は珍しい仕様ではないが、本作の特徴的な点は、ランクが内部的なものではなく常に画面上に明示されていることと、ランクによって難易度およびスコア倍率が劇的に変化することだ。 本作はライフ制を採用しているため、被弾回数の多い初心者は必然的にランクが下がり、敵の攻撃も緩やかになる。しかし、最高のランクSでは一転してCAVEばりの弾幕シューティングになり、同時に獲得できるスコア倍率も数十倍までアップする。また、一発でも被弾するとランクは大幅に下がってしまうため、高得点を目指す上級者にとっては、ライフ制だからといって大味なプレイにはならない。 「プレイヤーの腕前に合わせて、難易度が自動的に変化する」というシステムはほかのゲームにもあるが、本作はランクの変動条件、それに伴うリスクとリターンを明快にすることで、常にプレイヤーに自分のパフォーマンスを意識させ、プレイにメリハリを持たせている。
何かにつけて「ひねくれた」作りだった前作に対し、『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』は、シューティングゲームとして極めて素直なアプローチをしている点に好感が持てる。プレイヤーの目的は「弾に当たらない」「敵を多く・速く倒す」「アイテムをたくさん集める」といったシューティングの基本に集約され、それらの結果が「生き残る」「得点を稼ぐ」という見返りに直結するようになっている。前作のように「武器の切り替えを調節する」とか、「ネガティブなアイテムを見極める」といった余計なルールは存在しない。とにかく画面上の敵を撃ちまくり、大量に出現するボーナスアイテムを取りまくればいい。 シンプルかつオーソドックスなゲーム性に回帰した『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』だが、それでも本作は独自の貴重性を備えている。海外産という珍しさもそうだが、何よりアーケード主体のシューティングゲーム業界において、最初から家庭用の最先端ハード向けに設計されているということだ。16:9のワイド画面を前提とし、操作系もアナログパッドに準拠。難易度も、クリアするだけなら初心者でもそれほど苦労しないレベルに抑えられている。1周クリアに1時間程度かかるボリュームも家庭用であれば許容できるし、好きなステージをセレクトして始めることもできる。 『ゼルドナーエックス2 〜ファイナルプロトタイプ〜』は、ライトユーザー、コアユーザー、どちらにも楽しめるような工夫が凝らされており、チャレンジモードやさまざまなアンロック要素、リプレイのアップロードも備えたオンラインランキングなど、長く遊べる要素もたくさんある。そして、ちょっと古臭いボスのデザインや英語のボイスオーバーは、80年代の古きよきシューティングを思い起こさせる。独特のアクの強さ、粗削りな部分はあるが、シューティングゲームファンであればプレイする価値のある作品といえるだろう。 |
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基本システム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アナログスティック:アナログ移動 方向キー:8方向移動(最高速度) ×ボタン:ショット □ボタン:ショックウェーブ ○ボタン:リミットアタック △ボタン:チュートリアル表示 L1ボタン:ウェポン切り替え(前) R1ボタン:ウェポン切り替え(次) STARTボタン:ポーズ ●光る敵を倒すか、チェーンを完成させると、アイテムが出現する。 ●最大3種類のウェポンを切り替え可能。機体ごとに設定された2つの固定ウェポンと、1つのボーナスウェポンを装備できる。ボーナスウェポンは、取ったアイテムに応じて変わる。 ●パワーアップアイテムを取ると、すべてのウェポンが強化される。アイテムを取った時に使用中のウェポンはゲージが多く増え、それ以外のウェポンは少しだけ増える。 ●ボーナスウェポンのアイテムを3個取ると(種類は問わない)、リミットアタックが1回使用可能になる。リミットアタックは画面内の敵すべてに大ダメージを与え、敵弾も消す。 ●ライフが少なくなると、バーサーカーモードが発動する。バーサーカーモード中は敵から受けるダメージが少なくなり、一定時間が経過すると、ライフが自動回復する。 |
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ランク | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() ランクはG〜Sの8段階あり、ランクが高いほど難度はアップするが、スコア倍率も高くなる。 ランクが上がると、以下のような点が変化する。 ●敵の出現数が増える ●敵弾の数が増える ●敵が弾を撃つ頻度が高くなる ●ロケット弾や機雷などの数が増える ●自機の被ダメージ量が増える ●バーサーカーモード時、自動回復までの時間が長くなる ●ボスの攻撃パターンが変化する ランクを上げるには、以下のような方法がある。 ●敵、敵弾、地形等との接触を避ける ●敵を画面外に逃がさない ●大型の敵(中ボスなど)を素早く倒す オプションの難易度設定によって、ランクごとのスコア倍率は以下のように変化する。
難易度「Massive Attack」では、ランクによって変化するのはスコア倍率のみとなり、ゲームの難度は最高に固定される。 |
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チェーン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() コンボのようなもの。敵を倒すとチェーンリングが出現する(一定時間で消滅)。これを集めるとチェーンエネルギーがたまり、ゲージが満タンになるとチェーンが完成、表示中のアイテムが出現する。ただしチェーンクロックがゼロになると、チェーンエネルギーが減少してしまう。チェーンリングを取れば、チェーンクロックは回復する。また、ショットを撃たずにいれば、チェーンクロックを回復できる(最大50%まで)。 |
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アイテム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 周囲の敵に大ダメージを与えるボム。1発しかストックできない。 ![]() 一定時間、自機の移動速度がアップする。 ![]() 一定時間、自機の周囲にオプションが付く(最大4機)。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() チェーンエネルギーが増加する。 ![]() 一定時間、チェーンクロックが減らなくなる。 ![]() 各ステージに5個ずつ隠されている。終盤のステージに進むために必要。 ![]() 一定時間、自機が無敵になる。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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ラストチャプター | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
拡張版『ゼルドナーエックス2 〜ラストチャプター〜』をインストールすると、以下が追加される。価格は480円。通常版と拡張版をセットにしたバンドルは1,280円。 ●3種類の新しいステージ ●13種類の新しいチャレンジ ●11種類の新しいトロフィー ●新しいエンディング |
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